俺と舞が付き合い出して一年半。 同棲生活をはじめて半年が経った。 最初は佐祐理さんも一緒に住むはずだったが、 どうしても家の人から許可がもらえず俺と舞の2人が同棲する事になった。 最初は舞も拗ねていたが、暇なときには必ず来ると言う条件で納得したみたいだった。 二人の生活は大変だったが、何もかもが新鮮で楽しかった。 休みの日には舞と出掛ける。 動物園や遊園地、公園…。 舞と一緒ならどこでも楽しかった。 でも、世の中すべてうまくはいかない。 祐一「だから、今日は仕方なかったんだよ。 次の休みに連れて行ってやるから。 な、機嫌なおせよ。」 舞 「……祐一のうそつき。」 とりつく島もない。 一度拗ねた舞の機嫌はそう簡単には戻らない。 祐一「しょうがないだろ。 大学の教授、直々のお呼び出しなんだから。」 どんなに言い訳しても聞く耳持たず、といった感じだ。 もう時刻は8時をまわっている。 動物園はとっくに閉まってる。 連れて行こうにも連れて行きようがなかった。 今日は諦めるか、と思った時だった。 遠くから花火の音がした。 祭りでもやっているのだろうか? 行ってみる価値は有りそうだった。 祐一「舞、やっぱり出掛けるぞ。」 舞 「…どこ行くの?」 祐一「いいから来いって。」 祭りは神社のすぐ側でやっていた。 舞の表情はどこか楽しそうなものになっている。 すっかりご機嫌のようだ。 ・ ・ ・ ・ 祐一「で、どうするんだこれ。」 そう言って両手いっぱいに持たされたぬいぐるみを舞に突き出す。 舞はぬいぐるみの山から一つ取り出す。 舞 「…ライオンさん。…がお〜。」 祐一「いや、がお〜じゃなくて…。どうにかしろ。」 だが舞はさらにもう一個のぬいぐるみを取り出して遊んでいる。 まったくマイペースというかなんというか。 舞 「…キリンさん。…がお〜。」 祐一「……キリンは鳴かんッ!!」 舞 「……」 夏なのに寒いのは気のせいか? 舞の運動神経が良いのは認めよう。 射的だって百発百中だった。 しかし、ギャグセンスは悪かった。 、というよりちょっと天然。 祐一「とにかく、どこかで袋をもらって来い。」 舞 「…はちみつクマさん。」 トテトテと走っていく舞。 俺はぬいぐるみを抱えたまま柱にもたれかかって舞を待つ。 祐一「舞。早く帰って来い。」 周りの視線がいたかった。 そりゃそうだ。 男が大量のぬいぐるみを抱えているのだ。 祐一「帰ってきたら、お仕置きのキスだ。」 が、袋を取りに行ったはずの舞は両手に大量のぬいぐるみを抱えて帰ってきた。 祐一「で?袋はどうした?」 舞 「…ポケットの中。」 俺は両手がふさがってる。 舞も同様に手がふさがってる。 祐一「……」 舞 「……」 やっぱり舞は天然だった。 〜Fin〜 ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 後書き KanonのSS、舞メインのお話でした〜。 いかがなもんでしょう?お気に召しましたか? ところで、キリンは鳴かないよね? まあ、がお〜は絶対に無いと言う事で気にしな〜い。 作者の煉の私は年上好みなのでKanonのなかでは自然と舞属性になっていきましたね。 でも、舞はキャラ的にほのラブとかよりもギャグの方が書きやすかったり…。 次のSSは連載物であゆメインのお話でも書こうかと思ってます。 お楽しみに。ではでは〜。