ToHeart if.「淫魔去来」第29話 投稿者:ARM(1475) 投稿日:9月19日(水)22時01分
【警告】
○このSSはPC版『ToHeart』(Leaf・AQUAPLUS製品)の世界及びキャラクターを使用しています、たぶん。
○このSSはPC版『To Heart』神岸あかりおよびHMX−12型マルチシナリオのネタバレ要素がある話になっており、話の進行上ていうかラス前だというのに飽きもせず性描写のある18禁作品となっております<ををを。
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    ToHeart if.

       『淫魔去来』  第29話

            作:ARM

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【承前】

 5月4日、夜。

「――――また、お前は、俺の前から去ってしまうのか?」
「――――?!」

 浩之の問いかけに、りりすは身体を硬直させてしまった。

「あの夜みたいに――俺がこうして無理矢理引き留めなければ、また――永遠に俺の前から消えてしまうのか?!」

 浩之はりりすの背中にどやしつけた。りりすが今振り返れば、沈痛な面もちでりりすを引き留める浩之の貌と付き合わせる事になるだろう。

「――俺は――――もう――――あの時みたいな後悔は――――したくない――――」
「ひろ――――?!」

 戸惑うりりすだったが、りりすの身体を押さえていた浩之がその状態でいきなり暴れだし、果たしてりりすは押し倒されてしまった。
 居間の床に転がるように倒れ込んだりりすは、浩之に跨られ、いきなり唇を塞がれてしまう。

「――――!、――――!!」

 舌を吸いかねないくらい荒々しいキスをりりすに浴びせる浩之は、やがて唇を離すと今度はりりすの首筋を吸い始めた。首筋ににじみ出したりりすの汗を舌で拭うようになめ回す乱暴なキスに、りりすは思わず歓喜と苦悶の入り交じった悲鳴を上げてしまう

「駄目――浩之ちゃん、離して――――ああっ!!」

 抵抗するりりすだが、その一方で次第に高まる興奮に戸惑っていた。
 浩之はりりすの襟元に手をかける。チョーカーに付いたネクタイを何とか引き剥がし、ドレス越しからも判るりりすの豊満な胸に手をかけようとするが、それをコルセットが阻む。紐で硬く縛られていたそれは、焦る気持ちの浩之には解くコトが叶わず、浩之は、ちぃっ、と忌々しそうに舌打ちした。

「駄目――――あっ……!」

 りりすの胸を諦めた浩之は身体を後ろに移し、りりすのスカートの中に手を入れた。そしてその奥にある、既に湿り気を帯びていたりりすのショーツに触れ、少し土手高な恥丘の上をその指先でなぞり始めた。しかし直ぐに浩之の指は布の感触を拒絶し、ショーツの中に滑り込んだ。
 指先で直に触れるりりすの秘部は、既に夥しい量で濡れていた。口では拒絶していたが、身体はそうではなかった。
 浩之の指の狙いは、包皮に包まれているりりすの一番敏感な部位であった。迷わずたどり着いたそこは既に勃起し、浩之の指が触れるとりりすは仰け反り、思わず声を上げていた。

「あ――いや――――だ、駄目、止めてひろ――――ああっ!!」

 抵抗するりりすだが、浩之の指が強引にりりすの中に入り込んできた途端、頭の中が真っ白に焼け付いた。親指の腹で包皮の上をなぞり、人差し指が入り込んだ膣の内側をほじるように淫靡に動く。次第に赤く腫れていく秘部は、浩之の愛撫に理性を無視し反応している証拠であった。

「ん……」

 そのうち浩之は、肘でりりすの両腿を押さえつけながらりりすの股間に近づく。そして指を引き抜くと、顔を秘部に近寄せ、舌で愛液まみれのそこを舐め始めた。

「や――――やぁああっ…………!!」

 溜まらず仰け反ろうとするりりす。両手で浩之の頭を押さえ、何とかそれを引き剥がそうとするが、腕には全く力が入らなかった。
 しかしりりすは、その気になれば渾身の力を振り絞り、あの異形の腕をもって力ずくで浩之の身体を振り解く事は出来たはずであった。それが今のりりすを戸惑わせていた。

「…………駄目…………浩之ちゃん、私とセックスしちゃ…………したら…………浩之ちゃんが死んじゃ…………あああっ!!」

 浩之がこのままりりすと性交すれば、りりすの体内にあるナノマシンが浩之の体内に侵入し、遺伝子レベルの損傷を与える危険があった。それは既にりりすの口から、浩之に告げられていたハズであった。つまり浩之は、その事実を忘れていない限り、自身の死の危機を全く厭わないでいるのである。

「……ああ…………浩之ちゃん…………駄目…………死んじゃうよぉ…………」
「……ンなの、判っている」
「――――?!」

 その返答に、りりすは慄然となり、思わず悲鳴を上げそうになった。しかし直ぐに、浩之がりりすのクリトリスを激しく吸った事でそれは歓喜の声となった。

「――――わかってっから、俺はりりすさんとヤってんだよ!」
「え……?」
「何が〈M−マトリクス〉だ!何が生機融合体種だ!未来の人類何ざ滅びちまっても構ぃやしねぇっ!!――――俺を――――俺たちを弄び、滅茶苦茶にしやがって!」
「ひろ…………」

 りりすはようやく、浩之が涙ぐんでいた事に気付いた。怒相のそれは、涙とクンニでこびりついたりりすの愛液にまみれてくしゃくしゃになっていた。

「――俺は――――俺たちは、俺たちから見れば何も見えない、判らない未来(あした)の為に生きているんじゃねぇ!俺たちは、俺たちの現在(いま)この刻(とき)の為に生きているんだ!!俺がマルチを愛していたかも知れない今の為に、そしてあかりを愛している今の為にっ!!」
「…………」

 りりすは、悔しそうに怒鳴る浩之を黙って見つめていた。驚いて呆けているような貌だった。
 その貌が刹那に歪んだ。

「浩之ちゃん――駄目――入れちゃ――――あああっ!!」

 ズボンを降ろし、怒張するモノを露わにした浩之は、慌てて抵抗しようとするりりすの両腿を抱き抱え、一気にりりすの中へ侵入した。
 瞬間、浩之の背筋に凄まじい衝撃が走った。

「うわ…………スゲェ…………なんだこ…………この膣(なか)…………」

 挿入しただけで直ぐに果てそうだった。ミミズ千匹という言葉があるが、りりすのそれは線引きどころか億匹居て、それが独自に動き侵入してきた浩之のモノを著しく刺激していた。もやはこれは名器どころの話ではない。神器という言葉ですら足りないりりすの膣は、挿入したまま動かない浩之に性運動を躊躇わせていた。

「く……そぉ…………」

 浩之は半ばやけくそになって腰を動かし始めた。りりすは浩之を引き剥がそうと抵抗を試みるが、浩之を呑み込んだ自分の膣から脊髄を経由して脳幹に届く著しい快感が、抵抗に必要な力を剥奪していた。

「やめて…………抜いて…………浩之ちゃん…………死んじゃうよぉ…………ああっ!」
「……はぁ……はぁ…………俺は止めねぇっ!」

 浩之は喘ぎ、時には歯を食いしばって、自分のモノを包み込む快感に抗った。

「……俺は…………死なねぇ…………!」
「…………え?」

 りりすは、浩之の喘ぎ声に混ざっていたその呟きに反応した。

「…………死んでたまるか…………俺は…………最後まで生きてあかりと添い遂げて――あかりを幸せにしてやるんだ…………!」
「浩之ちゃん……?!」
「…………このまま…………他人の勝手な都合に振り回されたまま…………じゃ済まさねぇ…………生きてやる…………ナノマシンなんざ、クソ食らえ、だ!――俺は、絶対死なねぇぞっ!!」

 余りにも悲痛な――意地だった。りりすが全身を見舞っている快感さえ忘れてしまうくらいの、激しいまでの意地だった。

「浩之ちゃん……?」
「…………」

 呆けて自分の顔を見ているりりすに気付いた浩之は、性運動を止め、りりすの顔を見つめた。

「…………俺は、死ぬ運命じゃなかったんだろ?」
「え――――」
「俺がマルチと結ばれる歴史は、そんなんじゃなかったハズだ。そして、あかりと結ばれる歴史でも、そうだったんだろ?」
「…………うん」

 頷くりりすの頬を、切なげな顔でいる浩之は右手で優しく撫でた。

「……なら、さ」
「…………」
「…………りりすさんが俺が死なないよう歴史を変えてきたんだ。…………本来あるべき姿に」
「………………!?」

 りりすは、死を厭わぬ浩之の真意の一片に触れた気がした。
 かつてりりすは、自分の存在が歴史の修復力の庇護にあると浩之に語っていた。
 つまり浩之は、その修復力にかけようとしているのである。本来浩之は死ぬ運命になかった。ならば、りりすとセックスしても死ぬ可能性は薄いと。――稀薄な確証であった。ある意味、短絡過ぎる浅はかな考えと言っていいだろう。
 だが、決してゼロではない――浩之はそれを信じた。

「…………俺は…………!」

 浩之の声が震えていた。死の恐怖が沸き上がったのではなく、自身の決意がもたらした激しい感情が極まって震えているのであろう。

「…………マルチを護ってやれなかった!」
「――――――!」

 りりすをはっとさせ、絶句させたそれは、身体から意識が抜けるような感覚だった。
 浩之の頭が、りりすの胸に落ちて震えた。

「……なぁ…………りりすさん…………もう、マルチと結ばれる歴史には戻れないんだろう?」

 りりすは無言で頷いた。りりすの目も潤んでいた。

「……判っている。今の俺にはあかりがいる。…………あかりと生きていく道を、俺は選んだんだし、――たとえ選ばされたのだとしても、それは後悔しない。――――でもさぁ」

 浩之は顔を上げ、りりすの顔をみつめた。

「――マルチ……お前は本当にそれで良いのか?」

 浩之はりりすの中にいるマルチに問うた。
 本来あるべき時の流れではなく、あかりと結ばれる運命を浩之に与えたりりすの奥に、マルチは確かに居るハズだった。
 暫しの静寂。
 やがて、りりすは微笑んだ。それはまさしくマルチのする笑みだった。

「…………わたしは幸せです…………ご主人様」

 りりすはもう自分が押さえられなかった。浩之にそう応えると、胸元に自分の手を寄せ、コルセットの紐を優雅に解いていった。そして衿から前を開き、清楚な白いブラジャーを外して浩之にボリュームのある淫らな肉塊を突きだしてみせた。

「…………今だけ…………そう、私たちがこうしている今だけ…………私を愛して下さい」
「…………ああ」

 浩之はりりすの名を口にしようとして躊躇し、名前を口にしないで頷いた。そして差し出されたりりすの乳房を愛おしげに吸い始め、再び腰を動かし始めた。
 溶け合うような感覚。浩之は自分のモノが先端からりりすと一つになっていくような錯覚に見舞われた。
 やがてりりすの膣が締めつける力が強まり、浩之のモノを激しく絞る。

「あ……うあ…………ああ…………」

 呻き声をあげる浩之は、あかりや琴音とのセックスでは感じたコトのない至高の快楽に支配されつつあった。もはや限界だった。

「中に――――膣(なか)に、ご主人様のモノを下さいっ!」

 りりすも朦朧とする意識の中、浩之の限界に気付き哀願する。

「あ――――く――――――っっっっっっあっはぁあああああああああっっっっ!!」

 りりすの声を聞いた刹那、浩之のモノが、りりすの一番深いところで爆ぜた。昨夜、あかりの中に5回も放ったハズなのに、浩之の吐き出したモノはりりすの子宮の入り口をびっしりと覆い尽くしてみせた。
 浩之は力尽き、ぐったりとなってりりすの胸の上に落ちた。そんな浩之を、りりすは愛おしげに抱きしめた。

「…………はぁ、はぁ……」
「素敵でした、ご主人様……」
「あの……」
「はい?」
「急に、ご主人様呼ばわりするから驚いちまったぜ」
「ふふっ……私の中のマルチが、ずうっとそう言いたかったようです」
「ふぅん。…………でも、俺はりりすさんを抱いたんだぜ」
「そうですね。…………でも、構わない」
「何で?」
「私は色んな人に仕えてきましたけど…………今までも、そして未来永劫も…………私のご主人様は、藤田浩之、貴方だけです」
「りりす…………」

 浩之は満面の笑みを浮かべて言うりりすの名を、初めて、しかし無意識に呼び捨てで呼んでいた。りりすは気付いていたが、拒まなかった。
 やがてどちらからともなくふたりは顔を寄せ合い、口づけを始めた。
 足りなかった。浩之のモノはまだ、りりすの中で怒張し結合したままであった。りりすの膣の快感以上に、りりすを抱いているという感情が維持させていた。

「あ…………うあ…………!」

 浩之はまた腰を動かし始める。りりすは顔を逸らせ喘ぎ声をあげた。

「凄ぉ……ご主人様の……まだ…………ああ…………!」
「俺、あかりと5回もやっちまったんだ……りりすにも同じくらいやってあげないと不公平だ……く……あ…………」

 浩之は思わず腰を引いて自分のモノを引き抜いた。自分が吐き出した精液とりりすの愛液にまみれたそれは、居間の蛍光灯の明かりを受けて照り返っていた。

「……あう……ふぅ…………ご主人様?」

 耐えきれず引き抜いたと思ったりりすは、少し残念そうに浩之を見た。
 浩之は自分のモノにこびり付いた汚液を右の人差し指で拭っていた。

「りりす、後ろ向いて」
「え……あ、はい」

 りりすは浩之の言うとおり、後ろを向いて浩之に腰を突きだした。
 浩之はりりすのスカートを剥ぎ、白い美麗なりりすの尻を目で捕らえた。
 りりすは、まさか、と思った。――刹那、その予想は当たった。
 浩之は汚液の付いた人差し指を、りりすの後ろの穴の上に宛ったのである。

「あ――待って――――――ああっっ!!」

 浩之は戸惑うりりすの静止を無視し、菊の上に突き立てた自分の右人差し指を、中へ一気に突き入れた。溜まらずりりすは仰け反った。

「りりすの○○○はスゲー気持ちよすぎてさ…………あかりには後ろの穴はヤってないから、こっち責めてあげる」
「いや――だめ、そんな――――あああっ!!?」

 浩之の指先が、中にあるモノを確かめているのか、りりすの直腸の入り口でぐるぐる蠢いていた。その指先の動きに、りりすは涙を浮かべて喘ぎ打ち震える。

「駄目――私――――後ろは――――弱いの――――」
「正直で好きだぜ、りりす。――ほら」
「ああっ!!!」

 浩之は指を引き抜くと、入れ替わるように自分のモノをりりすの後ろの穴に躊躇いもなく突き入れた。汚液まみれのそれは、汚液が潤滑油となって抵抗なく根本まで呑み込まれていった。

「くあ…………後ろなら、と思ったが…………とんでもねぇ…………○○○に負けないくらい気持ち良い………………甘かっ…………うわ……………………ああ…………」

 りりすの尻を押さえつけながら腰を動かし続けていた浩之だったが、先の交合に匹敵する快感に自分のモノを支配され戸惑った。
 りりすもまた、浩之に尻を犯されているうち、快感の余り自分から腰を降り始めていた。

「あ――――あ――――いく――――イッちゃうっ!――――ああああっっっ!!」
「うおおおおおおっっっっっ!!!!」

 りりすは、浩之に自分の尻を押しつけたのと同時に、大きく仰け反る。同時に浩之も、りりすの直腸の中で耐えきれず爆ぜた。

「すげ……スゲェ…………搾り取られてるみたいにまだ出る…………出てる…………!」
「あああ…………!」

 りりすは仰け反りながら痙攣し、絶頂の余韻の中、床に突っ伏した。

           最終回へつづく

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