【ご注意】この創作小説は『ToHeart』『雫』『痕』『こみっくパーティ』『WHITE ALBUM』『DR2ナイト雀鬼』『フィルスノーン〜光と刻〜』(Leaf製品)の世界及びキャラクターを片っ端から使用し、サンライズ作品『勇者王ガオガイガー』のパロディを行っております…って逆か(^_^;Leaf作品のネタバレも含みますのでご注意。
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
【承前】
「?!」
はっ、とする黒いマルチ。同時に、マルメイマーを包み込む〈The・Power〉の光が、黒いマルチを飲み込んだ。
「お前は――――」
「戻りましょう――わたしに」
そう言ってマルメイマーは微笑んだ。
〈The・Power〉の光が、辺りを包み込んだ。眩い光の中心で、黒いマルチがその笑みを見て戸惑い、やがて何かを悟ったように変わったその穏やかな貌は、余りの光量の所為であかりたちには見るコトは叶わなかった。
やがて、〈The・Power〉の光が消えた。その中心では、眠ったように動かなくなった黒いマルチを抱きしめているマルメイマーが居た。
『……マルチ』
今までマルメイマーに全てを任せていた浩之は、ようやく問いかけてみた。
『……終わったか?』
「……はい」
マルメイマーは微笑んで頷いた。
『……あいつのボディだな』
浩之は、マルメイマーが抱きしめている黒いマルチを電脳回線越しに見た。多少、破損が見られるが、ヘルアンドヘヴンを受けたオゾムパルスブースターの核であるメイドロボットたちと同様、五体満足であった。しかしその中には、何も残っては居ない。元に戻っただけなのだ。
「……彼女、いえ、わたしの心の闇はまたわたしの中に戻りました」
『…………では、お前は……』
「……大丈夫です」
マルメイマーは頷いた。
「……だって。…………これが“こころ”なんですから」
マルメイマーは嬉しそうに――誇らしげに微笑んでみせた。もう心の迷いなど無いように。
『そうか。……終わったな』
浩之はそう言って伸びをした。
だが、昏い想いはそれでも晴れなかった。
おそらく、あかりや綾香たちも――。
先ほどから降り始めた雨は、激闘で熱くなっていたマルメイマーのボディを冷却し、湯気が立っていた。
その向こうで、霧風丸は、ある方向を見つめていた。
そこは、TH参式の残骸であった。雨によって残骸を燃やし続けていた火は鎮火され、無惨な姿を縦線の中に覗かせていた。
「…………太田さん」
霧風丸は、その残骸の手前で膝をついている香奈子の姿を見つけていた。濡れ鼠の香奈子は雨空を仰いだままであった。
雨は通り雨であった。まもなく雨雲は去り、雲間から太陽の陽射しが注がれた。
* * * * *
「……ミスタの、いえ、月島拓也の遺体は見付かりませんでした。艦橋周辺がそっくり蒸発していて…………恐らく、直撃を受けた際に一緒に蒸発してしまったものと…………」
「…………そう、か」
TH参式の残骸を捜索していたMMM隊員の報告を受け、長瀬主査はやり切れなさそうに溜息を吐いた。
「…………祐介」
長瀬主査は天を仰いだ。彼はそこにいるかと――。
「…………香奈子」
TH参式の残骸の前で、毛布を纏い、ポツンと座っていた香奈子に、その姿を見つけた瑞穂が呼びかけた。
香奈子は、呆然としたまま何も応えようとはしなかった。
ミスタがこの破壊された飛空挺に乗っていたコトは、先ほどMMMの関係者から聞かされていた。月島拓也の死が、香奈子にここまで強いショックを与えるとは思いもしなかったので、瑞穂は少し戸惑っていた。
そもそも月島拓也は香奈子を苦しめていた張本人ではないか。香奈子を復活させたのは、月島拓也の中にいた長瀬祐介の力であったハズ。――瑞穂のミスタに対する認識はそれぐらいであった。だから、香奈子のこの焦燥ぶりがとても不思議でならなかったし、どう言って慰めてやればよいのか、判らなかった。
「……ねえ」
そんな時だった。突然、香奈子が残骸を見つめたまま、瑞穂に訊いてきた。
「な、何?」
「…………人手、居るんでしょう?」
そういって香奈子は立ち上がった。
「直ぐ着替えて手伝うね」
ゆっくりと向けられた香奈子の顔は、少し汚れて疲れているようであったが、微笑んでいた。
「香奈子…………」
「大丈夫」
香奈子は頷いた。
「…………あの人はもう居ないけど…………想いはここにあるから」
そういって香奈子は自分の胸に手を当てた。
(頑張っているね)
それだけでいい。香奈子はもう前に進めるのだ。
* * * * * *
「……予想外の戦力ダウンですね」
自衛隊出向組のリーダー、霜川は、着陸したTH4号から降り、上陸した戦術飛空挺の乗員であるMMM隊員に、災害救援活動の経験を活かし、救援活動を指揮していたが、ようやく落ち着きを見せて一服していたところへ、あの鷹橋が声を掛けてきた。
「おつかれさま。しかしよりにもよって参式を失ってしまうとは……」
「こちらとしては都合が良いのですがね」
そういって鷹橋は、にやっ、と笑った。
「フォロンが巨大すぎたのが僥倖でした。参式に積まれていたフォロンのバックアップから再構築し直し、システムのファイアウォールを復旧するのに時間がかかるのは必至。そのどさまぎでデータを収集するんですよ」
「ふむ。確かにそう考えると都合は良いが…………」
霜川は、納得してみたが、しかし鷹橋が浮かべた笑みにどこか釈然としない何かを感じていた。
「何、大丈夫ですよ。――これも、人類のためですから」
もう一度、鷹橋は笑った。
その笑みはどこか、人離れした――――
(画面フェードアウト。ED:「それぞれの未来」が流れ出す)
第23話 了
「東鳩王マルマイマー」第3部激闘編 完
【次回予告】
君たちに最新情報を公開しよう!
長きに渡る人類原種との抗争に、遂に終止符が打たれようとしていた。
大東京を包み込んだ、恐るべき光の壁の正体は一体?東京一千万人の人々の命運は?
今、我らがMMMの勇者たちと、全人類の〈鬼界昇華〉を目論む鬼界四天王との最終決戦が始まろうとする中、予想だにしなかった敵が、勇者たちを窮地に追い込む!果たしてマルチたちの運命や如何に?
東鳩王マルマイマー・最終章〈FINAL〉!
第24話「大東京消滅!」
次回も、ファイナル・フュージョン承認!
勝利の鍵は、これだ!
「あかりの薬指にはまっている婚約指輪」
===+++===
えー、ARMです。流石にマルマイマー、今世紀中の完結は無理でした(苦笑)が、ギリギリ、最終章前の第3部は完結出来ました。ここまでで、パート単位で138話分。第1話のアップのタイムスタンプが97年9月8日、3年という長期の投稿作品でした。残すは最終章の7話分(詳しくはうちのマルマイマーコンテンツ参照)ですが…………最終章の幕開けは、ちょっと時間下さい(泣)。
色々と事情がありまして、例のサンライズの「良輔塾」で入選した「特捜電警ヴァルナー」のアニメ企画の進行とか、水面下でやっているあるゲームの仕事とかありまして、それ以外にも一次創作のネタがポコポコ出てきて、小説にしろ別のメディアにせよそれらを発表できるよう整理したいと思ってます。結構マルマイマーって話、バカなワリにパワー使うんです(^_^; まぁLeaf作品二次創作SSのネタも幾つか思い付いていまして、中にはムラのあった「矢島の事情」を再構成し直したいというのもありますが(昔から言っていた 「月は、太陽に」はちょっと長すぎて結局挫折しましたが(汗))、そちらにもパワーを傾けたい(出来ればネタが劣化しないうちに)と思ってます。
少なくとも、来世紀中にはマママは完結するハズです<ぉぉぉ まずはもう暫くのお付き合いをm(^^;)m