What’sマルチュウ?「不吉な」第13話 投稿者: ARM(1475)
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「 What’s マルチュウ?13……」

 ==強襲!リーフ団十傑衆”BB四天王”!の巻==

                 作 ARM


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【承前】
(アヴァンタイトル:エメラルド色のはっぱマークがきらめく。)

(暗闇の中。突然発光したスポットライトが、ストゥールに腰掛けている、右目を眼帯で隠した、妙に可愛い顔をした青年を闇の中から浮かび上がらせた。)

『……みなさん。前回のお話において、浩之たちが、ツルギシティにあるカシワギポケモンジムで行われた第13回ポケモンワールドリーグ戦の予選で、予想外の自殺点(?)で敗退してしまったのをご記憶されていると思います。今大会においてダークホースと思われた浩之たちのチームの闘いぶりに、観客たちは惜しみない拍手を与えました。調子いい浩之は、観客たちの声援に手を振りながら退場していきましたが、その後をぞろぞろとついていくポケモンとポケモンマスターたちは、マルチュウを除き皆、不機嫌そうな顔をしています。敗退したのがそんなに悔しいのでしょうか?』

綾香「……いいコト、みんな。抜け駆けは無しよ」
芹香「(こくこく、と頷いている)」
葵 「……で、どうします?」
セリチュウ「……街の外れに、空き地があります。そこでなら」
琴音「……良いでしょう」
理緒「……恨みっこ、無しですよ」
豪鬼(へっぽこ橋本)「正々堂々闘いましょう!」

綾&芹&葵&セ&琴&理「おのれは関係ないわぁぁぁぁっっ!!!!!!!」

『(SE:ちゅどーん!)……6人同時に殴られ、哀れ豪鬼”へっぽこ”橋本はお星様になったのであった。めでたしめでたし。二度と出てくるなよぉ(笑)、それはそれとして、しかし、豪鬼”へっぽこ”橋本がいった、正々堂々とした闘いとは、いったい何のコトでしょうか?』

「……ところで琴音。あんた、次の予選放棄して良いの?」
「……あんな勝ち方なんか、わたし、認められません。試合に勝って、勝負に負けた。それだけです、綾香さん」
「……その潔さ、良しとしようかしら。……疫病神と読んだコトは心から詫びるわ。だけど、浩之は諦めないからね」
「ええ。それはわたしも」

『……どうやら、彼女たちは、ポケモン勝負を無視して、藤田浩之の争奪戦を行おうとしているようです。いったいどうして、あんなストーカー癖のある性格の悪い、ついでにバイアグラを頼らないと役に立ちそうもない(爆)男が、こんなにモテるのでしょうか?リーフビジュアルノベルシリーズ最大の謎ともいうべきか?……性格が悪いといえば、冬哉もそうだ。あいつ、由綺クンが居ながら他のコに気が振る素振りなんかするし……くそう、絶対、美咲先輩は渡さないぞ……いざとなったら、従兄の祐介直伝の毒電波で…………って、はっ?、失礼しました、最近交友関係で色々悩み事がありまして……って関係ないですね。(汗)はいはい、緒方さん、とっとと進めます。そんな彼女たちの静かなる対立を余所に、マルチュウはなにやら不安そうな顔をしています――』

「……ご主人様。何か、嫌な予感がします」
「?ロボットが虫の知らせ?」
「変ですか?だって私、」

 といってマルチュウ、胸カバーを開いて内蔵されているTHライドを見せる。THライドには、エルクゥの文字で、ダリエリ、と書かれていた。

「……やめい。ここはおバカなマルチュウワールド。そーゆーマルマイマーネタはあっちでやんなさい(苦笑)」
「はーい」

『笑顔で返事をしたものの、マルチュウは不安を払い除けるコトが出来ないようです。そして、何気なく後ろを振り返りました。
 マルチュウの視界の奥には、カシワギポケモンジムがありました。だいたい距離として500メートルは離れたでしょうか。
 (七瀬”ストーカーだけど変質者じゃないほう”彰、沈痛そうに俯き)――一瞬でした』

 凄まじい閃光の巨柱が、カシワギポケモンジムより立ちのぼり、大爆音とともにポケモンジムが吹き飛んだ。爆発の衝撃波に、浩之たちは背中から吹き飛ばされ、全員地面に倒れた。

「――なっ!?何が――あっ?!ジムが!カシワギジムがぁ――――」

『唖然となる浩之たち。大勢の人たちが、このジムでポケモンワールドリーグを観覧していたハズです。しかし、この凄まじい火柱を上げて燃えさかる爆発現場をみて、彼らの安否は絶望的でしょう。……あっ、この緊急事態に、イレイザーヘッドを抱えた超龍姫が出現し、一瞬にして火事を消し去りました。お見事お見事(パチパチパチ)』

「……ガス爆発でもあったのか?あのままリーグ戦を続けていたら、俺たちみんな……」

 青ざめた浩之の言葉に反応するように、一同、震え上がった。

『その時です。どこからか、某大運動会の”いっちゃん”にくりそつな高笑いが、浩之たちの鼓膜を叩きました』

「あ――っはっはっはっ!!」
「こ、この声は、セーラー○ーキュリー?!」
「違いますよ、ご主人様。保科さんですって(笑)」
「なんで判るんだよぉ?(笑)」
「あー、ご主人様、ワザとボケたんですね、ひーどーいーでーすー」
「おいおい、マルチ、いくらPS版の委員長役の声優さんが久川綾さんだと発表されても、ここはマルチュウワールド。必ず同じく見合わせとは限らないだろう?第一、保科の姿はどこにも――ってあら?」

『そこまで言って、浩之は足許に落ちた不審な影に気づきました。そしてその影を目で追いかけると、向かいのビルの屋上に立つ、白いライダースーツのようなつなぎ服に身を包んだ人影を見つけました。――そうです、彼女こそ――』

「……委員長?!」
「……ほぅ。無事やったんかあんたら。悪運の強いヤツ」
「……おいおい!何だよその恥ずかしい格好わ(汗)」
「やかましい!うちだって気にしとるんや!これも仕事のうちやさかい――って関係ないっ!流石は、リーフ団ナンバー2”策士月島”が危惧していただけのコトはある!あんたらをしとめるのは一筋縄ではあかんか」
「し……しとめる?」
「浩之!あれは、リーフ団よ!」

 智子を睨み付けていた綾香が叫ぶように言った。

「りーふだん?なんだ、そら?」
「世界征服を企む、悪の秘密結社!奇怪な超能力や改造ポケモンを使っていろんな悪事を働いている組織なのよ!!」
「悪の組織……?」

 心なし、浩之の口元が引きつっていた。呆れているようである。

「HA――――っHAHAHAHAHA!」

 唖然とする浩之たちに、今度は智子が居るビルの向かい側から、外人のような笑い声が降ってきた。

「――こ、この声は、ピクシィミサ!?」

『……無論、浩之にも声の主がレミィであることは承知していました。とりあえずボケてみようと思って言ったようですが、笑いを堪えながら浩之はレミィの居ると思しき方向を指してみて、そして凍り付きました』

「……本当にピクシィミサのコスプレしてやんの(泣)レミィィィィィィィィィィ!!(号泣)」

『浩之、泣いています。幼なじみで初恋のキミが、肩に少し小太りのオウムを乗せ、羽根扇子を振り回すあのインチキ外人チック魔法少女の格好をしていたのを目撃して、心底泣いています(彰、腹を抱えて笑っている)』

「Ha――イ、ないす・みー・ちゅ〜〜〜〜っ!まい・ねーむ・伊豆・ピクシィ=レミィね!そこにいる、”過激なる委員長”と同じく、りーふ団最高幹部、十傑衆のBB四天王がひとり、”ピクシィ=レミィ”!!尾身尻沖ね!!」
「……おみしりおき、かい(泣)レミィィィィ、帰ってきてくれよぉぉぉぉ!!(血涙)」

『わんわん泣く浩之の頭を、ちゃっかり芹香がなでなでしています(笑)。しかし他のメンツは、まじめな顔で、このBB四天王と名乗る二人を見ています』

「……カシワギポケモンジムを爆破したのは、あんたらの仕業ねっ!」
「いかにも。――我らが、『ビック・りーふ様』の命により、カシワギジムに集ったポケモントレーナーたちの粛正を行った。これで、我らが野望を妨げようとする、有能なポケモントレーナーは全滅したっ!!」
「ユーたちを、のぞいて、ネ。――だけど、タマタマあとまわしになっただけの琴ネ」

『ピクシィレミィ、羽根扇子を口元に寄せ、妖しく笑っています。浩之たち、あまりのコトにただ、唖然とするばかりです。ついに出現した最大最悪最強の敵、リーフ団!邪魔なポケモントレーナーたちを殲滅させた今、生き残っている浩之たちにその牙を向けました!果たして浩之たちの運命や、いかに?――――それでは皆さん、ご一緒に!れでぃ…………って、えぇ?!今日はもうコレでお終い?嘘ぉっ?!(大汗)』

                  つづく。