神界枯伝《metastoa lost fable》 投稿者:里茄野のわく
 「前回までの・復習予習」
 ぷにぷに。



第5話『記憶、その曖昧な真実のなかで』


「こほっこほっ」
「カミュ……だいじょぶ?」
 そういって心配そうに私の顔をのぞき込む姉さん。
 ちょっとむせただけです。心配ありません。
 私はすぐに体を起こし、姉さんに笑いかけました。
 姉さんは
 にっこりと 子供のように 笑顔を返しました。
 そう。
 まるで 子供のように……


 私はまだ 3,4年しか生きていない
 そんな気がします。
 ずっと前から 昔のことを思い出そうとしています。
 今日も そうしてみました。
 …………。
 ……洗濯物を取り込んでいます。 私です。
 違います。これは ついさっきの記憶です。
 ……ミカエル様が オーパーツをお与えくださいました。
 違います。これは数日前の記憶です。
 ……ろうそくに 灯がともっています。
 違います。去年。去年の私の誕生日です。
 違います。私がみたいのは もっと、もっと前の記憶のはずです。
 もっと深く……もっと遠く……
 つぶった私の視界が まっしろになってきます。
 ……ひかり。温かい……たいようの 光です。
 ……おうち。白い壁。 赤茶けた屋根……私達のおうちです。今の私達のおうちです。
 ……ひと。おんなのこ。ひとり、ふたり……さんにん。
 それぞれカバンを手に持って、麦わら帽子をかぶった 3人の女の子です。
 楽しそうにお話ししてて……おうちの中に入っていく……
 でも、そのおうちは 私達のおうちです。 私達のおうちのはずです。
 …………。
 そっか。そうでした。
 その女の子が
 私達でした。
 はじめてこっちのおうちに来た日の
 私達でした。

 あの まだ幼稚園ぐらいの女の子が……ルミーでしょう。
 手を引いてもらってます。
 引いているのは……私です。
 私がいます。
 その私も まだちいさくて……
 わたしは……なんさいなんですか?
 女の子は、
 つないでいた そのちいさな手を離すと、
 一度 視線をおとし、
 少し 考えたようにすると、
 きゅうに顔を上げ、今日の空のようにきれいな瞳をおおきく開いて 一直線にこちらをみて、
 勢いよく 両手をまえに出すと、
 その 全部の指をめいいっぱいひろげて すうじの「10」をあらわして、
 そして、
 満足そうに こちらをみて笑った。

 そうです。
 はじめてこのおうちに引っ越した日、
 私は10才でした。
 この日のことを思い出したのは はじめてです。
 それじゃあ、
 もうひとりの、透き通るように綺麗な ピンク色の 長い髪の毛をした女の子は
 姉さん。ミレイア姉さんでした。
 その姉さんが、しりもちをついたルミーの手をとって、
 ぱんぱんと おしりについた砂を払って ルミーを見上げて、
 笑っています。
 おなじです。
 姉さんだけ おなじです。
 私も、ルミーもちいさくて、 おうちの側の あの みかんの木も こんなにちいさいけど、
 なんででしょう、姉さんだけは
 今とおなじままです。


 今日は調子がいいみたいです。
 ここまでおもいだせました。
 もしかしたら、もう少し いけるかもしれません。
 私は生まれてからまだ 3,4年しか経っていない
 そんな気がします。
 昔のことを なにも覚えていないからです。
 覚えていたなかで、
 いちばん昔のことは、
 私の記憶のいちばん初めのことは、 となりに ミカエル様がいてくださったことです。
 すごく温かくて。
 ――なめらかに 動き出す。
 じぶんのなかで 止まっていたなにかが、その時再び動き出したような そんな気がしました。
 なんだろ……って。
 この温かさは なんだろ……って。
 考えてみました。
 ――考えたのは はじめてのような気がしました。
 解りませんでした。
 でも でも、とっても気になって。
 気になったんで、
 だから 触ってみました。
 ――じぶんから手を動かしたのは はじめてのような気がしました。
 腕でした。
 温かいそれは、おとこの方の 腕でした。
 りょうてで、その腕を抱きしめました。 何故なのか、私にもわかりませんでした。
 もう、離したくないと 思いました。
 ――思ったのは はじめてでした。
 それから、隣をみました。
 私は寝ていました。 ふかふかのベットに、よこになっていました。
 初めて、自分がよこになっていると 気づきました。
 隣は……わかりませんでした。
 おとこの方の からだがあったので、私には 壁のように見えました。
 だから、上をみました。
 右に曲げた首を、そのまま上に向けました。
 やっぱりおとこの方でした。温かいのは、このおとこの方でした。
 私が顔を向けたのに気づかれて、
 優しい笑みを 浮かべました。
 そして その手で、
 私のあたまを 撫でてくださいました。
 ずっとずっと 撫でてくださいました。

 その方のお名前は、ミカエル様と、おっしゃいました。


 今日は新しいことをおもいだせました。
 おうちのことを おもいだせました。
 ミカエル様に会った このあと、
 私達は サンニンで この新しいおうちに 引っ越しました。
 ミカエル様が そうするようおっしゃってくださいました。
 ……でも。
 少し違います。
 ミカエル様に会ったのは この日が初めてではありません。
 そんな気がします。
 それより前にも 何度も、ミカエル様は 私に優しく微笑みかけてくださいました。
 私はなにも こたえませんでした。
 なにも きこえませんでした。
 なにも わかりませんでした。

 ココからムコウは なにもおもいだせません。
 ココからが 私の記憶の はじまりです。

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 カミュオンリー(汗)
 何? コノ展開。何故に過去話? 葵ちゃんは何処? って何処に行きたいわけ?
 な感じで進んでます(爆)
 くすくす 作者に聞いて(ってオレかい)
 はい。すいません、もうちょっとだけの間、待ってくださいね(汗)
 かけ離れすぎると マズイです。
 (ああああああああぁぁぁっぁぁぁぁぁぁcぁぁぁああああふぁだcあ(ちゃんと文字打ててない))
 ホント不思議な繋がりです。パーツとユーザー。
 不思議というより……意味不明(自爆)

 セリオでもいいよね!(いいよね!シリーズ第2弾)におきまして、
 こともあろうことか一部「耕一さん」を「浩一さん」としちゃっておりましたぁぁぁ。
 気づけよ、自分。
 いやぁ、すんません。それが気になって腹をかっ切った方も多いことでしょう。
 ダメダメ過ぎですにょ。

 >狗福 様
 毎度毎度感想ありがとうございますぅ。
 う〜ん。こんだけ漏れなく感想出せるなんて……きっと狗福様の思考アルゴリズムを移植し、愛のチューニングを
施した機械人形さんが夜な夜ながんばっていらっしゃるのでしょう。
 ちなみにその人形さんはストリートの路地裏に 段ボールで放棄されていた可愛そうなものなのですね。
 そうですね。
 (人形モノにめっぽう弱い自分)

 では、また来週!!
 

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