「メイドロボに感情なんて要らないんでしょうか、あなたはどう思われます?」 隣でハトに豆をやっていた、白衣を着たとぼけた風な男が不意にそんな話を振ってきた。 ・・・メイドロボ・・・マルチの姿が浮かぶ。 いつも笑っているマルチ、素直なマルチ、誰にでも優しいマルチ・・・ 「あったほうがいいに決まってんだろ!」 そう言うと、 「ああ、やっぱりそうですよね!」 その男は目を細めて嬉しそうに笑った。くたびれたように見える顔に元気が戻ったようだった。 「いまさら毒電波で人形にするなんてもったいなくてできないですから!」 閉じていた狂気の扉が開きかけていたようだった・・・。