ToHeart if.「淫魔去来」第5話 投稿者:ARM(1475) 投稿日:7月22日(日)00時59分
【警告】
○このSSはPC版『ToHeart』(Leaf・AQUAPLUS製品)の世界及びキャラクターを使用しています、たぶん。
○このSSはPC版『To Heart』神岸あかりおよびHMX−12型マルチシナリオのネタバレ要素がある話になっており、話の進行上、性描写もある18禁作品となっております。特に今回は全編それだし(笑)
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    ToHeart if.

       『淫魔去来』  第5話

            作:ARM

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【承前】

「……貴女…………“りりす”に逢ったコトがあるかしら?」
「…………はぁ?」

 思わず志保は力が抜けそうになる。

「――――会うも何も、今あんたとしゃべっているじゃないのっ!?」

 りりすの余りにも奇妙に質問に、志保は笑い出しそうになる。そしてその時になって、自分の背中越しにある妙なボリュームの感触から、りりすが裸でいるコトに気付いた。

「――何よあんたっ!何ですっぽんぽんなのよっ!?この露出狂ぉっ!色狂いっ!」

 志保は怒鳴りながら暴れ続けるが、どうしてもりりすの腕を引き剥がすコトは叶わなかった。
 暴れ回っているうち、志保は耳元で、りりすの溜息を聞いた。

「……私ではない。“ファースト”か、または“セカンド”――いえ、やはり訊いても無駄ね。“りりす”なら、貴女に“浸食”しても記憶もその証拠も消し去ってしまうから」
「え?何?ファースト?セカンド?何よ、その後はショートにサード、ライト、センター、レフトって野球でもおっ始める気ぃ?何なのよ、何が何だか説明しなさいよっ?!このストリーキング女ぁっ!?」

 もう一度溜息を吐くりりすは、まくし立てて抵抗する志保に呆れたのかも知れない。

「…………じゃあ、調べさせてもらうわね」
「え」

 突然、りりすは志保を羽交い締めにするその腕をゆっくりと外した。
 いきなりのコトであったためか、志保はマヌケにも羽交い締めにあったままの姿勢でその場に立ち尽くしていた。

「…………あれ?」

 志保もそのつもりであった。しかし何故か身体がどうしても動かなかった。まるで金縛りにでもあってしまったかのようであったが、動くのは口ばかりとは流石、志保らしいというか。

「しゃべれるようにだけはしておいたから」
「あ、あんたの仕業なのっ!?」

 志保は振り向けぬまま、くすくすと笑って言うりりすを怒鳴ってみせた。

「さ、催眠術ぅ?な、何、変なコトしてんのよぉっ!」
「催眠術ではないわ。ちょっとした、そうね、この時代で言うなら“ナノテク”っていうのよね」

 りりすは意地悪そうに笑って言う。
 志保はその笑い方が不気味であった。
 だが、慄然とするどころか、志保を驚愕させたのは、背後からまた伸びたりりすの両手が、志保の胸のリボンを外し始めた為であった。

「ななななな――――なっ?!」

 リボンを外したりりすの掌が、今度は志保の胸にゆっくりと重なった。ボリュームのある志保の胸に乗せられたそれは、目も動かせていた志保にも直ぐに見えた。

「こ、こらっ!あんた何する――やぁっ!」

 怒鳴る志保だったが、りりすの手が次第に志保の胸の上で動き始め――それはまるで揉み下すような動きであった為、志保は思わず引いてしまった。

「こ――――あ――――」

 必死に怒鳴って抵抗しようとする志保だったが、やがて自分の声が出ていないコトに気付き始める。いや、確かに口は動かせているのだが、発声になっていないのである。怒鳴り声は自分がそう言っているモノと言う思い込みによるモノだった。

(何で――何で声が――――)
「……声を聞かれるとまずいからね」

 りりすは志保の耳元でそう囁くと、志保の胸をブラウス越しに愛撫しながらその首筋に舌を這わせた。
 たちまち、背筋に寒気を覚える志保。しかし悲鳴は全く声にならない。
 りりすは全く抵抗できない志保のブラウスの合わせ目に手を掛け、その指先でボタンをひとつひとつ外し始めた。やがて、志保のブラウスは開かれ、同い年の少女の平均値をゆうに超える豊満な乳房を包み隠す白いブラジャーを露わにした。派手そうな下着を着ていそうな印象のある志保だが、意外にも下着は普通であった。
 その白いブラジャーの上に、再びりりすの掌が重なる。今度はゆっくりと、しかし力を込めた動き。白くたおやかな、暖かみを持った10本の細長い生き物が張っているようであった。
 声が出せないでいた志保は、顔を赤らめ、息を荒げ始めた。恐怖と恥ずかしさ、そして、次第にそれらを凌駕し理性に響き始めていた未知の感覚が、志保の呼吸を乱し始めていた。
 そのうち、りりすの指先は志保のブラジャーの下に潜り込み、くっ、とそれを持ち上げてみせる。志保の意志とは無関係に、りりすの淫靡な動きに刺激された志保の乳首は、ぷくっ、と飛び出し、持ち上げられたブラジャーの端に引っかかると、志保に、びくんっ、と緊張が走った。
 ブラジャーが胸の上にずらされ、剥き出しになった志保の豊満な乳房を、りりすは鷲掴みにする。めり込んでいるのはりりすの握力の所為だが、見ようによっては、志保の興奮に呼応したそれが一回り膨れた為のようにも見える。無論、興奮によって胸が膨らむなど無いコトだが、志保の乳房にめり込むりりすの指が沈みながら這う光景はそのような錯覚を生んでいた。
 やがて、りりすの両手の中指と人差し指の隙間に、志保の勃起している乳首が入り込み、指の股に当たると、今度は両手の親指と人差し指でそれを摘んだ。
 思わず反り返る志保。しかしりりすは志保の背にぴったりと張り付いたまま離れようともしない。志保の乳首を捕らえたりりすの指は、それを指の腹で転がすように弄び始めた。
 すると志保の呼吸がその動きに合わせて、はぁ、はぁ、と荒くなっていく。目を瞑り、煽り気味の顔は赤く、火照っていた。
 そのうち、りりすは志保の乳房から左手を離すと、今度は志保の左脇の間から顔を通し、解放したその乳房に舌を這わし始めた。
 ねっとりと、生暖かいヒルに張り付かれたような感覚が、やがてゾクゾクとするような感覚とともに志保の左乳房の側面に波紋のように拡がる。乳房を這うりりすの舌は、指と同じくらいの圧力で志保の乳房に溝を作りながら不規則に動き回り、ついには乳首に到達した。
 刹那、志保は両乳首の先に電撃を覚え、続いて腰に凄まじい脱力感を感じた。

「……うふふ。立ってられないでしょう?」

 志保の乳房から顔を離したりりすは、志保の左脇から身体を通し、志保の正面に立った。そして志保の両肩を掴むと、ゆっくりと志保の身体を地面にそっと寝かせた。無論、金縛り状態の志保にはその手を振り解き抵抗するコトも叶わなかった。
 りりすは志保の身体の上に重なると、志保が動かせずにいた両腕を降ろした。そして剥き出しになっている乳房に再び舌を這わせた。

(……やぁ…………やだぁ…………いやぁ…………)

 志保は心の中で泣くが、心と体は切り離されたように全く動かせずにいた。しかし感覚だけは身体から一方的に脳に伝わり、志保の理性をじわりじわりと蝕んでいた。
 暗がりの中、遠くから僅かに映える光が、りりすの舌の先と、唾液まみれになっている志保の乳房を繋ぐ淫らな糸を煌めかす。志保の勃起する乳首は、唾液のなま暖かさによって、外気の少し冷たい気温に敏感に反応し、一層そそり立っていた。

「……うふふ。こちらはどうかしら」

 そういってりりすは、今度は志保のスカートの中に右手を差し込んだ。

(――――――ッ?!)

 志保の絶望的な予想は的中し、りりすの手は志保のショーツにそっと触れた。その指先は、志保のもっとも敏感な茂みがあるその上にあった。

(――――――っ!!)

 志保の心は悲鳴を上げるが、りりすに報いるコトは無かった。淫靡な笑みを浮かべるりりすの指先は、志保のショーツの上からその茂みをそっとなぞりながら股間の間に滑り込ませ、そして少し力を込めて押し込みながら指先をなぞり戻した。
 指先を返すと、その先が丁度、志保の恥丘にめりこみ、最後にその一番上にぽつん、とある突起物の上をなぞった。
 途端に、志保の背が反り返る。

「うふ」

 りりすは志保の一番恥ずかしい箇所を刺激し、また指先で恥丘の上をなぞる。
 それを繰り返していると、志保の身体が痙攣を始めた。いや、痙攣に見えるそれは、間断なく襲いかかる未知の感覚に、寒気にも似た反応をしているだけだった。しかしその寒気は次第に薄れ、身体の底にまで染み込むような熱さにとって代わられていく。
 志保は恐怖で一杯だったハズだった。この得体の知れない女に押し倒され、身体を弄ばれている事実は、淫猥さなど感じられるハズもなかった。
 なのに――ジワジワと、恐怖する理性に反して身体が反応する。それが歓んでいると気付いた時、志保は別の恐怖を感じた。
 自分が壊れていく恐怖を。未知の――初めての性感覚に、自分がコワされていく恐怖。
 志保のショーツがうっすらと湿り始めたコトを指先で感じ取ったりりすは、ふぅ、と溜息を吐き、ついにその右手をショーツの中に滑り込ませた。
 直接、志保の恥丘をなぞり始めたりりすの人差し指の先は、膨らみの上にうっすらと拡がる汁気を潤滑油にして、その奥に少し埋没させた。
 びくっ!また志保は反り返った。口を大きく絶叫したふうに見えるが、声は存在できなかった。
 ちゅ……ちゃ……くちゃ…………。志保のショーツの奥から、汁気のある淫らな音を立て始めた。
 それに合わせるように志保も、声が出せないまま喘ぎ出す。そんな志保の顔を間近に見ていたりりすは、くすっ、と意地悪そうな笑みを浮かべると、自身の唇で志保の口を塞いでしまった。
 女に、初めてのキスを奪われたショックなど、今の志保には気付けるハズもなかった。股間から、骨盤、脊髄を経由して脳幹に叩き込まれる電撃に、理性が次々と穴だらけにされていった。
 りりすは、志保の口を塞ぐ唇の隙間から、志保の口の中へ舌をねじ込ませる。するとあろう事か、志保の舌はそれを受け入れたかのように、入り込んできたりりすの舌と絡み合いだしたのである。当人の意志から離れたかのように、志保の舌はりりすの舌を貪るように絡み合い、口元からトロトロと唾液を零していった。

「ん……あ…………あむ…………はん…………志保さん、可愛いわよ」

 りりすは自分の濃厚なキスに応えてしまっている志保の唇から離れ、身体を起こすとゆっくりと志保の足のほうまで下がった。

「……そろそろ、こっちね」

 りりすは志保のスカートを外し、続いてりりすの愛撫で溢れ始めた愛液で湿っているショーツを引き下ろした。そして剥き出しになっている、びしょぬれの志保のそれをまじまじと見つめると、うふふ、と嬉しそうに笑った。
 その目は、獲物を捕らえた肉食獣のそれと良く似ていた。

「……ふふ。男を知らないのに、良く濡れてるコト。……いつも自分で慰めているんでしょう?」
(やぁ…………いやぁ…………)

 志保は口をぱくぱくさせて嫌がった。
 だが、穴だらけの理性は、そんな志保の意志にとうに反逆し、歓びに打ち震えていた。

 りりすは、ゆっくりと顔を下げ、志保の股間に顔を埋めた。そして舌を茂みのほうに伸ばし、クンニを始めた。
 とろりと、唾液がたっぷりのった舌先が、志保の恥丘の間に入り込む。そして溝に反ってそれを動かすと、舌先の唾液と恥丘を浸す愛液は混ざり合い、りりすの口の中へゆっくりと入り込んでいく。

「ん…………んむ…………」

 りりすは志保の愛液をゆっくりと嚥下しながらクンニを続ける。円を描くように恥丘の溝の内側をはいずり回ると、今度は両手を持ってきて、その親指の腹で、ぐっ、と恥丘を押し広げた。小陰唇の奥にあった志保の秘裂の下には、その中心に僅かに穿った穴はあれど、愛液まみれではあるが男を知らぬ証であるピンク色の肉壁が広がっていた。
 りりすの舌先はその肉壁の上を愛おしげに這いずり回り、ゆっくりと腹部寄りに上がっていく。
 小陰唇を閉じたそこには、包皮に覆われた過敏な神経の塊があった。りりすの舌はその上に達すると、舌先をその包皮と肉塊の隙間に差し込んだ。
 途端に、志保がまた反り返る。今度は、今までにないくらい大きな動きであった。

「…………うふふ。一番感じちゃったのね」

 りりすは嬉しそうに言うと、更に顔を近づけ、クリトリスを舌で刺激し続けながら、その包皮を唇で優しくくわえた。
 包み込まれるような優しく切なげな刺激と、神経に直接触れる激しい刺激。同時に見舞われた志保は、頭の中が一瞬にして真っ白になった。
 りりすは志保の両腿を腰の下から肩で抱き抱えるように持ち上げ、身体を更に深く分け入れる。りりすの舌と唇によるクリトリスへの刺激は、志保に一番強烈な性的刺激であり、それが決定的であった。

「…………あ…………はぁ…………」

 いままで声も出せなかったハズの志保が、ここに来て僅かながらついに喘ぎ声を上げ始めた。しかしりりすはその声に驚いた様子はなかった。
 むしろ、その声を聞いて、りりすの妖しげな微笑は一層濃さを増した。

「…………声が出せるのは、快楽に堕ちた証拠。…………いいわよ、よがり声ならいくらでも聞かせて」

 りりすの奇怪な呪縛は、志保の理性のみを絶つものだったらしい。今や志保は、りりすの愛撫に溺れる、快楽の虜になった牝であった。

「やぁ…………あ……はぁ――――そこっ!そこ、もっと――ああっ!いいっ!いいのっ、もっとしてっ!もっとしてえぇっ!!」

 志保は我を忘れ、りりすの愛撫に歓びの声を上げる。りりすはそれに応えるように、志保のクリトリスを唇と舌先で、粘着的にそして激しく責め始めた。
 じゅ、じゅる、じゅる、ぴちゃ、ちゅぴ…………!りりすはわざと音を立てて志保のクリトリスと、その周辺にある愛液をすする。その音を耳にするたび、志保は一瞬眉をしかめるが直ぐに開いて紅潮した頬を痙攣させた。
 次第に高まる、志保の快感。未知の感覚は既に志保にとって性感と知れていてたが、この高まる感覚は、寂しい夜に浩之の顔を想って自分を慰めていた時に覚えていたそれと同じ、いやそれ以上のものであった。
 そして遂に、快感の上昇は臨界点に達した。

「あ――――――あああああああっっっっ!!!」

 絶頂を感じた志保の反り返り方は今までの中でもっとも大きく、背骨が折れ曲がりそうな勢いであった。りりすはクンニの姿勢のまま、志保の腰をがっちりと押さえつけた姿勢で離さずにいた。
 りりすは、志保の秘所から溢れ出ている愛液を舐めて吸っていた。溢れ出てくる泉の水を飲むような勢いで、志保の愛液を吸う行為に集中し、やがて押さえていた志保の両腿から手を離すと、口の中に溜まっていた唾液や愛液をゆっくりと嚥下してみせた。

「…………あふ…………ふう」

 愛液を飲み干したりりすは一息吐くと、暫しその場で呆然とへたり込んでいた。志保はイカされたまま、ぐったりとその場に仰向けに倒れたまま立ち上がろうとはしなかった。

「………………ん。もうちょっと」

 りりすは右の人差し指を志保の股間に伸ばし、まだ恥丘の周りにこびり付いていた愛液をすくい取ると、それを口に含んでみせた。口腔で、舌先で指ですくい取った愛液を淫靡な動きでなめ回し、その味か何かを確認するように、うんうん、と頷くが、期待していた何かはやはり得られなかったのか、残念そうな顔をして肩を竦めた。

「…………M−マトリクス、抗ナノボット、ともに反応なし、検出されず。……残念賞。“ファースト”も“セカンド”も、この娘には干渉していなかったのね」

 りりすは残念そうに言うと、ぐったりしている志保の顔を見下ろした。

「…………まぁ、長岡志保は警戒レベルCだったから、他のりりすの干渉の可能性は無視してもよかったのだけどね。ふふ、悪いコトしちゃったかしら?」

 そう言ってりりすは身をかがめ、ぐったりとしたままの志保の頬を掌で優しく撫で、そしてもう一度キスした。

「…………とはいえ、後日、人類種の干渉の可能性は否めないから、先手を打っておいても損は無いわね。――志保さん?」

 りりすは志保の耳元で囁くように呼びかける。
 すると志保はうっすらと目を開ける。オーガズムを得た身体は鉛のように重く、しかし火照ったままで動かすコトは出来ずにいた。

「…………苛めちゃったお詫びに、想いを遂げさせて上げるわよ」
「え…………?」

 りりすの囁きの意味が解らない志保は、雲のかかったような意識と視界の中で、ゆっくりと立ち上がる裸体のりりすを見つめていた。
 だが、そのりりすの身体が次第に輪郭を変化させ、想像だにしなかったモノへと形を成した時、志保は思わず目を瞠った。

「…………これが、貴女の望みでしょう――いや、望みだろ?」

 りりすの声が男の声になった。
 その姿は、既に見覚えのあるがしかし、見たコトのない姿へ変わり果てていた。

「そんな――――」

 唖然とする志保の前で、裸体のりりすは、裸体の浩之に変身したのである。

「莫迦な――何でヒロが――――?!」

 瞠る志保の視界の中に、浩之の裸体が見る見るうちに広がっていく。屈む浩之の股間の奥には、見たコトはないが大体はどんなモノか知っていたそれが大きく起立していた。

「…………志保。俺が欲しかったんじゃないのか?」
「な、何を――――んんっ!?」

 慌てて起き上がろうとした志保だったが、いきなりりりすが化けた偽物の浩之に唇を塞がれ、その勢いでまた地面に押し倒された。

「ん――――ん――――!………………………………ん………………!」

 始めは抵抗していた志保だったが、やがて偽浩之が舌を口の中に入れ込むと、途端に大人しくなってしまった。いな、大人しくなったばかりか、自分から偽浩之の舌に自分の舌を絡め始めたのである。
 ぷちゃ、ぴちゃ、と互いの唇の隙間から汁気の音を洩らしながら激しいキスを交わす志保と偽浩之。偽浩之の左手は先程りりすがそうしたように、志保の右乳房をゆっくりと、そして時には荒々しく揉み下していた。

「あふ…………あむ…………あん……………………」

 志保は偽浩之の舌から注がれる唾液を、まるで大好物の果実から溢れる果汁を飲むように、うまそうに嚥下していた。相手が偽物と分かっていたはずなのに、既に志保の理性はそれが浩之であると思い込んでいたようであった。
 そう、こうなることが望みだったのだ。
 あかりさえいなければ、自分が浩之のモノになる――浩之は自分のモノになるのだ。
 心の奥で沸々とたぎっていたその昏い秘めた想いは、りりすによって目覚めさせられた性感とともに暴走を始めていた。もはや、親友を想う優しく明るい少女はそこにはいない。
 自分の身体を這いずり回る、この指は、この濡れた舌は、熱い吐息は、この姿は――愛しい男のものに相違ない――

「志保…………」

 呆然とする志保の顔の前に、浩之は起立し、たぎるそれを差し向けた。
 それを見た志保は、何を要求されているのかすぐに判った。
 ゆっくりと顔をそれに近づけ、愛おしげに見つめると、はにかむような仕草で傾げ、恐る恐るその先に口を当てた。
 舌をそっと出す。舌先はその先端の小さな裂け目に当たる。
 同時に、偽浩之は少しうめき声を上げる。
 その声を耳にした途端、志保は、にぃ、と淫靡な笑みを浮かべて見せた。まるでりりすが取り憑いたような、そんな微笑であった。
 それがきっかけだった。志保は口を広げ、ゆっくりとそれを口一杯にくわえ込んだ。
 ちゅぷ。ちゃぷ。志保はそれを出し入れしながら、舌先で陰茎の腹を舐め、唇で亀頭を刺激していく。志保の唾液は潤滑油となり、怒張するそれを淫らな刺激によって一層膨れ上がらせた。
 志保の口腔で顔を快感にしかめていた偽浩之は、そのうち志保の頭を押さえつけ、自分の腕の動きで志保の頭を動かし始めた。志保はその強制に抵抗せず、偽浩之の成すがままの状態で口腔を続けた。
 やがて志保は、偽浩之のモノの先端から、僅かに苦い味を舌に覚え始める。

「――出すぞ!」

 そう言うと、偽浩之は唾液で濡れつぼむそれを志保の口の中から引き抜いた。志保の唇からそれとは垂れ下がった光の線が、つぅっ、と繋がっていた。しかしその先から吹き出した白く熱い雫はそれを散らし、呆然とする志保の顔に夥しく降りかかって汚した。

「あ…………熱ぅ…………」

 志保は浩之のモノを陶然とした顔で受け止め、歓んでいた。頬を、額を、粘り気を持って伝う白濁は、志保の鼻孔に淫靡な刺激を与えていた。
 何より、白濁色の欲望をたっぷりと吐いたそれは、今だ志保の鼻先に逞しく向けられたままであった。
 まだ、この夢のような快楽の宴は終わらない。志保の心は安堵感と満足感に満ち溢れていた。
 自身のモノの先端から雫を垂らす浩之は、志保の身体を再び寝かせた。そして、顔にこびり付いている自分が吐き出した欲望を舌ですくい取ると、それを口に含んだまま再び志保に口づけする。
 口腔に流し込まれる苦さ。しかし志保は浩之とキスを交わしたまま、それを平気で飲み干した。
 今度は、上の口ではなく――――来て。
 相手が浩之と思うだけで、志保は秘所から夥しい愛液を溢れさせていた。自分は男を知らないハズなのに、これではまるで淫乱な女である。
 ――そう、浩之の前では自分は淫乱な女なのだ。浩之だけの娼婦。浩之だけしか、自分の身体は開かない。淫らで貞淑な女。そう思うたび、志保は心までもが濡れていく。
 浩之の起立するモノはいつでも爆発しそうな状態に見えた。既に自分のモノは充分なくらい濡れている。

「――来てっ!突いてっ!ヒロのそれで、あたしを滅茶苦茶にしてっ!!」

 そう言って志保は大きく股を広げる。
 偽浩之は躊躇いもなくその間に入り込み、ぐっ、と前進した。
 熱くたぎるその先端が、僅かな穴の上に重なる。そしてその周囲に夥しくある愛液が全ての摩擦を奪い、ゆっくりと埋没していく。
 みちっ――――

「ひっ――――――?!」

 一瞬だけ、志保は我に返る。破瓜の激痛は、快楽という名の美酒に酔いしれていた少女に刹那の現実を取り戻させたかに見えたが、続いて襲った快感に再び現実を切り離させた。
 男を初めて受け入れた志保は、下腹部の奥で暴れ回っている偽浩之から感じる熱さと脈動、そして震えるような著しい快感に支配されていた。
 じゅぷ、ずぷっ、ぶしゅっ…………。交合の淫らな汁音が志保の耳に届くたび、志保の体温は上昇し沸騰していく。融点に達した刹那、きっと自分は溶けて流れてしまうだろう。そう思うと、志保はますます快感に溺れていく。

「溶ける――溶けちゃうっ!もっと、もっと!ああっ――あ――ああああっ!!」

 次第に志保は、再びオーガズムを覚え始めていく。初めて男と交わったのにも関わらず、志保は直接性交によるオーガズムを知ろうとしていた。
 そんな志保をみて、腰を激しく振り続けている偽浩之は、邪な笑みを浮かべて見せた。

「ふっ………………奥で一杯イクからな、覚悟しろよ」
「ああんっ!イッてっ!熱いの、一杯、イッパイ、イッてぇっ――ヒロ――――あ――い――いいっ!あああああああああああああああああああああっっっ!!!」
「ふっ!」

 偽浩之は志保の股間に、ぐっ、と腰を突き入れた。破瓜による血と、志保が流した愛液が混ざり合い汚されているその結合部は深みを貫いた姿勢で欲望を破裂させていた。

「あああああ……………………熱ぅ………………やだぁ、ヒロのが奥でビクビクいって…………ああ……………………!」

 膣内で偽浩之の白濁を全て受け止めた志保は、射精の動作でビクビク動くそれを嬉しそうに感じ取っていた。そして愛液とは違う、ぬるりとした粘り気のある汁気がその隙間一杯に広がり、なんとも言えぬなま暖かさに酔いしれていた。
 だが志保は気付いていなかった。ぬぷっ、と引き抜かれた偽浩之の先から放たれた白濁の中で、きらきらと七色に煌めく小さな光の存在を。
 その光は、破瓜によって避けてしまった志保の乙女の証に染み込み、血を止めたばかりかその裂傷を見る見るうちに修復していた。そして、膣の奥で出された白濁は、その一切は卵子を目指すコト無く、膣の肉壁に全て吸い込まれ、毛細血管に侵入して脳を目指して移動して行った。
 2度のオーガズムによってぐったりと力尽きた志保は、そのまま地面に横たわって、落ちるように眠ってしまった。
 そんな志保を、裸体のりりすは物静かに見下ろし、志保の着衣の乱れを直していた。

「…………これで奴らは長岡志保に干渉出来まい。…………とはいえ、まだまだ“アダムのマトリクス”に干渉出来る可能性を持った存在はいるからな。油断はなるまい」

 志保に制服を元通り着せ終えたりりすは、ふぅ、と溜息を吐き、ゆっくりと立ち上がった。そしてどこから取り出したのか、濃紺のメイドドレスに一瞬にして着替えると、志保を残し、その路地から独り出て行ってしまった。

            つづく

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