==げきとつ!エスパーポケモンvsゴーストポケモン! の巻==
【承前】
ついに出るべくして出た最凶の敵、豪鬼。しかも他のゲームのキャラの技を体得している破廉恥ぶりに、浩之たちはどう言って良いのか判らず、ただ絶句するばかりであった。
だが、そんな異常事態にまったく動じていない人物が、ひとりだけ居た。
「――姉さん?」
相変わらず悠然とした面持ちの芹香が、右手にポケモンボールを握りしめ、ゆっくりとコロシアムのほうへ歩き出していた。
「――ま、まさか、そのポケモンボールに入っている奴は?!」
みるみるうちに蒼白する綾香を見て、浩之とマルチは戦慄する。剛胆な綾香がここまで恐れ戦く、禁断のポケモンとはいったい何者なのか?
芹香が右手を振りかぶり、ついに問題のポケモンボールをコロシアムに投入した。
「やめなさい、姉さん!そんな危険なヤツを出したら、どんなコトになるか――!!」
綾香が声を荒げて、それを止めようとする。しかし既に問題のポケモンボールはコロシアムの上空で放物線を描いていた。
「マルチ。あの中身、いったい何か、想像つくか?(汗)」
「少なくとも、前にご主人様が芹香さんに捨てさせた、あのセバスチャンさんに匹敵するエグいものではないかと(汗)」
「……うむ。ただ、強いだけじゃあの綾香をあそこまで慌てさせるコトはできまい。……しかし、それが誰か、何故か思いつかねぇ」
「……そういえば、他にキツそうなキャラ、いませんよねぇ」
「結局、フタを開けてみないとわからんか。――開くぞ!」
「はい!覚悟は出来ています(^_^;」
一同が息を呑む中、ついに投入されたポケモンボールが開き、閃光を吐き出した。
3秒間の静寂の後、かこん、とポケモンボールが床にぶつかった音が辺りに響きわたった。
「……あれ?」
試合を見守っていた一同が唖然となるのも無理はない。
あろうことか、ポケモンボールは空っぽだったのだ。
「……スカ?」
「……やはり」
と、苦虫を噛み潰してぼやいたのは、綾香だった。
「やはり?どーゆーこと?」
浩之が訊くと、綾香は懐からおもむろに小銭入れをとりだした。
「……ったく、油断も隙も無いんだから。また、勝手に外に出ているのよ、あいつ」
「あいつ?」
綾香は頷くと、小銭入れから、長野冬季オリンピック記念で発行された500円玉を一枚惜しげもなくつまみ取り、それをコロシアムのほうへ放り投げた。
その500円玉が放物線を描き、地面に着くと、チン、と音を立てて跳ね上がった。
次の瞬間、500円玉は衆人環視の中から、突如消失した。
「――そこ!」
と言って、綾香はいきなり隣にいた葵の襟をひょいと掴み上げると、そこ、と指した方向へ軽々と放り投げた。
どかんっ!凄まじい衝撃音がコロシアム内に轟いた。投げ飛ばされた葵は、空中で何か見えないモノと激突したのだ。哀れ葵、目を回しながらコロシアムの上で伸びてしまった。
「無茶しよるのぉ……(汗)」
「へーきよ、浩之。葵はハンパには鍛えていないもの。それより、ほら、あれ」
呆れる浩之を促し、綾香が指した方向には、大の字になって伸びている葵と――
「……?あ、あの触覚頭は……!?」
そこで浩之達はようやく、葵の隣で同じように大の字になって伸びている少女の存在に気づいたのであった。
「……まさか……あの娘……理緒ちゃん?!」
「見てなさいよ」
そういうと綾香は、今度は、どこで手に入れたのか、ピン札の聖徳太子の1万円札を財布からとりだし、それを手首を使って軽く放り投げた。
ピン札が風を切る。――その音を聞いた途端、伸びていたハズの理緒は、むっくり、と起きあがり、宙を舞う1万円札に飛びついた。
「こここここここ、これわわわわわっ!!超レアなアイテム、幻の聖徳太子サマのトレーディングカード!!」
「確かに、何かと交換するという意味ではあっているけど(笑)――理緒。あんたまた、勝手に外に出て」
「あ、綾香さん、芹香さん、こんにちわ」
「……今頃気づくか(苦笑)。なに、抜け出していたのよ」
「あ、はい!バイトです、バイト。掛け持ちの仕事がたくさんあって……(汗)」
申し訳なさそうにいう理緒に、芹香と綾香は困憊しきった溜息を吐いた。
「……あのねぇ。あんたの家がビンボーを極めているコトは知っているわ。恩を着せるつもりはないけど、あんたの能力が周りの人たちから怖れられているのを承知で、あたしたちはあんたの実力を買ってポケモンとして雇っているコトだけは忘れないでよ。ここぞと言うときに留守されちゃ、こっちも叶わないわよ。ほら、お仕事お仕事」
そういって綾香は、コロシアムの中央で持て余している豪鬼を指した。
「……もしかして、あの怖い顔した人が対戦相手ですか?(冷や汗)」
訊かれて、綾香と芹香が同時に頷いた。
「……済みません。わたし、これからマルマイマーの撮影が」
「あんたの出番は無いわよ」
「えーと、それじゃPS版のToHeartの……」
「隠れキャラの出番は少ないから慌てなくて良いの」
「えーと、それじゃあ、今度、秋からメディ――
ぶつん。突然、画面がブラックアウトする。
30秒後、画面が元に戻る。
画面が戻ると、理緒を除く全員が、理緒を囲み、口元に人差し指をよせて、「それはまだ言っちゃいけない話、しぃぃぃぃっ!」と禁句ポーズをとっていた。
「……それ以上うかつなコトゆうと、来栖川の力を使ってPS版の仕事潰すわよ。永遠に隠れキャラ。いいえ、隠れキャラの座はあたしが採っちゃう。LHA圧縮にZIP圧縮を重ねて、あたし以上に面倒な隠れCGキャラにしちゃうわよ」
「そ!?それだけはご勘弁をををををををををををっっっっ!!」
「だったら、あいつを倒しなさい。倒せなかったら、即クビ」
がぁぁぁぁぁぁぁんっ!!理緒のバックがベタフラッシュに変わる。最近はデリーター辺りがスクリーントーンで用意してくれているのでとても楽にベタフラが使える。
「……はぁ。やはり、闘わないといけないのですね」
「あんたが最強のゴーストポケモンである以上、それは避けられない宿命なのよ」
綾香に諭され、理緒は渋々、豪鬼のほうへ振り向いた。
「……理緒ちゃんが、最強のゴーストポケモン?なんだいそりゃ?」
浩之が当惑気味に訊くと、綾香は、ふっ、と笑った。
「みていれば判るわよ。雛山理緒が最強のゴーストポケモンと呼ばれるゆえんが、ね」
綾香が浮かべた笑みには、戦慄にも似た冷たい色が広がっていた。浩之はその訳がまったく想像できなかったが、理緒の闘いを見ていればおのずと判ることだろうと思い、それ以上は訊こうとはしなかった。
そんなとき、マルチが浩之の袖を掴んで引っ張った。
「ねぇ、ご主人様。理緒さん、隠れキャラですよね」
「ん?あ、ああ。それがどうした?」
「やはり、例の秋から始まるアレでも――
ぶつん。再び、画面がブラックアウトする。
再び画面が元に戻ると、戸惑うマルチを囲んで、全員が口元に人差し指を引き寄せて、しぃぃぃぃぃぃぃっ!とやっていた。
それはそれとして、コロシアムに画面が戻る。
コロシアムでは、豪鬼と理緒が対峙していた。
「……豪鬼さん、ですか。お手柔らかに頼みます(汗)」
か弱い少女にお辞儀され、少し豪鬼は躊躇――しなかった。豪鬼はいきなり波動拳をうち放つ体勢をとったのである。
「まずい!豪鬼はすべてにおいてモーションが早い!避けきれないぞ!」
と、浩之がそういうが早いか、豪鬼は一気に理緒目がけて巨大な波動拳を撃ち放った。
「――あ」
ぽかんとする理緒の顔が白光色に染まる。完全に理緒の身体は波動拳の光の中へ消え去っていた。
だが、悲鳴を上げたのは豪鬼のほうだった。豪鬼は何故か股間を押さえ、ぴょんぴょんはね回っていた。
何が――と驚く浩之たちは、豪鬼が立っていたと思しき地点で、頭を押さえながらうずくまって唸っている理緒の姿を目撃した。
「いったいこれは……」
唖然とする浩之に応えたのは、豪鬼にボロボロにされたセリチュウことHMX−13型セリオだった。見かけはボロボロであったが、どうやら無事に再起動出来たらしい。
「波動拳が発射された直後、理緒さんが、豪鬼さんの足許に落ちていた10円玉を見つけて、そこへ飛び込んだんです。その際、豪鬼さんの……その……」
「……ん?その、って、なに?」
浩之は意地悪そうな顔をして聞き返した。浩之にはだいたい何が起こったのか想像はついていたが、すこしオヤヂが入っているようである。
「なにが、起こったのかなぁ、セリオくぅん?」
「…………」
赤面こそしていなかったが、セリオは問題の言葉を口にし辛いらしく、黙り込んでいた。意地悪する浩之に、隣にいたマルチが、勘弁して下さい、と哀願していた。
「豪鬼の禁玉に、猛スピードで飛び込んだ理緒さんの頑強な顔面が激突した。それだけのことです」
と、あっさり答えたのは、なんとあの芹香である。浩之とマルチ、そして綾香までもが唖然として身じろいだ。
「せ、先輩がしゃべった…………コトも驚きモノだが、そ、それって、おぢょーさまが口にするセリフじゃないっス(滝汗)」
動揺する一同を余所に、芹香は涼しげな顔で沈黙していた。相変わらず何を考えているのか見えない。お嬢様という存在は、宇宙の果てより奥が深いのだろう。
「そ……それはさておき、いったいいつの間に豪鬼の足許に理緒ちゃんが?」
「今の理緒さんの移動速度は、さきほど500円玉を拾われたときと同じ速さで、測定の結果、秒速約30万キロメートル」
「……光の速度かぃ?(汗)」
先ほどの、500円玉消失の謎の正体がこれで明らかになった。どうやら理緒は、落ちているお金を拾うとき、光の速度で移動できる能力を持っていたのである。この事実に浩之は一層、唖然となった。
「だけどそんなコトはあの娘にとって序の口。最強のゴーストポケモンの恐ろしさは、これからよ」
そう語る綾香の顔は、どこか青ざめていた。相当怖ろしいコトが待ち受けているに違いない。浩之とマルチは思わず身震いした。
再びコロシアム。泡を吹いてぴょんぴょんはね回っていた豪鬼は、痛みに飛び上がっていたタマがようやく元に戻ったらしく、まだ息を荒げていたが、理緒に向かってファイティングポーズを取り直した。
一方理緒は、激突のショックからまだ立ち直っていないらしく、足許がおぼつかないままでいた。
「豪鬼!今がチャンスです!」
ぶざまな闘いぶりに堪りかねて、琴音が豪鬼を急かした。言われて、豪鬼は理緒に突進を開始する。
ところが、である。豪鬼が3歩進んだ途端、突然豪鬼の足許が大爆発を起こし、豪鬼を吹き飛ばしたのだ。
「……どうやら、地雷が埋まっていたようです」
「まてい(汗)」
堪らず浩之がセリオに詰め寄る。
「いや、お前さんに罪はないが、なんでそんなモンがあそこに埋まっているのか説明してくれ(苦笑)」
「それが、理緒の恐ろしさなのよ」
綾香が嘆息混じりに応えた。
一方、爆発のショックで飛び上がっていた豪鬼は、なんとか地面に着地する。そして頭を振り乱して意識を取り戻すと、再び理緒へ突進する。
だが、またも3歩進んだとき、豪鬼の頭上へ、何の脈絡もなく巨大な金タライが降ってきた。それも1、2個ではなく、50個も。まるでドリフのコントのような突然の出来事ではあるが、豪鬼は金タライの山に押し潰されてしまった。
金タライの最後の一個が、山の頂を打ったのと同時に、豪鬼は金タライの山から噴火のごとく飛び出してきた。理不尽な出来事に、その鬼の形相は爆発寸前にあった。
そこへ、追い打ちのように、天井から一本の鉄骨が降ってきて、見事豪鬼の頭に直撃する。普通なら頭部は粉々だが、流石はデタラメなゲームキャラ、出血さえない頭上に2匹のひよこを回遊させながら俯せに倒れてしまった。これがゲーム画面ならば、K.O.と表示されているだろう。
「そ――そんなぁ?!」
琴音が唖然となるのも無理もない。デタラメもいいところである。なにせ豪鬼は、ひとつも理緒に手が出せないまま、ノックダウンしてしまったのだから。
「――信じられない。これではまるで――――あぁっ?!」
琴音の顔が閃き、仰天する面を理緒に向けた。
「まさか、あなた、最強のゴーストポケモン――――『びんぼー神』?!」
「ぴんぷぉぉん!」
と陽気に応えたのは綾香である。
「『雛山理緒を脅かす存在に災いあれ』。あんたもポケモントレーナーの端くれなら、この言葉の意味判るわよね?」
琴音はゆっくり頷いた。
「……まさか、あの、危害を与えようモノならどんな災いが降りかかるかわからない、伝説のゴーストポケモンをゲットしていたなんて…………!」
「ふふん。疫病神のあんたと双璧をなす、この無敵のポケモンゲットできたのは、クルスガワポケモンジム最高の仕事であったと思っているわ」
「その割に、さっき理緒ちゃんいぢめていなかったか、綾香」
「あたしたちは大丈夫。なにせ、あの娘は破格の給料で雇っているんだから。それで充分生活出来るのに、びんぼー癖がしみついちゃってね、時おりポケモンボールからでて、バイトに出ちゃうモンだから困ったモンよ」
「人間、苦労は買ってでもしろと言います。バイトのお金はみんな、恵まれない人への寄附です」
理緒の返答に、マルチが、いい話ですねぇ、と涙ぐんだ。
「感動的な話はさておき、だ。そのびんぼー神の能力が、あんな理不尽な攻撃を果たすというのか?」
「そう。想像もつかない理不尽極まる攻撃。誰も彼女を倒すコトは出来ないのよ。――しかしそれゆえに、周りの人たちから煙たがられ、理緒の家がびんぼーを極めることになってしまった」
「どなたも怖がって、お仕事下さらないんです……トホホ」
「その割にバイトしているけど?」
「ぴったりのお仕事があるんです」
「何?」
「暗殺」
この返答に、浩之は堪らず身じろいだ。
「冗談ですよ、冗談」
あっけらかんとして笑う理緒であったが、しかし蒼白したままの浩之は、とてもそれがタダの冗談とは思えなかった。見ようによっちゃこの笑みさえ、空々しくおぼえてしまうのは気の所為だろうか。
「――バカげているわ!」
突然、琴音が怒鳴った。
「そんなぐらいで『びんぼー神』よばわり?あなたたち、本当の不幸をなめている」
「琴音ちゃん……」
「他人から疫病神呼ばわりされ、忌み嫌われ、いつもひとりぼっちで居なきゃならない気持ち、判らないでしょ?!」
琴音の慟哭。この作品にとてもそぐわないシリアスモードに、一同が黙り込んだ。
じっと理緒たちを睨み付ける琴音に、最初に声を掛けたのは、浩之であった。
「――待った。さっきも言ったはず。キミは決して疫病神じゃない」
「……信じられません」
さっきは浩之の言葉に感銘を受けたが、高まった気分が琴音から、浩之の言葉を冷静に受け入れる余裕を奪っていた。
しかしそれは、俯いて戦慄く琴音の身体を、駆け寄った浩之が抱きしめるまでであった。
「――――?!」
「落ち着いて、琴音ちゃん。……ゆっくり、深呼吸して」
「む、無理です――」
突然のコトに動揺した琴音の高鳴る鼓動は、浩之の身体にも伝わっていた。
「キミに今必要なのは、冷静になることだ」
「無理よね、あんなコトされちゃ」
呆れ顔の綾香の隣で、少しムッとする芹香とセリオが、うんうん、と頷いていた。
一方、浩之に抱きしめられている琴音は、突然のコトに混乱していた。脳裏には、浩之に降りかかる無数の災難――そしてその数だけ、浩之といちゃついている自分の姿が交錯していた。浩之に強く抱きしめられ、キスされ、更にあんなコトやこんなコト、――。ぷしゅゅゅゅゅう。
「……ふにぃぃぃぃぃ」
ついには、浩之が不幸になるビジョンが一切消滅し、浩之と行くところまでイったビジョンが琴音の脳裏を完全に支配すると、琴音は紅潮する面を浩之の胸に沈めた。もう、このカマトトさんめ(笑)
「……大丈夫?」
「はい……」
頷く琴音はゆっくりと面を上げると、まるで酔ったような、とろんとした目で浩之の顔を見つめ、
「……あなたと……幸せになるビジョンが見えました」
ぶちぃっ。琴音のこの言葉に、綾香、芹香、意識を取り戻した葵、マルチと何故かセリオまでもが同時にキレた。だが、状況が状況だけに、ムッとするだけに止まった。
「不幸になる想像は、もうやめにしよう。世の中にはキミ以上に不幸な人はいっぱいいる。たとえば、あの理緒ちゃん。彼女はね、隠れキャラの上に、東鳩キャラ一番の『金ない、胸ない、人気ない』のマニアックな三重苦に苦しめられているんだ。それにくらべれば、キミはちゃんとしたレギュラーだし、幸せなエンディングだってあるし――レミィなんかエンディングCGすらないんだよ(笑)トレーディングポストカードなんか後ろ姿というのが実に涙を誘う」
「……はい…………そうですね」
シャレにならない浩之の発言であったが、いまの琴音にはすべて愛を交わす恋人同士の甘い囁きにしか聞こえていなかった。すっかりラブラブモード突入である。
だが、そんな二人を現実に引き戻す声が、二人の鼓膜を切なく叩いた。
「……ひ……ひどいです……!!」
声の主は、理緒であった。
「貧乏や貧乳は諦めていました。――――それでも、『好き好きリーフ』では、あたしの色紙は志保さんより高く売れたンですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっ!!!(慟哭)ひーどーいーでーすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
どうやら理緒は、人気の面では志保より勝っていると安心していたらしい(爆)。実際にはどうかはさておき、浩之は、しかしそれこそマニアックな層に人気だからこそ、と言おうとしたが慌てて口をつぐんだ。大泣きする理緒は、そのままコロシアムから外へ走り去ってしまった。一同は複雑な顔でその背を見送った。
「……えーと」
どうリアクションをとればいいのか判らない浩之は、とりあえず琴音をこのまま抱きしめることにした。
だがこの時、浩之は自分が理緒に対し、何をしたのか、早く気づくべきであった。
やがて、レフリーがマイクを持って絶叫した。
「――――クルスガワポケモンジム所属のポケモン、びんぼー神の理緒が逃走に尽き、勝者、ヒメカワジム!!」
「「「「「「「えええええええっっ?!」」」」」」」
びんぼー神の呪い、炸裂!(笑)
つづく