【承前】
おぎゃあ。
それは、どこからともなく聞こえた、赤子の泣き声だった。
おぎゃあ。おぎゃあ。おぎゃあ――――。
泣き声の発生源は、なんと、マルマイマーの左手が掴んでいるTHライドであった。ワイズマンによって封入された人間の魂が収められた地球製THライドが、赤ん坊のように泣いていたのだ。
「――浄解によって、あのTHライドの中にあった魂が、生まれ変わったのだ。――メイドロボットがこころに目覚めるように、人の魂が収まった地球製THライドの浄解は、人の魂を生まれ変わらせるのだろう」
長瀬達は、スクリーンに映し出されている、泣き声を上げ続けるTHライドを呆然と見つめていた。
やがて、マルマイマーは、ふっ、と笑みをこぼし、THライドを持つ左手をゆっくりと胸元に寄せた。
「…………まるで、赤子を愛おしげにあやすお母さんみたいね」
メインオーダールームにいるあかりがそうもらすと、綾香とレミィも、うん、と嬉しそうに頷いた。
「……マルチは、すべての始まり、か」
「?なに?」
綾香の呟きにあかりが反応した。
「……ううん。なんでもない。――あとは」
『「――そう、あとはっ!!』」
マルマイマーは、きっ、と上空を睨み付けた。
そこに滞空するは、巨大な魔神――エクストラヨーク。
マルマイマーは、右手にするゴルディオンフライバーンをエクストラヨークに差し向けた。
『「――次は、お前だっ!!』」
To be continued
【次回予告】
君たちに最新情報を公開しよう!
最強勇者へと進化したマスターマルマイマーは、ついに鬼界創神エクストラヨークとの対峙の瞬間を迎える!奇跡の破壊神と悪夢の創造神との長き闘いに決着が着く中、自らの犯した罪への罰を甘んじて受ける恋人たちの哀しき運命に、マルマイマーは慟哭する。人知を越える力は、本当に人のこころを救えるのだろうか?苦悩するマルチの中で、リズエルの記憶を持つ千鶴が、人類と人類原種の闘いのすべてを語り始める!
東鳩王マルマイマー!ネクスト!
第14話「リズエルの遺産」!
次回も、ファイナル・フュージョン承認!
勝利の鍵は、これだ!
「THライドから浮かび上がる光形態の柏木千鶴」