○この創作小説は『ToHeart』『痕』『雫』『WhiteAlbum』(Leaf製品)の世界及びキャラクターを悪よ(大宇宙の意志、発動)……を使用しており、決して世界的に有名な某ひげオヤジを世に送った京都の某カルタ屋の携帯ゲーム機の某ゲームの国民的電気ネズミ様(笑)や車田漫画のパロディばかりではありません(笑)、Uhehehe(≧▽≦)/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「 What’s マルチュウ?22」 === はくねつ!しゅやくのいじ! の巻 === −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 浩之、上の警告文を見上げて、 「……そのうち聖剣とか聖衣とか出てきそうな気がするなこの話」 それはそれとして。 貧乳vs豊乳のアルマゲドンもいよいよクライマックス。 第2戦は来栖川綾香vsセイカクハンテンダケ服用&あるじゃーのんで頭ヤられた柏木楓。初戦、圧倒的な楓のかまいたち攻撃に、綾香はなす術もなくやられたい放題であったが、浩之のC調なアドバイスが功を奏し、綾香はその天才の素質を発揮。見事、楓を撃破するが、自らも力尽きてしまう。 続く第3戦。綾香の奮闘に発起した芹香が、変態仮面のコスプレをしたりーふ団の知恵袋〈策士月島〉と相対する。あるじゃーのんですっかりヒロシお兄ちゃん度をパワーアップさせ、芹香を自慢の毒電波で撃退するかに見えたが、しかし芹香が召喚した精神爆弾使いの長瀬祐介とアストラルバスターズの活躍によって撃破された。 「……月島兄まで敗れるとはな」 「俺が行こう」 悔しがる千鶴を見かねて、ピカチュウ耕一が前に出た。 「耕一さんっ!」 「どうやら、来栖川芹香のほうはまだ闘えそうだからな――いや、俺の闘う相手はただ一人」 「どうやら僕がご指名されたらしい」 芹香を抱き起こしていた長瀬祐介が、こちらのほうへやって来る愛くるしいピカチュウを見て、ふっ、と微笑んだ。 「祐クン!相手はあのピカチュウよ、大丈夫?」 「大丈夫も何も――」 祐介は、愛くるしいピカチュウ耕一を指し、 「闘える?」 訊かれて、女性陣一斉に首を横に振る。ラブリーすぎて闘えるはずもなかった。 「じゃあ、そう言うことで」 「何よアンタ、来栖川芹香の代わりに闘う気?」 セイカクハンテンダケ効果によりヤンキー化した初音が、睨みを利かせて言った。 「その耕一さんが僕をお相手にとご所望しているコトもあるが、そもそも僕は芹香さんに召喚された、いわば芹香さんのポケモンと言うコトになる。ポケモン有りなんでしょ、この勝負?」 「ふん」 初音はそっぽを向いた。 「まぁいい。それでは第4戦――れでぃぃぃ、ごぉっ!」 千鶴の号令とともに、ピカチュウ耕一が祐介めがけて突進してきた。 「リーフファイトの時はお前の毒電波で動きを封じられたが、今度も効くと思うナッ!」 ピカチュウ得意のスピード攻撃が始まった。くわえてエルクゥのパワー。精神攻撃を主体とする祐介に勝ち目は果たしてあるのか? ところが祐介は悠然と待ちかまえて居るではないか。 「耕一さん。二つ、いいことを教えて上げる」 「何がっ?――何ッ!?」 祐介にあと一歩で届くところで突然、ピカチュウ耕一がはじき飛ばされた。空中に生じた爆発で吹き飛ばされたのである。 「な――――なんだと?」 「僕の毒電波が〈破壊爆弾〉だってコトを忘れた?――コレをご覧」 祐介がそう言った途端、なんと祐介とピカチュウ耕一のまわりでプラズマ光球が大量に発生したのである。 「耕一さんにも見えるよう、破壊爆弾を具現化した。――但しそこには存在しない。見えているのは、僕が非指向性オゾム電気パルスで送ったイメージさ」 「イメージ?」 「オゾム電気パルス――〈電波〉は人間の意志の源。大気中に散乱するそれは人の強い意志に反応し、コントロール出来る素粒子。オゾムは”オーバーorアザーZ0(ゼット・ゼロ)ボソン”の略称でもあるんだ」 「いきなりマルマイマーのでっち上げエセエフ設定を持ってくるかキサマ」 「人の意識や思考を量子学で立証しようとする研究は実際にあるからね、あながち嘘ではないのだが――それはそれとして、僕はこの〈電波〉を物理的な効能を持つコントロールが出来る。つまり――」 そう言った途端、ピカチュウ耕一のしっぽの先が爆発した。ピカチュウ耕一は慌ててその場ではね回る。 「――『しっぽの先が爆発する』というイメージを耕一さんに送ったんだ。イメージを受け取った相手は、無自覚にその通りだ、と認識して反応してしまう」 ピカチュウ耕一は焼けたしっぽの先をフーフーと吹きながら走り出し、祐介から距離をとった。距離をとっていくと、次第に宙に浮く〈破壊爆弾〉が見えなくなっていった。 「……消えていく」 「僕の能力の射程です。完全に見えなくなったら、僕の〈電波〉攻撃は無力化した証拠です。もっとも、射程内で受けた傷は消えませんがね」 「まるでJOJOの『幽波紋(スタンド)攻撃』ね」 「似たようなもんさ」 呆れたふうに言う志保に、〈びっくりーふに近い男〉の浩之が感心して答えた。 「保身ばかりを意識する月島兄と違い、長瀬祐介の攻撃的な精神がそのまま具現化されたようなものだ。しかも非指向性によって一種の結界となっている。ピカチュウの超スピードを持ってして、果たして振り切れるかどうか」 「でも、遠距離攻撃されたら?」 「ああ」 ピカチュウ耕一は、近くに転がっていたパラソルを引き抜いてへし折り、その断面を祐介に向けて思いっきり投げた。 「スピードが駄目ならパワーで勝負っ!何も考えない物体を爆発できるかな?」 ところが、祐介はひとつも慌てず、 「二つ目」 そう言って飛んできたパラソルのほうへ手を差し出した。 「――パラソルは吹き飛ぶ」 祐介がそう言った瞬間、なんとパラソルが大爆発したのである。それは祐介がパラソルの先に触れた瞬間でもあった。 流石に耕一も、この奇怪な現象にはあんぐりとした。 「パラソルが爆発のイメージを受けて爆発したと思う?」 「違う」 最初に否定したのは〈びっくりーふに近い男〉の浩之であった。 「〈破壊爆弾〉は、指向性を持たせるコトも出来るというワケか」 「その通り」 そう言って祐介は、先ほどパラソルの先に触れた右手を差し出した。指の先からは煙が立ち上っていたが、怪我をしている様子はない。 「パラソルが爆発したんじゃない。僕の指先の細胞のひとつを〈爆弾〉だと思いこませて爆発させたのさ」 「なんだと…………?!」 耕一は相対峙する祐介を見つめて慄然となった。 「近寄る相手には爆弾に変え、心なきものを相手にするときは自らを爆弾に変える。――僕の〈破壊爆弾〉は無敵だよ」 「くぅぅぅぅっ…………!」 思わず歯噛みする耕一。自らの電撃攻撃も射程外であり、これは手のうちようがなかった。 「降伏する気は無いんでしょ?〈あるじゃーのん〉に侵されているだけだから、気絶程度に爆発させて上げる」 「「祐クン、かっこいいっ!」」 勝利を確信している祐介を見て、闘いを見守っていたアストラルバスターズの沙織と瑞穂が声援を送った。瑠璃子はこの闘いなど感心がないのか、てんで反対側を見てぼうっとしていた。 「……なんか一番格好いいんじゃないの、あいつ?」 イッちゃってぐったりと伸びているマルチュウに撫で撫でしていた、蚊帳の外の主人公の浩之がひがみっぽく言ってみせた。 「でもさ、油断は禁物だぜ」 「承知しているよ」 浩之の声を聞こえていたらしく、祐介は頷いてみせた。 「まぁ、主役の意地ってヤツかな」 「それはこちらも同じだ。俺だってリーフ作品の主役キャラだぞ」 ピカチュウ耕一は四つん這いになり、祐介を見据えた。 「こうなったら、やられる前にやってやる」 「拙いな、さっきの柳川みたいに、ダメージ覚悟で突進を仕掛けようとしているぞ」 「確かに、それしかないよね」 祐介は肩を竦めた。 「だけど、レミィの矢よりも、人の思考のほうが遙かに速い。むざむざと倒されに行くようなものだ」 「煩ぇっ!――――っ?!」 耕一が自棄気味に言い返したその時だった。 突然ピカチュウ耕一はうずくまり、痙攣し始めたのである。 「何?――――うわっ!」 ピカッ!今にも爆発しそうな勢いで震えていたピカチュウ耕一の身体が突然閃光を放ち、周囲を白色に染め返した。この輝度に浩之たちは思わず目が眩む。 「何だ何だぁ?いわゆるポケモンショックってヤツぅ?」 「志保、違うよ!あ、あれは赤と青の透過光の明滅で、これはストロボのような白い光が――あ、あれっ!」 雅史が突然、光の中心を指した。志保たちは促されるように。 そこには、ピカチュウの真ん丸体型から、逞しい男性型へ変貌する姿があった。 「まさか、進化?で、でも、ピカチュウの進化形はライチュウのハズ――――うわっ!」 戸惑う祐介たちの前で、唐突に光が消滅した。 そして、そこに先ほどまでピカチュウが居たところには、奇妙な人影か立っていた。 それを見た瞬間、祐介たちは絶句した。 「んんんんんんんんんんん――――っ!デカチュウっ!」 祐介たちばかりか、千鶴とヤンキー初音も絶句する。 そこにはピカチュウのコスプレをした変態……もとい、柏木耕一が立っていたのだ。 一瞬の静寂。 続いて、世界に轟かんばかりの、祐介たちの爆笑の渦。 「「「し、視覚の暴力だこりゃあああああっっっっ!!!」」」 「誰が金城武じゃあああああっっっっ!!」 どごーん。デカチュウ耕一の怒りの鉄拳が、爆笑のあまり精神集中出来ないでいた祐介を捉え、空へ吹き飛ばす。祐介は一瞬にしてお星様になった。長瀬祐介、享年16歳。 「形勢、大逆転ーぇん」 嬉しそうに言う千鶴。もっともデカチュウの姿を見て必死に笑いを堪えているだけなのかもしれない。一瞬の逆転劇による祐介の敗北に、しかし浩之たちは笑いっぱなしであった。 「さぁ、耕一さんっ!今のウチに残りの奴らを倒してちょーだいっ!」 「あらほらさっさぁっ!覚悟せいやぁおんどりゃあっ!」 デカチュウ耕一が、涙を流してしかし声を殺して笑っている芹香に歩み寄る。芹香に反撃出来る余裕はなかった。もはやコレまでか。 その時であった。 いきなり、芹香が地面に描いていた魔法陣から、巨大な人影が飛び出してきたのである。 その気配に驚いたデカチュウ耕一が、魔法陣のほうを見た。 そしてそこに、信じられないものを目撃したのである。 「ぢぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」 デカチュウ耕一よりも筋骨隆々としたデカいガタイの、ピカチュウのコスプレをしたそのおっさんを、我々は誰もが知っていた。 「喝ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!芹香お嬢様を泣かす奴は誰ぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」 デカチュウ耕一を視覚の暴力というなら、これはまさに視覚の強姦。ピカチュウのコスプレをしたセバス長瀬が、殺気立って魔法陣の中で吼えていたのである。 コレをついに見てしまった浩之たちは、呼吸困難に陥るまで大声で一層笑い出した。 「「あ、あれは、りーふ団本部に置き去りにしたポケモンボールに入っていたヤツ!あはははははははっ!」」 志保と雅史は笑い転げながら、そういう変なものを拾ってきたコトを思い出した。 「こ、これぢゃ、セバチュウ!セバチュウぢゃああああっっっ!!」 主役の浩之が地面の上で笑いのたうち回りなから命名。誰もが大笑いしながら頷いていた。 セバチュウは不機嫌そうな顔で辺りを見回し、ただ一人、唖然としていたデカチュウ耕一に気付いて睨んだ。 「キサマかっ!キサマが、ワシの大切な芹香お嬢様を泣かせたのわっ!」 「ちょ、ちょっと、まってっ!」 「問答無用の介ぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっ!!!裏格闘界を震撼させた超必殺ブロー、長瀬冥皇拳んっ!!」 ドゴォォォォォォォォォォォオッンッ!セバチュウのアッパーがデカチュウ耕一にヒットし、空へ吹き飛ぶ。一瞬にしてデカチュウ耕一はお星様になった。柏木耕一、享年二十歳。 「……殴りオチってヤツですね」 のたうち回る浩之たちをよそに、ようやく目が覚めたマルチュウが、今の会心の一撃を見て、見も蓋もないことをいう。 まぁそれはそれとして、芹香、二連勝。 つづく http://www.kt.rim.or.jp/~arm/