○この創作小説は『ToHeart』『痕』『雫』『WhiteAlbum』(Leaf製品)の世界及びキャラクターを悪よ(大宇宙の意志、発動)……を使用しており、決して世界的に有名な某ひげオヤジを世に送った京都の某カルタ屋の携帯ゲーム機の某ゲームの国民的電気ネズミ様(笑)や車田漫画のパロディばかりではありません(笑)、Uhehehe(≧▽≦)/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (ぽぅわ、ぽっぽっぽぉー、ぽぅわぽぅわぽぅわぽっぽっぽっぽぉー、と唐突に「おジャ魔女どれみ」のアヴァンタイトルテーマが流れる) 画面中央の奥から、花びらのようなひらひらした魔法使いスーツを着て、タップを首から下げ魔法のステッキ・ペペルトポロンを握り締めている……つまりおジャ魔女のコスプレをしているさおりんと、堪えきれず赤面している瑞穂がカメラのほうへ駆け寄ってきた。 沙織「あああ〜〜!祐クンが、祐クンがお星様になっちゃったよぉぉぉぉ!せっかく出会えたのに、ひどいよぉぉぉぉぉぉ……!祐クン!あたし今度こそ立派に三級試験合格してみせるから、お空の上からあたしたちを見守っててネッ!」 瑞穂「……新城さん……なんでこんな格好をしなければいけないんですか?」 沙織「藍原さん、何を弱気になっているのっ!主役の祐クンが居ない今、あたしたちが立派に主役を果たさなければならないのよ!」 瑞穂「で、でも……」 おずおずとする瑞穂の後ろから、同じくおジャ魔女のコスプレをした、相変わらずイッちゃっている目の瑠璃子がやってきて、カメラにVサインを出す。 沙織「ほらっ!ルリルリもその気になってはづきちゃんのコスプレして頑張っているのよ!」 沙織がそう言うと、画面の横から智子が顔半分をフェードインして、それ、うちがやりたかったのに、声優さんの名前もうちと同じやのに、とぼやいてフェードアウト。 沙織「あたしたちが祐クンの代わりに頑張って、Leafワールドを支えるのよっ!さぁ、藍原さん、ルリルリ!マジカルステージの準備をっ!」 そんなアストラルパスターズの寸劇を、口を両手で押さえながら遠くで見ていた主役の浩之とマルチュウがいた。 「……何をやられて居るんでしょうか、あの方たち」 「訊くなよ、判っているクセに」 「そうでしたわね……ぷぷっ」 ずん、ずん、ずぅんっ!笑いを堪えている二人のその横を、ピカチュウのコスプレをしたセバス長瀬、つまり珍種のセバチュウが通り抜けていく。まさに視覚の強姦というか、筆舌出来ないその姿が歩くたび、浩之や志保たちは身をよじらせて笑い転げる。飼い主の芹香は声をも出せず悶絶していた。 「喝ぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!そこの三人、こっちを見るのじゃっ!」 その声を聞いた途端、沙織と瑞穂が思いだしたように吹き出し、笑い転げ出す。 「だ、だめ…………こんな現実逃避しても、あの人の格好だけは…………」 「新城さん、わたし、気絶しそうです……笑いすぎて」 今にも笑い死にしそうな二人とは正反対に、ぼうっ、としている瑠璃子は心ここに在らずと電波を受信して仰いでいた。 「…………なにか、くるよ」 その瑠璃子の呟きは、しかし他の者には聞こえていなかった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「 What’s マルチュウ?23」 === ぎゃくしゅうのかしわぎシスターズ!! の巻 === −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 死んだと思われていた長瀬祐介は、成層圏まで飛ばされた後、頭から地表目指して降下していた。 「……誰が死ぬんだこの話で……とはいえ、コレはいくら何でも落ちたら死ぬよなぁ……あれ?」 「やは」 祐介は、いつの間にか直ぐそばに、同じように墜落している耕一の存在に気付いた。 「なんでこんなところに?」 「いやぁ、歩く悪夢に殴られてこの有様さ。さっきは済まなかったな、セバチュウに殴り飛ばされたらあるじゃーのんの支配から解放されたみたいだ」 「それはよかった。まぁ、僕も貧乳嫌いじゃないから、むしろそっちのほうが趣味だし、もう気にしてません」 能天気に笑う祐介。つられて笑う耕一。こういう奴らだった。 「ところで耕一さん、このままだと確実に死にますね」 「エルクゥの頑強さでも無理だ。…………まぁ、お前が一緒にいるから寂しくない」 「耕一さん…………」 ぽっ、と頬を赤らめる祐介。そして耕一の手を掴み、それを頬に当てた。 「…………耕一さん。実は僕、昔からあなたのことが…………」 祐介の予想外の告白に、耕一も赤面し、照れる。まるでこの先日のビーストウォーズメタルスで繰り広げられたタイガトロンとエアラザーのやおい劇を彷彿とさせる、反吐が出るほど微笑ましい光景である。耕一は祐介を抱き寄せ、強く抱きしめて頬ずりした。 「……祐介……どこに堕ちたい?」 そうして二人は流星になった。 と思ったら、突然、雲の中で何かに激突した。 「――な、なんだ、これは?」 祐介は頭をさすりながら雲の中を見回す。当然、辺りは白くて何も見えない。 「ゆ、祐介……これはまさか!?」 * * * * * * * その頃、セバチュウは、自分から目をそらし続けている芹香に哀願し続けていた。 「芹香お嬢様ぁっ!何で我が輩のほうを見て下さらぬのですかっ!?」 「無茶ゆうな。見たら、死ぬ」 「貞子の呪いのテープよりも悪質よねぇアレは」 浩之のツッコミに志保が合いの手を入れる。 「ぬぅおおおおおおおっっっっっ!我が輩、とても哀しいですっ!ぬぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!」 とうとうセバチュウは仰け反って大泣きし、光り輝く魔法陣の中へ飛び込んで消えてしまった。 「…………ゃ、やっと嵐が過ぎ去ったのね」 笑いすぎてやつれた千鶴が、喘ぎながら顔を上げた。 「こ、これで聖戦が再開出来るけど…………来栖川芹香、あんた、これ以上闘えるの?」 千鶴がそう訊いたのは、セバチュウが魔法陣の中へ消えていった途端、魔法陣が効力を無くして消え去ってしまったからである。それを見た芹香は、はぁ、と溜息を吐いて両手を上げた。ギブアップ。芹香が素直に負けを認めたのは、また魔法陣を描いてセバチュウが現れたら、この世の終わりと思ったからである。千鶴たちもまた、セバチュウだけはゴメンなので、黙って芹香のギブアップを容認した。 豊乳陣営、残るは〈過激なる委員長〉こと保科智子、〈騒乱の志保〉こと長岡志保&ヘルパーの雅史、〈びっくりーふに近い男〉藤田浩之、その他バカップル二名。アストラルバスターズはリーダーを失って戦闘不能である。 「……まてぃ。主役をその他扱いするか!」 一応主役の浩之は、あらぬ方向を睨んで文句を言っていたが、カメラはそんな浩之を移動してフェードアウトさせた。 そして貧乳陣営。柏木千鶴と柏木初音。勝敗は火を見るより明らかであった。 なのにこの二人、まるで勝利を確信して居るかのような自信に満ちた笑みさえ浮かべているではないか。 「素直に負けを認めたらどうや?」 智子はそんな姉妹に腹が立ち、挑発するように言って見せた。 「あら、戦力差のことを言っているワケ?……うふふ、あはははははははははは」 「きゃははははははははははっ!寝言言ってるぜこいつらぁっ!」 千鶴につられてヤンキー初音も笑い出す。これがまた一層、智子を苛立たせた。 「なんやあんたらっ!本気でウチらに勝てるとおもぅてるわけ?」 「だって」 そう言ってヤンキー初音は指を鳴らした。 すると今まで晴天だった空が、にわかに雲りだした。 そしてその中から、七色に明滅する無数の光に気付いたとき、智子たちに衝撃が走った。 「――――これはまさかっ!」 「〈鬼神の方舟〉――ヨーク」 初音がニィとほくそ笑んでその名を口にしたとき、雲の中から全長1キロはありそうな巨大な宇宙船が現れたのである。 「あ――――アホなっ?!」 「千鶴ぅ、やっぱあたしが始めから出ていれば良かったんだよ。こんな奴ら、ヨークの主砲で一撃さ ヽ(≧▽≦)ぶぅわっはっはっはっ!!」 智子たち、ぴーんち。いくら超人でも、武装した超弩級宇宙船に勝てる術などなかろう。 「…………あかん。貧乳の意地が炸裂しとるわ」 「せめてヨークの固有振動周波数が判れば、あたしのソリトンでブッ壊せるんだけど……」 「どーやら、あたしたちの出番のようねっ!」 その声に驚き、志保と智子は振り返った。 「何してんの、新城サン?」 「あーはっはっはっ!イントロはこの時のための伏線よっ!」 「おジャ魔女がぁぁ?」 思わず呆れる志保と智子。 「あんなヨーク、あたしたちの力で一撃よっ!行くわよ、藍原さん、ルリルリ!――まぢかるすてぇーぢっ!」 「おいおい、なんでもありかこれは(汗)」 浩之、何を今さら。 沙織「ピーリカピリララ、伸びやかにぃ!」 瑞穂「(テレながら)パイパイポンポイ、しなやかに〜!」 瑠璃子「…………パメルぅクラルクぅ、高らかに」 三人、ノったままポーズを決め、 「「「まぢかるすてぇーぢっ!!!ヨークを倒せぇぇぇぇ!!!」」」 「撃っちゃえ、ヨーク」 ヤンキー初音が呆れ気味にそう言うと、ヨークは三人めがけて主砲を発射。直撃を受けた沙織たちは吹き飛ばされてしまう。 「あーんっ!あたしたち、魔法なんて使えないわよぉぉ!だから嫌だっていったのにぃぃっ!新城さんのバカァ」 「お、おぼえてらっしゃいよぉぉぉぉぉ!ヤな感じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ――ぃ!」 アストラルバスターズ、KO。彼方へ吹き飛んでいく三人を見て、智子たちは困憊しきった溜息を吐く。 「……アレはあれとして、どないしよ?」 「やるしかないでしょ」 「まて、二人とも」 覚悟を決めて進み出した智子と志保に、〈びっくりーふに近い男〉の浩之が引き留めようとした。 「あんたはここで待ちぃ」 「しかし……」 「あんたまで力尽きたら、あの鬼娘は誰が相手するんや?」 「智子…………」 三人とも、主役の浩之とマルチュウの存在は既にアウトオブ眼中であった。 「いくで、志保っ!」 「あいよ、智子!」 ふたりは初音めがけて突進した。 「志保!」 「雅史、スピーカーは任せたわよ!行くわ、ソリタリーウェーブ!『ブランニューハーッ、今ここからはじまるぅッ!』」 「うなれ疾風、とどろけ雷光!魔脚乱舞っ!」 智子の魔脚乱舞プラス志保のソリタリーウェーブ攻撃がヨークに迫る。 直撃した。 「「やったかっ!――――なっ?」」 ヨークにはまったく傷ひとつ付いていなかった。 「くぅぅっ。せめて、本当、ヨークの固有振動周波数さえ判れば何とかなるのに…………!」 志保はゴルディオンマイクを握り締め悔しがる。 「固有振動周波数ぅ?」 突然、上空のほうから間抜けな声が聞こえてきた。 「その声は、柏木耕一?」 「あ、長瀬祐介もいる。お星様になったんじゃないの?何でヨークの上にいるのよ?」 耕一と祐介は、ヨークの艦首の上から、下にいる志保たちを見下ろしていた。 「いやぁ、さっき殴り飛ばされたら、雲の中に隠れていたこいつにぶつかってね。ところで、こいつの固有振動周波数を知りたいの?」 「判るの?」 「聞き分けろ」 「へ?」 そう言うと祐介は精神爆弾を使って、足許のヨークの外壁を爆破した。装甲の一部が吹き飛んだか、ヨークに使われているバイオマテリアル金属が瞬時に修復した。 その爆発音を聞こえた時、志保の顔が、はっ、と閃いた。 「なんだ、その爆竹鳴らした程度の破壊は?」 初音は鼻で笑ってみせるが、しかしやがて、志保の様子に気付き、戸惑う。 「……何が可笑しいんだテメー?」 「見切った」 「何?」 「ソリタリーウェーブファイアッ!」 雅史が抱えているスピーカーからヨーク目がけてソリタリーウェーブが放たれる。直撃。するとどうだ、命中した装甲を起点に、八方へ亀裂が走ったではないか。 「ば――ばかなっ?いったいどうやって?」 「祐介が装甲を破壊した時の音を聞き分けた」 「な――――?!」 「志保はね、異常聴覚と超・絶対音階の持ち主なのさ」 雅史が代わりに答えた。 「人の噂を聞き逃さない志保ちゃんイヤーは、物質が壊れる時の微妙な音さえ聞き分ける。判った、がきんちょ?」 「が――ガキぃぃぃぃぃ?喧しいわ、このたれ乳がっ!」 ヤンキー初音の罵声に、志保もキレる。 「誰がたれ乳よっ!あたしはどこの誰かサンと違って張りのある艶々した肌の持ち主なのよっ!」 「誰か……サン?」 思わず反応する鬼娘千鶴。 「やれやれ、あるじゃーのんに侵されてもこういうコトには反応するな」 ヨークの上で耕一が呆れながら苦笑した。 「どうします?」 隣にいた祐介が訊いた。 「なにを?」 「まだ、彼女たちに味方します?」 「いーや」 耕一は首を横に振って見せた。 「千鶴さんも初音ちゃんも、暴走したあるじゃーのんに操られているだけだ。正気に戻すには、まずこの争いを終わらせて、諸悪の根元を叩く必要がある」 「共同戦線と行きますか?」 「おう」 頷く耕一は、鬼のほうのエルクゥ化を果たし、ヨークの装甲を破壊し始めた。続いて祐介も精神爆弾で装甲を破壊し始めた。 「あっ、ヨークを壊す気?でも、そんな破壊では直ぐに再生されるわぃ!」 「あたしを忘れちゃイヤーン、ってなわけで、ソリタリーウェーブっ!」 志保はプランニューハートを歌い始め、ソリトン攻撃を再開する。堪らずヨークは自己防衛システムを発動させて三人を攻撃始めるが、志保と耕一の素早い動き、祐介の絶対防御の前に苦戦する。 「おのれぇぇっ!ヨークをいじめるなッ!」 「まちぃ」 「むっ?!」 ヨークのほうへ飛ぼうとした初音の前に、智子が立ちはだかる。 「三人の邪魔はさせへん」 「まて」 それは智子の背後から聞こえた。 「浩之?」 といっても〈びっくりーふに近い男〉のほうである。バカップルの片割れはすっかり対岸の火事を決め込んで午後ティーなんか飲んでるし。 「ヨーク相手に、あの三人だけでは戦力不足だ。この娘は俺が相手する」 「しかし、あんたまで出たら――」 「大丈夫だ。我々にはまだ、最後の希望がある」 言われて、智子はバカップルの片割れ(笑)を見て、思わず溜息を吐く。 「……しゃーない。――死ぬなよ」 「誰が死ぬんだこの話で」 「そら、そうや。――志保、行くでっ!」 智子はヨークのほうへ向かった。その背を見て歯噛みする初音。 「……マズイマズイ……!いくらヨークでも、あいつら四人ががりで攻撃されたら……ちーねーちゃんっ!」 「千鶴さんもお相手しようか?」 「くっ!」 千鶴も参戦しようと前に出るが、相手がりーふ団最強とまで恐れられている男。ここで相打ちにでもなったら元もこうもない。 「……初音」 「なに?」 「死んで」 暫しの沈黙。 「相打ちで良いから。そうすれば、あたしたちの勝ち」 周囲の空気が休息に冷え始める。千鶴の言葉に困惑していた初音だったが、この冷え込みに逆らい、初音の頬を冷や汗が伝い落ちた。 千鶴、冷酷非情のエルクゥモードに突入。ヤンキー初音でさえ戦慄を禁じ得ない鬼がそこにいた。 「……わ……わかったわよ」 初音は浩之のほうを向いた。 「――勝ちゃいいんでしょ、勝ちゃっ!死んじまえよぉっ!!オオオオッラァッ!!」 初音が浩之めがけて突進してくる。 「無駄だよ。――いま、正気を取り戻させて上げるよ、初音ちゃん――ふおおおおおおおっ!」 浩之は身構え、両手をかざした。 「超必殺――――『ギャラクシアン・ナデナデ』っ!!」 ドッコーーーンッ!浩之は大爆発する銀河をバックに、上にかざした両手を、初音のほうに向けた。途端に初音、吹き飛んでしまう。 「な……なに……この技は………………ああああ……心が洗われるぅぅぅぅぅ…………これが……伝説のなでなで…………みゅぅぅぅぅぅぅぅぅうう」 初音は吹き飛びつつ、満面の笑みを浮かべて気絶。初音、KO。 同時に、ヨークの動きが止まる。 「くらえっ、破壊爆弾スペシャルっ!」 「必殺、エルクゥぱぁんちっ!」 「ソリタリーウェーブ最大出力っ!」 「魔脚大乱舞っ!」 ここぞとばかり、祐介、耕一、志保そして智子の四人同時超必殺技攻撃炸裂。ヨークは四人を飲み込んで大爆発した。ヨーク、そして四人、戦闘不能。 「……ば、……ばかな。ヨークまで敗れるとは!?」 「残りは千鶴さん、あなただけだ。もう諦めろ」 「……やれやれ」 千鶴は肩を竦めて見せた。 「…………せっかく手加減して上げたのにねぇ」 「何?」 「――お前には死すら生ぬるい生き地獄を見せてくれる」 そういって千鶴は、胸から一個のポケモンボールを取り出した。 「……ポケモンボールが入っていたワリに、胸が全然膨らんでいませんでしたわね」 不思議そうにいうマルチュウに、浩之は首を傾げてみせ、 「きっとあれは、胸が無いどころの騒ぎじゃなくって、えぐれ (唐突に大宇宙の意志、発動。大宇宙の意志の前で千鶴が、酷すぎますぅぅ、と泣いてすがり、大宇宙の意志がなでなでして慰めていた。) 「……ポケモンボールが入っていたワリに、胸が全然膨らんでいませんでしたわね」 「……いったいどこに隠していたんだ」 「深く追求するとまた何か言われそうですからおやめになったほうが」 「かも知れない…………って、ええええっ!!?」 呆れていた浩之は、ふと、〈びっくりーふに近い男〉のほうを見た途端、絶叫した。 「い――いつの間にかあいつ、倒されているっ!?」 なんと、〈びっくりーふに近い男〉がいつの間にか千鶴の目の前で倒れていたのである。 「な……なにが起こったんだ?」 「うふふ。これよ」 そういってバカップルに差し出して見せたのは、空っぽのポケモンボール。 「……あたしにこれを使わせた、あんたたちが悪いのよ。…………世界を支配する最強最悪のポケモンの怖ろしさ、味わうが良い」 「世界を支配――――」 そう言った途端、浩之とマルチュウは背後に凄まじい殺気を覚え、振り返った。 だが、そこには誰もいない。そればかりか、殺気さえも消滅していた。 いや―― 「ま、まだ後ろにいますっ!」 「く、くそっ!」 振り返る浩之。しかし、そこには居ない。 「な……なんだ、なんで見えないんだ?」 「び……びっく……りーふ……だ」 「何?」 倒れている浩之の呻き声に、主役の浩之が素っ頓狂な声を上げてしまった。 「柏木千鶴は……びっくりーふを……操っている……!」 「「な、なんだってぇっ?」」 「残りはあんたたち二人。――最後の希望だろうが、びっくりーふの力を思い知りなさいっ!」 戦慄する浩之とマルチュウ。一体、びっくりーふの正体とは何か?Leafワールドの運命を賭けた最後の戦いが今、始まろうとしていたっ! つづく http://www.kt.rim.or.jp/~arm/