りぃふ大戦略・・・第六話「浩之A−SIDE」 投稿者: ラーキア
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・暗い。












たったったったったったったったったったったったったっ・・・・・・・・・
誰かが走っている。走っているのは・・・・・・・・・「俺」だ。
「俺」はやけに輝いた顔をしている。敢えて言うなら、大好きな子にかまってもらいたくて悪戯をしようと思案するわんぱく小僧、といった所か。それにしても「俺」は輝いた顔をしている。せいぜい2,3年前の自分だというのに。
やがて、「俺」の50、いや100メートルか?、前に1人の女の子が立っていた。女の子は中学生位であろうか。いや、待てよ、あの女の子が着ているのは俺の通っていた高校の制服だ。ってことは彼女は高校生か。ちっちゃい子だなぁ。
彼女が「俺」の方に振り向いた。途端に彼女の顔もぱっ、と華やいだ。驚き、そして感動の入った顔だ。おや、彼女、変だ。髪の毛の色も薄翠(うすみどり)色をしていて、何より耳の所にセンサーらしき物が付いている。が、「俺」はそんな事は微塵も気にしてない様子で、彼女に対し、手を振った。彼女も「俺」に対し両手をぶんぶん振った。「俺」は彼女の元に走っていった。

いけない!早く逃げるんだ!
はやく!彼女を連れて!
はやく!はやく!はやく!

その刹那、「俺」の目の前で彼女は2つに分かれた。一瞬止まる時間そして・・・
グシャッ!飛び散る人工皮膚、幾分にも分かれ、彼女が機械であったことを伝えるパーツ、そして、真っ赤な潤滑油、まっかなじゅんかつゆ、まっかな血・・・・・
真っ二つに分かれた笑顔、至上の笑顔、「俺」だけの笑顔2つ、2つに分かれた。
壊れたのは・・・・・マルチ、死んだのは・・・・・マルチ、殺したのは・・・・・・・・・俺。
そう、俺が殺した。マルチが好きだった。俺が彼女を戦いに巻き込んだ。だから彼女は死んだ。壊れたんじゃない。死んだんだ。殺されたんだ。俺に。





そう・・・俺に













「・・・・・・・ちゃん」
「・・・・・ひろゆきちゃん」
「浩之ちゃん」
・・・・・・・・・俺の目の前に見知った顔があった。神岸あかり、俺のフィアンセ、という事になっている女性だ。「なっている」という表現は誤解を招くかもしれないが、俺は彼女が嫌いなわけではない。好きでもない女性と一夜を共に過ごすなんて器用な事は事は出来ない。今も彼女も俺も一糸纏わぬ姿である。俺はベッドの脇に有る時計を見た。午前5時38分。起きるにはまだ早い。が、今寝ると起きられそうも無いので、さて、どうしようか、と考えていると、
「浩之ちゃん、大丈夫?うなされてたよ」
あかりが本当に心配そうに俺を覗き込む。その仕草がなんとも可愛い。
「ああ、大丈夫だ」
「そう・・・よかった。浩之ちゃん・・・またあの夢?」
「なっ・・・」
「だって・・うなされてたもの・・・「マルチッ!、マルチッ!」って・・・」
「気にするな」
「でも・・・・・っ!」
あかりは最後まで話すことが出来なかった。俺が彼女の口を塞いだからだ。俺の口で、
「あっ!浩之ちゃん・・・そんな・・」
俺は彼女をベッドに押し倒した。昨夜したばっかだが、まあいい、第2ラウンドだ。こういうのを「人のぬくもりが欲しくなる時」とでも言うのだろうか・・・・・。




こんばんわです。ラーキアですぅ。如何でしたか?この話と耕一、柳川達の話とをどうくっつけるか悩んでいます。今回は(多分)前編しりあすで描いたつもりでしたが如何でしょうか?マルチ、死んでいます。何故?、それが今後の浩之君の行動に出てきます。
それでは次回「狂気、機械のこころ」にファイヤー!

PS1>感想くださった皆さん、ありがとうございます。本当は自分もレス書いてお返事したいのですが、自分の作品ですらこの状況なのに、他人さまの作品にあーだこーだ言えるような立場ではありません。どーか許してください。m(__)m

PS2>ちなみに、(次回「ほにゃらら」)というのはあくまで「次何描こう」という事を描いているのです。名前のとーりの内容にになることはあまり有りません(言い訳)。
では皆様、おやすみなさいですぅ。 ぐー