第壱話 レミィ襲来(LEMMY ATTACK) 投稿者:坩堝


ごめんなさいですぅ。
私、HP持ってなくって、せっかく書いたんで、
これっきりにしますから、投稿させてください m(_ _)m

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レミィは追いつめた哀れな覗きの犯人に狙いを定めていた。
「きゃははっ!大人しく狩られるね。」

そんな彼女を冷静に観察していた雅史が呟いた。
「15日ぶりだね。」
浩之は苦笑する。
「ああ、間違いない。ハンティング禁断症状だ。」

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| 第壱話   |
| レ       |
| ミ       |
| ィ、襲来 |
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「何呑気なこと言ってんのよ。いい加減止めないとレミィが人殺しになっちゃうわよ。」
不意に後ろから声をかけてきたのは、志保だった。

「そんなこと言ったって、ああなったレミィを止めるなんて、腹空かした人食い熊の頭を撫でるより
 難しいぜ?」
浩之は周りを見回し、
「それより見てみろよ。レミィが暴れまわったせいで、桜が散っちまった。こりゃ掃除が大変だぜ。」

その時、浩之は後ろに気配を感じて振り向いた。
長い黒髪の女の子が立っている。
「よう、来栖川先輩じゃないか。」
「わぁ!」
生徒達の歓声が上がる。
思わずそちらに目が行くと、レミィが今まさに止めを刺そうとしていた。
「っと、で先輩……ってあれ?」
そこには誰もいなかった。
「せんぱぁーい!」
「……………………。」
足元に座り込んでいた。
どうやら転んだらしい。
「大丈夫?」
浩之は手を差し伸べた。
「……………………。」
「えっ?一緒に来てくれって?
  いいぜ、どうせこの分じゃ1時間は自習だろうしな。」
見ると、先生達がなんとかレミィを止めようと包囲網を完成させつつあった。

「行こうぜ、先輩。」
2人は校門の前に止めてある車に乗り込んだ。

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30分後、浩之は見知らぬ建物の中にいた。
「先輩、ここはどこなんだい?」
「……………………。」
「えっ、来栖川電工中央研究所だって?」
「こんなところに連れてきて一体何の用?」

「用があるのはここの所長よ。」
芹香が答える前に、答えた人物がいた。
芹香の妹の綾香だ。
「あれ?綾香さんまで……
  ここの所長が俺に何の用があるって言うんだよ。」
「私から説明しよう。」
頭上から声がかかった。
見上げると、白衣を着たいかにも研究者って面したおっさんがいた。
「おいおい、おっさんは無いだろう?
  私はここの所長で長瀬と言う者だ。」
「……(何で考えたことがわかったんだ?)」
「そんなことはどうでも良い。
  君を呼んだのは君に預けたいものがあるからなんだ。」
「(をいをい、どうでも良いわけないだろう。)」

長瀬と名乗った人物はそう言うと奥から一人の女の子を連れてきた。
緑色の髪をした小柄な女の子だ。
「君にこの娘の面倒を見てもらいたい。」

「はぁ?なんで俺がその娘の面倒見なきゃならないんだ?
  うちの学校の制服を着ているとこを見ると、新入生のようだけど。
  もう、高校生なんだ。自分の面倒は自分で見れるだろう?」
浩之は呆れながらも、その女の子から目が離せなかった。
くりくりっと大きな目が浩之を見つめている。
「(かわいい娘だなぁ。何か面倒見てあげても良いって気になるぜ。)」

「いや、この娘は人間じゃないんだ。
  我が来栖川電工中央研究所が開発した『汎用人型介護ロボット』
  の試作型HMX−12型、開発コードは『マルチ』だ。」
「えっ!この娘がロボットだってぇ!?」
浩之はまじまじとそのマルチと呼ばれた娘を見た。
浩之の視線を感じて、頬を赤らめて俯いてしまった様子は
どう見ても、普通の女の子だ。
いや、一つ気になるところと言えば耳のところに付いている
妙な突起物くらいなものか……

「マルチは、『人間らしい』を突き詰めていった結果生まれた
  メイドロボットだ。彼女は日々の生活の中で学習し、
  成長するシステムを取り入れている。その反面、今の彼女は
  何も知らない赤ん坊のようなものだ。
  そんな状態なのに、君の学校に1週間だけ試験的に入学させる
  ことになってしまってねぇ。我々としては不安要素が多すぎるんだが、
  上からの命令じゃあ無視するわけにもいかないし、
  そこで君にマルチのフォローをしてもらおうってわけだ。」
「ちょっと、そんな話聞いてないわよ!」
突然声を張り上げたのは綾香だった。
「12型は芹香姉さんが面倒見るんじゃなかったの?
  そして、私が13型のフォローをするって話だったはずよ。
  それが何で彼なの?いくらなんでもこんな重要なプロジェクトを
  部外者にやらせていいと思っているの?
  第一、12型の学習度は0.0000000001%よ、初期状態じゃない。
  学校生活させるにはまだ早すぎるわ!」
そんな綾香の剣幕に動じることもなく長瀬が答えた。
「0ではない。それに彼を推薦したのはそこの芹香お嬢様でね。
  それなら大丈夫だろうってことになったのさ。」
「芹香姉さん!」

「(うーん。何か俺の意志を無視して話が展開しているぞ。
   面倒なことになる前に逃げた方が良さそうだな。)」
そんなことを考えていた浩之だったが。

「やっぱりご迷惑ですよね?」
かわいらしい声が聞こえた。
マルチだ。
「良いんですぅ。私みたいなどじなロボットの面倒を見るなんて、
  嫌に決まっていますぅ。きっとセリオさんだったらそこの人も
  喜んで引き受けてくれたんでしょうけど……
  セリオさんって高性能だし、衛星からいろんなサービスが受けられて、
  対侵入者用にサテライトキャノン撃てるしぃ……」
……そんなもん、メイドロボットに付けるなよ。
それはともかく、マルチの目が潤んでいる。
良くできていると感心する反面、ひどく罪悪感に苛まれる浩之だった。
「嫌なんて言ってないだろ?
  君みたいなかわいい娘と一緒にいられるなんてこっちから
  お願いしたいくらいだよ。」
「ええっ!」
大きなまなこをさらに大きくしてマルチが驚く。
そんな仕種もかわいいと思う浩之だった。

「それじゃあ、引き受けてくれるんだね?」
どうやら長瀬も綾香を宥めるのに成功したらしい。
綾香は不機嫌そうだったが、まあいつものことだ、
気にするほどのことでもない。
「なんですって!」
だから、なんでわかるんだ?

それはともかく、
「ああ、1週間だろ?そんくらいだったら別に構わないぜ。
  来須川先輩の期待も裏切れないしね。」
「そうかそうか。では宜しく頼むよ。
  早速だけど、今日からマルチを連れて学校に行ってくれ。」
「わかったよ。おい、マルチ、それに先輩、学校に戻ろうぜ。」
「……………………(こく)。」
「はい!ええと?」
「俺の名前は藤田浩之。短い間だけど、よろしくな。」
「はい浩之さん、ふつつか者ですがよろしくおねがいしますぅ。」
「おいおい、嫁に来るわけじゃないんだから(苦笑)」

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学校に戻った3人を待っていたのは、志保だった。
「こらぁ、ヒロ!授業をさぼるなんて、先生怒ってたぞぉ。
  罰として、放課後、校庭の掃除やれだってさ。」
「なにぃ!校庭の掃除って……こんな広いとこを3人でかぁ?」
「いや、あんただけ」
いやらしい笑みを浮かべて志保は言った。
「(くそぅ、やたらと俺ばかり目をつけやがって。)
  それはそうと、レミィはどうしたんだ?
  そもそも、校庭をこんなにしたのはあいつだろ?」
浩之がそう言うと、珍しく言いにくそうな顔をして、
「うーん、彼女だけど、家庭の事情とかで1週間程帰国するって。」
「(をいをい、それって停学って言わないか?)」
浩之の冷ややかな視線を感じ、志保はこの話はこれまでとばかりに、
「それじゃあ、ヒロ。掃除忘れないでね。」
と言って、そそくさと去っていった。
「あっ、逃げやがった。しかし、こんな広いところを一人でかよぉ。」
「あのぅ、私もお手伝いしますからがんばりましょう。」
「……………………(こくこく)。」
芹香も手伝うと言っている。
「そうだな、3人でやれば何とかなるかな?
  いざとなったら、志保にも手伝わせれば良いしな。」

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放課後、無理矢理連れてこられた志保を含めて浩之達4人は
校庭の掃除をしていた。
それを木陰からじっと見つめる少女がいた。
「浩之ちゃん、がんばって。」
それは、一応ヒロインの神岸あかりであった。(<手伝ってやれよ。)

つづく

〜予告〜
浩之は掃除を終える。だがそれはすべての始まりに過ぎなかった。
浩之から逃げる琴音。浩之の偽善は自分が彼女を救おうと決心させる。
次回、見知らぬ琴音。
この次も、ふきふき、ふきふきぃ〜!

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あかり「なんで、一応なの?」
坩堝  「だって、俺の中ではヒロインはマルチだもん。」
あかり「……でも普通、ヒロインって言ったら幼なじみじゃない?」
坩堝  「でも、マルチを差し置いて君をヒロインになんてできないよ。」
あかり「……………………。」

気温が3度ばかり下がった気がした……
(ヒュッ!)
風切り音を耳にしたとたん、俺は意識を失った。
俺は意識が遠くなるのを感じながら、次に目が覚めるときは
マルチに起こしてもらいたいなぁ、てなことを考えていた……

あかりFanの方ごめんなさい(^^;)
しかし、いきなり乱入して書いたくせに,元の話のかけらも残っていないなぁ。
最初の雅史と浩之の会話を書きたかっただけなのに、
だらだらと書いてしまった。
誰か、ちゃんとした第壱話書いてくださいですぅ。

ところで、第拾話「ヒグマダイバー」を読んで、
「えっ、マルチのモップって『空間歪曲』できるんじゃないの?」
と考えてしまったのは俺だけだろうか…… f(^^;)