神界枯伝《metastoa lost fable》 投稿者:里茄野のわく
第7話『絶対境界線、きっとわかりあえたなら』


 光は 狂ったように カミュに突進した。
「は、速いっ」
 ルミーは 思わず声を上げた。
 構えの姿勢をとるカミュ。
 唸る低周波と共に、風圧で 地面が削り取られてゆく。
 
 ずんっ!
 
 鈍い音が響く。カミュは光を受け止めていた。
 「ごめんなさぃぃぃぃい」

 ダガァァァン!!!
 
 カミュは 敵に謝りながら、ちゃっかりフルパワーで地面に叩きつけた。
「ルミーっ!!」
 同時に 閃光が視界を貫いてゆく。

 どぉおん!

「クリーンヒットっ!」
 ルミーは そういってカミュの元へ駆け寄った。
「今のは 効いたでしょうねぇ」
 庭に空いた大穴から 白い煙が上がっていた。
 カミュのその言葉に ルミーが振り返った
 そのとき

 どぐぁーん!!!

「お、怒らせちゃった……みたいですねぇ」
「あ あははは」
 くるうり
「「ひえぇぇぇぇ!!!!」」
 だっしゅ!

 青い光は 地面すれすれを飛びながら、光の一部をムチのようにしならせた。

 ひゅんっ ひゅひゅん

 逃げるルミーとカミュの頭すれすれを 音を立ててかすめてゆく。
「カミュおねぇちゃぁ〜ん」
 ルミーは走りながら 泣きそうな声を上げる。
「こまったですねぇ……」
 カミュは全然困ってなさそうにうなった。
 
 ひゅをっ!
 
 今度は足下をかすめてゆく。 2人揃ってなかよくじゃんぷ(はあと)
「ふぇ〜ん つかれたぁ〜〜」
 ルミーはもうダメそうだ。
「あっ! いいこと思いつきました」
「なになに!?」
「えっとですねぇ……ぼそぼそ」
「おねえちゃぁ〜ん この状況下で ぼそぼそ じゃぁ分かんないよぉ」
「え? そうですか? それじゃぁ……ずきゅ〜ん☆ばきゅ〜ん★」
「…………」
「…………」
「……ら ラジャ」


 ザッ!!!
 右足を軸に180度旋回のカミュ。
 音速突進の青い光!
 高速飛行の光のムチ!!!
 巨大な右手を構えるカミュっ!!!
「少々 悪さが過ぎたようですわね
 リミッター解放確認!
 等しく滅びを与えんことをっ
 汝のあるべき姿に戻れぇ!!!」
 
 どぐぅぉぉぉおぉぉん!!!!

 合体ロボの決め技的アングルっ!
 右手には、なんちゃらソードの代わりに 青い光をつかみ取ったアオイ・チャンが輝いていた。
 それを素早く地面に押さえつけて叫ぶカミュ。
「ルミぃ!!! はやくっ!!!」
 ルミーは まるで拳銃をこめかみに押しあてるかのように 弓の先を光に突きつけた。
「「零距離(ずぅえろきょりぃ)射撃(しぃやげくぅい)ぃぃぃいいいいいい!!!!!!」」
 矢を……放……
「だめぇっ!!!」
 びっくりして 振り向くふたり。
「ミレイア……姉さん……」
 彼女が、立っていた。
 ふたりが呆然としている間に、彼女、ミレイアは ぺたぺたと近寄ってきた。
 その顔は にへら〜、と笑っている。
 スキをついて離れる青い光。
「ああっ!!! 逃げた!!!」
「もうっ ミレイアおねえちゃん なにすんのぉ!!!」

 すっく

「しかもなにアブナイ顔して立ち上がってんの!!」
 ルミーの声が聞こえてか聞こえずか、それを無視したまま、ミレイアは、ちいさな手をひらひらとさせた。
「こいこいこい」
 まるで車の下に隠れたねこを呼ぶような声で。
「こいこいこい……」
 そう言いながら ゆっくりと青い光に近づいた。
 光は……出ることも引くことも出来ずにいるが……
 ひょうひょうと前へ出るミレイア。
 そして
 彼女は光の前に立った。

「こんにちはだにょ」
 …………
「こわがんなくていいよ?」
 …………
 にへら〜。
 …………
「わたしねぇ ミレイアって いうの」
 …………
「さっきのはね、カミュと ルミーなの」
 …………
「……おともだちの 感じがするにょ」
 …………
「おともだちに なるにょ」
 …………
 にこっ。
 …………

 ミレイアは、まっすぐにその手を伸ばした。
 青い光から すっ、と一本 光が伸び、針のように 細く絞ると、

 ミレイアの額の中心に 正確に 位置を合わせた。
 
 ミレイアは、瞳だけを動かして じぶんのおでこを見た。
 そしてまた 前を見ると、
 にっこりと目を細め、

 なでり なでり なでり
 青い光をやさしく撫でた。

「怖かったんだよね」
 なでり なでり なでり
「……そうだよね。
 ひとりって
 すごく……」
 ミレイアの瞳は すこし 遠くを見つめていた。

「すごく 怖いよね」

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えっと……ですね、「神界枯伝」は戦闘メインではありません。残念ながら。
武器の話なのに戦闘無いとは何事じゃ!! って気もしますけど。
だからそっち期待している方はすいません。
血も吹きませんし腕も飛びません(笑)
あくまでTHベースですんで。

えっと……ですね、「神界枯伝」はオーパーツ達の憂い溢れるギャグコントではありません。残念ながら(笑)
1〜3話であんだけギャグテンポぶったぎってたくせに……って気もしますけど。
だからそっち期待してる方もすいません。
浩之ちゃん、ルミーに弱み握られたりしませんし、葵ちゃんもカミュに洗濯手伝わされたりしません(笑)
あくまでTHベースですんで(笑)

じゃぁ、なんでパーツ誰も喋んねぇんだよ!? ですよねぇ……(自分で苦笑)
いろいろ考えた末です。オーパーツは別オーパーツとは完全に独立してます。
そのかわりユーザーとはその性質を変化させるほどにシンクロしてます。
これがこっから先のストーリーの柱です。
やっぱり戦わないのね?
はい(笑)
ぶっちゃけた話、戦闘苦手なんですよね(爆)可愛いもの好きの自分として。
で、可愛い物好きのくせに、
展開がドロドロしてくるの(をい)

……ちなみに、みんな喋ったら……

「カミュちゃん! 踏み込んだところで重心落としてっ!」
「は、はいっ」

 ズザザザザザッ!!

「今っ!」 ガッ! 「ごめんなさぃぃぃぃぃい!!!」

 ダガァァァン!!

「や、やった」「ダメぇっ! 伏せてぇ!!」

 シュダァン!!

「せ、先輩っ!!!」
「ヒロユキ・チャン!!! 来るっ!!! 来るよぉっ!!!」
「ルミーちゃん、聞こえるか? 落ち着け、落ち着いてこころの音を聞くんだ!」

 いや、いや、いや、……「嫌ぁ!!!」

「危ねぇっ!!!」

 ドォォン!!

「きゃぁっ!」「バカっ!!!」 ザッ!
「恐い……無理だよ……ルミーにはムリだよぉ!!!」
「――いいか? ルミーちゃんは独りじゃない!
 俺が……居るだろ!?」
「…………う、うんっ!」

――――――――こ、これはこれでいいじゃん……ベタベタすぎだけど。
        でも……ひとつ克服できない難点が……
        私、ダメダメだからさぁ、
        浩之喋れるようにしちゃうと、ルミーに手ぇ、だしちゃうよ……絶対(確信!)

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