○この創作小説は『ToHeart』『痕』『雫』『初音のないしょ!!』『WhiteAlbum』『こみっくパーティ』他(Leaf製品)の世界及びキャラクターを悪よ(大宇宙の意志、発動)……を使用しており、決して世界的に有名な某ひげオヤジを世に送った京都の某カルタ屋の携帯ゲーム機の某ゲームの、ついに世界的人気となった電気ネズミ様(笑)のパロディばかりではありません(笑)、Uhehehe(≧▽≦)/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「 What’s マルチュウ?25」 === りぃふわーるどほうかい?きゅうせいしゅ、あらわる! の巻 === −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 空には暗雲が立ちこめ、稲光が鳴り響き続けていた。 海は荒れ、大地は震え唸る。 世界は崩壊寸前であった。 これを含めてあと、2話。貧乳陣営の全滅によってLeafワールドのバランスがついに崩れてしまった!あるじゃーのんの源を叩かない限り世界の崩壊は終わらない……あのバカップルは果たして世界を救う救世主になりえるのか? ああ、感動のラスト前♪(ナレーター:銀河万丈) 「てなわけで」 主任長瀬はその凄まじい光景をバックに、さながら野戦病院のごとく、怪我人で累々とする鶴来屋の前で、弥生をアシスタントにして浩之たちに講釈をたれていた。 「この世界はじき、崩壊する」 「貧乳と豊乳のバランスが崩れた所為か」 「私たちが勝っちゃった所為でしょうか……?」 「貧乳が勝って、豊乳がせん滅されても同じコトだったろう。弥生くん、例のアレを」 「はい、マスター」 そう言って弥生は、隣に置いてあったパターンの束を主任長瀬に手渡した。 「……『あるじゃーのんのやっつけかた』ぁ?」 「しかも紙芝居ですぅ」 「貴方達のようなオツムの足りない人たちにも判るよう、マスターが徹夜で書かれたものです。侮辱は許しません」 主任長瀬にすっかりぞっこんな弥生が、出来の悪い学生を叱るような口調で浩之とマルチュウを睨んだ。 「まぁまぁ、そこまでにしていてあげたまえ、弥生くん」 「――マスターがそぅいうのならぁ(はぁと)」 「…………キャラちゃうやん(笑)っていうか、俺まだ、長瀬のおっさんと再会して2時間しか経っていないんだが、徹夜って何?」 「それはそれとして、だ。説明しよう」 主任長瀬はパターンの表紙を外した。顔を出したパターンには、豊乳と貧乳の力関係を図解したグラフが描かれていた。 「あるじゃーのん、つまり世界の健忘現象は、豊乳の存在を忘れることで貧乳主義の世界に変わろうとした。最初の犠牲者である〈ほわいとすのーの由綺〉は、世界に消されようとしたが、しかし完全消滅は出来なかった」 半透明になっていた由綺は、浩之にどつかれて正気にもどった千鶴から、由綺の恋人である藤井冬弥とともに鶴来屋の一室に匿われていたコトが判り、無事保護された。 「由綺嬢は主役でありながら地味なキャラ故にあるじゃーのんの攻撃に対する抵抗力が弱く消えかけてしまったが、他の豊乳キャラのアクの強さにはあるぢゃーのんの影響は及ばなかった。そこであるぢゃーのんは物理的に豊乳キャラを消滅させようと図るが、それは世界そのもののバランスを崩すことであった。だが暴走するあるじゃーのんは自滅にも気付かず、最強の貧乳娘、柏木千鶴の精神を蝕み、豊乳に対する秘めたねたみそねみを増幅させ、豊乳キャラのせん滅をはかった。だがその暴走を持ってしても豊乳キャラの完全排除は為し得なかった」 「んで、逆ギレした世界が、自滅の道を選んだ、ちゅーワケか」 「その通り」 「……はた迷惑な」 「そこで、だ」 主任長瀬は三枚目のパターンを出した。そこには、白衣を着た見覚えのない美形キャラが、身体に「あるじゃーのんの源」と書かれた悪魔のような姿の敵を、パワーゲイザーで吹き飛ばす姿が描かれていた。 「あるじゃーのんの源を叩く」 「……ご主人様、あの白衣の人、きっと主任のつもりですよ」 「人生ナメてる証拠だ。良いかマルチ、ああいうのを、ロクデナシ、っていうのだぞ」 「……ヒトのクズが何を言う」 弥生がむっとした顔でつっこむが、浩之は無視した。弥生は苦手なタイプであったし、下手に反論したら後で何をされるか怖かったからである。 「…………んで、だ。その、あるじゃーのんの源、って誰?」 「わからん」 「「…………」」 「呆れられても困る。そもそも、あるじゃーのんは、世界の健忘現象。つまりこの世界が患っている病気なのだ」 「だとすると、どうやって世界を治すのですか?」 マルチュウが不思議そうに訊くと、主任長瀬は肩を竦めて見せ、 「それが判れば苦労はせん」 「まてこら、そこのナイスガイ」 無論、ナイスガイは浩之の皮肉である。 「このままじゃ、世界は破滅するしかねぇじゃないかっ!」 「しかし、だよ。いくら、異世界から来た我々4人でも、どうすることもできない」 「うぐぅ…………」 確かに、今やスーパーマンのような力を持った浩之やマルチュウの力を持ってしても、世界の修復など不可能であった。 「…………でもさ、俺たちは元の世界に戻れるけど、ここにいるみんなはどうするのさ?俺にはほおっておけねぇよ」 「嬉しいこと、言ってくれるわねぇ」 「志保さん……」 ヨークを差し違えて倒した志保が、雅史に支えられながら浩之たちのほうにやってきた。 「ヒロ、あんたは良くやってくれたよ。でもさ、これ以上甘えるわけにはいかないよ。元の世界へ帰りな」 「志保、お前…………」 困った顔をする浩之に、志保は微笑んで見せた。 「これも運命だったんだ……」 「何、悟っちまってやがる……!俺はこの世界で過ごした日々は、とても楽しかったんだ。そんな想い出が一杯の世界を、むざむざ壊させてたまるかよ!」 「……ヒロ」 「あぅぅ、ご主人様が主人公の自覚に目覚めてますぅぅぅ」 「だから世界が破滅するんですね」 毒づく弥生のツッコミに、浩之は必死に堪えた。 「ちっくしょう……何か、何かいい手は無いのか?」 「無いことも無い」 そう答えた主任長瀬を、浩之たちは驚いてみた。 「おい、さっきは判らない、って……」 「確実な手は無い、と言っただけだ。確証のない手なら、心当たりはある」 「確証のない、手?」 「ああ」 主任長瀬は頷くと、今度は四枚目のパターンを出した。そこには大きな文字で、 「貧乳保護地帯に救世主を」 と書かれていた。 「……元々は豊乳キャラの台頭を恐れた世界の暴走。ならば、その世界を安心させる貧乳キャラを用意すればいい」 「貧乳キャラ?」 「それも強烈なくらいの」 「…………うーん。そういうのって、ウチのマルチくらいだよなぁ」 「マルチでは駄目だろう。だいたい、マルチは豊乳キャラの味方をしてしまった。世界は納得しないだろう」 「うーん…………」 「ご主人さまぁぁ、どうしましよう?」 「うーん…………」 「下手な考え休むに似たり。いくら考えても、この世界にそんな立ったキャラは存在しませんし、存在するならとうに世界はあるじゃーのんなど発症しなかったハズです。もう、抗う術はないでしょう。マスター、我々だけでも先にKVGBで元の世界にもどりましょう」 弥生はそう言って、浩之の腰に下がっていたKVGB(クルスガワ・ヴァーチャル・ゲームボーイ)を指した。 「…………うーん、うーん、そうか、この世界には居ないかぁ……………………………………って、弥生さん今、なんつった?」 「?!」 突然、何か閃いた顔をする浩之に訊かれ、弥生はきょとんとなった。 「…………下手な考え」 「その先!」 「この世界にそんな立ったキャラは存在しませんし、存在するならとうに世界はあるじゃーのんなど発症しなかったハズ……と」 「それ!」 浩之はそう叫ぶと、腰に下げていたKVGBを掴んで上にかざした。 「こいつを使えば良いんだっ!」 「「「「「????」」」」」 志保たちが呆気にとられる中、浩之はかざしていたKVGBを降ろして操作し始めた。 「…………何をする気だね?」 「忘れたか、おっさん!第5話であんた、こう言ったろっ!」 『うむ。一般にヴァーチャル、ってのは仮想したものを五感に錯覚を与えて現実に在るものと思い込ませるシステムをそう呼ぶが、このシステムはなんと、装備した本人が考えた『世界』を感知し、そこへ接続させるウルテク・キャプチャーなのだ』 『『世界』?『キャプチャー』?』 『量子学の世界では、我々が居る世界が一つきりではなく、様々な可能性を分岐点として枝分かれした無数の平行世界が存在すると考えられている。今までのヴァーチャルはあくまでも錯覚の域を越えられなかったが、このシステムは可能性が現実化するための確率を算出し、空間を構成する素粒子の隙間からその世界が在ると思われる量子的座標を測定し、見つけだして素粒子(クオーク)アンカーを発射するのだ』 「こうやって!」 浩之はセットしたKVGBを再びかざした。すると、雷が鳴り響く暗雲に、強烈な光が放射された。 『クオークアンカーによって我々の世界と目標の世界が接続されると、このように空間湾曲を起こして量子トンネルが生じる。このトンネルをくぐると、その先には施行者の思考と完全一致した世界が待ち受けているというわけだ。これを使えば、仮想したものが本当に現実になっているのだから、まさに究極のヴァーチャルシステムというよう』 「――ってな」 浩之が自慢げに笑う。すると、上空に突然巨大な空間の穴が開き、七色の光が射し込んできた。 「……一体、何を」 「ここに居ないなら、呼び寄せるまで!――その強烈な貧乳キャラをなっ!」 「――――ああっ、そうかっ!その手があったか!」 主任長瀬は思わず手を叩いた。 「このLeafワールドに水の合う、強烈な貧乳キャラがあの空間の穴から現れるハズ――いや、現れたっ!」 どどーんっ!浩之がそう言うと同時に、空間の穴の中からピンク色の光が、浩之たちの目の前に落ちてきた。その衝撃で、浩之たちは吹き飛ばされてしまった。 「…………ううっ、な、なんだ…………、って、誰か居るぞ」 身を起こした浩之が、光が落ちてきた方向を見た。 そこには、三人の人影が居た。 「……む〜〜〜〜!いったい、ここはどこ?ねぇー、リアンちゃあん、結花ちゃん、どこぉ?」 「……あいたたた。お尻から落ちちゃったよ。……スフィー、大丈夫?」 「…………」 「あ、リアンちゃん、こくこく頷いているね。スフィー……って、あ、大丈夫そうね」 「……よかった、みんな無事だった……本当、ここどこ?」 「Leafワールドだ」 「?」 ピンク色の長い髪と触覚みたいな前髪をぴょこんぴょこんと振るわす小さい美少女の元へ、浩之がやってきた。 「Leafワールド?なに、それ?…………変ねぇ、どこかで聞いたような(汗)」 「見ろよ」 浩之が空を指す。するとあれほど荒れ狂っていた空は晴れ渡り、海も大地も静けさを取り戻した。世界の崩壊が収まり、元に戻ったのである。 「キミはLeafワールドを支える主役キャラとして選ばれたのだ。この世界はキミにかかっている。よろしくな」 浩之は嬉しそうにそういうと、スフィーのピンクの頭を撫でた。 「…………む〜〜〜〜!な、なんか気持ち良いです」 「そうだろう。そうだろう。そうやって俺は小さい女の子をだな――――」 「あかりちゃんきぃぃぃぃぃぃっくっ!」 邪な笑顔を浮かべてスフィーに近寄ろうとした浩之に、あかりが跳び蹴りを食らわす。その「あかりちゃんきっく」の凄まじい破壊力は、蹴った浩之を離さずに地面にめり込ませ、海のほうまで地面を抉り進んでいったほどである。まもなく、ぐったりとしている浩之を引きずりながらあかりが鶴来屋にもどってきた。 「ごめんなさいね、ウチの宿六が脅かしちゃったみたいで、おーほっほっほっ」 「あ……は、はい(汗)」 「まぁ、それはそれとして、よろしくお願いしますね、スフィーちゃん」 「はいっ!」 スフィーは元気良く返事した。これならこの世界も安泰だろう。マルチュウの横にいた浩之は、びっくりーふ・あかりに引きずられていく〈びっくりーふに近い男〉の浩之を哀れみつつ、ホッとした。 「……〈びっくりーふに近い男〉は、極端なつるぺた主義で酷い浮気性の主だったそうで、あかりさんに縛られるのがイヤでリーフ団から離れていたそうです」 弥生がそう言うと、主任長瀬は、ふむ、と頷き、 「…………まるでどこかの誰かさんだね」 「黙れおっさん」 「まぁ、色々ありましたけど、これで大団円、ってワケですね」 「…………本当かおい。だいたい、俺はフシギバナを……あ」 「そうですぅ♪」 そう言ってマルチュウは、びっくりーふ・あかりからもらった、バラバラになっているフシギバナの聖衣を浩之に見せた。 「これを組み合わせればフシギバナですぅ〜〜♪」 「…………なんか、いーのかソレ(笑)」 エピローグへ つづく