What'sマルチュウ?26(最終回)  投稿者:ARM


○この創作小説は『ToHeart』『痕』『雫』『初音のないしょ!!』『WhiteAlbum』『こみっくパーティ』他(Leaf製品)の世界及びキャラクターを悪よ(大宇宙の意志、発動)……を使用しており、決して世界的に有名な某ひげオヤジを世に送った京都の某カルタ屋の携帯ゲーム機の某ゲームのついに世界的人気となった電気ネズミ様(笑)のパロディばかりではありません(笑)、Uhehehe(≧▽≦)/
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「 What’s マルチュウ?26」

 === エピローグ・大団円 の巻 ===


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「…………長い」

 神岸あかりは、自宅の居間で一人、酒をあおって居た。

「…………えーと、ARMのパソコンにあるファイルのタイムスタンプを見ると……第1話は97年10月26日、で、浩之ちゃんと別れた第5話は97年11月12日……ポケモンショックの少し前くらいね。…………2年よ2年!ヒロインのあたしが置き去りにされてそんなに経つのよっ!いくら何でも長すぎるわよコレっ!」

 あのぅ、あかりさん、もう、本番始まって居るんですけど……(汗)

「何、ホンバン?また浩之ちゃん、あたしを忘れてどの娘の寝てるのよっ!」

 そ、その「本番」じゃありませんあかりさん(^_^;最終回、始まってます(汗)

「最終回ぃ?何、寝言ぬかしてるのよっ!この話、本気で終わるなんて誰も――」
「あかりぃー、帰ってきたぞー」

 その時であった。玄関から聞こえてきた浩之の声に、今までささくれ立っていたあかりの顔が豹変し、ToHeartを背負って立つヒロインの笑顔にもどって玄関へ飛んでいった。

「浩之ちゃぁぁぁぁぁん!おかえりなさーい!」

 玄関にやってきたあかりは、そこにいた浩之の姿を見た途端、笑顔が凍り付いた。

「…………何、それ?(滝汗)」
「ほら、これが、お前のお気に入りのフシギバナだよ!冒険の末に見つけてきたんだ!」

 と、フシギバナの聖衣を装着した浩之が、冷や汗をかきながら言ってみせる。流石にこの着ぐるみは恥ずかしいらしい。隣ではマルチュウが引きつった笑みを浮かべてあかりの様子を伺っていた。

「…………やっぱり駄目ぢゃん」
「で、でも……フシギバナなら……あかりさん許してくれるのじゃないかと…………」

 浩之とマルチュウは、唖然として黙り込んでいるあかりを前に、冷や汗をかいていた。

「…………やっぱり駄目か」

 と、諦めたその時だった。

「――――――か!可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!浩之ちゃああああっんっ!」

 顔をゆるめ瞳を潤ませ、満面の笑顔をするあかりが、浩之に飛びついてきた。

「こ、これ、フシギバナちゃんなんでしょ!とぉぉぉぉっても可愛いよぉ、浩之ちゃあああっん!」
「そ……そう?」

 予想外の、過剰な反応に浩之は圧倒されていたが、やがて安心するとあかりの身体を抱きしめた。

「よかったぁ…………あかり、愛しているぞぉ!」
「あたしもっ!」

 調子に乗った浩之、そのままあかりを押し倒してオトナタイム突入。それを見てマルチュウはやれやれ、と肩を竦めるばかりであった。


 一方、平穏を取り戻したLeafワールド。
 びっくりーふ・あかりと鶴来屋でバカンスをとっていた〈びっくりーふに近い男〉浩之が、あかりと一緒にプールサイドで日光浴していた。

「…………んー、平和は良いねぇ」
「色々あったからね、浩之ちゃん」
「……まぁ、迷惑かけたが、これであかりと一緒にのんびり暮らせるか」
「そうだね……浩之ちゃん、幸せになろうね……」

 あかりは顔を赤らめて、隣に寝そべっている浩之にキスしようとした。
 その時であった。

「あれ?誰かこっち来るよ」

 やってきたのはレミィだった。

「あ、ここにいた、ヒロユキ」
「へ?どうした、レミィ?」

 きょとんとする浩之に、レミィはもじもじとしてみせ、

「今日は……大切なこと、報せに来たの。――GOOD NEWSネ!」
「GOOD NEWSぅ?」
「これネ」

 レミィがそう言って差し出した小冊子を浩之は受け取った。

「母子手帳」

「……三ヶ月だって。あたしが操られ、ヒロユキが目覚めさせてくれた時ネ!」

 浩之の顔は凍り付いていた。

「あー、ここにおったか浩之」

 そこへ、今度は智子がやってきた。

「大変やで、浩之。命中や命中」

 智子もその手に母子手帳を持っていた。

「ヒーロー、スッゴイコトになったわよ」

 その後から、来栖川姉妹とセリオがやってきた。

「あたしたち、そろって三ヶ月だって」

 三人とも母子手帳を持っていた。っていうか何故セリオまで?(汗)

「藤田さぁーん」
「藤田さん!」
「藤田君!」

 今度は琴音と葵、そして理緒がやってきた。無論、その手には母子手帳が。
 浩之は唖然となる。何故なら彼には身に覚えがないからである。

「…………まさか?」

 浩之の脳裏に見覚えのある男の顔が浮かんだ。

「…………ふ、藤田浩之ぃっ!異世界のあいつの仕業かっ!」

 思わず叫んでしまう〈びっくりーふに近い男〉浩之。
 だが、次の瞬間、浩之は背後に凄まじい殺気を感じた。

「ひ〜〜〜ろ〜〜〜ゆ〜〜〜き〜〜〜ちゃ〜〜〜あ〜〜〜んっ」

 まるでそれは、地の底から鳴り響く破滅の声。いや、正真正銘、破滅を宣言する声であった。

「…………は……ははは……」

 思わず顔が引きつる浩之の顔を、犬、という巨大な文字が覆い被さった。


 再び、現実。

 ピカチュウスーツを脱いで元の姿に戻ったマルチが、浩之の家の前を鼻歌を歌いながらホウキで掃いていた。

「…………あれ?いま、どこかで聞き覚えのある悲鳴が……気の所為でしょうか?」

 マルチは周囲を見回すが、特におかしなところもなく、首を傾げるばかりであった。

「おーい、マルチ、脱水機のタイマーが止まっているぞ、干さないのかぁ?」

 家の中から、マルチを呼ぶ浩之の声が聞こえてきた。

「あ、はーい、今行きますぅぅ!」

 マルチはホウキを門の前に立てかけると、ととと、と家の中へ入っていった。

 マルチが掃いていた地面に、次のゴミで描かれた大きなという文字を残して。

              THE END

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