「カードマスターピーチ・デュエルはっぱーズ」パイロット版 投稿者:ARM 投稿日:7月24日(月)00時03分
【ごあんない】この創作小説は『ToHeart』、『こみっくパーティ』、『まじかる☆アンティーク』他(Leaf製品)の世界及びキャラクターを片っ端から悪よ(大宇宙の意志、発動)……を使用した、LFTCG小説となっています、多分。
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「カードマスターピーチ・デュエルはっぱーズ」パイロット版

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 ヒロイン、外道寺モモは、異次元生命体のヘモヘモに精神的な隷属の立場にある、この世でもっとも不幸な魔法少女である。
 そもそも、普通の、ちょっぴりからゆいS学生だったモモは、突然出現したヘモヘモに、親友の佐川チハルを人質に取られ、無理矢理魔法少女にされてしまった。
 ヘモヘモへという異次元生命体は、世界恒久平和という途方もない妄想に取り憑かれたUMAである。そのくせ金銭感覚は実にシビアなのだが、そんなヘモヘモに先んじて、世界平和を目指している謎の秘密結社『煎る美奈亭』の野望を叩き潰さんと、たまたま見かけたモモにその大罪もとい大役を押しつけてしまったのだ。
 かなりの知略家であるヘモヘモは、まずモモを騙くらかして、労働基準法をバリバリ無視した雇用契約書にサインさせた。その契約を終えるためには、3年の契約期間をまっとうするか、150万ドルの違約金を、額に十字の傷を持つこわもてのにーちゃんに支払うしかないのである。当然、S学生のモモには身体を風俗に売ってもそんな大金稼げるハズもなくって言うかS学生が働けるかっつーの……こほん、失礼。
 勝てば官軍、とばかりに、まるでその昔、コンプティークの付録に載った、核兵器を必殺技に持っていた宇宙刑事小説の如く、勝利の手段を選ばせてもらえぬモモは、公共の福利の名の下に、ご近所ばかりか地球規模で迷惑をかけてしまう有様。親兄弟には泣かれ、自分を信じてくれていた親友のチハルは、ヘモヘモの策略で、モモに裏切られたと信じ込み、挙げ句モモいじめに快感を見出すわ、憧れの先輩・眠兎(ミント)までもが騒動に巻き込まれて行方不明。四面楚歌のモモは、いつか訪れると信じている幸せの日を、身も心も傷だらけになりながら待ちわびているのであった…………!

 モモが使う武器は魔法のカード。魔法のカード呼ばわりされているのに、ちょっとばかし、「ティー○イ東京」とか「LEAF FIGHT TRADING CARD」とか、別の意味で不穏当な単語が書かれているが、まぁ誰も気にしていないので無視する。
 ところが、ある日――。

「――――ぐはっ!」

 モモの同級生で、モモと同様、魔法のカードを金の力にあかせて集めていた華僑の小倅である小龍が、車田漫画のやられっぷりよろしく、宙に飛ばされ、手に持っていた魔法のカードをばらまきながら血反吐を吐いて地面に突っ伏した。

「お……お前は…………」
「ボクの勝ちですね――『ティリア』のカードは貰っていきます」

 小龍の側に立った、白い詰め襟の学生服姿の、丸眼鏡を掛けた金髪の少年は、にっ、と屈託なく笑うと、小龍が手にしていた『ティリア』のカードを掴み取り、左手に装備している、三日月の形をしたカードホルダーにそれを収めた。

「ち……畜生アルネ」
「そーゆー人種差別的語尾は危険だから止めなさい。……君の実力では、レアな『LFTCG』は宝の持ち腐れです。――さて、残りのレアカードはどこにあるかな?」
「レ……レアカード?」
「そう。――この街に、『ルミラ』のカードがあると、この千年アク――」
「そこから先は著作権が煩いからゆうなアルネ」
「……失礼。この、『黄金の亀○万○堂ナ○ナ』が示しています」

 そういって金髪の少年が差し出したのは、金箔で覆われているが、紛う事なき『ナ○ナ』。

「これは、近くにレアカードがあると、自然に金箔で覆われる仕組みになっています。さぁ、大人しくその在処を教えなさい」
「……無駄、さ」

 小龍は突っ伏したまま、不敵そうに笑った。

「無駄?」
「それを持っているのは恐らくあいつアルヨ――『カードマスターピーチ』!」


「へっくしょん!」
「あら、モモちゃん、風邪ですの?」

 佐川チハルと下校中、いきなり得体の知れない悪寒に襲われた外道院モモは、勢い良くくしゃみをした。

「んー?変だなぁ……」
「きっと、ロクでもない噂をゆっている人がいるんですわ。例えばモモちゃんの(ぴー)をぶち抜いてやるトカ、モモちゃんを(ぴー)まみれにしてやったとか吹聴しているトカ」
「…………」

 屈託のない笑顔でとんでもない単語を羅列するチハル。大財閥の跡取り娘で、小さい頃から帝王学とともに性教育もしっかり叩き込まれている彼女は、しかしその意味を何となく程度でしか知らない耳年増であった。もっとも最近は、友達兼奴隷と化しているモモ相手に“実践”して、それらの知識を検証しているので、多少なりとも自信はある様子である。
 一度は、ヘモヘモの策略で仲違いさせられた二人だが、ある事件でキレたチハルが心の底にある暗黒面、『貧乳主義』に目覚め、その結果、奴隷扱いだが昔のような仲の良い関係に戻っていた。噂では、ヘモヘモから大金を払ってモモの身請けをしてので、ヘモヘモが前のようにしつこく仲違いを狙うようなマネはしなくなっていたとか、別の噂では、チハルの策略によってヘモヘモは恥ずかしい写真を撮られ、それをネタに脅迫して、モモの奴隷の権利を取ったという話もあるが、いずれも定かではない。まぁモモにとってはどっちにしろ、変なコトはされるが、昔みたいに仲直りできたので、そんな裏事情などどうでもよかった。

「ところで、モモちゃん」
「?」
「この間、ゲットしたあの『ルミラ』のカードのコトなんですけど……」
「るみら?ああ、あの吸血鬼のおねーさんの力を持ったあれ?」
「はい。――実は最近、佐川財閥の極秘情報網に、気になる情報が……」
「何?」
「最近、モモちゃんと同じように、『ルミラ』のカードのようなレアカードを集めている人が居るそうです」
「カード?それって小龍クンのコト?」

 モモにとって小龍は、商売敵と言うか、同じ魔法のカードを集めているコレクター美少年だった。憧れだった憑城眠兎が、実はヘモヘモの相方で、東南アジア幼女買春ツアーの常連である品性下劣なロリコンだというコトを知り、幻滅していたところに現れた。
 モモの好みのタイプなのだが、実家が金持ちであるコトを鼻に掛ける守銭奴少年で、金儲けと地面に落ちた小銭の音以外には興味を示さない為、今ひとつ仲が進展しない。それでもモモは、小龍なら「あげちゃっても良い」かなぁ、とおませなコトを考えている。無論、ネンゴロになって既成事実を作り、小龍の実家に借金の肩代わりをしてもらおう、なんてコトは考えていないし、そこまでヤサぐれていない。

「それが、違うみたいなんです。小龍クンは黒髪でしょ?問題の人物は、私たちと同い年で、金髪で、白い詰め襟の学生服を着た――ほら、前から来るあの子みたいな」

 そういってチハルは、道路の向こうからやってくる少年を指した。
 そして二人は、彼が誰かを引きずっているコトに気付いた。

「小龍クン!」
「……キミが、カードマスターピーチこと、外道院モモくんですね?」
「「え――」」

 モモとチハルは一緒に驚いた。モモの正体はCIAですら掴めておらず――知られていたら、とっくの昔に米国陸軍特殊部隊によって家族もろとも皆殺しに遭っている――、一部の物しか知られていなかったハズであった。

「まさか――」
「ボクはエリアル・長瀬。――『LFTCG』を集め回る使命を持つ者。カードマスターピーチ、キミが持つ『ルミラ』のカードを戴きに来た」
「戴き、って…………で、でも、これは、ヘモヘモとの約束で、すべてのレアカードを集めて封印するって――」
「キミでは無理だ」
「無理……無理は承知なんですけど、でも集めないとヘモヘモに酷い目に……そ、それに、秘密結社『煎る美奈亭』を打倒する使命も……」
「あ、『煎る美奈亭』なら、ボクが乗っ取った」
「乗っ取っ――――」
「ええ」

 エリアルは、にこり、と笑い、

「世界平和、だなんて、あんな偽善的なコトをいう莫迦たちは、この世にのさばらせておいてはならないのです。まず幹部たちを一人残らず抹殺し、続いて彼らの一族郎党を、女子供容赦なく、下っ端たちの目の前で公開処刑して、ボクの怖ろしさを叩き込みました。死体はすべて、臓器売買組織に売り払い、物理的にも復讐を図るものは誰もいなくなりました。今や、『煎る美奈亭』には、ボクに逆らうヤツは誰もいません」
「「…………」」

 これまた、新たな鬼畜野郎が登場したものだ、とモモは呆れた。そして、アタシの周りの男達にはまともなヤツはおらんのか、と嘆いて仰いだ。

「ボクは味方には優しいですよ。大人しく『ルミラ』のカードを渡して下さい。無論、それなりの代価もお支払いいたしますよ。何なら借金の肩代わりも……」
「え?!……えーと、どうしようか(わくわく)」
「誰が渡すものですかっ!」

 心が揺れ動くモモの前に、突然チハルが立ちはだかり、エリアルを指して言い放った。

「カードマスターピーチは、腐っても世界平和の戦士!あなたみたいな鬼畜野郎の思い通りなんかさせてたまるものですかっ!」
「ちょ、ちょっとチハルちゃ――」

 大見得を切るチハルに驚いたモモが、チハルを止めさせようとした。ところが、狼狽するモモを横目で見るチハルの顔に、モモは戦慄した。
 嗤っていた。いじめっ子が、いじめられっ子が困っている様を楽しんでいる、サドの目であった。

(し、しまったぁ!)

 最近は大人しかったが、やはりチハルはモモいじめを忘れていなかった。モモが困るたびにする、ふみゅーん、という困り顔を見るのが何よりの快感だ、とモモを前にして平気で言い切るチハルは、モモにこの鬼畜小僧と闘わせ、ふみゅーんな顔を堪能しようと図ったのだ。

(ふっふっふっ、モモちゃんの未発達な性感帯をいじり廻されて喘ぐ姿もなかなかですが、やっぱりモモちゃんは、困った時の、ふみゅーん、が、わたしにとって最大のエクスタシーですわん♪)

 モモ、すっかり油断していたが、四面楚歌の状況は何ら一つも解決していない現実に途方に暮れた。

「……その正義に震える情熱、よぉく判りました」
「判んなくていいですぅ(泣)」

 嘆息するエリアルに、モモは、ふみゅーん、な顔をして困った。その横では、モモのふみゅーんな顔で欲情しているチハルが居たが、モモは敢えて無視した。

「……それでは、お互いのカードで勝負をしましょう」
「カードで勝負?」
「こう言うコトです」

 そういうと、エリアルは昏倒している小龍を放り捨て、左腕に三日月型カードホルダーを装着した。

「そのカードホルダーは!」
「はい。――カードマスターのみが使いこなせる、LFTCGカードホルダーです」

 そう答えたエリアルは、ホルダーの中から魔法のカードを7枚取り出し、マウントボックスにセットした。

「マウントボックスに、レア、コモンとわず、カードを装着するコトで――」

 次の瞬間、エリアルの前に、なんとホログラフで作られた光の幻影が現れた。

「それは――『月島瑠璃子』に『ティリア』!」

 エリアルの前には、その二人だけではなく、『月島拓也』と『柏木楓』そして『セパスチャン』も現れていた。

「キャラカードを操り、バトルする。――カードマスター同士のバトルはそうやって行われていました。キミを魔法少女に仕立てたヘモヘモは、そう言わなかったのですか?」
「ヘモヘモのコトまで…………」
「モモちゃん!バトルしましょう!さぁ、変身ですっ!」
「え?あ?その、あの」
「さぁっ!」
「ふええええんっ(泣)わーかったよぉっ!だから、その借用書をこれ見よがしに見せないでぇぇぇっ!」

 モモは半べそを掻きながら、お腹を出した。するとそこには、光の風車が輝きながら回転する変身ベルトが(笑)。佐川財閥がパテントを取って玩具化もしている、カードマスターピーチ変身ツールである。

「超変身っ!マルチフォームっ!」

 光の風車が赤く光り、モモはカードマスターピーチに変身する。チハルとの和解で、カードマスターピーチは佐川財閥の所有する軍事研究所の協力で更なるパワーアップが施され、デフォルトであるピンク色のマルチフォーム以外にも、光の風車が紫色に光ると重装甲のタイタンフォームに、緑色に光ると高感知能力を特化したペガサスフォームに、そして青色に光るとスピードを特化したドラゴンフォームの衣装に着替えるコトが出来るのだ。

「勝負です、エリアルさん!」
「いいですとも。カードマスターピーチ、あなたが負ければ、あなたの持つレアカードの全てと、あなた自身を戴きます」
「……へ?」
「つまり、奴隷です」
「んがっ」

 モモ、思わず転ける。

「まぁ、モモちゃん、はしたないですわん」
「……チハルちゃん、この鬼畜クンに何か言ってやって(泣)」
「わかりました。――モモちゃんの純潔はわたしが戴きますわん。その後は、臓器を売り払おうが公衆便所に仕立てようがお好きなように♪」
「…………どいつもこいつも人でなしばかり」

 自分の身は自分で守る。人生わずか11年で、生きるコトはサバイバルであるコトを痛感するモモであった。

「もーこうなったら、全力でっ!『ルミラ』さん、『あかり』さん、『琴音』さんっ!ついでに『マルチ』と『沙織』さんっ!」

 モモがカードをホルダーにセットした途端、その5人の幻影がモモの前に現れた。

「ほう、強力なメンツが揃っていますね――そろそろかな」

 とエリアルが感心したその時であった。遠くから土煙を上げながら、エライ勢いで駆け寄ってくる、蝶ネクタイをした白髪頭の老紳士が現れた。

「――わたしはっ、LFTCG公認審判、伯斗龍太郎デス!このLFTCG勝負、公式LFTCGとして認定させていただきますっ!双方、合意と見てよろしいデスネッ!では、それぞれのヒットポイントを確認させていただきマスっ!エリアル選手は、リーダーキャラとして設定した『ティリア』が7Pの倍で14P、『月島瑠璃子』が5P、『月島拓也』が5P、『柏木楓』が5P、そして『セパスチャン』が6P、合計35Pが初期ヒットポイントデス。対するピーチ選手は、リーダーキャラとして設定した『ルミラ』が5Pの倍で10P、『神岸あかり』が5P、『姫川琴音』が5P、『HMX12型マルチ』が6P、そして『新城沙織』が6Pの合計32Pがヒットポイントになります。それでわっ、LFTCG、ふぁいっ!」

 どこからともなく現れた審判が、カードマスター同士のバトルを宣言した。

「ヒットポイントが少ない方が先攻です。カードマスターピーチ選手、どうぞっ!」
「それならっ!まずは、リーダーカードを消費して、あかりさんを召還っ!」

 モモがホルダーからあかりのカードを、マウントボックスから引き抜き、その上に重なるように用意されているバトルマウントに差し込んだ。するとルミラとあかりが一歩前に出た。

「では、ボクは柏木楓を召還」

 するとエリアルの正面にいる楓が、ティリアと一緒に一歩前に出た。

「これで互いの初回フェイズ終了――さぁ、ピーチ、どう来ます?」
「キャラは回復――無論、バトル!」

 そういってモモは、バトルカード『料理』を取り出した。

「こちらはあかりさんでいくわ。そちらはリーダーのティリアさん以外お相手できないね」
「感性勝負ですね――攻撃力は、あかりの感性は3、料理の特殊能力でさらに2プラスの5。防御も同じ。一方、わたしのルミラは、感性が1。5対1で4のダメージ。10Pに下がってしまいましたね」
「こちらは無傷、へっへーんだ♪続いて、ルミラを消費して、マルチを召還!フェイズ終了よ」
「それでは――」

 エリアルはティリアと楓を回復させ、その二人を消費して、他人のダメージを引き受ける特殊能力を持つセバスを召還した。

「盾を出したわね――なら、あかりさんを消費して、『エプロン』を――」

 と、手札のアイテムカードを、あかりのカードがマウントされているバトルマウントに装備したその時だった。なんと幻影のあかりが、男の浪漫(枕詞)『裸エプロン』状態になったのだ。

「なっなっなっ?!」
「おや、『料理』バトルで感性を2上げる『エプロン』ではなく、根性を2上げる代わりに他のステータスを2下げてしまうカースカード『裸エプロン』をセットしてしまうとは」
「――なんでこんなカードがっ!」
「あ、それ、わたしが混ぜておきました♪」

 とにこやかに答えたのはチハルであった。

「つーか、なんでこんなカードが存在するのっ!?」
「おや、知らなかったのですか?」

 へ?と戸惑うモモに、エリアルは手札の中から一枚とりだし、それをモモに見せた。

「…………ぶるぅあいずどらごん?――な、なんじゃあそらっ?!違うカードが混ざっているっ?!」
「違います。――我々カードマスター同士のバトルでは、魔法のカードは本来の姿に戻ります。これは、一般の人間が持っている間は日吉かおりのカードの姿を取っていますが、このような特別なバトルでは、我々の力が反映されて、本来の姿が持つ力を発揮できるです」
「そ、そんな……」
「しかしそれは、ボクばかりではなく、ピーチ、キミのカードも変化しているのです。手札をもっとよく見るべきでしたね」
「そうそう、モモちゃん、それを混ぜた時に、色々凄いものを見かけましたわ。もう、一発で相手を倒せるくらいのヤツがゴロゴロ」
「ど、どんなカードか教えて!」
「うふ。――それは、ひ・み・つ」

 にこやかに微笑むチハルを見て、モモはグーで殴ったろか、と心の中で呟いた。

「は、外したいよぉ」
「カースアイテムカードは、そのフェイズでは外せません。かつ、外す為には、つけた時の倍のコストを支払います」

 審判は鼻血をだらだら流しながら答えた。視線はあかりのお尻に釘付けであった。

「うぐぅ(泣)」
「まだ消費ポイントはありますよ」
「うーん……」

 モモは渋々、ルミラを消費して手札カードを一枚ドロー(取る)して、それを見た。

「……モモちゃん、何を硬直しているの?」
「あ、いや、その、――とりあえず伏せ」

 モモは赤面しながら、取った手札を伏せた。

「それではボクのターンですね。――バトル」
「へ?」

 エリアルは、手札からバトルカードを取り出した。

「――『精霊パワー回収』のバトルです」
「はぁ?」

 また、初めて見るカードに、モモは戸惑った。

「このカードは、ティリア限定、相手のキャラカードに男性が居ない場合限定のバトルカードで、相手の手札にある女性キャラとHし、力と根性の合計値を比較し、勝った方が相手の気力を根こそぎ奪います」
「そ、それじゃあ――」

 ティリアの力は4P、根性は3P、合計7P。対するモモの手札にいる女性キャラは、ルミラが、力と根性がともに2Pずつの4P、マルチが、力が1P、根性が5Pの合計6P。そしてあかりが、裸エプロンの影響で、力が2Pマイナス2PでゼロP、根性は2Pプラス2Pで4P。全員、ティリアの攻撃に耐えきれるハズもなかった。そして致命的にも、ルミラがリーダーキャラで、この攻撃に負けたらその時点でモモの負けが決定するコトになる。

「これで勝負あったようですね」

 エリアルは勝利を確信し、微笑んだ。天使のような笑みの下では、奴隷となったモモをどうしてくれようか、考えているのであろうか。
 ――だが。

「……世の中、何が幸いするか分かんないもんだね」

 憮然としながらそう言ってモモは、伏せていた、先ほどドローしたカードを表にした。
 それは罠カードで、『第2ラウンド』という名称であった。

「手札にあかりさんがいて、Hなバトルが発動した時、この罠カードが発動し、リーダーキャラに優先して対戦可能となり、感性と根性に現在の気力値が加わる。――つまり、4Pの根性に気力が5Pプラスされて、一気に9P。ティリアさんより2P勝るね」

 思わず硬直するエリアル。モモが赤面した理由はまさにそれであった。

「――エリアル選手のリーダーキャラ、ティリア、『精霊パワー回収』バトルが罠カードにより気力がゼロ!勝負アリ、勝者、カードマスターピーチ選手っ!」

 カンカンカンカンッ!どこからかゴングの鳴り響く音が木霊した。エリアルはその音の中でがっくりと地に膝を付けて項垂れた。

「……あっぶなぁ(汗)」
「良かったですわねぇ、モモちゃん……ちぇ」
「…………あのぉ――あ?」

 呆れ返ったモモは、次の瞬間、エリアルの姿がいつの間にか消えているコトに気付いた。

「はーっはっはっ!流石はヘモヘモに見込まれただけのコトはあるね!勝負は勝負、ティリアのカードはキミに預けよう。しかし、今度会った時は、キミもろとも、カードを全て戴くよっ!はーはっはっはっ!」

 ティリアのカードと捨て台詞を残して姿を消したエリアルを、モモとチハルは目で追い求めたが、既にその場から立ち去った後であった。

「強敵、出現ですわね、モモちゃん。きっとまた、モモちゃんの貞操を狙って現れると思いますわ」
「うぐぅ(汗)あたしって、あたしって…………なんて不幸なのぉ〜〜〜〜っ!誰かあたしに幸せをちょうだいっ!」
「幸せかどうかしらないが、天国ならいつでも♪」

 と、いつの間にかモモの背後に現れた眠兎が、モモの服を後ろから脱がせ始めた。

「またこのオチかーいっ!」

 新たな敵の出現に、モモたちは波乱が待ち受ける戦いを予期する。がんばれモモ、負けるなカードマスターピーチ!セクハラな周囲にめげず、カードバトルを勝ち抜いて、幸せな結婚が出来るまで純潔を守り通せっ!(笑)

「そ、そんな、……あん、駄目――無理かもしんない(泣)」

           をわり。

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