【ご注意】このSSは『痕リニューアル』(Leaf/AQUAPLUS製品)の世界及びキャラクターを使用しており、ネタバレ要素のある作品となっております。 ──耕一……。 ──例の結晶体は近くにあるのだろう? ──私は耕一に伝えなければならない話がある。今夜もちゃんと聞いてくれ。 ――私は、遠い宇宙の果てで生まれた。 ――同じ仲間が沢山居たが、私は群れを独り離れ、旅を始めた。 ──我々は元々、君たちによく似た生命体と共生する種族であった。 ──宇宙は広い。果てしなく広い。途方もなく広い。 ──だから我々は遠く離れた場所にいる仲間たちと心の声で会話する。 ──但し、別の意識に邪魔されない限りは、だ。 ──この星の様に、数多の生物が溢れているような場所では、心の声も妨害されてしまう。 ──この星から心の声を飛ばす場合、様々な生物たちの妨害を避け、わずかな隙間をうまく通さなければならない。 ──故に、声は細く小さなものになり、仲間の許まで届けるのは、非常に困難であった。 ──事実、未だ一度もコンタクトには成功していない。 ――話を戻そう。 ――私はある時、とある宇宙の片隅で、自分と同じように心の声で会話する事の出来る生命体(にんげん)たちに出会った。 ――彼らは高度な文明を持ち、宇宙船で宇宙を飛んだり、別の惑星を開拓したりしていた。 ──だが、私から見ればそれは、子供のような科学力だった。 ──彼らは確かに宇宙への進出を果たしていたが、それは母星を中心とした、ごく限られた宙域までだった。 ――しかし彼らは、この広大な宇宙に息吹く生命体の進化の過程において誕生した、新たな人類であるのは確かだった。 ──生命体は、様々な環境に適応していく力を持つ。 ──広大な宇宙に進出した彼らは、私と同じような精神会話の能力を得ていたのだ。 ――彼らは助けを求めていた。 ――同族から迫害を受けていたのだ。既に何人も殺されて、追いつめられていた。 ――私が彼らを助け出したのは、理由があった。 ──その理由は多々あるが、大きなもので言えば二つある。 ──一つは、個の生命体としての問題、もう一つは、社会を形成する生命体としての問題だ。 ──前者は分かり易い。 ──人間は、自分には無い未知の能力を恐れる傾向にある。 ──彼らの心で会話する能力を、旧人類たちが恐れたのだ。 ──後者はやや複雑だ。 ──社会に於ける思想的な問題だ。 ──心の声を持つ者達は、同じ能力を持つ仲間同士と心で結びつき、巨大なネットワークを形成していた。 ──完全に意思統一された集団は、もはやひとつの生命体と言っていい。 ──それが社会を恐れさせた。 ──進化した人類である彼らは、進化できなかった旧人類たちによって迫害され、駆逐されていたのだ。 ──無論、抵抗する者もいた。 ──彼らは圧倒的に少数だったが、心の声で結びついた彼らは、戦闘においても旧人類を寄せ付けない能力を発揮した。 ──それが更に事態を悪化させた。 ──意思統一された集団の力が明らかになり、旧人類たちはより一層、彼らを恐れるようになったのだ。 ──両者間の争いは本格的な戦闘へと突入し、そして旧人類たちが勝利した。 ──果たして、彼らはひとり、またひとりと滅ぼされていった。 ──社会というものは、ひとつの生物も同然である。 ──理知的に機能する事もあれば、感情的に機能する場合もある。 ──その時、彼らの社会は感情的に機能していた。 ──一個の生命体として、目の前の脅威を排除する事のみを優先したのだ。 ──その些細な違いを、人間は恐れる。 ──彼らは投獄され、殆どの者が殺された。一部の者は研究材料にされていた。 ──過去に行われた行為を、今の君の価値観だけで判断してはいけない。 ──過去に起こった事実はただ事実であり、それにより結果が存在するに過ぎない。 ──特に善悪の基準は曖昧だ。 ──善悪は立場によって逆転する、実に不確かなものだ。真理など到底求めるべくもない。 ──人間の善悪を突き詰めれば、人間という生命体に対し、結果的に害をもたらすか否かだ。 ──それを照らし合わせれば、この場合、どちらも善であり悪であると言える。 ──私が何故彼らの味方をしたかって? ――……そうだ。その時、私もまた感情的になっていたのだ。 ──私は寂しかった。 ──膨大な時間、孤独な旅をしてきた私は、意思疎通可能な同じ趣味の友人が欲しかった。 ──また、そうする事が、私の種の生き方なのだ。 ──私は彼らを助け、受け入れ、友人として迎え入れた。 ──新たな友人たちは、心に深い復讐心を抱いていた。 ──自分たちを苦しめ、多くの仲間を奪った旧人類たちへの復讐心だ。 ──彼らは私に、旧人類たちと戦うだけの力を求めた。 ──私はそれに応えた。 ──強力な肉体。 ──強力な武器。 ――そして強靱な精神力。 ──これまで蓄えてきた膨大な知識を用いて、彼らの求めるもの全てを与えた。 ──世代を超えても復讐心を忘れない為の工夫もした。 ──雄は胸の小さい雌を見た時、不快感を覚える。 ――まてまて耕一、そこでズッコケないでくれ。ちゃんとした理由はある。 ──それは種の発展に必要な生命のプログラムだ。 ――彼らはあまりにもストイック過ぎた。心が分かり合える分、異性と手を繋ぐ事すら恥ずかしがるシャイな心の主だったのだ。 ──それを変えた。そして変えたのはそれだけだった。 ──胸の大きい人類を間近で見た時に、性的な快楽を味わえるように遺伝子を作りかえたのだ。 ──そして、それを子から孫へと受け継ぐようにした。 ――え?僕小さいからよくわからない? ――いいから、我慢して聞きたまえ。 ──人類たちの文明の進歩は、性観のタブーを生みだし、それに反発する歪んだ性意識をもたらした。 ――ロリペド二次コンホモショタ貧乳好きという歪んだ性癖を生みだしてしまったのだ。 ――それらは種族保存の本能を押さえつけてしまう恐れがあった。まともなSEXライフが送れなくなるからだ。 ――しかし辛うじて、マザコンという豊乳好きの性癖を持つ精力的な人々も居た。 ――その精力さはバイタリティの高さに繋がり、旧人類に憎悪に近い対抗意識を持っていた。 ──彼らはその憎悪の炎を消さない事を望んだ。 ──だから私は与えた。 ──彼らの望むままに。 ──オッパイ星人の力を。 ――なんだその顔は。 ――知らなかったのか?エルクゥという言葉は、オッパイ好きという意味なのだぞ。 ――冗談ではない。マジです。 ──だから、煩悩を身に纏った呪われた鬼たちが生まれた。 ──私がこの手で作り上げたのだ。 ―― 巨 乳 ス キ ー な 鬼 を 。 乳 の 鬼 を 。 ――雌系の乳の発達力を奪う事で、雄系の不満を増し、性的欲求を高める。 ――胸は、一番分かり易いセックスアピール力を秘めているのだ ――だから私は、エルクゥの女性たちの遺伝子を操作し、天文学的な確率以外では乳が発達しないよう細工を施した。 ──その甲斐あって、彼らはその欲求不満を糧に旧人類たちを駆逐し、その宇宙域を制覇した。 ──だが、旧人類は絶滅したワケではなかった。 ――駆逐されたのは主に貧乳な旧人類で、胸の大きい、つまり巨乳な旧人類たちは襲われても殺戮を免れた。 ――ヤられるだけで殺られる事はなかったのだ。散り散りになり、別の宙域へと逃れたのだ。 ──その頃、私は何人かの子を産んだ。 ──子供たちは私と同じようにエルクゥたちと共生し、行動を共にした。 ──エルクゥはいくつかのコミュニティに分かれ、それぞれ逃げ延びた巨乳な旧人類たちを追っていった。 ──それから長い年月が過ぎ去った。 ──エルクゥたちは何世代にも移り変わり、かつての歴史を知るものは少なくなった。 ──それでも、彼らの中の旧人類に対する敵意は消える事はなかった。 ──逃してしまった旧人類は巨乳揃い。 ――煩悩と復讐心はいつしか融合して狩猟本能へと形を変え、冷酷な乳の狩猟者と化していた。 ──私は少なからず後悔していた。 ──全ては私の責任だった。 ──あの時、私が同じ乳好きとして共感……げふんがふん、違う違うぞ。そんな安直な理由で………… ――あれ? (´Д`三´Д`) 、こらこら、耕一、寝るなー。これからが面白くなるんだぞー。 ――あーあ、寝ちまった。これだからオコサマは詰まらない。 ――仕方ないから、もう一人の子にするか。祐也、だったっけ。彼に、いかに巨乳が素晴らしいかを解いて、頑張ってもらわないと………… 数年後、ヨークの命を絶たせたモノは、寿命ではなく、その思い出した記憶を耕一から聞いた柏木姉妹(一人ハブ)であった。 どんがらがっしゃぁっんっ!ちゅどーん! 「あんたがっ!あんたがっ!乳をっ!あたし達の乳を減らしたっ!」 「ち、千鶴さん、楓ちゃん、初音ちゃんっ!落ちついてっ!」 最低のまま終わる