ToHeart if.「カスタム双子・ハーフ&ハーフ」第9話 投稿者:ARM(1475) 投稿日:4月24日(火)02時14分
【警告!】この創作小説は『ToHeart』(Leaf製品)の世界及びキャラクター(ボツキャラ含む)を使用しています。「ToHeartVisualFunBook」(発行・メディアワークス)がお手元にありましたら、「原型少女」のページを参照願います。
 あと、今回は性描写も含んでおりますので取り扱いにはご注意を。
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【承前】

 浩之は、すっかり濡れ鼠になった壬早樹を風呂場に案内した。

「服や下着は乾燥機に入れとけば直ぐに乾くけど、その間は悪いけど俺の下着で待っててくれよ。あ、シャツもトランクスもおろしたばかりの未使用の新品だから心配しないでいいぜ」
「別に浩之のお古で良いのに〜〜♪」
「冗談はよせっつーの(汗)」
「じゃあ、さぁ、白いシャツだけでも用意してよ」
「何で?」
「パンツとシャツだけで彼氏のぶかぶかシャツ〜〜とか(笑)」
「おいおいおい(汗)」

 何処まで本気か判らない壬早樹の能天気ぶりに、浩之は思わず焦ってしまう。

「まぁ、それはいーとして…………」

 そう言うと壬早樹は浩之の顔を見て、ニィ、と意地悪そうに笑い、

「……のんびり入っているから、都把沙ちゃんとごゆっくりぃ〜〜♪」
「おおおおおお(滝汗)」
「そんじゃあねぇ〜〜♪」

 壬早樹は赤面する浩之を見て笑いながら風呂場の中に入っていった。

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    ToHeart if.『カスタム双子・ハーフ&ハーフ
            = make it with someone. =』

                第9話

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「壬早樹ちゃんの様子は?」

 居間で、先程、浩之が用意したティーバッグの紅茶が注がれたカップを口にしていた都把沙は、戻ってきた浩之に訊いてみせた。

「相変わらずさ。――って壬早樹の心はまだ見えないのかい?」
「うん…………」

 都把沙は済まなそうに頷いた。

「ふぅん。何でだろうなぁ……?」
「……もしかすると」
「?」

 きょとんとする浩之は、都把沙が少し顔を赤らめているコトに気付いた。

「…………遠慮、しているのかも」
「………………」

 成る程、と浩之は思った。同時に、凄く気恥ずかしい想いが過ぎった。
 そんな想いを振り払うように首を水平に何度か振り、軽く深呼吸してから都把沙の方を見た。

「…………ところで、都把沙ちゃん」
「?」
「…………俺のコト好きになったのは、壬早樹が俺を好きになったから、だよね?」

 訊かれて、都把沙は不思議そうな顔をした。それから思い出したように頷いた。

「……そうだよな。――それだと、都把沙ちゃん自身の考えはどうなのさ?」
「どう、って…………?」

 都把沙が首を傾げた。どうしてそんなコトを訊くの、と言いたげな眼差しである。もっとも、浩之にしても、どうしてそんなコトをわざわざ訊くのか、良く判っていなかった。
 都把沙と壬早樹は、二卵性双生児でありながら、一卵性のそれにみられる、心を共鳴(レゾナンス)し合う力を持っている。
 浩之が拘ったのはそこにあった。
 壬早樹が最初に自分に惚れてくれたのだ。しかし都把沙は、会ったコトも言葉も交わしたコトも無い少年に、壬早樹の恋心と同調したお陰で浩之を好きになったのである。

「……壬早樹は俺と会って好きになってくれた。でも都把沙ちゃんは、俺を好きになったのは都把沙ちゃんの意志では無く――――?」

 浩之の言葉を遮ったのは、都把沙の幸せそうな微笑みであった。

「……そんなコトないよ。私は、壬早樹ちゃんの心を通じて藤田くんを好きになったンだもん。………………それに、…………それでも、後悔しないよ」
「え……?」
「だって――藤田くん、壬早樹ちゃんが酷いコト言われた時、本気で怒ってくれたでしょう?」

 都把沙が指しているものは、夕方の、新横浜駅近くの公園での出来事だろう。浩之は直ぐに思い出した。自分でもあすこまで我を忘れたのは今まで数えるくらいしかないだろう。そして、他人のために、では恐らく初めて――。

「……もしすかると、壬早樹ちゃんと私は、身体は別れているけど、本当は一人で生まれてくるハズだったんじゃないかと思うの。神様が意地悪して私たちは二つに別れてしまった。……いつもそんなふうに思ってた。だから、私は壬早樹ちゃんが苛められて苦しんでいる姿は、自分が苦しんでいるようにしか見えなかった。…………でもね、壬早樹ちゃんはそれが識(わか)ってしまうから、自分はイジメに遭っていない、酷いコト言われても気にしないでいたんだと思う。――まるで鏡。だから、壬早樹ちゃんは強かった」

 浩之は、それを聞いて、やりきれなさと、そしてわき上がってくる尊敬の念を混ぜた溜息を吐いた。

「…………だから、そんな壬早樹ちゃんが好きになる人は、きっと素敵な人なんだと思っていた。きっと、壬早樹ちゃんを幸せにしてくれる人。――ずるいよね、私」
「?」
「だって――」

 都把沙は急に、浩之の顔を不安げに見つめ、

「……私も好きになっちゃうなんて。本当なら、私が引くべき――――?」

 そこまで言った時、都把沙は浩之の顔が間近に迫ってきたコトに気付き驚いた。

「……ずるいのは俺の方だよ、都把沙ちゃん」
「藤田くん――」
「だって、俺、二人とも好きになっちゃったから――――」

 そう言って浩之は都把沙にキスした。
 二度目のキス。電車の時より永く、そして溶け合うように熱いキス。
 浩之が舌を入れてきたが、都把沙は抵抗なくそれを受け入れ、自身の舌で絡め取った。
 高鳴る、お互いの鼓動。浩之は都把沙の胸に、そっと右手を当てた。
 都把沙は、びくっ、と震えるが、抵抗はしなかった。浩之は唇を離すと、都把沙の耳スジに舌を這わせた。

「――――hA!」

 都把沙が可愛い声をあげる。浩之は舌とキスで都把沙の首筋を責めながら、胸に触れている右手を、円を描くように動かし始めた。
 くすぐったさと紙一重な初めての恥ずかしい感覚に、都把沙は頭の中が沸騰していた。だから、耳元で浩之が囁く声にはなかなか気付かなかった。

 ……俺の部屋に行く?

 ようやく浩之の声が聞こえた都把沙は、躊躇いもなく頷いた。

 まもなく、風呂場からやって来た壬早樹は、居間に人が誰もいないコトに気付き、周囲を見回した。
 その虚ろげな眼差しをする顔が火照っているのは、風呂上がりの所為ばかりではなかった。


 一糸纏わぬ都把沙の身体は、ほのかなピンク色に染まり、浩之の身体の下で蠢いていた。
 お互い初めてではあるが、浩之が雑誌での知識で何とかリード出来ていた。そのうち、徐に延ばした先が、浩之のモノを受け入れられる状態にあるコトに気付くと、浩之はそっと耳打ちするように訊いた。
 都把沙は躊躇いがちに頷いた。もう自分を押さえられなかった。
 同時に、初めて男を受け入れるコトに対する恐怖心もあった。今にも目を瞑ってしまいそうだったが、軽く深呼吸して目の前にいるのが浩之であるコトを確かめると、都把沙は浩之の首に腕を回した。
 浩之は一瞬避妊具のコトを考えたが、浩之ももう押さえきれず、一気に入り込んだ。思わず反り返った都把沙の脊髄を走り抜ける、スタンガンのような電撃。
 なのにそれは、直ぐに快感に変わってしまった。男を初めて受け入れたばかりの都把沙の身体は、不思議にも細胞の一つ一つが性感帯と化してしまったような状態であった。
 浩之も浩之で、侵入した自身から波動のように届く、痙攣しかねない未知の感覚に驚いていた。がっしりと、まるで食われてしまったようなきつさ。初めてだから受け入れるほうもかなり無理しているのだろう、と思ったのだが、そうではなく、逆にこのまま吸い込まれていきそうな得体の知れない感覚だった。
 いわゆる名器なのだろうと浩之は虚ろげな意識の中で思った。このまま、一気に爆発してしまうそうだったが、浩之は歯を食いしばり、何とか動かし始めた。
 向かい合わせ、いわゆる正常位のままでしかなかったが、一つ突くたびに、互いの背筋がビリビリ痺れてくる。男の浩之はともかく、都把沙までもが初めての性交で快感を感じていたのである。
 やがて浩之は限界を感じた。

「……やばい……出ちまう……」
「……いいよ、藤田くん…………終わってから二週間経っているから、多分大丈夫…………aH!」

 喘ぎながらいう都把沙の言葉に、浩之は安心する間もなく激しく動き始めた。

「「――――っ!!」」

 浩之の背筋が反り返る。都把沙は深いところに浩之を感じながら果ててしまった。
 暫くして、浩之は息を整えながら、自室の扉の方を見た。
 先程果てた時、浩之は、その扉が、ガタン、と音を立てたコトに気付いていた。不思議に思いつつ、しかし何となくその音の正体が判った浩之は、ベッドに仰向けのまま昏睡している都把沙を残して立ち上がり、扉の方へ忍び足で近づいた。
 そして、一気に扉を開けた。扉は室内へ開くタイプだったので、扉の陰にいた者が廊下に残される形となった。
 そこには、顔を紅潮させ、自分の股間を両手を当てていた壬早樹が居た。

「ひ、浩之――――」

 驚く壬早樹だったが、腰でも抜けたか、その場から立ち上がるコトすらしなかった。
 いや、出来なかったのである。浩之は、壬早樹の腰の辺りの床に、数滴の奇妙な液を見つけた。そしてその正体を、直ぐに理解した。

「……お前ぇ、ここで覗いていたのか?」
「ち、違う――探していたら――」
「……判っているって」

 浩之は意地悪そうに笑い、

「俺が都把沙ちゃんとHしたから、その感覚が壬早樹にも届いちまったんだろう?」
「――――」

 赤面したままの壬早樹は絶句した。図星だった。風呂上がりの時点から、浩之に抱かれていた都把沙を見舞っていた未知の感覚は、壬早樹の身体にも影響を与えていたのである。

「……心が共鳴する、って聞いているから、もしや、とは思ったんだ。――ほら」

 と、浩之はまだ股間を押さえている壬早樹の両腕を掴み、嫌がるも力が抜けてどうにもならないそれを、一気に力任せに引き剥がした。
 その奥にある濡れたモノを見て、浩之は一瞬ぎょっとした。
 てっきり、男のそれと思っていたモノは全く見当たらず、しかし都把沙ので確かめた女性自身のモノとは形が微妙に異なる壬早樹のモノは、浩之にちょっとしたカルチャーショックを与えた。
 そのうち、以前壬早樹が自分から告白した、モノの形状のコトを浩之は思い出した。確かに今、目の当たりにしているモノはそれであった。

「……やだ……見ないで、浩之……!」

 嫌がるも、初めてでイッてしまった都把沙のオーガズムで著しい脱力感に見舞われている壬早樹は、腿でそれを隠す気力さえなく、ただ恥じらうばかりであった。
 それを見ているうち浩之は、壬早樹との関係がいわゆる“チャンパラ”にはならないコトに気付いた。しかし、恐らくはそこに膣などなく、自分のモノを収められる術は無いコトも理解した。
 それでも、浩之は壬早樹が欲しかった。浩之は半ば強引に壬早樹の身体を引き寄せ、キスをした。
 突然のコトに戸惑う壬早樹だったが、ますます脱力感が募るばかりで抵抗すら出来なかった。
 浩之は、全く女性と代わらない壬早樹の乳房を愛撫し始め、そしてゆっくりと右手を壬早樹の股間に伸ばした。
 男ならそこに起立すべきモノがあるのだが、壬早樹のそれは小指よりも小さく、男性機能などとても期待出来るシロモノではなかった。浩之はややグロテスクなその先を指で摘み、指の腹で撫でるように扱き始めた。
 壬早樹は浩之の大胆な行動に驚くが、抵抗しなかった。脱力感もあったが、素直に、浩之にそうされたい、と思ったからであった。
 壬早樹の股間を濡らしていたモノの正体は、女性の愛液ではなく、やはり精液であった。白く濁るそれは、壬早樹の場合は透明かかっていた。壬早樹の精巣は精子を作れないと言っていたコトを、浩之は思い出しながら、指先で玩んだ。子供は無理だが、量自体薄くさらってしているのであろう、独特に臭いに気付かなかったら、端から見れば愛液にしか見えない、そんな量だった。
 やがてその濡れた指先を、更に壬早樹の股間の奥へ伸ばす。そこには排泄器官のヒダが円を描いているばかりであった。その上を、浩之は濡れた指でなぞりだした。
 同時に、壬早樹は悲鳴を上げる。僅かだが、浩之の指がその中を分け入ったからであった。

「だ、だめ――――あっ?!」

 驚く壬早樹を、浩之は強引に俯せにした。四つん這いの姿勢をとったその背にのし掛かる浩之に、壬早樹は、浩之がこれから何をしようか直ぐに気付いた。

「駄目、入んないから――――あ!?」

 強引に貫くモノと思ったが、意外にも浩之はその先を、壬早樹の濡れたモノの上に重ねた。そしてゆっくりと腰を動かし、自身で壬早樹のモノを擦るように撫で始めたのである。
 浩之の奇妙な動きに壬早樹は吹き出しかけるが、次第に、否急速に股間から走る感覚を覚えると、思わず声を上げてしまった。

「あ――あ――あ――」
「……濡れてないと、入れられないから――――そろそろか」

 そう言うと浩之は腰を上げ、今度は自身の先を壬早樹の菊に宛った。

「あ――駄目――やめて――――」

 戸惑う壬早樹は半べそを掻きながら訴える。しかし浩之はそれを無視した。

「行くぞ――――」

 浩之は躊躇い無く壬早樹の中に侵入した。
 溜まらず悲鳴を上げる壬早樹。だがそれは明らかに歓喜の声であった。排泄感にも似た快感が壬早樹の脊髄を走ったのは、他ならぬ壬早樹が持っていた男のみが持つ前立腺の仕業であった。

「はぁ――あ――ああ――――!!?」
「……なんだよ、壬早樹気持ち良いのか?これでイケるあたりは男っぽじゃないか」

 浩之は壬早樹の背に張り付き、調子に乗って耳元で言葉責めなど始めた。

「やだ――変だよ――変に――へ――――」

 ジワジワと来る未知の感覚に、壬早樹は頭の中が真っ白になりかける。その曖昧な意識の中で、ベッドの方に横たわる都把沙が目を覚まして仰け反っているコトに気付いた。

「浩之――ベッド――――」

 言われて、浩之はベッドの方を見た。どうやら壬早樹に与えている快感が、都把沙の方にも伝わっているようである。
 それを見て、浩之は、にぃ、とあるコトを思い付いた。

「壬早樹、都把沙ちゃんの上に乗ってくれ」
「え…………?」

 引き抜かれても呆然とする壬早樹だったが、大人しく、あるいは何も考えられないのかも知れないのだろう、浩之の言うとおり、ベッドの上に寝ている都把沙の上に乗った。
 それを追った浩之は、都把沙の上に四つん這いになる壬早樹を見て、良し、と言うとまた自身を壬早樹の中に突き立てた。
 壬早樹が仰け反り、同時に都把沙も仰け反る。

「……一緒にイケそうだよ、二人とも」
「「……え?」」

 快感に呆然としながらも、壬早樹と都把沙は浩之の意図が何となく判ってきた。
 浩之は壬早樹の尻を激しく貫く。浩之の動きは二人の尻から脊髄、そして脳髄に、波動となって襲いかかる。
 浩之は乱暴な動きであったが、壬早樹は著しい快感と満足感に支配されていた。そのうち、自分の身体の下で喘ぐ妹の顔がとても愛おしくなり、そっと顔を寄せて濃厚なキスを交わした。都把沙は入り込んできた壬早樹の舌を躊躇いなく自分の下で絡めて受け入れた。
 都把沙が初めてでどうして絶頂を感じたのか、判った気がした。あれは女のモノではなく、男がする絶頂なのだ。男は破瓜の痛みなど関係なく射精によって簡単にオーガズムを得られるので、快感を共鳴した壬早樹のオーガズムを都把沙も受け止めてしまったのであろう。もっとも女のそれを都把沙はまだ知らないので、それが正解かどうかは判らなかった。何より、さざ波のように来る快感は、都把沙の理性を著しく削り取ってしまい、そんなコトを冷静に考える余裕などなかった。浩之と壬早樹と、愛し合うコトだけが全てであった。
 やがて、浩之は二度目の絶頂を壬早樹の中で果たした。


 行為を終えた気怠さの中、浩之を挟んで同じベッドに、壬早樹と都把沙が横たわっていた。

「……んー、三人はやっぱり狭いかな?」

 浩之が苦笑して訊くと、都把沙と壬早樹は申し合わせたように浩之の身体に抱きついて見せた。

「……このままで居たい」
「浩之の肌、温かいし」

 挙げ句、頬ずりまでされて、浩之は無性に照れくさかった。

「……なぁ、壬早樹」
「?」
「…………良いだろ?自分が幸せになるってコト」

 訊かれて、壬早樹ははにかんだ。照れくさいのだろう。

「藤田くん、壬早樹ちゃん」

 都把沙が微笑みながら訊いた。

「「何?」」
「…………みんなで、幸せになろうね」
「…………ああ」

 壬早樹は頷き、浩之は壬早樹と都把沙の頭を優しく撫でて応えた。


               エピローグへつづく