神聖セリセリ王国 投稿者:AE

「神聖セリセリ王国」                      by AE
                             1998.8.9



   今日も今日とて楽しい午後に。
   あかりさんと浩之君が、とても楽しげに歩いてきますよ。
   どうやら、週末のプランを立てているようです。
   あ〜あ、あかりさんたら真っ赤になっちゃって、いったい何を話しているのかな?
   そんな二人に電柱の影から実体を隠して忍び寄る・・・白い影。

「ううっ、神岸さん・・・」

「モテたいのですね?」
「うわあっ?!」
   ヤジマ、背後を取られる。
「な、ななな何だ、おまえは?!」
「通りすがりのメイドロボです。私は人間を幸せにするために存在します。
 私の事は、そう・・・」
   上空を見つめて高速検索。
「”女王”とお呼び捨てになって下さって結構です」
   ・・・・・・・・・。
   おもいっきり、
「やだ!」
「考えたのに・・・」
   ほんの少しうつむいたセリオだったが、すぐに復活する。
「さて、アカリスキー」
「な、何なんだ、その呼び名」
   設定→コンパネ→マルチメディア→オーディオのプロパティ→音量最大。

『男、ヤジマは神岸あかりさんの事を想うと寝ても立ってもいられない、というか
  立ちっぱなしで寝られない、ということであった』

   道行く人々や犬やネコの視線がヤジマに突き刺さる。
「お、大声で言うなああぁぁーっ!!」
「図星、でしたか」
   ニヤリ。
「わ、わかった、わかりました。何とでもお呼び下さい、女王さま」
   ヤジマ、陥落す。

   NE* N88BASIC
   yajima$ = "アカリスキー"
   OK

「さて、アカリスキー、さっそく作戦です」
「な、なんだよ、いきなり」
「浩之さんと公認であるところの、あかりんのハートをげっちゅーするには、
 意表を突く攻撃しか残されていないでしょう」
「ま、まあ、それはたしかに認めるな。
 ヒヒに挑んだり、醤油買ってきたりしても、効果なかったし」
   MIOさん、ごめんね。
「もはや、何をどう努力しても無駄なモノは無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無無駄無駄
 無駄無駄無頑駄無駄無駄無武者頑駄無駄無無駄無駄無駄ーーーーーッ!!」
   拾ったジャンプを読みながら会話しないで下さい。
「URYYYYYY・・・」
   もういいから。
「・・・た、たしかにそうかもしれない」
   本気にしてるしー。
「あなた自身が変わらなければ、正気、いえ勝機は全くありません」
「最大の侮辱を受けているような気がするんだが・・・続けてみろ」
「あかりさんは、くまのぬいぐるみを抱擁して全裸で眠りにつくようですが・・・」
「そんなバカな?!」
「この衛星生写真にしっかりと・・・」
   ヤジマ、ダッシュ。
   セリオの右手に・・・ささっ。
   セリオの左手に・・・ささっ。
   セリオの上に・・・・ジャンプ。
   セリオの下に・・・・土下座。
「ダンスが上手のようですね、犬」
   アカリスキーじゃなかったのか?
「このぬいぐるみになりたいと思いませんか?」
「な、なりたい・・・」
「では、この毛皮を・・・」
   セリオは鞄から月輪熊の毛皮を取り出した。本物。なぜか片手が無かった。
   MIOさん、ごめんね。

   ・・・数分後、プライドを捨てた獣がそこに居た。
   ヤジマの道は獣道。風がヤジマの影を斬る。(読んでる方、着いて来てますか?)
   二本足で歩く月輪熊と、赤い髪の美少女が街中を行く。
   遠目で去り行く人々の姿を見ながら、何かが違う事に気づきそうになったヤジマは、
   全裸のあかりに抱きしめられる自分を想像して、全てを忘れた。・・・何度も。
「わああ、くまさんですー!」
   マルチ、登場。
「セリオさん、お知り合いですか?」
   セリオはうなずいて紹介した。
「ヤジマ・ザ・ベアーです」

     ヤジマ・ザ・ベアー
       身長 : 57m  (×0.03)
       体重 : 550t (/8460)
       特徴 : ゲッター3の頭になる。
       必殺技: 大雪山おろし
       弱点 : メカザウルス軍団に特攻して自爆。

   主題歌「疾風ヤジマ・ザ・ベアー」
    ”クマだ、クマだ、おまえは熊になるのだ”
     熊手のように ヤジマ・ザ・ベアー ヤジマ・ザ・ベアー
     ここは血の果て 流されて僕
     今日もやつらに 涙も枯れる
     ジェラシーゲイル 涙はらって
     ジェラシーゲイル みじめな僕さ
     君を目指して 扉を開く
     かなわぬ期待 野心を乗せて
     恥か嵐か 淡い青春
     熊手のように ヤジマ・ザ・ベアー ヤジマ・ザ・ベアー
     熊手のように ヤジマ・ザ・ベアー ヤジマ・ザ・ベアー
                    (注:長瀬主任はザブ○グルが好きらしい)
   ぱちぱちぱちぱち・・・
「セリオさんって、唄も上手なんですね!」
「ありがとうございます (ぺこり)」
「くまさんは何を食べるんですか?」
「人です」
「はぃ?」
「実は、これから赤ずきんちゃんを食べに行くところなのです」
「もぉ〜〜っ! セリオさん、冗談が上手ですねぇ」
「本当なのに・・・」
   うつむくセリオをよそに、マルチはヤジマ・ザ・ベアーに話かけた。
「あの・・・さわってもいいですか?」
「がおう・・・(いいけど・・・)」
「・・・わあああーっ、ごわごわですぅ〜」
   良くわからないが、マルチはとても喜んでいるみたいだった。
   それから、もじもじしながらたずねる。
「・・・あの、あの、なでなでしてくれませんか?」
   さわさわさわさわさわ・・・
「いえ、さわさわじゃなくて・・・」
   (ヤジマ君、後半は覚悟してね。)
   なでなでなでなでなで・・・
「あっ・・・」
   ぽーっ、となる至福のマルチ。
「あ、ありがとうございましたー」
   にぱっ、と天使の微笑み。
   さようならー、と手を振る天使に、両手をぶんぶん振って答えながら。
   あまりの愛らしさに、マルチスキーになっちゃおうか、などと想うヤジマであった。

「がおがお〜う (熊って人気あるんだなあ)」
「私の底知れぬ力に、恐れおののいて下さい」
「がおんがおうがががおう!
 (うんうん、すげぇぜ。これなら神岸さんのハートもがっちりキャッチだぜ!)」
「キテレツ斎さまの教えに、誤りなどあろうはずがありません」
   だれ、それ?
「がおおおががおおおがががおがいがー・・・
 (これなら、振り向いてくれるかも・・・って、おおっ?!)」
   二人の前方、買い物カゴを持った制服姿のあかりが、ヘッドオン。
「がおおお〜んんん! (神岸さんだああぁぁ〜っ)」
   セリオ、目標を人差し指でロックオン。
「GO! GIジョー!」
「がお! (OK!)」
   ヤジマ、ローラーダッシュ(改造済)。
   歩道の舗装を撒き散らしながら、あかりに肉薄する。

「ひ、ひいぃっ?」
「が・・・がお (え・・・? あれ?)」
   あかり、逃走開始。
「がおおおおーっ! (待ってくれ、神岸さん! 僕を、僕を見てくれーっ!)」
「くまはイイけど、熊はいやああぁぁ〜〜!!」
   ヤジマ、追跡開始。
   両手を振りながら。ローラーダッシュで。
   道行く人々はあかりを助けない。
   薄情?
   ツメをわきわきさせながら迫って来る月輪熊に、立ち向かえる人間がいるというのか? 

「あっ、熊だー!」
   ・・・ひとり居ました。
「綾香さん、助けて下さい!」
「何?・・・くれるの? コレ?」
   あかりは綾香の背後に隠れて、うんうん。
「まさかこの歳で”熊殺し”の異名が拝命できるとはねえ。大山先生に面目が立たないわ。
 それじゃ、陸奥の国で仕入れたワザの御披露目といこうかしら」
   ボキボキボキっと指が鳴る。
   波紋も一緒に練られてる。
「がお、がおお〜ん (ちょっ、ちょっとセリオ、なんとか言ってくれ)」
「女王です」
「さ、玄武がいいか朱雀がいいか、選ばせてあげるわ」
   綾香は鞄から取り出した修羅○門を読みながら、ワザのイメージトレーニングを開始。
「がお〜ん (じょ、女王!! なんとかしてー)」
「わかりました。それでは・・・・・・ガ○ダム・ファイト!」
「気がきくわね、セリオ。・・・レディ〜」
「がお! (GO!)
 がおうううう (し、しまったああぁ?!)」

   短い一生だったね、アカリスキー。

     ・

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   書く事に疲れたとき。 読む方も疲れているという。
「退き屈する、と書いて退屈と読みます」
   ・・・さあセリオさん、オチを。早く。

「ザ・グッバイ」

   終わる。




以上(続きません)。