【警告】
○このSSはPC版『ToHeart』(Leaf・AQUAPLUS製品)の世界及びキャラクターを使用しています、たぶん。
○このSSはPC版『To Heart』神岸あかりおよびHMX−12型マルチシナリオのネタバレ要素がある話になっており、話の進行上、性描写のある18禁作品となっております。
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ToHeart if.
『淫魔去来』 第8話
作:ARM
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【承前】
4月24日、放課後。
クラブハウスのシャワー室での、芹香の悪夢は続いていた。
偽浩之の雫を浴びせられた芹香は、偽浩之の強引なオーラルに胃の中のモノを戻してしまい、うずくまっていたが、くくくっ、という偽浩之の底意地の悪そうな笑い声にハッとなり、起き上がって身じろいだ。同時に、あれだけ外せなかったホースの結び目がほどけ、ようやく自由になった両腕で、自分のはだけた胸と股間を慌てて隠した。
その時芹香は、股間に、じくっ、と言う、言い知れぬ感覚に見舞われた。
ショーツが濡れているのは、メイドの姿をしていた偽浩之の淫らな指の動きで感じてしまった為である。
正直、芹香はあの愛撫に感じてしまった。だから、自分で――
「自分でするより、気持ちよかったんじゃないのか?」
「?!」
思わず肩を震わす芹香。この偽浩之は自分の心を読めるのか、と、ぞっとなった。
「図星かぁ。お嬢様でもヤるコトはヤってるんだなぁ」
偽浩之はへらへら笑いながら言った。
「家の事を鼻にかけない、よく出来たお嬢様とは思っていたけどねぇ。あまり浮世離れしているから、霞とって食っているモノと思ったけど、やっぱり女のコかぁ。――で、どれくらい?」
「…………?」
不安げな顔で戸惑う芹香に、偽浩之は、ちぃ、と舌打ちした。
「――何回ヤってんだ、って訊いてるンだよ」
「――――」
睨みながらドスを利かせて訊く偽浩之に、芹香は溜まらず顔を背けてしまった。
「つっても、生まれてから、じゃねぇぞ。週に何回ヤってっか、って訊いてるんだぜ、へへ」
思わず、やめて、と小声でしかし哀しげに言う芹香。
「そんなエッチな身体してさぁ、彼氏も居ないんだろ?なら、自分で慰めるしかねぇしなぁ――ほら、答えろよっ!」
やめて……あの人の顔で、そんな酷いコト訊かないで…………!俯き、くぐもった声で呟く芹香は、涙を浮かべていた。
「おらっ!」
痺れを切らした偽浩之は、芹香に近寄り、その前髪を鷲掴みにして無理やり顔を引き上げさせた。止めどなく溢れる涙は、肉体以上に精神的苦痛に歪む芹香の頬にまだ残っていた偽浩之の白濁を押し流そうとしているようだった。
「何、ザー○ンまみれのツラで泣いているんだよ?ブってんじゃねぇぞ!とっとと答えろよ!」
「………………」
「ああ?聞こえなぁ、ハッキリ言えよ」
「……い……ち……です」
「い?ち?一回ってこたぁねぇだろ?こんなオイシそうな身体を持て余さないワケがあるめぇ」
「もう……止めて…………」
「ざけんじゃねぇぞ!言えッ!答えろっ!」
「いや…………」
「いや、じゃねぇ!言え、オラッ!」
「あ……や…………いや…………」
「――――っ!」
偽浩之は芹香の前髪を鷲掴みにする手に一層力を込める。更に苦悶に歪む芹香の顔は、髪を引っ張られた激痛でようやく肉体的苦痛が精神的なそれに追い付いたようであった。
「ほらっ!週に何回オ○ニーしてるか答えやがれっ!」
「嫌……藤田さんの顔で……そんなコト訊かないで……」
「巫山戯た事いうなよ……」
偽浩之は、邪に口を水平に広げ、まだそそり立つ自分のモノを芹香の鼻先に突き付けた。
「……さっきまでこれしゃぶっていたクセに、ナニ寝言抜かすかぁ?今だってザー○ンぶっかけられて、胃のモノ全部吐き出しておいて、清純ぶってるんじゃねぇぞ!」
「…………」
芹香は歯を食いしばって必死に耐えた。見なければ、浩之の顔をした悪魔の事は無視できる。
「ほら、言えッ!」
「…………!」
芹香は悪魔の淫らな質問に頭を横に振って抵抗する。
「答えろっ!」
「…………」
「白状しやがれっ!」
「…………!」
「正直に吐けっ!吐いて楽になっちまいなっ!」
「――――!」
「いつまでもブってンじゃねぇぞ!俺の○ンポ歓んでしゃぶろうとしたクセによっ!」
「嫌――――っ」
止めどなく溢れる涙。心を蝕む激痛は、芹香の大切なモノを悉く傷つけていく。
もうやめて。あの人はこんな事は訊かない。もっと優しくしてくれる素敵な人。きっと、本物が私を助けに来てくれる――――?
芹香は不意に、浩之の隣りにいつもいる、あの少女を思いだした。
――来る?本当に来るの?
「言えッ!」
…………助けに来てくれるワケがない。だって――――
芹香の脳裏に浮かぶ、りりすの顔。
しかしそれは、別のりりす。そう、彼女は、自分に最初に接触を図り、ナノマシンを送り込んで洗脳し、彼女の命で神岸あかりと藤田浩之に近づき、そして――――
…………私は、駄目だ。
「言えッ!」
偽浩之は容赦なく淫らな尋問を続けていた。
だが、芹香の口が、今までとは異なる動きを見せた事に気付いた偽浩之は、きつい口調で訊くコトを止めた。
「…………ん?何?」
偽浩之は優しく訊くが、すると芹香は顔を真っ赤にし、顔を背けてしまった。
「――――言えッ!」
再び怒鳴る偽浩之。先程以上の怒鳴り声であった。溜まらず芹香は唇を噛んで戦慄いた。
「言えッ!」
「――――」
「ハッキリ言いやがれっ!」
「――――」
「答えろっ!」
「――――!」
「答えて楽になりやがれっ!」
「――――――ぁ」
過ぎる、浩之の顔。
目の前には、自分を辱めている、同じ顔がある。
同じ顔が希望と絶望を与えている。
いや――
神岸あかりの顔が過ぎった。浩之と嬉しそうに並んで歩く少女の笑顔が。
――希望などない。始めから。
「――――毎日ですっ!」
芹香はありったけの声で吐き出した。
「毎晩してます!藤田さんのコトを思って、自分の指を藤田さんと思って弄ってます!」
ひゅう、と偽浩之は口笛を吹いた。
堕ちた、と思った。
芹香は偽浩之がもっと酷いコトを訊いてくるモノと思っていた。
ところが偽浩之は、芹香の身体をそっと抱きしめ、泣いている子供をあやすように背中をポンポン、と優しく叩いた。
「…………芹香先輩。良く正直に言ったね」
「…………?」
涙でくしゃくしゃになった顔で呆然としてする芹香は、この偽浩之の豹変ぶりについていけなかった。
「…………もういいんだよ。ゴメンね、酷いコト訊いて。――でも、芹香先輩、正直になってくれないから」
「…………?」
もう何が何だか判らない芹香であった。散々追い詰められ、心を傷つけられて、壊れる寸前であったから、自分でもどうしたらいいのか判らないのだ。
「……俺、先輩の事大好きだから」
「――――!」
たとえ偽者であれ、浩之の声と顔をする者からこう言われて、芹香が動揺しないワケがない。
「俺、大好きな先輩のコト知りたかったから、俺のコトどれだけ好きか知りたかったから、あんな乱暴なコトしちゃって、本当ゴメンね」
「あ…………」
みるみるうちに頬を朱に染める芹香。そう告げる男が、自分を陵辱していた相手だと言うコトを忘れているようであった。
そして、また、じくっ、っという言い知れる感覚が股間から届いた。
芹香は知らない。自分が、この男に発情しているコトを。想いを寄せる藤田浩之と同じ顔と声をするこの男に。そして今、その性格さえも、芹香が理想としていた“自分だけの藤田浩之”になってしまったコトが、決定的だった。
完全に芹香は、偽浩之の術中にはまっていた。飴と鞭。鞭が厳しければ厳しいほど、飴は甘露と化す。愛憎の真理であった。
「芹香先輩……」
偽浩之は芹香にそっと口づけをした。
芹香は抵抗しなかった。それどころか、浩之が差し入れた舌を、自分から進んで自分の舌を絡ませてきた。
偽浩之は芹香にキスしながら、剥き出しの乳房の上に掛かっているブラジャーのホックを外した。主流のフロントホックだったので、ブラは簡単に芹香の身体からこぼれ落ちた。
そして改めて剥き出しになった、綺麗なベル型の豊満な乳房を、空いている両手で揉み下し始める。乳房の刺激に、唇の隙間から洩れる芹香の息が次第に荒くなっていく。
やがて偽浩之は唇を外し、身体を下げて芹香の乳首を吸い始めた。空いた手は更に下がり、芹香の秘所に延びていた。
先程はりりすの姿で愛撫されていたが、今度は浩之の姿であった。その所為か、思わず反り返り身をくねらす芹香のその感じ方は、先程とは比べものにもならないほど激しかった。
「……凄いよ先輩、さっき以上にびしょびしょだ」
「嫌…………」
偽浩之に、秘所から溢れ出てきた夥しい愛液をみせられ、先程のように顔を背ける芹香。しかし今度の「嫌」は、先程の「嫌」とは別のものであった。
「……これならもう良いよね」
そっと耳打ちする偽浩之の言葉に、芹香はその意味を直ぐに理解した。
今の芹香に、それを拒絶する理由はない。――あの人とひとつになりたい。
偽浩之はゆっくりと芹香の足の間に入ってきた。そして逞しくそそり立つそれを、ゆっくりと近づけていった。
その先が自分のものに触れた感覚は芹香にはすぐに判った。
だが浩之は、躊躇いもなくそれを芹香の中へ一気に射し込んだ。
激痛。小声しかでない芹香が、大声で悲鳴を上げた。
だが、破瓜の痛みではなく、歓喜の声であったとは。
処女の証を裂かれた印の朱色を接合部に滴らせながら、芹香の全身は快感に満ち溢れていた。それが、先程偽浩之が振りかけた雫の中にあったナノマシンの仕業とは、芹香は知る由もなかった。
「……おやおや、ファーストは芹香先輩の性感帯にナノマシンを仕掛けたままだったみたいだね。俺がさっきぶっかけたナノマシンに呼応して、一斉に励起したみたいだ。可哀想に――いや、気持ち良いんだから可哀想じゃないか」
偽浩之はその事に気付いていたらしい。挿入した後、躊躇いもなくいきなり腰を激しく振ったのはその為であろう。事実、苦悶ではなく快感に顔が歪んでいる芹香は、出し入れされる浩之の熱く硬いものに激しく感じ、頭の中が焼け付くように真っ白になっていった。
芹香は、自分を快感の坩堝におとしめているものが、ある計画――“〈M−マトリクス〉計画”の為に、ファースト・リリスと呼ばれる者が芹香の体内に仕掛けていた“ナノマシン”の仕業であるコトを知らなかった。
芹香自身、既にファーストリリスの存在を覚えていない。いや、正確に言うと、〈M−マトリクス〉計画のプログラム以外覚えていない。思い出せるファーストリリスの顔も、プログラムのひとつとしか認識できておらず、決してその顔をりりすと言うコトは出来ないようにされていたのである。
「……芹香先輩が、藤田浩之に化けていた“私”の存在に気付き、ここに呼んだのは、ファーストリリスが用意していた、危険分子排除プログラムの仕業なのは知っている。でも、逃げるワケにはいかない――“私”も、同じモノだからな」
それは、りりすが志保に“干渉”したように、芹香もファーストリリスに“干渉”され、自身の意志など無視されたまま行動していた事を意味していた。
「……自分の意志に関係なく動かされていたなんて、思わなかっただろうね」
「あ…………はぁ…………ああっ」
快感に見舞われている芹香は、そんな偽浩之の言葉など全く聞こえていなかった。
しかし、ファーストリリスとは如何なる人物か。
今までの経緯から、りりすと同じ顔をするそれは、今、浩之に化けて芹香を陵辱しているりりすとは別人と言う事は判る。
一体“りりす”とは何者か。
そして“ある計画”――〈M−マトリクス〉計画とは?
「あ…………や…………凄…………あ…………ん――――んん――――っ!!」
「嬉しいなぁ、芹香先輩、感じてくれて居るんだね…………ほらっ」
偽浩之の動きが更に激しくなる。芹香は股間から脊髄を通り抜けて頭頂を突き抜ける快感のパルス波に、理性が滅茶苦茶になっていく。
「ん――――や――――駄目――――変に――――――変になる――――あ」
突然偽浩之は、芹香の中から自分のものを引き抜いた。
「……芹香先輩、今度はお尻を向けて」
はぁはぁ、と息を切らせている芹香は、偽浩之の言うとおり四つん這いになり、偽浩之にその大きなお尻を向けた。
「よしよし」
と偽浩之は芹香のお尻を両手で押さえ、後背位の姿勢でまた挿入した。
「ひあ――――!」
先程とは異なる感覚が芹香の背筋を突き抜ける。
「ん……良い具合だ」
そう言って偽浩之は腰を降り始めた。
その動きに芹香はまた喘ぎ始める。下に向いた芹香の豊満な乳房が、偽浩之の腰の動きに合わせて大きく揺れる。その勢いは、下を向いている顔の顎に時折、乳房がぶつかる程であった。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ!」
芹香の喘ぎ声が次第に荒く激しくなっていく。不断の大人しさからは想像もつかない乱れぶりであった。
「そろそろ限界かな…………?」
「あ――――あ――――あ――――――っ!」
芹香はよだれを垂らしながら喚くように喘いでいた。快感に全身を支配され、偽浩之の言葉など耳にも入っていなかった。
「よっと」
偽浩之は、今度は芹香の腰に手を当て、芹香の身体を起き上がらせた。仰向けから90度上に起き上がり、腰を浮かせた状態で後ろから貫かれる姿勢で偽浩之に身を委ねた。
芹香は自分から身体を上下に動かし、腰で貫くモノを扱いていた。芹香の意志ではなく、身体が勝手に反応してしまうのだ。
偽浩之は空いた手で芹香の乳房を揉み下し、背筋を舌でなめ回して芹香をイカせようとしていた。紅潮し汗が滲む芹香の美麗な肢体は、偽浩之ならずとも男なら芹香を歓ばせようと行為に没頭してしまうであろう。
「芹香先輩……素敵だよ…………」
「ああ――あ――――イイ、イク――――――――あああああっっっっ!!!」
そして遂に、芹香は悲鳴を上げて大きく身体を反らせた。達してしまったようである。 それを確認して、偽浩之は芹香の膣内に自分の精を放った。
大量に放出された精は、芹香の膣内を一杯に満たしていくが、これもまた、昨夜の志保と同様、子宮に流れ込む事なく、裂いた処女膜をみるみるうちに修復していき、残りは膣壁に溶け込んでしまった。
達してしまった芹香は、二三、ビクビクと痙攣をした後、ぐったりとなって、りりすのほうに反り返ったまま気絶してしまった。偽浩がまたりりすの姿に戻っていたコトより、いつの間に服まで着ていたほうが不思議であった。
「……これで、ファースト・リリスのナノマシンを駆除出来たわね。来栖川芹香の危険度はゼロとなった」
リりすはぐったりとしている芹香に、濡れている服を着せた。これでは何かここであったのは誰にでも判るだろうが、しかし肝心の体液や乱暴された後は絶対発見されるコトはないから、レイプされたとは誰も思わないだろう。
ましてや、芹香も、そしてりりすに倒されたセバスも、偽浩之とりりすの存在に関する記憶がナノマシンによって欠落され、計画が完了するまで昏睡状態になるよう細工した以上、この二人によってりりすを警戒する者など現れないハズであった。
「――――もしもし」
扉をノックする音とともに、廊下から誰かの声が聞こえてきた。それを聞いたりりすは、はっとなった。
浩之と共にクラブハウスを訪れた姫川琴音は、シャワー室のほうから奇妙な声を耳にした。空耳か、と思ったが、何か気になるコトがあって、上の階に登って行く浩之の後を追わず、シャワー室の方へ向かったのである。
「もしもし……?」
琴音はもう一度ノックした。
つづく