ToHeart if.「淫魔去来」第27話 投稿者:ARM(1475) 投稿日:9月17日(月)23時28分
【警告】
○このSSはPC版『ToHeart』(Leaf・AQUAPLUS製品)の世界及びキャラクターを使用しています、たぶん。
○このSSはPC版『To Heart』神岸あかりおよびHMX−12型マルチシナリオのネタバレ要素がある話になっており、話の進行上、今回も飽きもせず性描写のある18禁作品となっております<を。
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    ToHeart if.

       『淫魔去来』  第27話

            作:ARM

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【承前】

 5月3日、夜。

 あかりとようやく結ばれた浩之は、しばらくソファの上で、失神していたあかりの身体に覆い被さるようにもたれかけていた。
 そのうち、あかりが小さなうめき声を上げて目を覚ますと、浩之は身体を起こし、あかりの横に倒れ込むように寝ころんだ。あかりは、浩之の横顔を見て、赤らめた顔で微笑み、すっ、と横にいる浩之に身を寄せた。すると浩之は、あかりの肩を抱いて、天井を仰いだ。
 遂に、あかりと結ばれた。浩之はそんな達成感に満足していた。
 その一方で、妙にモヤモヤとした気持ちが、浩之の心にわだかまり始めていた。
 自分はあかりを抱いた。そしてりりすたちの望んだ、〈M−マトリクス〉は多分これであかりの体内で完成したろう、と浩之は考えていた。
 結局自分は、歴史への義務であかりを抱いたのか、それとも自分の意志で抱いたのか。

(…………決まってんじゃねーか。俺は、あかりが愛おしいから抱いたんだ)

 浩之は心の中で自答した。――そしてもう一度自問した。

 あかりを愛する気持ちに自信がないのか?

「……ねぇ」

 その時、あかりが浩之に囁くように言った。何処か怯えているような口調なのは、浩之の顔が強張っていた為であった。無論、あかりは浩之が今何を考えているのか知る由もない。

「……汗、かいちゃった。お風呂入っていい?」

 訊かれて、浩之はしばらく黙り込んだ。

「…………一緒に入るか?」
「え――――」

 あかりは、予想もしなかった浩之の申し出に驚き、目を丸めて戸惑う。しかし、少し俯いて顔を赤らめ、口をもぐもぐとさせてから、こくん、と小さく頷いた。


 風呂場で生まれたままの姿になった浩之とあかりは、先程の行為でかいた汗を熱いお湯で流していた。浩之の家の風呂場は比較的広い作りになっていて、二人で入っても狭く感じる事はなかった。
 あかりにいわれ、先に湯船に入った浩之は、髪を洗っているあかりの背中を、にんまりとした顔で見つめていた。

「よー、背中流してやろうか?」
「い、いいよ」

 あかりが顔を赤くして断ったのは、拒絶というより、恥ずかしいからというのが理由だろう。
 しかし浩之はお構いなしに湯船から上がり、床の上にある手桶のタオルをとると、脇にあった石鹸でそれを泡立てた。

「さっき無茶させたからお詫びだ。遠慮するなって」
「う、うん」

 恥ずかしがって恐縮するあかりの背に、浩之は泡立たせたタオルを当て、ごしごしと擦り始めた。

「んー、お客さん、肩ぁ凝ってるね」
「浩之ちゃん、背中洗うだけでわかるの?」
「判るわけないだろ(笑)――じゃあ、さ、お客さん、こう言うところ初めて?」
「………………えーと、何?意味、わかんない(汗)」
「判られたら困る(爆)――それにしても」
「ん?」
「…………お前の背中って、こんなちっちゃかったんだなぁ」

 浩之はあかりの背中をしげしげ見ながら感心したふうに言った。

「浩之ちゃんが大きいんだよ」
「そうか?」

 浩之はふと、子供の頃の自分たちの姿を思い出した。性差のない幼い頃の姿は、自分たちに限らず背も姿もそんなに目立つ差はない。
 それが今では、こんなふうに背丈や、身体の作りもまるっきり変わってしまった。こうして生まれたままの姿でいると、浩之はそんな差が酷く珍しく感じてしまった。

「もういいよ。今度は私が浩之ちゃんの背中を流してあげる」
「おう」

 浩之は泡だらけのタオルを桶に張ったお湯ですすいで絞り、それをあかりに手渡した。
 あかりも石鹸をとってタオルを泡立てると、浩之の背中をごしごしと擦り始めた。
 あかりは一生懸命浩之の背中をタオルで擦る。うし、うし、と背中から聞こえてくるあかりのかけ声に、浩之は苦笑を禁じ得なかった。

「無理しなくていいぞ」
「ううん……ずうっと見てきた背中だから…………これきしの事で……うし、うし」
「――――」

 浩之は急に黙り込んだ。
 そうなのだ。あかりという少女は、浩之のこの背中をずうっと見つめてきたのだ。
 自分とそう差の無かったそれが、次第に、そして急に大きくなっていくのを、この幼なじみはずうっと見守ってきてくれたのだ。どうしてその視線に、もっと早く気付いてやれなかったのか。浩之は切なくなった。

「……あかり」
「うし、うし…………ん?」
「…………悪いな」

 浩之は振り返らずに礼を言った。振り向いて、少し情けない顔をあかりにみせたくなかった。

「ううん。これくらい大丈夫」

 あかりは浩之の真意など気付きもせず、にっこり笑ってシャワーをとり、浩之の背中いっぱいにある泡を流した。

「終わったよ」
「…………」
「?」

 あかりは、無口でいる浩之の背中を見て不思議がった。
 あかりも黙り込んで浩之の背中を見つめ、そのうち、なにげにその背に掌を当てた。
 触れられても何も反応しない浩之に、あかりは少し不安を感じた。覚えのない反感を買ってしまったかと心配したが、しかしその掌越しから伝わる浩之の温もりに、それが無用の心配と感じ取っていた。

「……うん」

 そのうちあかりは、浩之の背中に身をもたれた。全身で浩之の温もりを感じ取りたかったのだ。
 暫し、湯煙混じる沈黙の、二人だけの世界が広がる。
 お互い、気まずさが湧いてきた頃、最初に浩之が口を開いた。

「……なあ、あかり」
「……ん?」
「くっつきすぎ。――おめーの胸が当たって、ちと、その……」
「あ…………!」

 あかりは顔を真っ赤にして慌てて浩之の身体から離れる。
 浩之は狼狽するあかりに背を向けたままであった。無言のままで居る浩之の背を見て、あかりは、怒らせちゃったかな、と当惑した。

「ひ、浩之ちゃん、その、あの…………」
「…………やべぇ」
「…………え?」
「ドキドキしてたら、おさまんなくなっちまった」

 そう言う浩之の視線は、浩之の股間に注がれていた。

「あ…………!?」

 あかりはようやくそのコトに気付き、一層顔を赤くして横を向いた。哮る浩之のモノは、簡単には静まりそうには見えなかった。
 浩之は、あれほどやっておいてまだ元気なのかよ、と自分と睨めっこしているモノを見て呆れるが、そのうち、沸々と悪戯心が湧いてきた。

「……あかり〜〜、おめーの所為だかんなぁ」
「え?ええっ?!」

 驚いて振り返ったあかりは、にぃ、と意地悪そうに笑う浩之の横顔を見て戸惑った。

「おめーがオッパイ押しつけるから感じちゃったんだぞ」
「え?あ、あの、その…………!」
「そーゆー悪いオッパイには、これを鎮めてもらう責任を…………」

 そう言って浩之はあかりのほうを向いて、あかりの小振りの乳房を指した。だが、指した途端、何故か浩之は身体を硬直させ、終いには、はぁ、と溜息を吐いた。

「…………無理だな(涙)」
「な――なんか、意味が理解出来ないけど、凄く悔しい気がするっ(苦笑)」

 浩之は、りりすにされたパイズリをあかりに期待したが、流石にこの小ささでは無理だ、と直ぐに納得した。当然、あかりは浩之が何を期待していたかなど判るハズもないが、女の勘が屈辱を悟らせた。

「この際、何でもいいから、何とかしてくれぇ」
「ええっ?!」

 浩之のそそり立つモノを差し向けられたあかりは、一体何をすればいいのか判らなかった。

(……あ)

 しかしそのうち、あかりは一昨日のあの夜の事を思い出した。どうしてあんな大胆なコトをしたのか、今思い出すだけで赤面モノだが、その中で浩之のモノに奉仕した行為を思い出したのだ。あの時は一向に勃起しないそれに苦労したが、今はこれ以上ないくらいに元気であった。

「……ん」

 頷いたあかりは、浩之の両脚の間に身体を入れ、顔をそそり立つモノに近づけた。そして薄く目を閉じると、その赤く膨れ上がっているモノに唇を寄せ、いとおしげに舌を這わせ始めた。

「うわ……!」

 浩之のモノは非常に敏感な状態で、あかりが、先端部分に舌をちろっ、と這わせただけで、びくびくと震えた。刺激が強すぎたか、浩之は思わずあごを逸らして呻く。
 あかりは浩之の呻き声に驚き、舌を引いて、ちらっ、と横目で浩之の顔を見たが、痛がっていないコトを確かめると、再び舌を這わせ始めた。
 始め、先端の辺りで円を描いていた舌の愛撫は、やがて刺激を与える部位を肉茎の側面へと移り、舌ばかりか唇で吸い始めた。

「……ううっ」

 呻く浩之のモノの先端部分から、じわりと透明の液が溢れた。それを見て、あかりは、
あっ、と小さく声を漏らした。

「な、なんだよ……?」
「……浩之ちゃん、……濡れてる」
「お、男だってな……」

 浩之はそこまで言いかけて止めた。複雑な気持ちをぶつけたかったが、あかりはそんな浩之の反応が面白かったのか、あるいは浩之を感じさせた事が嬉しかったのかもしれない。くすっ、と微笑むと、空いていた左手の指先で、ぬるぬると先端部分を撫で回した。

「う――――」

 溜まらず浩之のモノが、ビクッ、と敏感に反応する。

「……浩之ちゃん、……ここ、気持ちいいの?」
「……うあ…………ああ、ち、丁度、お前の指が触っている辺り……」
「……ここ?」

 あかりは浩之が言った部分を集中的にぺろぺろと舐め始めた。そしてそのうち、舌で舐めるばかりでなく、ようやく亀頭を口で頬張り、口腔全部で浩之のモノを刺激し始めた。

「うあ…………あ…………い、いい…………」
「ん…………はむ…………あむ…………」

 浩之のモノをくわえるあかりの目はウットリとなり、その淫靡な行為に没頭していた。
 あかりの口腔いっぱいに広がる唾液のなま暖かさが、浩之の肉茎に染み入る。それは媚薬であり、理性を剥奪する麻薬と化していた。
 浩之のモノが、あかりに差し向けられていた時より更に一回り大きくなる。浩之の溶けていくような意識の奥で、微かな射精感が湧いてきた。

「――――あ、あかり、も、もう、いい」
「……ん?」

 浩之に言われ、あかりはようやく浩之のモノから口を離した。つうっ、とあかりの唇と、浩之のモノの先端が光る糸で繋がっていた。

「……あかりの口も……いいけど、――その……俺……お前の膣……のほうが凄く気持ち良いから……そっちで……イキてぇ……!」
「え……?」

 喘ぎ喘ぎ言う浩之に、あかりは少し驚くが、しかし直ぐに、こくん、と頷いた。

「…………じゃあ、俺のほうに背中を向けてちょっと中腰になってくれ」
「う、うん」

 深呼吸して息を整えながら言う浩之の言葉に従い、あかりは浩之に背中を向け、床に正座して膝で立ち上がった。

「よし……」

 そう言って浩之はあかりの腰を持ち上げ、腕の力であかりの身体を少し持ち上げた。して自分のほうに引き寄せ、丁度あかりの陰部の直下に、熱く硬くそそり立つ自分のモノをあてがった。

「う……」
「ひあ――――」

 浩之は持ち上げていたあかりの腰を下ろし、一気に挿入した。既に浩之のモノを愛撫する行為で興奮していたあかりの陰部は濡れていた為、抵抗なく、まるで溶け込むように根本まで呑み込まれていった。同時に、背筋から脳幹を直撃する快感の直撃に、あかりは大きく仰け反った。浩之は浩之のモノを抜き出しかねないその大きな反りに、あかりの身体を背後から、右乳房を右手で、腹部を左腕で押さえつけた。

「あ――――あ――――――!」

 浩之はあかりの身体を背後から押さえつけた姿勢で自分の腰を突き上げる。あかりは背後からの責めに声を上げて、涙を潤ませてよがりだした。丁度浩之のモノが、破瓜間もない乙女の証の傷を刺激し、同時に膣内のもっとも感じやすい部位をも刺激しているようであった。

「うあ…………ああ…………はぁ…………ああ…………」
「ああっ!あああっ!あああ!!イイ、イイよ浩之ちゃん!!」
「そうか…………俺も…………いい…………」

 腰を突き上げるように振り続ける浩之は、背後からあかりの乳房を揉み下し始め、反り返る事で近寄ってきたあかりの首筋に舌を這わせた。
 そのうち浩之は、あかりが自分から腰を振り始めている事に気付いた。同時に、浩之のモノを締めつける膣の具合がきつくなり始めた。

「……あかり……おめー、自分から腰振ってるぞ…………!」
「ああん、いやぁ!だっていいのっ!浩之ちゃんの、イイのっ!!」
「…………締めつけも凄いし…………やっぱり、あかり、イイ…………!」
「うあ――――」

 あかりはもっと反り返り、首の辺りにある浩之の頭を反り返った両腕で押さえた。

「――あ――――はぁ――――――だ、ダメ!も、もう、い――いく――――イっちゃう――――!」

 あかりは限界を感じ始めていた。浩之のモノを締めつける膣の力が更に増した。その強さは、浩之に歯で噛みつかれているような錯覚さえ与えていた。

「――く――――俺も――――」

 正直、あかりの締めつけ方が凄く、先程の口交のなごりもあって浩之も限界を感じていた。

「――もいっかい――膣(なか)で――――イクぞ――――」

 浩之はそう言ってラストスパートとばかり、激しく腰を突き上げ始めた。

「あああ――――ダメ――――壊れちゃう!――――そんなに激しくしたら――――私――――ああ――――あうう――――凄い――――凄いよぉぉ浩之ちゃあんっ!!」

 既に浩之の言葉など耳に入っていないあかりは、激しさを増した浩之の動きによがり溺れていた。それが更にあかりの締め付け具合を増す結果となった。

「――――く――――出すぞ――――――――っ!!!」
「あ――――は――――――――ああああああっ!!!」

 びくっ、びゅくっ、びるるっ。浩之はあかりの身体を背後から抱きしめたまま大きく突き上げ、あかりの一番深いところで爆ぜた。同時に達したあかりは、大きく口をあげて天井を仰ぎ、絶頂の声を上げて全身を痙攣させると、力尽きて浩之の身体に背もたれした。


 夜更けの公園。
 人気の途絶えた暗がりの中にあったブランコを、きぃきぃ、と鳴らしながら乗っていたりりすは、夜空を無言でじっと仰いでいた。
 それはりりすの中に湧いた、遠い記憶。
 愛しい男(ひと)に激しく愛された、切ない記憶。
 街の灯りに星明かりが消された夜空を見つめるりりすの目から、涙がこぼれ落ち、頬を伝い落ちていった。
 りりすは懐かしいその記憶に、微笑んでみせた。


            つづく

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