神界枯伝《metastoa lost fable》 投稿者:里茄野のわく
 「前回までの・復習予習」
 世の中にはね、
 どうしてもしちゃぁいけないことってのが あるんだよ。
 ……積み木であそんじゃぁ、
 いけないんだって。


第10話『1のお別れ、2のお別れ』


 三姉妹の待つ、応接間に入り その顔を見るやいなや、ミカエルは呆然として呟いた。
「変わったな……みんな……」

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 太陽は 高く昇り、ラベンダーの香りが ほのかに部屋を漂った。
「ほう……で、その襲いかかってきたオーパーツがミレイアちゃんのソレ……と」
 一通り、その日の夜の出来事を聞いた後、ミカエルは再び黙り込んだ。
 オーパーツのことも確かに気になったが、今、目の前にはそれ以上の問題がある。
 三人のこと。
 ミカエルは心配だった。
 なにかが変わろうとしているのか……それとも、崩れようとしているのか……。
 そして、寂しさを感じずにはいられなかった。

「三つめのパーツは コトネ・チャンだ。それは枯文書に示されている……間違いない。
ただ……パーツがユーザーを攻撃してくることなどあり得ない……普通はな」
「じゃぁ、どうして?」
 ミレイアが聞き返す。
 珍しく彼女の瞳は 本気。
 ――どうしてもこのパーツのことが知りたい。
 ――解ってあげたい。
 ――だって……
 ――似てるから……私みたい。もし、この子のこと 助けてあげられたなら……もしかしたら私も……
 ミカエルは……いや、カミュもルミーも そんなミレイアの切羽詰まった気持ちに
 気づき、戸惑いを感じていた。
 やり場のない違和感が、喉元を押さえ付けているようだった。
 ミカエルは切り出す。
「もしかしたら……前世の記憶が完全に転生されなかったのかもしれない……
ミレイアちゃんも……気づいてるだろ? このオーパーツは今、怯えている。
他人に……自分に……
前世での恐怖する心だけが引き継がれ……増大しているのではないかと思う」
 ――恐怖する……心。
 ――自分自身にさえ……怯える心。
 ミレイアは、その言葉を自分の中で反復した。
 あまりにも……自分に似すぎているから……。
 自分のことを言われているのではないかとさえ 思った。


「ルミーちゃん? どうしたの 元気ないみたいだけど……」
 名前を呼ばれて、はっとするルミー。
「そそそんなことないよ? ルミーげんき は、はははっ」
「……そう……なら いいんだけど……」
 ミカエルの胸が、またひとつ締め付けられる。
 彼女たちは 変わってゆく……
 自分の知らない なにかによって……
 何もできないのか……私は……
 唇を……噛み締めた。
 もうひとりの少女もまた、そうしていた。
「カミュちゃんも……今日は元気ないみたいだね」
 カミュは視線を足下から……ミカエルの瞳へと 移す。
 口を開くだけで……どれだけの時間を要しただろうか?
 そして――
「今日……お時間、頂けませんでしょうか……2人だけの……時間」

 胸元で握り締められていた手は……汗で濡れていた。


 その日の夜、ミレイアとルミーは、出かける前にカミュが用意しておいた食事を……
 口にした。

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 カミュが帰ってきたのは
 次の日の朝早くだった。
 玄関のドアを開けてすぐ、部屋に駆け上がり……
 ベットに伏せたまま、泣いて……泣いて……
 泣き疲れて……寝た。
 静かな泣き声は、2人の部屋にまで届いたが、
 ミレイアも、ルミーも、
 なにがあったのか 知るすでは無い。詮索する……権利も無い。

 その姉妹に声をかけることは 出来なかった。

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 カミュとミカエルが 向き合って立っていた。
 カミュは、今 言ったことを補足するように 話した。

 私の気持ちが届く……最後の お願いです。
 分かっています。ミカエル様は、私の幼い頃から面倒を見て下さった……命の恩人。
 ミカエル様は……私達を妹のように可愛がって下さいました。
 私にとっても……兄のような存在です。
 でも……同時に…………
 もう私は、私じゃなくなる。 自分の白紙の部分が、書き換えられてゆくのが分かります。
 もう私には時間がありません……
 ――記憶の抜け落ちた空っぽの自分が、前世の記憶に侵されてゆく。
 ――”彼女”の届かなくなった想いが、無意識のうちにユーザーに影響を及ぼす。
 「私」であるうちに、ミカエル様に見てもらいたいんです
 本当に短かった私の人生、
 これが私にとっての お別れかもしれなから……

 ミカエルは……言い切った彼女を見つめる……
 そして……自分を見つめる……

 ――本当に 間違っていないのか?

 網膜に写る シルエット。
 あの日から 何年経っただろうか?
 今も写るその影は 紛れもなく あの日の少女。 だが、
 もし、 彼女と会えるのが最期なら …… 自分に 後悔は させたくない。
 彼女に 妹以外の影を 見てしまった 者として …………。

 ミカエルは、
 ちいさく震える幼い少女の肩に、
 優しく手を置いた。
 残された時間に追い攻められた彼女は、少し、じぶんに無理をしなければいけないことを解っていた。
 隠しきれなかった震えは、
 そんな彼女の心情と決意を……物語っていた……。
 ゆっくりと……伏せられてゆく 体。
 艶やかな髪が 柔らかい素肌の上を滑り、
 身体の全てを その人に預けると……

 少女は硬く、目を閉じた……

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 なんかいいのかなこれで(笑)
 怖ぇーよ。ある意味。
 カミュの年齢設定思い出すだけでも腹が痛い(ちょっと意味不明)
 「カミュは人間より神に近い者だし」って自分を正当化してみたりするけど。
 もういーや。世の中いろいろ。うっしゃぁ!!

 レスです。

 笹波 燐 さま
 ……あ、あれ? レス頂いたあたりのログが消えてる……。
 確か、感想頂きましたよね(汗) どうもですぅ。
 「受信」で、音、出せるようになってた辺り好きですねぇ(笑)
 (この後、その場面を想像して貧血……)

 西山英志 さま
 感想、どうもですぅ。
 「SilenT WorlD」>神様ですかぁ。しかもマルチつながり(笑)
 関係ないんですけど、オレ、なんか宗教系なアニメ好きです。
 本当に関係ないですね、ごめんなさい(汗)楓ちゃん、楽しみにしてます。

 久々野 彰 さま
 いつも感想どうもですぅ。
 >誰もが一度は書きたくなる「長瀬の理由」ですね。
 ですね(笑)
 でもなんか突発的にやっちゃったってのも本音で……。他に過去話モノとしては……
 「研究所の地下監禁琴音ちゃん(幼児期)」とか? 別に監禁じゃないか(爆)
 それ以前に「ママに琴音が出来た理由(ワケ)」が先か(笑)

 
 では この辺で。

http://www.grn.mmtr.or.jp/~nowaku/attop.htm