神界枯伝《metastoa lost fable》 投稿者:里茄野のわく
第一話『記録的豪雨、捨てられた子猫』


 俺は今日の放課後もいつも通りに葵ちゃんのいる部活へと足を運ぶ。
 え〜っと……葵ちゃんは……と……

「せぇ〜んぱいっ(はあと)」
「あ痛っ! しょっぱなから語尾にハートなんてやってくれるね葵ちゃんっ」
「そおいう先輩こそ陽気な台詞とは裏腹に 手は乙女の秘密の花園へとっ」
「ははっ! やっぱり動体視力がいいなぁ葵ちゃんは」
「葵、そんな関係なさそうなところに話題を振る先輩のユーモアに感激っ」
「さりげなく自分を名前呼びだねっ! そういうところが雨で濡れた子猫みたいだぁ」
「あはっ。それってジェラシぃー?」

 今日の彼女はいつもと違っていた。
 俺は いち早くそれに気が付いた。

「なあ、葵ちゃん……なにがあったんだ?」
「あ、でもこのセリフどっか別の漫画で使われ……え?」
 葵ちゃんは、俺の言葉に口をつぐんだ。
「全部自分の中にしまい込むの……葵ちゃんの悪い癖だ」
 俺はその瞳を見つめていった。
 オレは無性に ふたりでチョコレートバナナパフェが食べたくなった。
 だが、それはまた今度。
 今はちょっと違うことしてるもんね。
 葵ちゃんの 行き場のなくなった瞳は 空をおよいだ後、
 結局また、オレのところに戻ってくるのだ。
「……あのね?」
 葵ちゃんは決心したように真剣な表情になると、すぐあかるい顔になり 俺に言った。
「私、やめるんです」
「やめるって……学校をか!?」
「ううん、人間」
 俺の顔を上目づかいに見つめて にっこりと笑った。

「おいおい。人間やめるのは雅史だけで十分だ(それ、いいすぎ)」
「私、地球人でも宇宙人でもないの」
 俺はつっこみをいれようとしたが、あるいは聞き流して2.5秒ほど時間の流れを戻して やり直そうと思った。が、
 どうにも葵ちゃんが嘘をついているようには見えない。
「オーパーツ。 私は古き神々の遺産、オーパーツのひとつなの」
 胸に手を当て、無理矢理 話を展開させようとする萌えちゃん(っじゃなくってぇ!! 葵ちゃんっ!!
 素でmoetyannってタイプしちまったよぉ……てへっ 失敗失敗っ)葵ちゃん。
 俺、こういう展開 ショウにあってねーんだよなぁ。
 大体、ショウがどんな漢字かもわからねえくせに一人前にしゃべんなっつーの。
 『性』か? ああ、これ。これでいいや。

「ずっとずっと昔、神と魔族との大戦争があったの。
 初めは神様のほうが優勢だったんだけど ある日、魔族は巨大な力を手に入れてしまったの。
 それがオーツゥエリング。 その破壊力は……」
 オレは聞き流した。
 聞き流せば文章的描写をしなくて済むのでとぉ〜ってもらくちん。
 で、ここで1行
 
 葵ちゃんは、昔オレにエクストリームの説明をしてくれたときのように真剣な眼差しで語ってくれた。

 ってしとけば万事オッケー おーるくりあっ
 「……で、オーパーツは様々な形式で人間界に封印されたの。
 私は……そのひとつ……みたいで……
 お父さんも、お母さんも……私とは血はつながってないんです」

 葵ちゃんは斜め45度にうつむくと、視線を夕日で赤く染まった地面に落とした。
「で、でもだからって葵ちゃんが人間やめる必要はないだろ?」
 あまりに葵ちゃんが思い詰めているようだったので、話を合わせて気を落ち着かせようと試みた。
 というのは社交辞令で、実際は人間やめた葵ちゃんも見てみたいなーとか。
 一般にこういうのってケモノとかになるんでしょ?
 ヒト80、ケモノ20ならうれしいなぁ(わくわく)

「……神界(メタストア)に再び危機が迫ってます。 私、昨日まではなにも知らなかった……」
 前世の記憶が蘇るとかって? よくあるパターンだやね。
 でも、前世がパーツってのが嫌やね。せめてしゃべらして みたいな。
 大体、神界ってどこやねん。
 俺の想像するあたりはこんな感じかなっ。
<想像>
 ちゃぱっ
 「あははっ」
 「あにゅっ、ミカエル様ぁ!」
 「おう ミレイアちゃん。 ん? 3姉妹そろって水浴びかぁ」
 「こんにちは」
 「こんにちはぁ」
 「ははっ ルミーちゃんはいつも元気だなぁ」
 ぱしゃっ
 「うん。きょーはいーてんきだからぁ。みかえる様もいっしょにみずあびしよ〜?」
 「はははっ また今度な」
<想像終了>
 うむ。我ながら神経疑われそうなほど素晴らしい思考回路だ。
 あ、ストーリーが止まってるぅ。
 あんまりオチも期待できそうにないからここで終わりでもいいのに……。
 まあ、いちおう聞きモードでいくか。


「昨日……トイレに入ってたら突然、目の前に男の人が現れて……」
<回想>
「きゃーっ!! 痴漢っ! 変態っ!! 出てってぇ!!!」
 葵は突然の事態に動転し、普段の格闘技術を駆使することが出来ず、手当たり次第に
 近くのものを男に投げつけた。
『落ち着け汝よ。私は具象気体。汝に危害を加えることはない……』
 だが 具象気体は汝により危害を加えられている。
「うわぁ〜ん。体以外ならなんでもゆうことききますから許して下さいぃぃぃ」
 葵は恐怖のあまり半泣き状態だ。
 イメージとしてお見せできないのは非常に残念無念だが、松原さんの「泣きつつ謝り」は かなり良いぞっ!
『私が欲しいのは肉体ではない。おまえ自身だ』
 ……おなじでしょう。
『古き刻印を与えられ 御詞を背負い生まれしオーパーツ。 汝、名をアオイ。
 世界の平和を守れるのは キミしかいないっ!』
 キミしかいないっ!!
 キミしかいないっ!!!
 キミしかいないっ!!!!
<回想終了>

「で、葵ちゃんは何て答えた!?」
「え、あ、あのっ……『せっかくだから』 って」
 ぼかーん。

 リアクションは、きちんと描写しましょう。


 と、ある平和な日曜日……
 別の観点からみると 葵ちゃんが姿を見せなくなってから3日後のこと……

「だ、誰だおまえはっ!?」
『落ち着けヒトの子よ。私は具象気体。男に手を出す趣味はない……』
 はうっ!!
『古き刻印を与えられ 御詞を背負い生まれしオーパーツ。 汝、名をヒロユキチャン。
 世界の平和を………………
 俺がオチ!?
 っていうかコレ続きもん!? 本気っすかぁ!?
 とかいってるあいだに なんかちゃっかり両手両足縛られちゃってるし……

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完全シリアスすとぉーりぃー(はあと)。
実際、オチものじゃないです。今の時点で すでに5話まで出来てます(おい)が、
なんか書けば書くほどセリフがシリアスシリアスしてきますぅ……
そのうちドス黒くなってきますぅ……。
(オレ的には初めの会話のシーンをずっと続けていたい)
今回は浩之の想像場面がパラレルワールドですが……(汗)
……好きなんやから仕方ないやろぅ(ちなみに 次女の名前はカミュちゃん(爆))

来週、二話が出たときに すこぉ〜しでも 一話の内容を覚えていてくれれば光栄です。

ou-TAM進行状況!
:えっとですねぇ、UPしました。最新はVer2.50です。
:ココは ひとつの境界線ですね。エミュと薫(と、おっさん)にとっての。
:オレ的にも好きなトコです(「!」マーク付きのセリフは、頭の中で叫んでみてください(笑))
:では。待っててくれた方、さんきぅ〜です!

http://www.grn.mmtr.or.jp/~nowaku/attop.htm