「鳩のヲ嫁さん。」  投稿者:ARM


【警告】この創作小説は『雫』『痕』『ToHeart』『WHITE ALBUM』『こみっくパーティ』といった(Leaf製品)の世界及びキャラクターを片っ端から悪用……げふんげふん、もとい、使用し、ネタバレの要素もある話になっています、たぶん<ぉぃ(笑)。

 Leaf作品において最も一番、浮き名を流した男性キャラ、藤田浩之が結婚した。
 相手は、来栖川電工製品試作機、HMX−13型メイドロボ、セリオである。
 俗に言う「出来ちゃった」結婚であった。
 いくら「中出し魔王」とまで呼ばれた浩之でも、ゲーム中ほとんど関わりもないもない、しかも機械相手にあろう事か子供を作らせてしまうとは、余りにも非常識ではないか、という声がある。そんな声を聞くたび、セリオはこう答える。

「あれだけ飽きるまで何度も中出ししちゃえば、出来るモノも出来ると思います」

 あらゆる意味で機械がゆうセリフかぁぃ(泣)。
 奥方有力候補であった神岸あかりはショックのあまり大学衛星へ行くと言い出し、しかし母親の名が正式に「ひかり」に決まったコトでその道も絶たれ、しばらく自堕落な生活を送っていたが、突然第二の「大山の○代」を目指すと言い出して声優学校に進学してしまった。
 来栖川姉妹は、まさか飼い犬に手を噛まれるとは思っていなかったらしく、その反動で世界征服を企てているとかいないとか、とにかく失踪してしまった。
 松原葵は、ショックのあまり蒼くなってしまったが、もともと髪の毛は青いので大して変わりはしなかった。しかし一番浩之に懐いていた、二号さんを目指していたHMX12型マルチはショックのあまり髪の毛が青くなってしまい、ますます葵と同じ姿になって周囲を混乱させてしまった。
 レミィの場合はショックのあまり来栖川芹香に弟子入りし、魔法少女になるんだと騒いだが、神戸のほうからそれだけは勘弁してくれという毒電波を受けて落ち着いた。傷心の心を故郷のアメリカ大陸で一流のハンターになるんだと決心したらしいが、もともと精神的に不安定なところがある娘なので、まだ予断は許せない。
 保科智子は、あっそ、と素っ気なさそうにしているが、その冷静さの裏では隙あらば眼鏡を外しお下げを解いた「スーパーモード」で誘惑することを考えているらしい。
 雛山理緒は相変わらずビンボーだった。
 長岡志保も相変わらずうるさいだけだったが、関係を持ったことをネタに、浩之を強請る機会をうかがっていた。
 問題は、姫川琴音であった。浩之が「食っちゃった」中では一番屈折した人生を過ごしてきたために、せっかく手に入れたと思っていた男を機械人形風情に横取りされるのがとても我慢できなかった。

「……確かに藤田さんは下手くそで2分しか保ちませんが……ってこれはどこぞの腐れ外道が某BBSでうっかり広げてしまったデマでしたわね(恥じらい笑い)」

 違うの?

「――お黙り。どこの世界にたった2分間で女性を満足させられる男がいるの?まぁそれはそれとして、このままアニメ版にならって佐藤雅史に走る、なんてオチだけは絶対我慢なりません。――――うふふ、力ずくでも藤田さんを取り返して上げるから」

 正気の色を無くした瞳がイヤに眩しい笑顔をする琴音は、新婚ホヤホヤの藤田家の前に立っていた。現在、浩之は会社に出勤して不在であるコトは確認済みであった。

「出来ちゃった結婚のような、愛の無い人生の終局に、きっと藤田さんは針のむしろのような生活をしているのでしょうね」

 当日の朝、藤田邸では、無表情なセリオに「はい、あーん」とコロッケを食べさせてもらってデレデレしている浩之がいた。それなりに愛があるらしい。

「藤田さんがいない今のうちに、あの機械人形を、あたしのPK(念動力)で粉砕してくれるわっ!覚悟おしっ!」

 早速琴音は玄関の扉をPKで吹き飛ばした。もの凄い音に気付いてセリオが顔を出したら、すかさず無限加速のPK波で光粒子にまで粉砕してやるつもりだった。
 何故かセリオは出てこなかった。

「…………おかしい。それなりに腹もでかくなっていると聞いていたから、外出なんか出来ないハズなのに……?」

 訝る琴音は、粉砕した玄関から入っていった。
 すると突然、室内の隅々からレーザー光線が発射され、琴音に襲いかかってきた。

「――予想済みよ」

 レーザーは琴音を射抜くコト無く、あらぬ方向にねじ曲がって外れてしまった。PKで周囲の空間を湾曲させていたらしい。

「相手は来栖川警備保障のセキュリティシステムも操作できる怪物だからね。防犯設備もそれなりに用意していると踏んで正解だったわ」

 琴音はレーザーをねじ曲げながら交わし、居間の前にたどり着いた。
 居間の中には、誰もいなかった。

「…………もしかして、本当に留守?」

 そう思ったとき、上の階から、ぎしっ、みしぃ、という物音が聞こえた。

「そうか、二階ね」

 そういって琴音が階段のほうを見た時、そこに数名の人影を見つけた。

「来栖川のセキュリティを無力化するなんて、なかなかのモノね」

 階段のほうから聞こえたのは女の声だった。

「――しかしっ!この来栖川警備保障の切り札、アストラルバスターズの力の前には稚技も同然っ!」

 べべーん。いきなり廊下の照明灯がつくと、階段に足をかけてポーズをとっている「雫」3人娘が現れたのである。

「うふふ。こっから先は、一歩も通さないわよっ!」

 リーダーの新城沙織が不敵な笑みを浮かべて琴音を挑発してきた。

「いくわよっ、瑞穂ちゃん、瑠璃子ちゃん!インフィニティスパイクっ!」
「うるさい」

 そういって琴音は3人のほうを指した。すると沙織たちは見えない衝撃波を受けて、そのまま後ろの壁をぶち抜いて吹き飛ばされてしまった。

「スターシマックしかり超人ロックしかり、サイボーグ風情が天然エスパーに敵うとお思い?おととい来なさい」

 そういって琴音は階段へ近づいた。すると今度は、階段の上から転がり落ちてくるように、数名の女性が現れた。

「アストラルバスターズが敗られるとは驚いたけど、しかしここまでよっ!今度は、えるくぅ鬼界四天王がお相手するわっ!」

 鬼界四天王というか、全員、揃いのスクール水着で身を包んだ柏木姉妹であった。リーダー格の千鶴が悠然と琴音を指して笑っていた。

「ねー、やめようよぉ、千鶴お姉ちゃん。…………恥ずかしい」

 末っ子の初音が赤面しながら千鶴の手を引く。その隣ではもじもじする楓と、息苦しそうに頭を抱えている梓がいた。流石に胸が圧迫するらしい。

「お黙り、初音っ!一人を除いてあたしたちに似合うユニフォームっていったら、これしかないのよっ!それにこれは来栖川財団の総力を結集してスクール水着に似せて作った、防弾防寒防熱に優れたすーぱーすぅつ!エスパーのPK攻撃も無効化してくれるんだから」
「でも、胸がキツイ」
「黙れ、垂れ乳」

 ぶちっ。切れた梓が、千鶴にパンチをくれる。しかし千鶴はそれを悠然と交わしてみせた。

「誰がたれちちやねん!あたしゃまだ誰かさんと違って肌に張りのあるピッチピチのハタチ前なんですからねぇっ!」
「なんですってっ!」

 今度は千鶴が切れた。ハタで呆れていた琴音だったが、チャンスと思い、PKを放った。
 ところが、琴音のPKは揉み合っている柏木姉妹の手前で霧散してしまった。

「――おっと、危ない危ない。言ったでしょう、PKは無効化されるって。さぁ、反撃に転じるわよ」

 そういうと千鶴は、かなり余裕のある胸の中か取り出したセイカクハンテンダケを、渋っていた初音の口にいきなり突っ込む。
 もがもがと抵抗して口からよだれを垂らす初音の姿は、エロ同人などで耕一に辱められているそれだが、生のキノコを実の姉が無理矢理口に含ませようとする姿は、その筋の人たちなら前屈みモノであろう。もっとも、初音がセイカクハンテンダケを噛んで、例のごとく「おらぁっっっ!!」の掛け声とともに悪の初音様に変貌するのには3秒とかからなかった。

「おら、そこのエセダウナー系っ!ブチゆわしたるからそこから逃げるなよっ!」

 すっかりハジけてしまった悪の初音様。そう叫ぶなり、琴音に飛びかかってきた。

「――なるほど。超能力での攻撃なら、跳ね返すのね。じゃあ」

 というと、琴音は右手を広げた。すると、その手に光が集まり、突然、金属バットが出現したのである。

「でも間接攻撃ならどうかしら」

 そういうと、とらの会の元締め・とらよろしく金属バットを振りかざし、飛びかかってきた初音を一本足打法でホームランしてしまったのである。

「なにっ!?」
「エスパーの能力には物体遠隔誘引(アポーツ)ってのがあるのをご存じ?」
「まてっ!あんたはPKだけでしょうが!」
「藤田さん奪回を誓い、血の滲む能力開発訓練を続けた結果よ。それに、あたしの呼び寄せられるのは物だけじゃないの」

 そういって琴音は、次に人間を呼び寄せた。それは、食事中でお茶碗と箸を持っていた日吉かおりであった。

「…………あれ?昼ご飯食べていたのよね、あたし――あっ、梓せんぱーいっ!」
「食欲も満たされたことですし、次は別の欲を満たされては?」
「よっしゃあっっっ!!!せんぱーいっ、そのしゅくーるみじゅぎはあたしのために着てくださったのですねぇぇぇぇぇぇっっっっ!!か・お・り、イッきまぁぁっす!!(はぁと)」
「うわぁぁぁっ!ち、違うんだこれはぁぁぁぁぁッ!!」

 梓の姿を見た途端発情したかおりが、梓めがけて尋常ならぬ速度で飛びかかってきた。梓が慌てて外へ逃げ出すと、追い掛けるかおりによって隣にいた楓が、その際発生した衝撃波を受けて遙か彼方へと飛んでいってしまった。

「ああっ!みんなっ!」
「残りはひとり」
「ううっ!――しかし、あたしにはあなたに呼び寄せられるような物理的弱点は無いわよっ!」
「さうかな?」

 そういって琴音が呼びだした者は、下宿に居たと思しき、柏木耕一だった。

「――――なっ!?なんて格好しているんですか、千鶴さんっ!」
「あっ!(赤面)こ、これは仕事上の……」

 耕一の出現に、この上なく赤面する千鶴は慌てて胸元と腰の辺りを手で覆い隠す。

「し、仕事……って、何の?」

 耕一は鼻血をだらだら流し、スクール水着姿の千鶴を食い入るように見つめていた。

「ず、ずいぶん卑怯な手を使ってきましたわねっ!お、お姉さん、容赦しないわよっ!」
「耕一さんが現れたら急にお嬢様ぶって。この偽善者」

 ぶちっ。お約束のキーワードを受けて、千鶴がマジ切れした。

「しまいにゃあ、いてまうぞ、こらあっ!このカマトト娘っ!」
「うるさい」

 そういうと琴音はPKで耕一を持ち上げ、千鶴めがけて投げつけた。耕一の身体は千鶴に命中し、二人はもつれ合うように倒れ込んでしまう。

「あいたたたた…………あっ?!(汗)」

 身を起こした千鶴が起きあがると、なんと耕一の頭が、二十歳を越してなおスクール水着がゆるゆるの千鶴の胸元に挟まっていたのである。

「む、むー!ぬ、抜けないっ!」
「あ(赤面)だ、だめです、う、動かないで!」
「つ、つったって……く、くるしい」
「――――い、息吹きかけないで……駄目、そこ舐めないでっ!…………ああっ…………!もう駄目、耕一さぁぁぁぁん!!」

 何とか頭が抜けた耕一だったが、すっかり発情した千鶴に身体を押し倒され、オトナタイムに突入。その横を琴音が悠然とすり抜け、階段を上がっていった。
 二階に上がった琴音は、途中、ほわいと某とか名乗る女性の集団と遭遇したが、特殊能力を持たない彼女たちなど琴音の敵ではなく、琴音の指のひと振りで壁ごと家の外へ吹き飛ばされてしまった。
 まもなく、琴音は先ほどの物音が聞こえた部屋の襖の前に立った。物音はまだ聞こえていた。

「ふっふっふっ、手こずらせてくれましたわね。――覚悟おしっ!」

 琴音は勢い良く襖を開けた。
 部屋の中にはセリオがいた。だが、それは琴音が予想していた姿ではなかった。
 それを目撃した途端、琴音の頭は真っ白になった。次に頭に浮かんだのは、玉乗りたれぱんだ。セリオは、巨大な白い卵の上に俯せになって乗っかっていたのである。

「…………ロボットが卵温めている……ってゆうか、もしかしてこれが藤田さんが孕ませた子供ぉ?――ロボットって卵生?いや、哺乳類……でもロボットと人間の合いの子だから、…………そーいやカモノハシって哺乳類のクセに卵生だったわねぇ……でもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもっ!!あううううううううううっっっっっっっっ!」

 混乱し、溜まらず頭を抱えてその場にうずくまる琴音。そんな琴音をみて、セリオは平然とした顔で、いらっしゃいませ、と挨拶した。

「な、なによっ!何、そんな平然とした顔で卵を温めているのよっ!っていうか、それが藤田さんの子供?」
「そうです」

 琴音、また立ち眩みを覚える。

「――――み、みとめないわよっ!ヒトは哺乳類なんですからねっ!」
「卵生のカモノハシも哺乳類ですよ」
「う、うるさい!あんたなんか、その変なモノと一緒に破壊してやるからっ!サテライトキャノン使う暇なんかないと思いなさいっ!」
「近所迷惑です――――セリオビーム」

 そういってセリオは口を開き、琴音めがけて得体の知れない怪光線を放つ。ペンギン村の某アンドロイドを祖にするロボット少女の必殺技の直撃を受けた琴音は哀れ、粉々になってしまった。

「ふう。危ないところでした。さあダンナ様が戻ってくるまで、のんびりと温め続けますか」

 セリオは何事もなかったかのように、しかしいつものように平然とした顔で卵を温め始めた。こうしてエスパー少女の横恋慕から大切な我が子を守り抜いたのである。ああ何という感動的な母の愛か。その日の夕方、滅茶苦茶になった我が家に唖然とする浩之は、家の前で佇むばかりであったが、浪速ともあれ、めでたしめでたしでフ。


和樹「…………てなわけでどうだしゅぞくをこえたかんどうのあいのたたかいのどらまだぜ、いひひひひひ」
瑞希「…………ああっ、和樹が壊れちゃった!」
九品仏「……すまぬナリ。我が輩が締切前の息抜きと思って忙しいマイ同志和樹を無理矢理にあさひちゃんのコンサートに連れていったばかりに、張りつめていた緊張がブッチしてしまったらしいナリ」
和樹「いひひひひ、しゅくーるみずゅぎはさいこをぉだぜっ!いひひひひひひ!!」

                 ちゃんちゃん♪
http://www.kt.rim.or.jp/~arm/Hatohato.htm