新世紀マルチエリオン(謎)第弐話 投稿者:坩堝


新世紀マルチエリオン(謎)の第弐話です。
新学期も良いんだけど、シリアス苦手なの……>Nerv石橋さん、すみませんm(_ _)m
しかし、どこが第弐話なんだ?(^^;)

第弐話 見知らぬ琴音(THE ESP)

「良いか、マルチ?」
「は、はい!」
浩之の問いかけにマルチは慌てて返事をする。
「まずは、校門の前からここまでの花びらを掃き集めることだけを考えるんだ。」
「え?でも先生は校庭全部掃除するようにって……」
「言うなっ!……考えただけで疲れてくる。
  良いか?こんな広い場所を俺達4人だけで掃除できるわけないだろ?
  これは罰掃除なんだ。終わらなくたって日が暮れれば帰れるんだ。
  なにも馬鹿正直にやることはないのさ。
  要は反省してますって態度で掃除すりゃ良いんだ。
  だから、初めから範囲決めて適当にやってりゃ良いんだよ。」
「そうそう、全部掃除できたからって内申が良くなるわけじゃないしね。」
  珍しく志保が俺の意見に同意している。
  そりゃそうだ。楽をしたいって考えるのが人間だ。
「そういうものなんですかぁ……わかりました!一生懸命、校門まで掃除します!」
「いや、だから適当に手を抜いてだねぇ……」
  すでにやる気満々のマルチには浩之の声は届いていないようだ。
「……まあ、良いか。じゃあ始めるぞ。とおりゃ〜!!!」
「ひ、浩之さん?突然大声出したりしてどうなさったんですか?」
「ん?こうやって気合入れて掃除してるように見せて先生の心証を良くしようと思ってね。」
「ヒロらしい考えよねぇ。」
  志保が呆れているが気にしない。
  全ては早くこんな馬鹿馬鹿しい掃除から開放されるためだ。
「わかりました。こうですね?とおりゃ〜!」
「違う!こうだ!とおぉぉぉりゃぁぁぁぁ〜!!!」
「とおぉぉぉりゃぁぁぁぁ〜!!!」
「……つきあってられんわ。」
  志保は2人から離れて掃除する事にした。

  端から見ると楽しそうにも見える2人に芹香が近づいていった。
「……………………。」
「うわっ、ゴン太君、じゃなかった来栖川先輩いたの?」
「……………………。」
「えっ?楽しそうですねって?
  そんなわけ無いだろう。罰掃除が楽しい奴なんていないよ。」
「……………………。」
「えっ?それなら私の魔術で何とかしましょう……って、先輩まじ?」
「……………………(こく)。」
「うーん。そこまで言うんならやってもらおうかな?」
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30分後、校庭に怪しげな魔法陣が描かれていた。
「……で先輩?校庭にこんなもん描いてどうすんの?」
「……………………。」
「えっ?下級魔を召喚して掃除をやらせる……って大丈夫なの?」
「……………………(こく)。」
「まあ、先輩が大丈夫って言うなら任せるけど。」

「……ふぁりあ〜……せ〜た、め〜そぉ〜……」
  先輩がどこかで聞いた呪文を唱え始めると、急に空が暗くなってきた。
「(これは本物かも……)」
  浩之は期待に胸を膨らませながらじっと見守っていた……
「だめ!……」
「えっ?」
  声のした方を振り向くと女の子が立っていた。
「知らない娘だ……」



第弐話 見
       知
       ら
       ぬ、琴音



「いけない、止めて!」
「止めて、って来栖川先輩をかい?」
「鬼が……、鬼が来る……」
「鬼?」
  その時だ。
「グオォォォォォォ!!!」
「な、なんだ?」
  どこからか空気を震わせる凄まじい咆哮が聞こえてきた。
  背筋が凍るようなおぞましい咆哮だ。
「ヒロ!あれを見て!」
  志保の指差した魔法陣に亀裂が生じていた。
「空間に亀裂が生じている……?」
  その時、亀裂から黒い影が飛び出してきた。
「なっ?」
  人の2倍はあるかと思われる巨体、手には鋭い爪。
  耳まで裂けた口からは鋭い牙が……そして、その頭上には2本の角が生えていた。
「……鬼?」
  そう、まるで御伽噺に出てくる鬼のようなそいつは、来栖川先輩を見るとニタリと笑った
  ……ように見えた。
「先輩!危ない!」
  浩之は叫んだが、芹香は金縛りにかかったみたいに身動き一つ取れないでいた。
「先輩!!!」
  鬼はゆっくりと芹香に近づいていく……
「くそっ!先輩を助けなきゃ……」
  そう言う浩之も恐怖のあまり思うように動けない。
「グオォォォォォォ!!!」
  鬼は一気に芹香に襲い掛かった。
  誰もが芹香の無残な最期を覚悟したときだ。
「ばしぃぃぃぃ!!!」
  芹香と鬼の間に見えない壁が生じたかのように見えた。
  鬼はその不可視の壁に弾かるように後ろに飛ばされた。
「グオォォォォォォ!!!」
「……今のは、ATフィールド?」
  ATフィールド……Azusa Terror Field、某温泉旅館グループ会長の妹が発見した超能力。
  絶対的な恐怖心が生み出す一種の精神バリアだと言う……
  彼女自身、偽善者と言われる姉への恐怖からこの能力が発現されたと聞く。
  しかし、誰が?
  浩之が周囲を探るがそれらしい人物は特定できなかった。
  無理も無い。全員、恐怖しているのだから……
「でも、とりあえず先輩も大丈夫そうだ。
  奴も魔法陣の外に出れないみたいだし、今のうちに奴を送還すれば……」
  しかし、芹香は硬直したままだ。
「くそっ!どうすれば……」

  その時だった。
「バシュゥゥゥー!!!」
  突如、頭上から鬼に光の束が降り注いだ。
「なんだぁ?」
「あれは、サテライトキャノンですぅ〜。」
「あれ?マルチ、今までどこに行っていたんだ?」
「あっ、はい!浩之さんに言われたとおり、掃除をしてました。」
  見ると、校門のところがすっかりきれいになっている。
「こんな騒ぎになっているのに……」
  呆れる浩之だったが、
「また、姉さんね?」
「あっ、綾香さん。」
  いつのまにか浩之の横に綾香とセリオが立っていた。
  鬼に気を取られてて気づかなかったようだ。
「まったく召喚は止めなさいって言ってるのに。懲りないんだから。
  セリオ、ご苦労様。」
「……支援衛星バハムートの解析結果が出ました。
  照射ビームは魔法陣結界を透過、エネルギーの10%が結界にて
  拡散もしくは反射、残り90%は目標に命中。目標構成物質の28%が炭化。」
「即死ね。」
「……目標の生命反応確認。目標の殲滅に失敗しました。」
「ええっ!?直撃だったはずよ!」
「本当だ。生きてやがる……」
  浩之の声に綾香がそちらへ目をやると、なるほど確かに生きている。
  全身黒焦げになりながらも、徐々に芹香に近づいている。
「なんて生命力なの?もう再生を始めているわ。」
「サポートAI零式からは撤退が推奨されています。」
  打つ手無し。誰もがそう思ったときだった。
  空間の亀裂から何かが飛び出してきた。



      新世紀
MULTIELION
  マルチエリオン



〜CM〜
志保ちゃんNews!(^o^)b
あのLeafから第2のアミューズメントCDが発売されるのは、みんな知ってるよね?
お題は「初音のないしょ」、
うーん、ロリ魂を揺さぶられるナイスなネーミングだね!(笑)
気になる内容は、東鳩本編で没になったあの綾香さんのシナリオを始めとして、
東鳩王マルマイマーや鬼戦士伝説ウエディングエディフェルを一挙公開!
そして、気になる新世紀マルチエリオン劇場版の最新情報も……
発売は年末だ!みんな、コミケでお金使いすぎないように気を付けてね!(爆笑)
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こらぁ〜!志保!おまえ、またデマ流しやがったなぁ〜!
やべっ!(すたたたたっ)<あっ、逃げやがった。



LITHIUM ION
BATTERY
MULTIELION

EPISODE:2
                    THE ESP



空間の亀裂から何かが飛び出してきた。
「おいおい、また出てきちゃったぞ?」
しかし、飛び出してきたものは人間だった。
長くきれいな黒髪……この世のものとは思えないほど美しい女性だ。
浩之はその女性から目が離せなかった。
「すげぇ美人。ちょっと胸が小さいみたいだけど、そこがまた俺好みで……」
「なんですってぇぇぇ!!!(ギロ)」
その女性は浩之を睨み付けた。
紅い瞳からはさっきの鬼とは比べ物にならないくらいの殺気が放たれている。
「ひぃぃぃっ!」
浩之は腰を抜かしていた。主人公が何とまあ情けない……
「そんなことより、耕一さん!また発情してるんですね?
  毎年毎年春になる度に見境無しに欲情して。いい加減にしてください!」
「グオォォォォォォ!!!」
鬼は明らかに脅えている。
「……勝ったね。」
「ああっ、ありゃ、完全に尻に敷かれているな……って、雅史?」
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そして1時間後、ぼろ雑巾と化した鬼が転がっていた……
「む、惨い……」
浩之は鬼に同情した。
「どうもすみません。うちの人がとんだご迷惑をおかけしまして。
  急に空間に亀裂が生じたかと思ったら、この人が吸い込まれちゃって。
  慌てて追いかけようとしたんですけど……その、ちょっと身支度していたもので……」
浩之はその女性の頭に寝癖が残っているのを見逃さなかった。
「いえ、元はといえば私達の方に責任がありますから。
  ほら、芹香姉さん。みんなに謝んなさいよ。」
「……………………(ぺこ)。」
「いえ、みんな無事だったんだし気にしないでください。」
「……みんな?」
その場にいた全員がその女性の足元に転がっているぼろ雑巾……もとい鬼を見る。
続いてその女性を恐々見つめた。
「……そんなに見つめちゃいやですぅ〜。」
そして、沈黙があたりを支配した。
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その後、千鶴と名乗ったその女性は鬼を抱えて、
亀裂の中へと消えていった。
「いったい何だったんだ?」
浩之はすっかり疲れ果てていた。
「……ごめんなさい。」
「えっ?」
後ろに立っていたのはさっき鬼が来ると言った少女だった。
「君はさっきの……」
「私のせいなんです。」
「私のせいって……何のこと?」
「あぁ〜!あなた姫川琴音でしょ?あの超能力少女の……」
「超能力?」
志保の言葉に浩之は答える。
「超能力って、あのATフィールドのことか?」
「違うわよ。予知能力よ。」
「じゃあ、さっきのが予知?」
「ごめんなさいっ!」
琴音はその場を逃げ出した。
浩之は慌てて後を追う。
「……はあ、はあ、なんで……逃げるん……だよ!」
やっと琴音を捕まえた浩之は息を切らせながら尋ねた。
「私は疫病神なんです。私が予知するのはみんな悪い事……
  私が予知なんてしなければこんなことにはならなかったの!」
「何言ってんだ。鬼を召喚したのは来栖川先輩だろ?
  君のせいじゃないよ。」
「私のせいなんです……」
浩之の言葉にも耳を貸さず自分を責める琴音に、浩之は優しく囁いた。
「琴音ちゃん。一つ言い忘れてたけど、君は人に誉められる立派な事をしたんだよ。
  胸を張って良いんだ。じゃあね、琴音ちゃん……自分を責めないでね。」
ハッと顔を上げる琴音に微笑みながら浩之はその場を離れた。


つづく



〜予告〜
マルチとの生活を煩悩に流されるまま送る浩之にあかりの愛情が得られるはずもなかった。
だが、マルチのご主人様である事実は彼に恋敵(とも)を作らせる(笑)。
次回、とらない電話。
この次も、ふきふきしちゃうわよん!


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後書きみたいなもの

あかり「ねえ?」
坩堝  「……………………f(-_-;)。」
あかり「なんで今回、私1度も出てないの?第壱話の最後は何だったの?
        どうして……そんなに私の事嫌いなの?
        浩之ちゃんの側にいる事さえ許されないの?(しくしく)」
坩堝  「うっ(良心の呵責が)……あかり、ごめん!そんなつもりはなかったんだ。
        最初は君もちゃんと登場させようって思っていたんだけど……
        琴音を出したら君を出す機会無くしちゃって。本当にごめん!
        今度書く話はちゃんと準ヒロインとして登場させるから!」
あかり「準ヒロイン?」
坩堝  「はわわ、いや、ヒロイン!れっきとしたヒロインです!」
あかり「本当?坩堝ちゃんのこと信じてるからね、きっとだよ?」
坩堝  「まかせなさいって!」
あかり「うん!(にっこり)」

……こんないいかげんな奴信じて良いのか?あかり?
本人、1時間後には忘れているぞ、きっと。
さあ、公約は守られるのか?
次は第25話だ。劇場版だ。
Bearって題名付けたけど、熊なんてどうすんだ?
それにフィルムブックが見つからないから何時書き始めるかわからんぞ。
その前に誰か書いたらどうすんだ?

坩堝  「そしたら書かずに済むからラッキー!」<おい!