カードマスターピーチSP「葉っぱ魔女っ娘・嵐の決戦!」 投稿者:ARM 投稿日:5月25日(木)21時35分
【ごあんない】この創作小説は『ToHeart』、『こみっくパーティ』、『まじかる☆アンティーク』他(Leaf製品)の世界及びキャラクターを片っ端から悪よ(大宇宙の意志、発動)……を使用しており、決して某コスプレチックな魔女っ娘のパロディばかりではありません(笑)、Uhehehe(≧▽≦)/
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 この世で一番泣けるモノは何か。

 そう尋ねると、一部のおおきいおともだちなら最近は「可」とか「K」の字が付くゲームを上げてくるだろう。
 しかしそれ以上に泣ける存在を、君たちは知っているだろうか?

 その名も、『カードマスターピーチ』。

 ヒロイン、外道寺モモは改造人間であ……ってこれ台本ちゃうやん。…………そーそー、それそれ。まったくアケミちゃんたらうっかりさんなんだから…………え、それ以上言うとセクハラ?ヌカせっ、そんなんでセクハラ呼ばわりするなら、こうして…………え、マイク入っている?

 ――こほん。失礼しました。take2……判っているよ、生だってコトはよ。

 ヒロイン、外道寺モモは、異次元生命体のヘモヘモに精神的な隷属の立場にある、この世でもっとも不幸な魔法少女である。
 そもそも、普通の、ちょっぴりからゆいS学生だったモモは、突然出現したヘモヘモに、親友の佐川チハルを人質に取られ、無理矢理魔法少女にされてしまった。
 ヘモヘモへという異次元生命体は、世界恒久平和という途方もない妄想に取り憑かれたUMAである。そのくせ金銭感覚は実にシビアなのだが、そんなヘモヘモに先んじて、世界平和を目指している謎の秘密結社『煎る美奈亭』の野望を叩き潰さんと、たまたま見かけたモモにその大罪もとい大役を押しつけてしまったのだ。
 かなりの知略家であるヘモヘモは、まずモモを騙くらかして、労働基準法をバリバリ無視した雇用契約書にサインさせた。その契約を終えるためには、3年の契約期間をまっとうするか、150万ドルの違約金を、額に十字の傷を持つこわもてのにーちゃんに支払うしかないのである。当然、S学生のモモには身体を風俗に売ってもそんな大金稼げるハズもなくって言うかS学生が働けるかっつーの……こほん、失礼。
 勝てば官軍、とばかりに、まるでその昔、核兵器を必殺技に持っていた宇宙刑事の如く、勝利の手段を選ばせてもらえぬモモは、公共の福利の名の下に、ご近所ばかりか地球規模で迷惑をかけてしまう有様。親兄弟には泣かれ、自分を信じてくれていた親友のチハルは、ヘモヘモの策略で、モモに裏切られたと信じ込み、挙げ句モモいじめに快感を見出すわ、憧れの先輩・眠兎(ミント)までもが騒動に巻き込まれて行方不明。四面楚歌のモモは、いつか訪れると信じている幸せの日を、身も心も傷だらけになりながら待ちわびているのであった…………!


「…………何や、この気配?」

 その奇妙な感覚を最初に覚えたのは、ヘモヘモだった。

「…………何やしらんが、ものごっつぅパワーをこの街から感じる……」
「ヘモヘモ〜〜(泣)、明日、あたし、学校の書き取りテストなんだぁよぉ。だから今日はもう帰してぇ…………」

 ほんの一時間ほど前まで、太平洋上で米国艦隊と一戦交えていた(ちなみに勝利の決め手は「にゅーくりあぱわー」)カードマスターピーチは、夕暮れの街の上を〈ふらい〉のカードで飛びながら、半べそで言った。

「――やっかましわっ!おんどれはわいの奴隷なんやでっ!うだうだうたってっと、フロに沈めたるどっ!」
「S学生を雇ってくれるお風呂屋さんなんて聞いたコト無いよぉ……」
「フロはフロでも泡の国の風呂屋やっ!ンナもん、いちいち訊くなよこのド阿呆っ!」

 互いに指しているモノは限りなく別のモノなのに、会話が成立してしまうのが何とも。

「――んなコトより、モモも感じへんかぁ?」
「感じる?――感じる、って、チハルちゃんがこのあいだ私の胸触りながらハアハアいってた、セーカンタイがどうのこうのとかいってたアレ?」
「…………まさかおんどれ、チハルとネンゴロになってへんやろなぁ?」
「ネンゴロ?」

 無論、一連の固有名詞や形容詞は、S学生のモモには到底判るハズもない。そして、自分が周りから、歳に見合わぬ酷い目に遭わされているのかも。なんとも哀れである。

「そうやっ!おんどれをゆくゆくアダルト業界へ売り飛ばす前に、価値下げられたらたまったモンやないっ!――チハルめぇ、赤飯もまだなガキのクセに、いっちょまえに盛りおったかっ!?…………まぁあれだけサドっ気が出たら、ガキでも欲情するか……!」
「???」

 しつこいようだが、モモはヘモヘモの言っているコトは判らない。判っていたら、絶望しかない未来を儚んで、とうに舌噛んで自害しているだろう。

「それはそれとしてっ!この街のどこかに、どえりゃあパワーを感じるんだぎゃあ」
「……ヘモヘモ、いつから尾張の人になったの?」
「わいも知るかっ!――あの下っ!あの商店街からだっ!ほらっ、いっちょ行くでぇっ!」
「はわわわわわっ!!?」

 ヘモヘモ、モモの髪を引っ張りながら、下界にある商店街へと降下していった。

(……ふっふっふっ。これこれっ、この魔力っ!――モモなんか比べものにならんわっ!――この魔力の主を騙くらかしてわいの手駒にし、モモと交代させ、モモを香港辺りのガキ好きな金持ちに売っぱらって大儲けしたろ〜〜〜〜♪)

 ちなみに、ヘモヘモは異次元生命体なので、その言動をロリ法(俗称)に照らし合わせて処罰するコトは不可能である。まさにモモ、地獄の一丁目真っ直中。


 来栖川芹香は、自宅近くの商店街にある骨董屋に、執事のセバス長瀬とともに居た。
 芹香はここで、ホウキの手入れを依頼していた。この骨董店の主である、神の手と噂される、セバス長瀬の古き友人――奇しくも同姓同名で顔まで似ている長瀬源之介は、骨董品の修繕に関して優れた技術を持っており、芹香がコレクションしている黒魔術のアイテムなどはいつもここで修繕を依頼していた。
 しかし、何故ホウキなのか。一見、何の変哲もないそれが、芹香との関連性があるとは思いがたい。
 いや、無いコトもないが、だがそのようなコトはあり得るのであろうか。いくら芹香の趣味が黒魔術の探求であろうと。

「「――?!」」

 芹香がホウキを受け取った時であった。その邪悪な波動が迫り来るのを感じ取り、その貌に緊張が走った。

「…………芹香お嬢様…………これは…………」
「お主も気になるか」

 骨董屋の主人である長瀬源之介は、芹香の執事であり、この世界へ来た時に顔のモデルにさせてもらった老健に聞かれて頷いた。

「ああ。源五郎よ、これほどのパワーは、グエンディーナの王でも持っていないぞ。――しかもマイナス方向に、だ」
「負のパワーというヤツか。――って、芹香お嬢様っ!」

 同じ顔を見合わせていた長瀬コンビは、ホウキにまたがる芹香を見て驚いた。

「――この力は危険すぎます、だから、倒しに行って来ます……って、お嬢様ッ!」

 セバスに引き留められる芹香だったが、しかし芹香は制止を振り切り、――――あろう事か、ホウキに載って空へ舞い上がっていった。
 そう、「お嬢様は魔女」だったのです。


「ほう。――流石やなぁ、あんたも空とべるんかい」

 ヘモヘモは、下に見えた商店街から、ホウキに載って浮上してきた芹香を見て感心したふうに言う。

「……ん?わいか?きぃて驚くなよぉ、わいはなぁ、この世界に恒久的平和をもたらすべく、魔法の世界からやってきた救世主、ヘモヘモ様やぁ!」
「……救世主、って私じゃないの?」
「じゃっかわしぃっ!おんどれみたいなションベン臭いガキが、デカイ口叩くんじゃねぇっ!」
「ううう……救世主にもしてくれないのね……あたしってば、不幸〜〜」

 モモ、ふみゅーんな顔をして落ち込む。

「そーいうわけでな、あんたを正義の味方のしもべとしてスカウトしにきたんや!どうや、ギャラはこんなところで……」

 と、ヘモヘモがそろばん出して弾いていると、芹香はゆっくりと首を振った。

「……へ?金なんか要らない?――――腐るほどあるってぇっ?!」

 ヘモヘモ、唖然となる。

「……来栖川…………って、あのゲロ金持ちのお嬢さん?あんたが?」

 芹香がそう頷くと、おもむろにポケットから取り出した、パーマンセット宜しくちっちゃく畳んでいた鍔広の黒帽子を広げて被った。

「…………なに?スカウトの話なんて聞く耳持たない?それより、わいらの力が危険すぎるから、成敗するって?――――なめとんかワレッ!」

 相変わらず短気なヘモヘモ、直ぐにブチ切れて芹香を睨んで指した。

「ヒトが大人しゅうしとったらつけあがりよってっ!よーわかったわっ、ブッ潰したらぁっ!ブッ潰してイメクラに売り飛ばして、その澄まし顔に白いモんブチまけられて泣き入れても許さなんくらい、酷い目に遭わしたるわっ!」

 ヘモヘモの思考は、大金=風俗に売り飛ばす、というふうに直結しているらしい。無論、S学生のモモにはサッパリ判らない。
 芹香は、ヘモヘモの罵倒の意味が解っていた。つーか年下の彼氏と、執事に隠れて乳繰りあっているものだから、白いモンとかイメクラとかはそれなりに知識として持っていた。だから赤面した後、きっ、とヘモヘモを忌々しそうに睨み付けた。

「けっ、来るかっ!モモ、いてまえぇぇぇぇっっっ!!」
「え〜〜、でも、でもぉ」
「いいかモモっ!今からこいつは、世界の平和を脅かす魔女やっ!世界の平和を守るため、世界の救世主、カードマスターピーチの名にかけて成敗したれっ!」

 モモ、二度目のふみゅーん。正直、モモには正義の味方をしている実感は全くなく、むしろ世界を敵に回しているのは自分たちのほうでは?と、S学生ながら理解していた。
 一方、芹香は、この一人と一匹が、人類に危険な存在であると即座に理解した。だから、おもむろに鍔広帽から取り出したマントを羽織り、ゆっくりと呪文を唱え始めた。

「…………れーざー」

 ちゅどーんっ!詠唱が終わった途端、芹香の正面にある空間がねじ曲がり、重力レンズを生成した。そして、芹香の背後にまだあった太陽からの太陽光を集め、凹面の最深点からそれは発射された。いわゆる、レーザーである。

「「うわあっっ!!?」」

 芹香の重力レンズを利用したレーザー攻撃に驚くヘモヘモ&モモ。涼しい顔して、芹香、容赦ない攻撃を仕掛けてきた。呪文によって森羅万象の理を一時的・任意的に変化させてそれを攻撃に転化する、それこそ黒魔術の神髄であった。

「……ほーみんぐ」

 続いて芹香、別の呪文を詠唱しながら、懐からコルクで栓がされた小瓶を取り出した。

「……部分軌道爆撃系人工精霊・カスタムちゃんたち…………殺っちゃってください」

 そういって芹香は、コルク栓を引き抜く。するとその中から、七色に光る光球が飛び出し、モモたちに襲いかかってきた。

「な、なんやこれっ!?」

 どこかの怪しい通販で入手したものを、芹香の魔力によってパワーアップされた、霊的ミサイル能力を持つ不可視の仁侠妖術兵器である霊的ロボットは、逃げ回るモモたちを追尾攻撃し、命中して爆発していく。モモたちのヒットポイント激減。

「ううっ…………なんやなんやっ、このアマっ!ええぃくそぉっ、モモ、はよイテマエっ!」

 ボロボロのヘモヘモ、キレまくってモモの頭をぽこぽこ叩いた。
 しかしモモは、先ほど米軍相手に一戦交えたばかりで、疲弊は著しく、芹香の攻撃で身も心もボロボロになっていた。正直闘いたくない。モモは口にせず、情けない顔でヘモヘモにアイコンタクトを取った。

「…………何や、モモ。その嫌そうなツラぁわ?」
「だって…………だって…………もうヘトヘトだよぉ……(泣)」

 半べそをかいているモモの胸ぐらを、ヘモヘモが鷲掴みにした。

「えーかっ?おんどれはなぁ、借金のカタに魔法少女やっとるコト忘れたらあかんでぇ!ぐたぐた言うなら、今までのローン、利子含めて全額、この場で払って貰おうかっ!」
「そ、そんな…………!?あたし、お小遣いも貰えなくなっちゃたのよお!」
「おんどれを新大○保の夜の路上で毎日タチンボさせても一生払いきれない大金を、世界平和を守る魔法少女のギャラで払っているコト忘れたらあかんでっ!ほらっ、行けッ!」

 そう言ってヘモヘモ、モモの胸ぐらを掴んだまま、芹香のほうへ投げ飛ばす。不意を突かれた芹香は避けきれず、モモと衝突した勢いで墜落してしまった。

「きゃあああああっっっっ!!」
「あぶないっ!」

 地上へ激突する直前、突然飛来した黒い影がモモを抱き抱え、何事も無かったかのように着地した。芹香はそのまま地面に墜落して伸びてしまった。
 恐る恐る目を開けたモモは、自分たちを助けた謎の影の正体が、タキシードとマントを羽織った、美形の青年であるコトを知った。

「…………大丈夫だったかい、モモちゃん?」
「あ…………眠兎さんっ!」

 てっきりタキシード某かと思ったそれは、行方不明になったはずの、モモの憧れの先輩、憑城眠兎であった。

「……久しぶりで嬉しいんですが……なんか、もの凄い格好していません?」
「ははは。今回はスペシャルだからね。目立ったモノ勝ちさ♪」

 そう言って眠兎はマントをひるがえし、ポーズを決めた。モモはそれをみて、はにゃーん、と相好を崩した。

「ところでいったいどうされたんですか?」
「?――実は、ね♪」

 そう言って眠兎は、にぃ、と笑い、

「――キミを助けに来た♪」
「えっ…………?」
「ボロボロになっている、愛しいモモちゃんを見ているのが忍びなくてね……♪」

 その時の眠兎の姿が、モモには、白馬に乗って自分を悪い魔法使いから助けに来てくれた王子様に見えた。

「だってさ――――モモちゃんの、誰にも触れられていない綺麗な(ぴー)をブチ抜くのは、ボクなんだから♪」

 不穏当な単語は伏せられてしまったが、モモの耳にはしっかり聞こえていた。そしてそれがどういうコトか、S学生のモモでも知っていた。だって最近のS学生向け学習誌、そう言うコト平気で記事にするし(笑)
 いきなり婚前交渉の話を持ち出されたモモは、呆気にとられたまま硬直する。眠兎がこんなキャラだとは想像もしていなかったのである。っていうかARMオリジナル設定なので知っているはずもない(笑)。

「…………眠兎さん…………今、なんて…………?」
「判らなかった?なら、言うよりは実際に――――♪」
「あほんだらっ!」

 いきなりモモの服を上手に脱がせ始めた眠兎の後頭部を、ヘモヘモはどこから取り出したのか、巨大なハリセンで目一杯叩いた。

「……いったーい。なにすんのぉ?」
「ヌエっ!おんどれ、どうやら記憶を取り戻したようやが、相変わらずのツルペタ好きかっ!」
「失敬な。ボクはね、まだ未成熟の、女未満のちっちゃい女のコが、とってもどぉあいすきなだけなんだよ♪」
「そーいうのを、世間逸般では“ロリコン”ゆぅんやっ!この性犯罪者っ!」
「ちっちっちっ♪記憶を取り戻した今のボクはね、この世界の人間じゃない。だから、この世界の法律なんてしったこっちゃないんだよ」
「おんどれ…………エー度胸しとるやないけ(怒)」

 ヘモヘモは、覚醒したばかりの、その昔コンビを組んで色んな次元を渡り歩いた相棒の傍若無人極まりない言動に睨んでみせた。しかしヘモヘモ自身、他人のコトは言えた義理はない。

「ふーんふーんふーん♪ボクの、ちっちゃいこに対する至高の愛情の前には法律なんて関係無いのサッ♪――想像してみたまえ。まだお赤飯も前のちっちゃいおんなのこが、一糸纏わぬ姿で部屋の隅で震えているのを無理矢理押し倒し、その泣きわめき怯える声をBGMに、未発達の性感帯を一つ一つ、この指先や舌先で玩び、やがてそれが熱い吐息とともに恍惚の声に変わった頃を見計らって、濡れていようが濡れていまいがそんなの無視して一気に指し貫く。悲鳴と歓喜の声が入り交じり、暴れるままに任せている秘所から溢れる愛液が桃色に変わった時、一気にねじ込んでボクの熱いほとばしりを一番深いところにそそぎ込み、膣から溢れ出るくらいにたっぷりとそそぎ込む。その時の背筋を走る快感と来たら、もう口に言い表せない――――」
「まぢかるさんだ〜〜〜〜っ、三連発っ!!!」

 ちゅどーん、ちゅどーん、ちゅどーんっ!!!誰も介入したくないであろう、自分の世界に酔いしれている婦女子の最悪の敵めがけて、三本の巨大な稲妻が大気を走り抜ける。電撃の直撃を受けた眠兎は、黒焦げになりながら宙を不様に舞った。

「――何やつっ?!」

 突然の攻撃に驚いたヘモヘモは、稲妻が飛んできた方向を見た。
 そこには、ふん、と無い胸を張って大いばりしている、ワンピースを着たピンク色の長くボリュームのある髪を冠した少女が立っていた。その後ろには、セバスに肩車されている芹香と、憮然としている源之介も居た。

「…………ふぅ。まったく、急いできてみれば、婦女子の敵がなんかほざいているし」
「なんや、お前?」

 ヘモヘモが訝しげに訊くと、ピンク頭の少女は一層胸を張り、

「あたしは、グエンディーナからやってきた無敵の魔女、スフィー!この世界の平和を脅かす魔物がいるって聞いたから、成敗にやってきたわっ!」
「……本当は仕事サボりたかったんですよね」
「う」

 源之介のツッコミに、スフィー黙り込む。図星だったらしい。ちなみに仕事のし過ぎでスフィーの機嫌はすこぶる悪い状態だった。

「…………だってだって、けんたろ、リアンとばっかりいちゃついているんだモン!…………あたしの気持ち、もっと理解して欲しいのに…………しくしく」

 どうやらこの話では、リアンシナリオが進行中らしい。リーフワールドの絶対的法則である「ふきふき」には健太郎も逆らえなかったらしい。しかし過日公開された修正パッチを当てないと、肝心なところで立ちCGが抜けるので要注意しよう。

「それはそれとしてっ!うちのお得意さんの、来栖川のお嬢さんをよくもいじめてくれたわねっ!二度と悪さ出来ないよう――――」
「おおっ、なんと美しいお嬢さん♪」

 とスフィーに飛びついてその手を愛おしげに握りしめたのは、まぢかるさんだー三連発で黒焦げになった眠兎であった。

「な?なっ?!」
「いやー、こんなところでこんな美しいお嬢さんと出会えるなんて、なんて今日は運のいい日だろう♪」

 カミナリを喰らってもまだ懲りていない眠兎であった。

「お嬢さん……って、あの、その」

 黒焦げの煤を払い、造りのいいその貌を笑みで一杯にした眠兎に言い寄られ、スフィーは赤面する。言動こそアレだが、美形には変わりない。ましてや美しいお嬢さんと言われて喜ばない女のコは居ない。たとえ二十歳過ぎても、だ。(笑)

「どうです、お嬢さん?ボクといいところ、行きません?――死ぬほど素晴らしい天国をみせて上げましょう♪」

 ちなみに今の眠兎のセリフは不完全である。肝心なところをボカして口説いていたのだが、本来のセリフは、「死ぬほど」と「素晴らしい」の間に「始めはちょっと痛いけど」が、そして「素晴らしい」と「天国」の間に「ボクの(ぴー)で」が入る。

「…………相変わらずというか忠実なヤツっていうか。………………あいつ、失踪していたあいだ、きっとロクでもないところに行ってたんとちゃうか?」

 ヘモヘモの推測は正しかった。ヌエに覚醒した眠兎は、失踪していた間、インターネットの旅行系アングラサイトで見つけた、東南アジア・幼女買春ツアーに行って国辱的行為を晒していたのであった。きっと先に口にしたようなコトを、この美少年は実際にやってきたのであろう。

「…………ううっ…………あたしの眠兎さん、壊れちゃった…………!あたしってば、なんて不幸なのかしら………………!」

 すっかりロリの波動に目覚めた眠兎の姿に、モモは一人慟哭する。もはやモモに幸せな未来への道は閉ざされた(爆)。
 一方、冷静に考えればとんでもない男に言い寄られているスフィーだが、眠兎の色香と巧みな話術に、当初の目的を忘れてうっとりとしていた。

「……うーん、やっぱり良いわよねぇ。二十歳過ぎても女はいつまでもお嬢さんだよねぇ〜〜」

 スフィーが思わず洩らしたその言葉に、眠兎の顔が突然強張った。

「…………今、なんてゆいました?」
「ん〜〜?お嬢さんってゆわれるのが……」
「ちゃう。その前」
「ん〜〜?えーと、二十歳…………」
「…………一つ、訊いて良い?」
「何?」
「…………歳、いくつ?」
「ん〜〜、今年、二十一ぃ」

 スフィーがそう答えたのと同時であった。スフィーの両手を握っていた眠兎は、その手を払いのけ、けっ、とスフィーの足元に唾を吐いた。

「…………けっ。何でぇ、タダの若作りか」

 眠兎がそう吐き捨てた時だった。
 上空はにわかに暗雲が立ちこめ、ゴロゴロと雷鳴が轟き始めた。
 だがそれ以上に、眠兎を驚かせたのは、見る見る変わっていくスフィーの形相だった。

「…………誰が…………若作り…………ですって――――――――」

 そう言ってスフィーは、右人差し指で天を指した。
 するとその指先へ、暗雲から飛び出した稲妻が落雷した。落雷のエネルギーはスフィーの全身を輝かせ、帯電による膨大なエネルギーは、大気の空気をイオン化させた。

「…………必殺ぱわーっ!まじかるぶれいくっ!!」

 そう叫ぶや、スフィーは右指先を眠兎に向ける。するとその指先から凄まじい破壊力を持った電撃が発せられ、眠兎の額を撃ち抜いた。そして撃ち抜くばかりか、眠兎の身体を一瞬にして炭化させ、粉々にしてしまったのであった。スフィーの必殺技、まじかるさんだー系の最上級攻撃魔法は、物体の分子が持つ電子までも破壊エネルギーに変化させて目標物を分子レベルで分解する、恐るべきものであった。

「み、眠兎さんっ!」
「あ、あかんっ、モモっ!こないな既知外パワーなんぞ相手にしていられへんわっ!この場はひとまず逃げるんやっ!」

 愛する男の壮絶な最期に動揺するモモの襟を掴み、ヘモヘモは慌てて飛び去っていった。

「おんどれーっ!今度あったらけちょんけちょんにしたるで〜〜〜〜っ!」

 すっかり悪役の逃げ台詞をキメ、ヘモヘモはモモとともに逃げ帰ってしまった。

「ちぃ。逃したか」

 セバスは残念そうに舌打ちしてみせた。

「……え?お嬢様…………はぁ、今度あったら必ず、来栖川の総力を挙げて倒しましょう、とな?ええ、あんな人類の敵は――――」


「――あんな人類の敵、ほっとくわけにはいかん!モモ、おんどれ、もっとぱわぁあっぷに励めッ!」

 そう言ってヘモヘモ、鞭を振り振り、モモに腕立て伏せを強制している。モモは血の涙を流しながら腕立て伏せを続けていた。

「うううっ…………!あたしって、あたしって…………なんて不幸なのぉ〜〜〜〜っ!誰かあたしに幸せをちょうだいっ!」
「幸せかどうかしらないが、天国ならいつでも♪」

 と、いつの間にか再生した眠兎が、腕立て伏せしているモモの服を後ろから脱がせ始めた。

「ひぃっ!み、眠兎さん、死んだんじゃっ?!」
「ふっふっふっ。言っただろう、ボクはキミの綺麗な(ぴー)をブチ抜くまで不死身サッ♪」
「おんどれ待てヤッ!わいの商売道具、傷物にしたら許さへんでっ!」

 そう言ってヘモヘモ、眠兎をびしびし鞭で叩く。しかし眠兎は平気の平左でモモの首筋をぺろぺろなめ回している。もはや生かしておくのも忌々しい男であるが、哀しいかなこう言った悪党ほど長生きするのが世の常である。合掌ぉ。

「ううううっ…………だーれーかーあーたーしーにーしーあーわーせーをーーーーー、っあん、そこ、ダメっ♪」

 眠兎にいいようにされて、チハルがいじめながら開発していた性感帯がちょっぴり反応してしまい、快感半分哀しさで胸がいっぱいの下道寺モモ、11歳の初夏であった。

              をわり

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