フェスティバル 投稿者:里茄野のわく
 どうも、里茄野のわくです。
 梅雨の時分、皆様いかがお過ごしでしょうか?
 今回はわたくし、こころを入れ替えまして恐れ及ばずながら、ナレーションを努めさせていただきます。
 不慣れなもので折々、失敗失笑をかうことでしょうが、
 そこはどうか大目に見守ってやって下さいまし。
 おっと、そろそろ時間のようです。
 それではどうぞ、ごゆっくり最後までお楽しみ下さい。
 
 
 『フェスティバル』         里茄野のわく
 
 
 教室を見渡すと、ひとり 少年が見るからに退屈そうに机に寝そべっている。
 そのままぼぅっと前のイスを見るともなしに見ている彼は、
 早く一時間目が終わって、二時間目が終わってくれないかと、
 そんなことばかり考えているのでした。
 今日の彼の朝からの行動は、昨日のソレと、ほとんど変わりなく、
 きっと昨日もおとついとさほど変化はなかったのでしょう。
 そんな日々が今日までずっと、ずっと続いてきました。
 明日もあさってもそのままかもしれません。
 彼にとって今日は昨日とほとんど同じで、それは彼にとって変化のない、退屈なものでした。
 すこし、彼が視線を動かしたようです。
 のってりと机を抱きかかえるように寝そべったまま、騒がしい教室の中 彼は少し顔を上げました。
 そして、教室のドアの方を見ます。
 またつまらなさそうに次は腕を傾けて自分の腕時計を確認したようです。
 きっと 授業はまだか とでも思ったのでしょう。
 あ、また寝そべった。
 この様子じゃぁ授業も真面目に受ける気はないのでしょう。
 きっと授業中は授業中で 腹減ったなぁ を巡らせながら時間が経つのを待つのです。
 つまり今の彼は、平坦な日常に少々飽きてきているのです。
 そろそろなにか起きないか と思いながらただただ日々を過ごしている。
 きっと彼はそんな風に「動き」を待っているのでしょう。
 おっと、言い忘れていましたが、それは彼だけではありません。
 このクラスにいる生徒のほとんどは 同じように退屈しながら「動き」を待っているのです。
 彼は解りやすい顔をしていたので ちょっと代表に選んでみただけです。
 藤田浩之君ですか。どうもありがとうございました。
 それはそうと、そんな彼らに朗報です。
 お待ちかねの「動き」が今日訪れます。本当にちいさなちいさな動きですが、
 この中の人の人生を、いいようにも悪いようにもおおきく変える「動き」です。
 そう思えば決してちいさくはないのかもしれません。
 あ、誰の人生が変わるのかは 私にもわからないんですけどね。
「きりぃーつ」
 おっと、先生が来たようです。今日は月曜日ですから一時間目はホームルームがあるんですね。
 それでは私はここから静かに見守ることにしましょう。
 あまり口出しするのはよくありませんよね。
 なにせ、
 お祭りなのですから。
「礼っ!」
 
 がたがたと鳴るイスと机の音が止んだ後は 押し殺したひそひそ話がいつも以上に教室中を包み込んだ。
 同時にその目は全て、黒板の前に立っている女の子に向けられている。
 ざわざわが普段のしゃべり声とさして変わらなくなった頃、先生は大きめの声で一言。
「うい 静かに」
 今日はその一言で静寂を取り戻す教室。いつもならそうはいかないだろうが。
 そして今年結婚10周年のその先生は普段を装って話し出す。
「見ての通りの転入生だ
 えっとーぉ……柏木ぃ初音さん、このなんつーか発してるオーラが無性に小学生っぽいが
 れっきとした高校生なんで、いじめたりスクール水着着せたりしないように。
 みんな やさしくしてやるんだぞ」
 そして先生は手で、何か一言 といった風に合図した。
 女の子はちょっと慌てて教室を見渡し、ちからいっぱいぺこり、と頭を下げ、
 また大きく前を向いて 元気いっぱいに言った。
「やさしくしてください(はぁと)」
「おおおおおおおおぉぉぉぉぉおおお!!!」
 机を蹴り飛ばし、クラス中の男子生徒という生徒がなだれ出し、
 今にも体操服着せんといった勢い。
 ちゃっかり女子も加わり、「今度うち遊びに来ない!?」な怪しい勧誘が次々と飛び交い、
 ついその女の子もその場の雰囲気で鬼化の一発芸なんか見せちゃったり
 それが大受けしたりして彼女の自己紹介は大盛況となった。
 そして……あ、残念。
 すいません。ここからはお見せすることは出来ないんです。
 なにせ、
 最初からこのお祭りは9時半でおひらきの予定でしたし、
 ここから後に起こるお祭りはもうすでに私のものではなく、
 主人公である「彼女」のものですから…………
 
 
 人生は よくよく見ると山あり、谷あり、時には絶対に超えられるわけないと
 頭を抱え込むような場面に出くわすこともあるのですが、
 しかし 全体的に見るとそれはごくごく一部の話で、
 それ以外のほとんどはなだらかで、平坦な道がただただ続いているものです。
 人はこういう時に自分を見いだしたり、
 生き方を考えたりするのですが、それも滅多にあることではありません。
 大部分は、空白の時間となり、
 そこには「暇」や「退屈」と名前を付けて特に気にも止めず並べてゆく。
 しかしその一見無駄に見える時間は、実は無駄でもなく、
 無意味に見える人生の平坦な部分は、必ずしも無意味ではない。
 それはあなた方 ひとりひとりが十分に理解していることでしょう。
 そう、
 思い出してみませんか?
 あなたの空白。きっと今まで何度も何度も経験してきた筈である
 その平坦な時間。
 そして、あなたは思ったはずです。
 動きたい、と。
 自分の平らな道を指でなぞりながら、あなたは無意識のうちにその次にあるものを望んでいた。
 山であるか、
 谷であるか。
 どちらであるかは別として、平坦の向こうには、必ず動きがある。
 動きたい。だから先を求めて あなたは歩いた。いや、
 歩いてきた。……違いますね。
 歩いている。
 きっとあなたは その後に起こるなにかを心待ちにし、
 そこで
 はじけたい、と思っている。
 きっと、
 それはまるで
 一夜の お祭りのように…………
 
「せんせぇ! 柏木さんが来てませぇん」
 先生はコホン、と咳払いし、
 普段を装って授業を始めた。
 ゆっくりと、大切な思い出の箱の扉を閉じるかのように…………

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 のわくですっ!!
 なんかテンションがおかしかったようで 謎なお話を書いてしまいました。
 嘘ばっかなんで深読みしないでください。
 ちょっとはじけたかっただけです(をい)
 
 かき込み多いっすね、最近。
 そういえばちょっとまじめな話で、ずっと前から思ってたことなんですけど、
 初音ちゃんの「マイナスな部分」って……なんなんでしょ?
 なんかSSにしたら深く精神喰われそうなんで出来ないでいるんですが……。
 まぁ、そんなこたぁいいっか。
 夏用にONEとkanonとうぃずゆー狩ったのー。
 まー、借りたっていう日本語の方が(べきっ)

http://www.grn.mmtr.or.jp/~nowaku/attop.htm