What'sマルチュウ?26と1/2  投稿者:ARM


○この創作小説は『ToHeart』『痕』『雫』『初音のないしょ!!』『WhiteAlbum』『こみっくパーティ』他(Leaf製品)の世界及びキャラクターを片っ端から悪よ(大宇宙の意志、発動)……を使用しており、決して世界的に有名な某ひげオヤジを世に送った京都の某カルタ屋の携帯ゲーム機の某ゲームのついに世界的人気となった電気ネズミ様(笑)のパロディばかりに見せかけた、後書きだったりするわけだ(≧▽≦)/
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「 What’s マルチュウ?26と1/2」

 === 宴の痕 の巻 ===


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「『世界の破壊を防ぐため!』」
「『世界の平和を守るため!』」
「『愛と真実の悪をつらぬく、ラブミーチャーミーなかたき役』」
「『雅史と』」
「『志保』!」
「『銀河をかける〈りーふ団〉には!』」
「『ホワイトホール!白い明日が待っている!!』――やー、久しぶりなのにきまった、きまった」

 久しぶりにりーふ団の制服に身を包んだ志保は、これまた久しぶりな挨拶を雅史と一緒に決めて見せた。
 そんな二人を、椅子に座って黙ってみていた男が居た。

「んでもって、その椅子に座る〈策士・月島〉のまともな姿も久しぶり、と言うわけだ」「相変わらず陽気だね」

 世界の健忘現象こと「あるじゃーのん」から解放され、まともなりーふ団の幹部スーツに身を包んだ月島兄が、皮肉を込めて言うが、志保はそんな皮肉に気付かず能天気に笑って見せた。それをみて月島兄はまた呆れ、自分の膝にもたれかけている妹、ニャース瑠璃子の頭をナデナデした。

「〈びっくりーふ〉様と〈びっくりーふに近い男〉がのっぴきならない事態に陥り、一度は職務を辞した私が再びりーふ団の運営に励んでいるというのに、どうしてこう志保くんはそんなに明るくいられるのか」
「そ、そんなつもりは、あ、ありませーん」
「志保、一応同じ十傑衆なんだろう?なんかすっかり立場が……」
「十傑衆?は?なに、それ?」
「え?………………あ!」

 志保の言動に戸惑う雅史は、不意に、〈びっくりーふに近い男〉があの戦いの後、志保と何か話をしていたコトを思い出す。

「……そうか、また封印されたんだ」
「何よぉ、封印って?」
「あ、いや、なんでも」

 志保の能力は物質の固有振動周波数を利用した破壊である。そんな物騒なものを野放しに出来ないから〈びっくりーふに近い男〉は志保の能力を封印し、最後の戦いの為に解放していたのだ。闘いの終わった後、また封印をしたのは当然の処置だろう。

「…………さて。本題に移ろう」

 〈策士・月島〉は、手元のリモコンのボタンを押した。すると頭上からゆっくりとスクリーンが降りてきて、〈策士・月島〉の座る椅子の背もたれから光が投影され、映像が映し出された。
 映像は、数ヶ月前、ツルギシティで開かれていた第13回ポケモンワールドリーグで起きた大爆発であった。

「……超龍姫がイレイザーヘッドで爆発を消去してますね」
「問題はその次だ」

 次に映った映像は、ブルマー姿の智子とピクシィ・ミサのコスプレをしているレミィであった。

「第13話の頃のヤツですね。確かこの頃、びっくりーふ様の表記が『ビック・りーふ様』になっていたんでしたっけ」
「しー。雅史、黙っていればバレないのに(^_^;」
「りーふ団もカタカナやひらがな表記が混在していたっけ」
「うるさい、だまれ」
「――ここだ」

 〈策士・月島〉が、レーザーポインターを使って映像を指した。その映像は、赤い仮面を付けた柏木千鶴であった。

「次に柏木千鶴は、懐から取り出した、ポケモンリーグに参加していたトレーナーたちを詰め込んだ巨大ポケモンボールを落としてしまう。どうやらこの頃から〈あるじゃーのん〉に頭をやられていたようだ」
「本当かしら」
「適当に言っているんじゃない?」
「――そこ!作戦行動中である。不明瞭な会話は慎め!」
「「あ、は、はいっ!」」

 びくつく志保と雅史を見て、月島兄は、はぁ、と呆れ気味に溜息を吐いた。

「ところで……」
「なんだね、志保くん」
「結局、あるじゃーのん、って何だったんですか?」
「世界の健忘現象。豊乳キャラの存在を忘却することで、全員始めから居なかったことにしようとする意志の現れだ。一種の〈毒電波〉みたいなもので、それをこの世界が送信していたのだろう」
「じゃあ、単にあの貧乳姉妹が逆ギレしていたワケではないのですね。――でも、〈策士・月島〉様もあの頃既に変態仮面のコスプレを――」

 がこん。

「しーてーいーたーのーでーーーーーーわーーーーーーーーーーーー」
「……不敬罪だ」

 〈策士・月島〉は呆れて言う。雅史は穴の上から苦笑して底を覗き込んでいた。

「ところで、だ」
「はい?」
「鳩組はとりあえず最終回で顛末は判ったが、雫や痕、ほわるばのメンツはどうしている?まさか、藤田浩之にみんなタネ仕込まれたってコトはあるまい?」

 きかれて雅史は、困ったふうに笑って見せ、

「えーと、雫組はアストラルバスターズを組んで現在、異次元人ヤ○ールと再交戦中です。痕組はカシワギポケモンジムを再建中とか。ほわるば組は……えーと、えーと、主役のクセに出番がなかった藤井冬弥をマネージャーにして、〈ほわいとすのー〉こと森川由綺をリーダーに緒方理奈らと『ほわいと娘。』なるユニットを組んで芸能活動を始めたそうです」
「ほう。それでは、我々の目の上のこぶだったほわるば団は事実上壊滅した、というコトか」
「の、ようです。参謀格の篠塚弥生は、例の異世界から来た技術者の元へ嫁いでしまったらしいですし」


 丁度その頃、長瀬源五郎の自宅では。

「はい、あなた、あーん」
「あい、あーん……ぱくっ」
「ああん、もう、マスター、指まで食べちゃダメです」
「おや、また私のことをマスターとゆったね?」
「…………あ」

 ニヤリとする主任長瀬に、HMX−16型メイドロボ・ヤヨイこと篠塚弥生は困った顔をする。しかしどこかその仕草はわざとらしい。

「どうやら教育が必要だ」
「…………お願いします」

 ぽっ、と赤面する弥生を、主任長瀬が押し倒し、オトナタイム突入。まったくどいつもこいつも。


「……ところで、宜しいでしょうか〈策士・月島〉様」
「なんだね?」
「実はこんなお手紙が……荒川区町屋在住の加勢大左右衛門(78)くんからの質問で、『きゃるるーん!じつわぁ、マルチュウには異世界とこちらの世界の浩之ちゃんわぁいたのにぃ、どうしてマルチちゃんは一人しか出てこなかったにょ?』」
「…………」
「…………呆れていないで何とか言って下さいよぉ……僕だって……こんなの読みたくなかったのですから」

 赤面する雅史に、〈策士・月島〉は、はぁ、と溜息を吐いた。

「憶えていないのかね?」
「はい?」

 きょとんとする雅史に、〈策士・月島〉は懐からあるものを取り出した。

「それは…………メイドロボットの……」
「左様。耳カバーだ。――――そしてこれは、君のものだ」
「――――」

 唖然とする雅史に、〈策士・月島〉は、にやり、と笑い、

「無論、君のメイドロボ、という意味ではない。――キミ自身の装備だ」

 雅史は口をあんぐりと開けた。

「そうだ。――キミがマルチだったのだよ」

 がーーーーーん、がーーーーーん。雅史のバックに古書体のフォントで間抜けな擬音が浮かんだ。

「この世界では、佐藤雅史、キミがHMX12型マルチなのだ」
「そ…………そんな…………」

 動揺する雅史。しかしその顔には次第に喜悦の相が浮かび始めた。

「……そうだったのか…………そうだ……だのか……なら…………なら!」

 雅史は〈策士・月島〉の手からひったくるように耳カバーを掴み取ってそれを耳に付け、ガッツポーズをとった。

「浩之は、僕のモノだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!待ってろよーー!!」

 雅史はそう叫んで外へ行ってしまった。穴からようやくはい上がってきた志保は、終わりのやりとりを穴から顔を出して呆気にとられてみていた。

「…………マジ?」
「……ちょっとしたジョークのつもりだったのだか、すっかり本気にしてしまったようだ。路線変更でボツにしたこのギャグをせっかくだからここでやってみたが、これはいかんな、はっはっはっ」
「……鬼」
「不敬罪」

 がこん。

「あーーーっーーーまーーーーたーーーおーーちーーるーーーのーーーねーーーーー」
「やれやれ」

 〈策士・月島〉は肩を竦めて見せた。

「ところで」

 ようやく、〈策士・月島〉の膝の上にいたニャース瑠璃子が口を開いた。

「マルチちゃんはどこにいるの?」
「ああ、とっくの昔に捕獲して記憶を書き換え、猫耳つけて、ゲーマーズに売り飛ば

(大宇宙の意志、発動ーーーーっ)

 志保、穴から再びはい上がる。

「〈策士・月島〉様、穴の下にこんなプラカードが」

 そういってずぶ濡れの志保が取り出したプラカードには、

   The END

 と書かれていた。

「はっはっはっ、まるでど根性ガエル第一作目のタイトルみたいな光景だね、志保くん」
「おいおい」

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