It’s 4「すっごく遠くからマルチを見分ける方法。」 投稿者: ARM(1475)
○この創作小説は『ToHeart』及び『こみっくパーティ』(Leaf製品・一部未発売(笑))』の設定及びキャラクターを悪用しています(爆)。
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   It’s 4

   「すっごく遠くからマルチを見分ける方法。」




            作:ARM








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(注意!)このSSは『ToHeart』に関するネタバレが含まれております。……ハズ(^_^;
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☆冒頭、いきなり「天使のゆびきり」のイントロにあわせて、「暗いところで近寄って観ないでください」とゆうお約束のテロップが流れる。

 舞台は町田市にある、宮澤家。
 宮澤家の大黒柱である宮澤浩之は、長女の雪乃を呼びつけた。

「なによ、おとーさん?」
「…………雪乃。ひとつ、頼みがある」
「?」

 きょとんとする雪乃に、浩之は一本の黄色いリボンを差し出した。

「これを、頭に巻いてほしい…………ちがう、はちまきじゃなく、額の上で、結ぶんだ………そーだ、そーだ………………ううううううううううう゛う゛う゛う゛う゛う゛」

 不承不承、雪乃は父親のゆう通りにリボンを巻いた。すると突然、浩之は唸り始め、

「――雪乃。浩之ちゃん、ってやさしく呼んでみてくれ」
「?」

 その言動が理解できずに訝る雪乃だったが、父親が妙に殺気立っている様子から、仕方なく、父親の名前を親しみを込めて呼んだ。すると、

「――あ、あかりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっっっっっ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!」

 突然父親に押し倒されてしまう雪乃――――その瞬間、この危険な構図はモノクロの写真と化した。
 場面は、その写真を拡大したポスターを、黒ずんだ血糊が一杯に拡がる壁に貼った、
どこかのTV局のスタジオの内部と思しき映像に変わる。
 
『――こんばんわっ!ブラックメイル(脅迫状)の時間がやって参りました!』

 あろう事か、先日、由綺の襲撃を受けて死んだモノと思われていた久品仏大志が、全く無傷のままで、平然と笑顔をカメラに送っていた。

『先日は突然の乱入にスタジオは大パニックとなり、視聴者の皆々様には多大なるご心配をおかけしてしまいました。しかしご心配なくっ!あの手の乱入にはちゃんと対策を講じております!言論の自由を奪う輩には決して屈しない!それこそ真実を伝えるマスコミのあり方といえましょう!ちなみに私は3人目です(笑)はい、ベタですねっ!これ以上つまらないジョークを聞きたくないヒトは、画面の下に映っている口座まで、1ポンド振り込むよーにっ!それはそれとして、今日のトップバッターは、町田市にお住まいの宮澤浩之(仮名)さんっ!ごらんの通り、大変な状況でス!流石、あの浩之と同じ名前だけあって外道デスねっ!さぁ、このポスター写真に写る次の出来事を公表されたくなければ、至急こちらまでご連絡――――おっと、もう電話ですか。先日の藤井氏のような、骨のある弱者はなかなか居ないモンですねぇ。それでは、今夜もいきましょう、「IT’s」!!』

And Now……For Something Completely Different.

☆ここで「自由の鐘」のテーマソングが流れ、サイケなOPが続く。締めは、画面中央にあるくまの頭が、画面上から出てきた、セイカクハンテンダケを食したヤンキー初音の素足に踏みつぶされる。


『すっごく遠くからマルチを見分ける方法。』

 ぱっぱらっぱ、ぱーぱー。突然、世界の料理ショーのテーマソングが流れてくる。
 場面は、先ほどのブラックメイルと同じように、どこかのTV局のスタジオの内部。少し薄暗い。
 そこへ突然、画面中央にスポットライトが当たり、白衣を着ている中年男の姿が現れた。

「世界の博学ショーの時間がやって参りました。司会の長瀬源五郎です。当番組は、来栖川グループの提供でお送りいたします。――さて、今日のテーマは、『自然観測』。自然には様々な事象があり、太古より人々はそれを観測することで人類文明を支える学問を発展させてきました。あらゆる事象を知るコトとは、観測に始まると言っても過言ではないでしょう。そこで今回は、観測に関するテクニックをお教えいたします。さて、今回の観測に使う教材ですが…………」

 そういって主任長瀬は、笑顔のマルチが写っているフィリップを取り出した。

「はい、みなさんご存じの、こんな笑顔でちゃっかり男の家から朝帰りした不良娘です。実はこやつ、わたしがちょっときつく叱ったために、現在、家出しています。せっかくですから、みなさんに、この不良娘を捜してもらうことにします。こちらをご覧ください」

 そう言うと主任長瀬は、背後にある大きなスクリーンに振った。
 するとスクリーンに、大田区蒲田にあるPAOが映る。次にその映像がスライドし、PAO内部で催されているLeaf系同人誌即売会が映される。どうやら生中継らしい。

「さて、MIK(Men In Kurusugawa:来栖川グループ諜報組織)の情報によりますと、この中にうちの放蕩娘が隠れているとのこと。しかしここはコスプレ0Kの同人誌即売会。マルチのコスプレをされている方も大勢います。こんな状況下で、本物のマルチを見分けることは難しいと思われるかも。しかし、だが、この程度ならまだ見分けるコトは可能です。ここをごらんあれ」

 主任長瀬は懐から赤外レーザー線式ポインタを取り出し、スイッチを入れて一角を赤く穿って見せた。
 赤外線が指したそれは、どこから見ても掃除作業服を着たパートのおばちゃんだった。

「どこからみてもパートのおばちゃんですね。しかし、普通のおばちゃんは、耳にこんなカバーは付けません。あいつは根本的に間抜けですから、――こらっマルチっ!」

 主任長瀬の叱咤がPAO会場内に響き渡ると、白い耳カバーをつけたパートのおばちゃんの変装をしていたマルチが慌てて変装を解き、会場から逃げ去ってしまった。

「…………逃げましたね。そうは問屋が降ろしません。――次」

 そう言って主任長瀬は指を鳴らす。するとスクリーンが場面転換し、今度は、港区浜松町にある都立産業貿易センターに切り替わった。

「次はおなじみ、浜松町の都産貿。ARMの母校の目の前にある建物です。PAO同様、関東のLeaf系同人誌即売会などでよく使われているところです。はい、画面変わって」

 主任長瀬の指示でスクリーンがまた場面転換した。今度は都産貿の中であった。

「PAOより広いため、少し閑散した感がありますが、依然、マルチのコスプレをする人が大勢います。――でもご心配めされるな、ほら」

 そう言って主任長瀬が指したのは、あるマルチのコスプレーヤーであった。

「…………………マルチ。角刈りの坊主がお前のコスプレするコト自体、無理があるというもの。MIKのみなさん、とっとと捕まえて」

 主任長瀬の指示が早いか、会場の至る所からわらわらと現れた黒服黒メガネによって、角刈りマルチは取り押さえられる。

「…………え?こいつ、本物の人間?嘘ぉ(笑)うーむ、いっちょまえに謀ったか…………って関係ない?…………それ以前に、あの短時間でここへ移動できるべくもないか。――次」

 今度は、有明の東京ビックサイト。人の密度は前の二つの比ではない。

「…………さて、これからが本番。これだけの人数の中から、マルチを見分けるです。そこで、これを使うのです!」

 主任長瀬が、ドラ○もんが四次元ポケットからアイテムを取り出す効果音を鳴らして懐から取り出したのが、一枚の写真。

「――マルチっ!おとなしく出てこないと、BLACK・MAILより取り寄せた、お前が藤田家であの夜イタした全てを写した写真を公表するぞっ!」

 主任長瀬の脅迫が会場内に響き渡る。しかし、それに反応する者は誰ひとりとして無い。

「仕方ない。まず、一枚」

 東京ビックサイトのプラズマディスプレイに、浩之にふきふきされているマルチのアラレもない姿が映る。
 ところが、この映像を見ても、誰も反応しない。

「…………変だなぁ。これ観て誰も驚かないなんて」
「ちっちっちっ」

 突然、久品仏が乱入してきた。

「何だね、久品仏クン?」
「コミケでは、特に男性向けサークルで売られている同人誌では、これ以上にもの凄い絵が描かれているものがゴマンとあるのですよ。今日びのヲタクは、これ程度では喜びません」
「いや、別にわたしゃ、こんな連中を楽しませるつもりでこんなバカバカしいコトをするつもりはなかったのだが。――仕方がない、最後の手段といこう」

 べべーん。そう言って長瀬が胸ポケットから取り出したのは、赤いボタンが一個付いた鉄製の箱だった。

「なんですか、それ?」
「名付けて、『家政婦は見たっ!メイドロボットのあの衝撃の秘密』装置っ」
「………………」
「何か言いたそうな顔だが」
「…………いえ、べつに。用件は手短に済ませてもらえれば結構です、ハイ。いったい、何ですか、ソレ?」
「ふふん。これはな、特定の形状をする物質を破壊する秘密道具なのだ」
「特定の形状…………?」
「これだ」

 そう言って長瀬が取りだしたものは、お馴染み、マルチの耳カバーである。

「…………まさか?」
「そのまさかだよ明智君」
「自分は久品仏です」
「それはそれとして、この装置のスイッチを押すと、この装置の中から発信されるソリタリーウェーブが、目標物体の固有振動波と共振を起こし、目標物を分子レベルで破壊するっ!」
「まてぃおっさん(汗)」
「いーや、待たんっ!ソリタリーウェーブっ、ファイヤー!――ポチッとな」

 長瀬がボタンを押した途端、コミケ会場の至る所で爆発が起こる。瞬く間に会場は混乱し、悲鳴と絶叫の輪が拡がっていった。

「燃やせ、燃やせッ、真っ赤に燃やせッ!至る所に火をつけローっ!」
「おっさん、やめいいいいいいいいいいっっ(汗)」


☆暴走する長瀬を羽交い締めにする久品仏の姿は、やがて何者かが手にしている新聞のトップ記事の写真へ変わる。写真自体、白黒だが、よく見ると新聞を持っている者の姿も白黒であった。

ナレーション「……ここは銀河の中央部。数多に煌めく星々のあまりにも美しすぎるその光景を映像化することは現代の映像技術力では不可能なため、ここより白黒でお送りいたします」

 先ほど新聞を持っていたのは、藤田浩之だった。浩之は地球侵略を謀る宇宙怪獣軍団に対抗すべく結成された、銀河殴り込み艦隊の総司令官して、超弩級宇宙戦艦エリトリウムの艦橋に乗り込んでいた。

「…………また、コミケ会場で爆弾騒ぎかい。21世紀を迎えても相変わらずだなぁ」

 そういって浩之は隣に座っている葵をみて、

「葵ちゃんもそう思うだろう?」
「いえ」
「へ?違うの?」
「いや、そうではなくって…………わたし、マルチです」
「――――え?」
「あの、さきほど、地球より連絡がありまして、わたしの耳カバーに爆弾が仕掛けられているおそれがあるため、回収されてしまったのです」
「…………あう(汗)コイツの所為か」

 浩之は新聞に一瞥をくれた。この白衣を着た犯人が耳カバーだけを爆発させる装置を作ったらしい。

「…………しっかし、耳カバー外すと…………その、なんだぁ、葵ちゃんと区別が…………こまるよなぁ、マルチ」
「いえ、あたしは葵です」

 いつの間にかマルチの隣に、葵が座っていた。浩之は一瞬ひきつった。

「やっべぇ(^_^;画面が白黒だから、余計に区別が付かないっ(冷や汗)」
「「ひっじょうに危険なネタですねぇ(^_^;」」

 苦笑する二人につられて浩之も苦笑する。

「うー、困った。耳カバーをつけると爆発してしまうからつけているわけには行かないし、まさかの時にどーやって区別しよう?」
「「「――まさかの時にスペイン異端宗教裁判っ!」」」

 べべーん。けったいな擬音とともに、真っ赤なツバ広帽とコートを着込んだ、教師長瀬と警部長瀬、そしてセバス長瀬がどこからともなく湧いてきた。

「わぁっ!?お、おまえら、どこから侵入してきたっ?!」
「喝ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっつ!こんなコトもあろうかと、この間に潜り込んでいたのだっ!困っているのだろう?困っているのだろう、少年っ!」
「…………あんたらの存在に困っているんだよ(^_^;」
「「つれないことを言うねぇ」」

 と教師長瀬と警部長瀬が顔を見合わせながら肩をすくめて見せた。

「せっかく我々が、この白黒状態で松原葵嬢とHMX12型マルチ嬢を遠くからでも見分ける方法を教えようとやってきたのに」
「ふーん。で、どー見分けるわけ?」
「コレだっ!」

 そう言ってセバス長瀬が懐から取り出したのは、一枚のタオルだった。
 ソレを見た途端、マルチか葵か、並んでいた二人のうち、浩之に向かって右側のほうの顔がこわばった。

「名付けてっ!『拷問ふきふき』っ!!」

 ソレを聞いた途端、浩之は思い出したように鼻血を噴いた。

「ままままままままままままままままままままままままままままままままままままま・待ていっ!!」

 顔を真っ赤にして狼狽する浩之と、マルチか葵の区別の付かない片方をよそに、もう一人のマルチか葵の区別の付かない娘がきょとんとしている。

「そそそそそそそ、それで判ったぞっヲレはっ!い、今、顔を真っ赤にしているのがマルチだなっ!(^TT^;(鼻血ダクダク)」
「は、はぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!は、恥ずかしいですぅぅぅぅぅぅぅ!!(*^ ^*;)」

 もはやどちらがマルチか、言うまでもないだろう。この場で「ふきふき」のキーワードに著しく反応するのは、浩之とマルチだけである。

「さ、流石、年の功とゆうやつか(^TT^;なるほど、東鳩で、ふきふき、と言えばマルチしかいないもんな。これなら確かに一発で見分けられる」
「…………あのぅ」
「ん?」

 ふう、と冷や汗を拭っている浩之に、ふきふき、と言う言葉に反応しなかった葵が怪訝そうな面もちで訊いてきた。

「…………ふきふき、って、なんですか?」

 葵がそう訊いた時、再び、べべーん!とけったいな擬音が轟き、教師・警部・セバスの長瀬アミーゴスが雄叫びを上げた。

「「「――――リーフキャラでありながら、栄光の『ふきふき』を知らンのか、少女ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっつ!!!」」」

 そう叫ぶなり、長瀬アミーゴスが葵を取り囲んだ。

「「「そーか、貴様っ!!!松原葵嬢に化けた、○○○○○○(←好きなソフトハウス名を入れてみよう(爆))の回し者だナッ!!!」
「へ?」
「「「よーしっ!葉っぱの神、エンペラーリーフの御名において、このスパイに『拷問ふきふき』の刑をっっ!!!この長瀬、容赦せんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっっっっ!!!」」」
「?!――きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっつつつ!!!!!!!??????」

 唖然とする浩之とマルチの目の前で、羽交い締めにされた葵にタオルを持ったセバス長瀬が飛びかかった。

「「「告白せよっ!!!告白せよっ!!!告白せよぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっつつつつ!!!」」」


(この間、あまりにも酷いセクハラシーンの為、カット)


 数十分後、ぐったりしている葵を取り囲んで、セクハラおやじどもは円陣を組んで踊りまくっている。あまりにもアレで酷たらしい光景を目の当たりにして、浩之とマルチは抱き合ってガタガタ震えていた。
 無理もない。長瀬アミーゴスが看破したとおり、この松原葵は偽者だったのである。どう偽者かというと、カツラを被っていたというよりも、股間に、浩之が見慣れたモノがついていたといえば直ぐに理解できるだろう。もっとも、長瀬アミーゴスの洞察力に恐れ入ったワケではない。

「お、男にまで”ふきふき”するたぁ、恐るべし長瀬アミーゴスっ!(^_^;――ん?」

 慄然とする浩之はふと、足モトに冷たい感触を覚えた。

「マルチ?――まさかお前、おもらし…………」
「つ、つい…………!こ、怖かったですぅぅぅぅぅぅ!!(T^T)」
「「「ナニッ!!?お・も・ら・し・となぁっ?!」」」

 べべーん。三度、けったいな擬音ともに、長瀬アミーゴスが浩之たちのほうを睨み付け、にやり、と嗤った。

「「「おもらしの時に、スペインふきふき宗教裁判っ!!!」」」
「「さっきと違うぞ名前ぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっつつつ!!(^_^;」」
「「「それはそれとしてだっ!床を濡らすな乙女よっ!!!罰として『拷問ふきふき』っ!!」」」
「「きゃあああああああああああっっっっっっっっっっっっっつつつつ!!」」

☆画面、反転。真っ暗になったかと思うと、突然カラー画面に戻り、再び舞台は東京ビックサイト。
 東京ビックサイト、至る所から煙がもうもうと立ち上っている。主任長瀬の暴走がもたらしたモノであった。
 レスキュー隊があわただしく会場内を動き回っている前で、マイクを持った久品仏がカメラに向かってお辞儀をした。

「…………東京ビックサイト、コミケ会場の現場です。突然のテロにあたりは未だ騒然となっております。本日、来栖川電工の長瀬源五郎容疑者(自称18歳)によるテロによる被害は、死者64名、重傷者256名とその規模に比べて被害は小さかったのですが、参加者や関係者の精神的ショックは計り知れないモノがあります。主犯である長瀬容疑者は、あんな通信装置も付いていない電子ブロックで作ったオモチャのボタンでナニが出来るか、と警察の取り調べに対し未だ犯行を否認しています。当局では長瀬容疑者が作った問題のボタンと事件との因果関係を現在調査中です。また、今回の事件直後、反貧乳解放騎士団と名乗るグループから天誅!という犯行声明が各報道機関に送られており、そちらのほうも調査中とのことです。…………この無茶苦茶ぶりを正義と言い張るその主張はまさに狂気。まるで中世のスペイン異端宗教裁判を彷彿させる…………」

☆再び、画面は白黒に。ぐったりしているマルチと浩之の手前で、長瀬アミーゴスはセバス長瀬が持っている携帯TVを睨み付けていた。

「――うおっ!わしらを呼んでいるぞっ!」
「どうする?そろそろエンディングが――ああっ」

 言っているそばから、画面下からエンド・クレジットが出始めた。

「おいっ!もうプロデューサーの名前が出て来ちゃったぞ!どうするっ!?」
「くそうっ!これはゴルゴムの仕業だっ!」
「ええぃっ!全艦転艦!至急地球に向けてワープだっ!」

 セバス長瀬の指示を受け、銀河殴り込み艦隊が一斉に180度転艦する。しかし、エンド・クレジット、とうとう最後のテロップである製作著作・Leafが画面に出てしまう。

「「「クソッ!間に合わねぇや!覚えてろよぉっ!!!」」」

 そういって長瀬アミーゴスが口惜しそうに、被っていたツバ広帽を床に叩き付けた。その帽子のてっぺんに書かれていた文字が、

          「The End」

http://www.kt.rim.or.jp/~arm/Hatohato.htm