CMネタは風化するぞシリーズ「ふきふき、なでなで。」  投稿者:ARM


○このSSは『雫』(Leaf製品)』他の設定及びキャラクターを使用しています。
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 今日も仲良くデートしていた長瀬祐介と新城沙織のバカップルもといラヴラヴカップル。そんな二人を妬ましく思う月島兄が、祐介が沙織のためにソフトクリームを買いに離れた隙に沙織に襲いかかってきた!

「ほれ、おとなしゅう、わしのねんごろになーれぇいっ!」
「きゃー、ユウくん、たすけてっ!」

 ソフトクリームを買って戻ってきた祐介、それを見て大慌てした。

「くそぅ、ヒロシ兄ちゃん主義者め!よーし、こうなったら、ふきふきマンに変身だ!」

 そう言って祐介がズボンのポケットから取り出したものこそ、ふきふきタオル!以前、沙織を体育館道具室でイカせてから使い込んでいる愛用の品で、さっきも沙織相手に使ったばかりで少し黄ばんでいるが気にするなっ!

「ふきふき、ちぇーんぢっ!」

 どっぱーん!ふきふきタオルをかざした祐介が透過光の嵐に飲み込まれ、着ていた服が弾け飛ぶ。すっぽんぽんになった祐介の身体が次第に大きくなり、やがてその姿は中年長瀬ーズ(もしくは量産型おやじ長瀬)を思わせる姿に変身した。

「パラレル、シリアル、ユーエスビー!ふきふきマン・主任モードに、なーれー」

 ふきふきマンに変身した祐介は、背広を着て来栖川電研の白衣を纏い、右手に鳩の餌をもって、月島兄と沙織の間に割って入ってきた。

「ふきふき、なでなで、ふきふき、なでなで、ふきふきやってみろ♪」
「あ、ふきふきマン!」
「うわぁっ、ふきふきマンだ!こりゃかなわない、まいりました、ぎゃふん」
「正義は、勝つ!はっはっはっ!」


「……で、戻らないんですが」

 ふきふきマンになった祐介は、病院の診察室で、途方に暮れる顔で医師を見るが、医師は呆れたように、しらん、と言った。


「――――はっ!」

 いきなり布団から飛び起きた祐介は、向かいの壁のほうをみて、壁に掛けてあるハズの鏡を探した。
 見つけた鏡の中に映る自分の顔は、決して叔父たちのような馬面の顔ではなく、一応美少年の部類に入る(と沙織は言っているが)長瀬祐介の顔であった。それを見て祐介は、全身を震わせながら、はぁ〜〜、と深い溜息を吐いた。

「……まったく、なんちゅー夢を見るんだ。……えーと」

 そういうと祐介は辺りを見回し、今自分は、祖父に当たる長瀬源四郎の自宅にある客間に居ることを思い出した。
 今年、成人式を迎える祐介は、長瀬家が代々、成人男子となった長瀬の男に行ってきた「成人の儀式」を行うため、祖父である源四郎のいいつけで昨夜から泊まっていたのである。

「……長瀬家伝統の成人の儀式を行う、なんて仰々しいコトいって人を呼びつけるから、変な夢みちゃったじゃないか…………あれ?」

 落ち着いた祐介は、そこでようやく自分が、同じ顔をする叔父たちに囲まれていたことに気付いた。

「お、おじさんたち、いつの間に!」
「……祐介」

 重苦しそうに教師長瀬こと源一郎が口を開いた。

「……とうとうお前も、それに目覚めてしまったんだね」
「へ?」
「手に持っている、それ」

 言われて、祐介はいつの間にか右手で握りしめているものに気付いた。

「……タオル――ふきふきタオル?」
「そう」

 刑事長瀬こと源三郎が頷いた。

「それは、長瀬家代々に伝わる〈獣のたおる〉。それで何度も”ふきふき”すると、お前も我々のようになってしまうのだ」
「け……けもののタオル?…………なるって、いったい?」
「ほぅら、なりかけている」
「へ――――?!」

 祐介は、顔が急に熱くなったことに気付き、慌てて鏡を見た。

「――!?ぼ、ぼくの顔が変わっていく!?馬面に、おじさんたちと同じ顔に!?」
「怖がることはない」

 セバス長瀬こと祖父の源四郎が言った。

「我々はそうやって、長きに渡り白面の者と戦ってきたんだ」
「なんぢゃい、白面の者って?!い、いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ、助けて瑠璃子さぁぁんっ!」


「――――はっ!」

 いきなり布団から飛び起きた祐介は、向かいの壁のほうをみて、壁に掛けてあるハズの鏡を探した。
 見つけた鏡の中に映る自分の顔は、決して叔父たちのような馬面の顔ではなく、一応美少年の部類に入る(と沙織は言っているが)長瀬祐介の顔であった。それを見て祐介は、全身を震わせながら、はぁ〜〜、と深い溜息を吐いた。

「……まったく、なんちゅー夢を見るんだ。……えーと」

 そういうと祐介は辺りを見回し、今自分は、祖父に当たる長瀬源四郎の自宅にある客間に居ることを思い出した。
 今年、成人式を迎える祐介は、長瀬家が代々、成人男子となった長瀬の男に行ってきた「成人の儀式」を行うため、祖父である源四郎のいいつけで昨夜から泊まっていたのである。

「……長瀬家伝統の成人の儀式を行う、なんて仰々しいコトいって人を呼びつけるから、変な夢みちゃったじゃないか…………あれ?」

 落ち着いた祐介は、そこでようやく自分が、同じ顔をする叔父たちに囲まれていたことに気付いた。

「……な、なんですか?……え?フランクおじさん、いや、実は?」

 頷くフランク長瀬が取り出したものは、彼らと同じ顔をした、皮膚感が生々しいマスクであった。

「怖がることはない」

 セバス長瀬こと祖父の源四郎が言った。

「これはナガセ星王家の儀式で、成人男子となった長瀬の男は素顔を見せると死ななければならないのだ。その為に我々はこのマスクを一生被り続ける。何、張り付けたらしっかりビスと電気溶接で二度と剥がれないようにしてやるから安心して――」


「――――はっ!」

 いきなり布団から飛び起きた祐介は、向かいの壁のほうをみて、壁に掛けてあるハズの鏡を探した。
 見つけた鏡の中に映る自分の顔は、決して叔父たちのような馬面の顔ではなく、一応美少年の部類に入る(と沙織は言っているが)長瀬祐介の顔であった。それを見て祐介は、全身を震わせながら、はぁ〜〜、と深い溜息を吐いた。

「……まったく、なんちゅー夢を見るんだ。……えーと」

 そういうと祐介は辺りを見回し、今自分は、祖父に当たる長瀬源四郎の自宅にある客間に居ることを思い出した。
 今年、成人式を迎える祐介は、長瀬家が代々、成人男子となった長瀬の男に行ってきた「成人の儀式」を行うため、祖父である源四郎のいいつけで昨夜から泊まっていたのである。

「……長瀬家伝統の成人の儀式を行う、なんて仰々しいコトいって人を呼びつけるから、変な夢みちゃったじゃないか…………あれ?源一郎おじさん」

 落ち着いた祐介は、そばで心配そうにしていた叔父に気付いた。

「酷くうなされていたからな、驚いて来たが……」
「……えらい怖い夢を見たんですが」
「どんな夢だ?」
「……いえ、いうときっと怒られそうだから、訊かないで下さい」
「そう?」

 淡泊そうに答える源一郎は、一応安心したらしく、すっく、と立ち上がった。

「朝飯の用意が出来ているから、顔洗って来いよ」
「あ、はい」

 そう答えて祐介が布団から起きあがると、足許がお留守だった源一郎が祐介に引っ張られた布団に足を取られ、倒れてしまった。

「いたた……」
「あ、おじさんゴメン――――」

 祐介は倒れている源一郎を見て絶句した。
 顔が、ずれていたのだ。まるで、被っているマスクがずれてしまったように、源一郎の顔があらぬ方向へ不自然に曲がっていたのである。

「――おっと」

 慌てて源一郎は頭を両手で押さえ、ずれていた顔を元に戻した。そして振り返って苦笑するその顔は、とてもマスクとは思えない自然なそれであった。

「気にするな。今日は成人の儀式の日だ、とっとと済まそう」
「…………」

 祐介は絶句したまま、答えることもできなかった。
 これも夢であって欲しい。祐介は切に願い、布団に引きこもった。


「……ふきふき、なでなで、ふきふき、なでなで♪」

 今度はマルチとイタしている夢だったので、ちょっと嬉しい祐介であった。

「ご主人様……」
「んー♪なんだい、マルチ?」
「…………実はわたし……」

 そういってマルチは顔を取り外した。

「おいおい、いきなりこんな時に顔のマスクを外すなよ」
「でも……本当はこんな顔なんです」

 そう言うと、緑色の髪の下には、見覚えのある馬面が――


「――――はっ!」

 いきなり布団から飛び起きた祐介は、向かいの壁のほうをみて、壁に掛けてあるハズの鏡を探した。
 見つけた鏡の中に映る自分の顔は、決して叔父たちのような馬面の顔ではなく、一応美少年の部類に入る(と沙織は言っているが)長瀬祐介の顔であった。それを見て祐介は、全身を震わせながら、はぁ〜〜、と深い溜息を吐いた。

「……まったく、なんちゅー夢を見るんだ。……えーと」

 そういうと祐介は辺りを見回し、自分の家の自室に居ることに気付いた。無論、長瀬家の成人の儀式などあるはずもない。

「……なんかもの凄く疲れる夢を見ちまったような気がするんだけど…………うわっ、パンツごわごわ(汗)」

 よりにもよってあんな顔でイってしまった自分が、途方もなく情けない祐介であった。

「……さぁて、沙織ちゃんと成人式に行く約束してたっけ。遅れるとうるさいからとっとと行くか――――」

 べりっ。祐介は、周囲で紙を破るような奇妙な音を間近に耳にした。驚いて振り向くと、なんとベットの上には、皮一枚となって顔から股間まで割けたもう一人の自分が居るではないか。まるで蝶が脱皮して抜け殻になったさなぎのごとく。

「な――――??」

 驚いた祐介は自分の顔に手を当てる。するとその感触に違和感を感じ、慌てて鏡を見た。
 鏡の中には、見慣れた、しかし自分のものではないハズの馬面の顔が――――。


「――――はっ!」

 いきなり布団から飛び起きた祐介は、向かいの壁のほうをみて、壁に掛けてあるハズの鏡を探した。
 見つけた鏡の中に映る自分の顔は、決して叔父たちのような馬面の顔ではなく――馬面の顔では――――あれ?


          ……endless?


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