What’s マルチュウ?14 投稿者: ARM(1475)
「 What’s マルチュウ?14」

 ==さんじょう!かめんのかりゅうど!の巻==

                 作 ARM

【承前】
(アヴァンタイトル:エメラルド色のはっぱマークがきらめく。)

 今まで暗躍していたリーフ団が遂に動き出した。カシワギポケモンジムで催されているポケモンワールドリーグ会場に爆弾を仕掛け、腕利きのポケモントレーナーを殲滅させたのである。
 運良く会場の外にいた浩之たちは、その魔の手から逃れることが出来た。だが、その前にリーフ団の幹部で、最強の実力者集団「リーフ団十傑衆」が現れる。
 浩之たちの前に現れたのは、十傑衆の中でも特に戦闘力の高い「BB四天王」がうちの二人であった。

「過激なる委員長!」
「ピクシィ・レミィ!」

 二人は浩之たちを見下ろし、放漫な胸を震わせながら高笑いしていた。

「……カシワギポケモンジムを爆破したのは、あんたらの仕業ねっ!」
「いかにも。――我らが、『ビック・りーふ様』の命により、カシワギジムに集ったポケモントレーナーたちの粛正を行った。これで、我らが野望を妨げようとする、有能なポケモントレーナーは全滅したっ!!」
「ユーたちを、のぞいて、ネ。――だけど、タマタマあとまわしになっただけの琴ネ」
「面白い!前々からリーフ団の十傑衆とは闘ってみたかったのよ!良い機会ね!返り討ちにしてくれるっ!葵、理緒、セリチュウ、やってお終いっ!!」

 綾香に指揮され、三人は一斉に飛び出した。

「HaHaHa!どーやらBB四天王のオソロシサを思い知らせる必要がアるわネ!」
「ここはうちに任せてもらおか」

 「過激なる委員長」智子は、不敵にほくそ笑むと、ビルの上から飛び降りた。

「『我が魔脚は無敵なり!!!UFOキャッチャー・くらっしゃぁぁぁぁぁぁ!!』

 智子は、飛びかかってくる葵たちに向けて、蹴りを放った。ARMのセガの知り合いに読まれるととてもヤバいネーミング(笑)の技だが、その間抜けなネーミングからは想像もつかない凄まじい衝撃波が智子のつま先から放たれ、一瞬にして葵達は吹き飛ばされてしまったのである。

「ああっ、セリオさん!?ご主人様ぁ〜〜って、あれ?」

 おろおろとするマルチュウは浩之のほうを見るが、浩之はがっくりと項垂れたまま地面の上にうずくまっていた。前回の通り、初恋の君が「この世ならぬアレなコスプレ」をしているコトにえらくショックをうけて立ち直れていなかった。しかしこの「レミィ=ピクシィミサ」ネタ、プロデューサーのI氏に知れたら何ゆわれるか冷や汗ものである(笑)。まぁ、そん時はそん時さ(^_^;
 冷や汗をかくと言えば、綾香もそうである。あの「無敵を誇るびんぼー神」が、たった一蹴で屠り去られてしまったからであった(理緒:死んでないですぅぅ)

「び……びんぼー神攻撃が効かないなんて……嘘ぉ!?」
「次は私が行きます!」

 そういって琴音が駆け出した。

「私には見える!あなたたち二人の不幸が――必殺、サイキックアタァック!!」

 いつの間にか名前が付いていた(笑)琴音の超能力技が炸裂する。琴音の思念波が空間に歪みを生じさせて重力波を発生させた。本来は破壊力に乏しい横波の性質を持つその重力波を、限りなく垂直面に立ち上らせることで、破壊力を持つ衝撃波の性質である縦波に近い性質へと変化させて攻撃力を与えているのだが、それは等価原理を狂わせ、運動する物質に無限加速を与えるコトでもありってこれ以上こ難しい解説は後日のマルマイマーでやるからそれはそれとして、とにかく凄まじい衝撃波が智子とレミィ目がけて襲いかかってきた。

「HaHaHaHaHa!アタシにまっかせなさぁい!」

 高笑いするピクシィレミィは、手にしていた羽根扇を衝撃波目がけて勢い良く仰ぎ始めた。
 まさかそこから、冗談みたいな凄まじい衝撃波が発生し、琴音が放った衝撃波を霧散させるとは誰が思うか。

「そんなっ?!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁっ!!こんなナマぬるい攻撃、屁のカッパねっ!」

 相変わらず怪しい日本語をあやつる辺り、間違いなくあのレミィだが、言動に少し下品さを感じる。それを聞いた浩之は一層落ち込んだ。

「それに、今日は特別でねぇ。――もう一人、来ているのだヨ!」
「えっ――」
「インフィニティ・スパァァァァァァィククククククククッッッ!!!」

 どかーん!突然、上空からバレーボールが豪雨のように降り注ぎ、着地したそれが次々に爆発する。琴音はその爆撃に吹き飛ばされ、すっかり伸びてしまった。

「これは――――?」

 唖然とする綾香たちは、やがて直ぐ後ろにあったビルの屋上から落ちてきた高笑いに気づき、振り返って見上げた。
 そこには、赤い髪の、バレーボールを小脇に抱えたブルマー姿の美少女が立っていたのだ。

「”BB四天王”が一人、さおりん・ザ・レッド、参上!!」

 ゆうまでもなく、あの新城沙織である。沙織は、とぅ!と掛け声と共にビルの屋上から飛び降り、智子とレミィの間に着地した。

「Youたちの攻撃はソレだけですかっ?」
「くっそぉ……!浩之!マルチュウを――って再起不能中?ええい、もう、勝手に使うわよ!」
「綾香さぁん……。そう、ゆわれましても、わたし、あんなデタラメな方達に対抗できる技なんか無いですぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(泣)」
「えええぃぃぃっ!主役は泣き言言わない!!」
「無茶言わないで下さいぃぃぃぃぃぃ(泣)」
「なぁに、仲間割れ?」

 綾香とマルチュウのやりとりを見て、沙織があざ笑った。

「もう、あんたらに勝ち目はないの。――ふぅん」

 沙織は芹香と綾香の顔をまじまじと見つめた。

「……うんうん。噂通りね。このまま殺しちゃうのは惜しいわね。どう、あなたたち?――違う!その緑の頭の貧乳ロボットには用はないの!!」
「ひ、貧乳……(大泣)」
「貧乳で悪けりゃ、絶壁よ絶壁!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんんんんんんんんんん!!!!!!!!」

 とうとうマルチュウは大声で泣き出してしまった。

「……あたし達に何かあるの?」
「凄まない、凄まない。――来栖川姉妹。命と引き替えよ、あたし達と手を組みなさい」
「手を組め……だと?」
「そう。――あんたら二人、”BB四天王”に相応しい資格を持っているから」
「資格……?」

 そうよ、といって、三人は大きく胸を張った。LVNS(リーフ・ビジュアル・ノベル・シリーズ)きっての豊乳トリオだけあってなかなか迫力のある光景である。(笑)

「うちらは、このLVNSワールドを革命すべく立ち上がった革命の志士!その聖戦に、同志を募っているところなんや」
「革命……?」

 当惑する来栖川姉妹に、沙織達は一斉に右手を挙げ、こう叫んだ。

「「「我らが、ビック・バストの為に!!!」」」

 途端に、世界が色を無くした。

「……はぁ?(汗)――もしかして……BB……って、BIG・BREASTのコト?」

 唖然とする来栖川姉妹に、沙織が説明し始めた。

「あなたたちも判ってると思うけど、LVNSには『暗黙の了解』があってね。その一つが『ふきふきキャラ』の存在!」

 俯いて落ち込んでいた浩之は、沙織の言葉に少し身を屈めた。何を意味するモノか嫌と言うほど知っているらしい。落ち込んでいても身体は正直らしい(笑)

「そしてもうひとつが、――『LVNSは、貧乳保護指定世界であるっ!!』」

 べべーん。けったいな擬音がベタフラと共に来栖川姉妹のバックに走った。

「噂には聞いておろう、豊乳キャラの冷遇ぶりを!ある者はSMばかりを強要するCGばかりとなり、ある者は童貞処女のHでSMをさせられ、あまつさえある者は貧乳風情の隠れキャラにさえあるラストCGさえも、青空で濁された!豊乳キャラであるが為に、イロモノ扱いされ、我々は記念すべき大切なものすべてを与えてもらえなかったのだ!」
「でも沙織さんって、『さおりんといっしょ!!』とかで結構優遇されてますよね」
「「――おおっ、そうだった!!この裏切り者めっ!!」」

 マルチュウに指摘され、ハタと気づいた智子とレミィが沙織を睨み付ける。

「――ちょ、ちょっと待ったぁ!!(汗)」
「「問答無用!過激なる魔脚あーんどレミィ・コケティッシュ・ボンバー!!」」

 ちゅどーん!二人のモーレツな攻撃を受けた沙織は、そのまま吹き飛んでどこかへ消えてしまった。

「あーたーしーのぉーでーばーんーわーこーれーだーけーかぁぁぁぁぁぁ(泣)」

 どうでもいいが、レミィの技はプリティサミィのほうじゃないかぁっ、という沙織の断末魔は遠い遙か彼方へ消え去ってしまった。

「マルチュウ、あんたなかなかやるじゃない。一人減ったじゃない」
「……そんなつもりは無かったんですけど(汗)」

 にやりと笑いながら小声で囁く綾香に、マルチュウは複雑そうに苦笑した。

「裏切り者は処分したで。これで我々の決意がいかに高潔なモノであるか、判ってもらえたやろ?」
「アタシたちの目的は、LVNSワールドに豊乳キャラが幸せになれる世界を作ること!偉大なるリーフ団総帥、びっくりーふ様のその崇高な理想を実現すべく、我らは立ち上がったのだ!」
「……なんか別にポケモンネタ使わなくても良い展開では?」
「それは言わない約束(汗)」

 突っ込みつつ、マルチュウの言葉にも一理あると綾香は思った。ほっとけ(笑)

「さぁ、どうする?このまま、出番を奪われて隠しCG扱いで満足する気?処女のお嬢様が淫乱扱いされてて、黙っていてもええの?」

 智子に言われて、来栖川姉妹は動揺する。確かに豊乳キャラに対する冷遇ぶりは目に余るモノがあった。次第に、心の琴線を震わされるようなBB団の勧誘に、二人は心を動かされそうになった――その時。

「は――――っはっはっはっ!迷うな、来栖川姉妹!正義は常に我にあり!」

 しつこいパターンだが、またもや高笑いが、近くのビルの屋上から振ってきた。

「「何モノだっ?!」」

 智子達が声が聞こえるほうへ振り向くと、そこには一人の人影があった。
 ライトブルーのワンピース姿に仮面の忍者赤影がつけていた物と同じデザインの、紅いマスクとマフラーをつけたその人物の名は――

「正義を愛する秘密の戦士、快傑チーヅルマン!!参上!」

 再び、世界が色を無くした。

「……誰?」
「……あのぅ綾香さん。あの人、カシワギポケモンジムの千鶴さんぢゃあ(汗)」
「え?で、でも、あの謎の人、『チーヅルマン』って言ってるじゃない。あの人、きっと男よ!」

 天と地がひっくり返っても、あのあからさまにバレバレな姿を見間違えるほうがどうかしている。――マルチュウはそう思ったが、それ以上反論すると綾香にナニされるか判らないので黙るコトに決めた。

「それよりも……タイトルでは「仮面の狩人」っていってませんでした?」
「シャラップ!!」
「ひっ!(汗)」

 チーヅルマンに一喝され、マルチュウは怯えて身を竦めた。

「我らが創造神『シーハカタ』より使命を受け、りーふ団の悪行を粉砕すべく、ここに降臨したのだ!BB四天王よ、その野望、打ち砕いて――」

 とチーヅルマンが口上を垂れているその時、彼女が立っているビルの向かい側の屋上から、もう一人現れた。

「は――――っはっはっはっ!迷うな、来栖川姉妹!」

 デジャ・ヴーな笑いが、向かい側のビルの屋上から振ってきた。

「「何モノだっ?!」」

 智子達が声が聞こえるほうへ振り向くと、そこには一人の人影があった。
 オレンジ色のスウェットシャツにGパンという活発そうな出で立ちに、仮面の忍者赤影がつけていた物と同じデザインの、紅いマスクとマフラーをつけたその人物の名は――

「正義を愛する秘密の戦士、快傑アーズサマン!!参上!……あれ?」

 見得を切った新たなる戦士は、ふと、向かいのビルにいるチーヅルマンの存在に気づき、しばし唖然となる。

「……何やってんの、千鶴姉ぇ?(汗)」
「わ――私は柏木千鶴なる心優しき美女ではない!愛の戦士、快傑チーヅルマンだ!あなたこそ、私とキャラが被ってるじゃないの!――恥を知りなさい、梓!」
「……やっぱり千鶴姉ぇじゃん(^_^;それよか自分で心優しき美女ゆうか(呆れ)」
「う、うるさいわねっ!!」
「なにをぅ!?」

 たちまち、正義の味方の間に火花が飛び散る。その一部始終を見ていたマルチたちは、ただ、肩を竦めるばかりであった。

              まだ、つづく

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