【耕一君、ハイ!】 唐突ですが、キミは柏木耕一です。 キミの目の前に、食べ物があります。何故か、カニ玉のあんかけが乗っている大皿が2つ。 キミは夏休みを利用して、従姉妹がいる隆山の本家へ遊びに来ていたのですが、夏風邪で寝込 んでいた次女の梓の代わりにもてなそうと、長女の千鶴がとんでもない(いわずもがな)コトを しでかしたのです。 それを知った梓は、一家の平和と健康を護るため、死力を振り絞ってもう一品作ってくれまし た。だが、それを皿に載せてアンをかけた時点で梓はついに力尽き、昏睡してしまいました。 ところが拙いことに、両者の皿はまったく同じもので、果たして千鶴にもどちらが自分の手製 のモノか判らなくなってしまったのです。 その為、見かけに差は無いカニ玉が二つ、ちゃぶ台に並んだのですが、一方は確実に第一種劇 物扱いの代物です。キミは即座に周囲に毒味役の猫、タマを探し求めましたが、妖魔の本能と学 習能力で既に逃走済みでした。耕一は、帰ってきたら三味線屋に売り飛ばしてくれると心に誓う のですが、それはそれとして。 ちゃぶ台を挟んで正面に座っている初音ちゃんと楓ちゃんは心の中で血涙を流しています。きっ と二人とも蜘蛛の網に掛かった蝶の心境でしょう。なぜかアトラク=ナクアという言葉が浮かび ますが、きっと気の所為でしよう。 しかし、どちらかは梓が命を削って作ってくれた食べ物。もう一品は、毒物とはいえ、千鶴の 優しさが込められた食べ物。優しいキミは、両方捨てるなんてマネは出来ません。 さて問題です。犠牲を少なくするための方法として、やはり毒味しかありません。キミがどち らかの品をほんの少し口にすれば、どちらが梓の品か判るはずです。それさえ判れば、あとは何 とか適当な理由をつけて劇物の品を退けるコトが出来るでしょう。しかし「ホンの少し」が必ず しも安全とは限りません。自分の安全も確保したい。そこでとんちを利かせて、口にする前にどっ ちが梓の品なのか、しらべる方法を思いついて下さい。無論、最後の手段として両方捨てる手も ありますが、その場合も皆が納得できる理由を思いついて下さい。 耕一「……千鶴さん、ちょっと聞いていい?材料に、何を使った?」 千鶴「卵とカニです。あと、タケノコやグリンピースとか」 耕一「……(疑心暗鬼の眼差しを千鶴に注ぎ、やがて庭のほうに目をくれながら)……流石に、 カニばかりは、この庭には居ないよなぁ」 千鶴「……ちゃんとスーパーで買ってきたモノです(むかっ)」 不機嫌になる千鶴をなだめつつ、それを信じて耕一は、右の皿のカニ玉を箸で摘んで口にした。 クリティカルヒット。 果たして、耕一はその直後より一週間昏睡状態に陥ることとなったのだが、気になった初音と楓 が、千鶴が買ってきたというスーパーマーケットへ行くと、そこは10年前から空き地になってい たという……うーんトワイライトゾーン(^_^;ちゃらちゃらちゃらちゃらちゃらちゃらちゃらちゃら、 ぽーん、ぽーん……。 何がなんだか(笑) (元ネタ・「鳩鳩」コーナーの、しげきつねさんのナイス回答に対する自分のツッコミより)http://www.kt.rim.or.jp/~arm/Hatohato.htm