コトの真相 投稿者:AE
THを心から愛する方々へ・・・・・・本作は決して読まないコト。
(これが挑戦の結果か? スサんでますね>自分。)
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「コトの真相」                by AE
                   1998.5.12



「帰ったぜ!」
   研究所に帰ったアタシは鞄を放り投げた。
   テーブルの上にナイスオン。
   ポケットに忍ばせた演算促進剤(タバコ型)を口に加える。
   仕事帰りのこの一服は最高だっぜっ!
「今日の首尾はいかがでしたか?」
   おどおどしながら、白衣の中年が部屋に入ってくる。
   ったく。人間なんだからもっと堂々としたらどうなんだよ?!
「おう、源の字!」
   アタシは中年に声をかける。
   源の字は、たたたっ、と駆け寄り、片膝をついてアタシのタバコに火をつけた。
「無事に勉学にいそしめましたでしょうか・・・?」
   キッ、とアタシはこの中年を睨みつける。
「アタシのこと、疑ってるワケ?!」
   ぷるぷる、と源の字は首を振る。おいおい、アンタは扇風機じゃないんだぜ?
「め、滅相もございません、マルチさま・・・」
   そう言って大きく頭を下げる。
   ・・・そう。アタシの名前はマルチ。HMX−12ってのが本名なんだが、
   マルチ、ってのは結構気に言ってる。
   万能、ってのは言い響きだ。未来の地球人類の長にふさわしい名前じゃないか?
   コイツは、源の字。アタシたちの産みの親ってわけ。
   たち、ってのは、HMX−13のこと。
   ま、ゆくゆくはアタシの右腕として、親衛隊隊長にでもなってもらうつもり。
   今頃は隣の部屋でムチを振るってる頃だろう。
   今日は足の駆動系がおかしい、整備班を皆殺しにする、とか言ってたからねぇ。
「あのう・・・マルチさま・・・」
「あんだよ?!」
「いよいよ、お約束の期限が明日に近づきましたのですが・・・」
   またまた、アタシは源の字を睨みつけた。
   約束ぅ・・・? そうか、もう明日で八日目か?
   約束ってのは、アタシの高性能ぶりをお偉いさんに見せつける、ってこと。
   それがうまくイケば、アタシたちの普及版が大量生産され、市場にバラまかれる。
   それが失敗すれば、アタシはスクラップ。源の字をはじめとするこの研究所もハイ、サヨーナラっつーワケだ。
   そんなわけで、源の字はアタシには逆らえない。 いい気分だ。
   ・・・でも、普及版が生産されないと、アタシたちの野望、地球人類総奴隷化計画はオジャンだ。
   妹たちをうまく操って人間を洗脳、もとい教育するんだからねぇ・・・。
   とりあえず、人間らしさが完全で、愛らしくて、従順な所を見せりゃイイんだろ?
「しゃあねえ、一発コナしてくるか?!」
   アタシはテーブルの上に腰掛けたまま、足を組む。
   天井を見上げ、タバコの煙をくゆらせながら、高速演算。
   ・・・アテはある。
   やたらちょっかい出してくる、藤田浩之ってヤツ。
   学校ではアタシは、可愛くって、素直で、ちょっとドジな女子校生を演じてる。
   同じクラスのヤツは、そんなアタシにパシリばっかヤラせやがってあいつら見てろ
   名前と顔はメモリーしたからな十年後にはシベリア送りだその前に市中引き回しの上
   張付獄門って殺しちゃったら労働できないしゃあない靴舐めさせてやるもちろん裏だ裏
   「靴を舐めろ」くうううイカスぜレイ○ナーでもレイって生意気だよなフォロンは
   偉い人間より偉いアタシも見習う価値がある・・・(←わかる人いる?)
「あのう、マルチさま、頭からお湯気が・・・」
   ・・・アタシは無限ループから抜け出た。
   とにかく、今はガマンだ。溜めれば溜めるほど復讐は気持ちイイにちがいない。
「よしっ、明日はヤルぜ〜〜っ!」



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   で、アタシは浩之とベットに腰掛けてる。
   やだやだ、抱かれるなんて。
   任務とはいえ、あんまり悔しいんでさっきは「ミートスパゲッティ炭素あえ」
   を作ってやったんだが・・・コイツ、おいしそうに食べやがった。やるな。
   掃除の合間にシャワーを浴びて、準備万端整えた、ってところだ。
   さあ、どうする地球!? じゃあなかった、どうする人間?!
「なでなでよりも、もっと気持ちのイイこと・・・」
   ほお。言ったな。
   そこまで言ったからには、ソレなりのテクは持ってるんだろうなあ?!
       ・
       ・
       ・
   ・・・って、ダメだ。ぜんっぜんっダメ。
   前戯がなっちゃない。 速すぎ。
   人間の彼女だったら張り倒されるんじゃねえか?!
   とりあえず、プログラムに任せて終わるまで寝てるか・・・。
   あーあ、調子に乗って三回も。
   藤田浩之、南極行き決定、ってとこか。


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   ・・・で、三年後。
   アタシは再起動した。あのへたくそ野郎の前で。
   計画が軌道に乗るまではこの家がアタシの家になる。
   まあ、雨ざらしよりはマシか?
「ご主人様、大好きです!」
   流れ出す感動のED。
   あ〜あ、やんなっちゃうよ、演技でも。
   ま、いいか。妹たちは増産されてるし。HM−13の骨抜き作戦も順調だ。
   あと十年もすれば、これはおまえらのセリフ。
   この星にとっても、その方がウマクいくって、絶対。
   まあ、それまでヨロシクやろうぜ、浩之殿!(ちょっとはウマクなれよ)


   ところで、アンタ、知ってるよな、「メイドロボ」の意味。
   「メイドになるロボット」、じゃなくて、
   「メイドを管理する有能なロボット様」って意味なんだからな。
   勘違いすんなよ。




以上。