矢島悲劇・周りは喜劇  悲(喜)劇その2 前編 投稿者:吉兼 言 投稿日:4月19日(水)11時00分
 さて、前回オタク縦&横に「縦王子鶴彦」「横蔵院蔕麿」と言う「フルネーム」が
 付いたことで、彼らより「格下」になってしまった「悲劇」の男。あかりちゃんに
 見事に振られ、岡田、松本、吉井の三人娘にも振られ、今度はオ○ク縦&横にまでフ
 ルネームの命名が先を越されてしまった哀れな男に明日はあるのか。

 「あるわけねーじゃん」
 「はわわ、なんて見も蓋もないことを。まぁそれはおいといて続きをど〜ぞ」

 その男は・・・・・。

 「矢島」

 名前は、いまだにない無い。


      「矢島悲劇・周りは喜劇」 悲(喜)劇その2「有明地獄変」


 あの喫茶店大暴動事件から23日後。「こみっくパーティー」の開催日当日有明
 国際展示場、通称「東京○ックサイト」横の駐車場にあの「男」はいた。
 「ははははは、あかりさぁぁぁぁぁん。俺はあなたの愛のためにここまで来たぜ
  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
 端から迷惑全開で叫んでいる男は、やっぱりあの男「矢島」である。前回の話で
 「器物損壊」の罪で警察のご厄介になっているはずの彼がなぜここにいるのかって、
 それはないしょだ。又は単に作者の都合って物もあるので勘弁してちょ。
 「うるせ〜ぞ」
 「だまってろ」
 「そ〜だ、そ〜だ」
  ブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥブゥ
 もちろん矢島の雄叫びで迷惑がっている他の善良な客(徹夜客はすでに排除している)
 は大いにブーイングかましていたが矢島は聞きもしないで、自分の中で垂れ流してい
 る脳内麻薬で「えいえんの世界」へとトリップしていた。ちなみにトリップ内容はこ
 うである。

 こみパ開催数日前学校校内にて
 「矢島君、私のためにこみパで千堂かずき先生の新刊を買ってきてもらいたいの、
  お願いできる」
 『あかりさんの方から俺に話しかけてくれた』
 「もちろん」
 『ひゃっほ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、これで千堂かずきとか
  言う奴の本を買ってきてあかりさんに渡せば俺の株は急上昇、掃き溜め便所虫野郎
  からあかりさんを救えるぜ』

 てこんな感じである。やっぱりこいつはどうしようもない「妄想癖」の持ち主である。
 「なに、トリップしているのだマイ同士」
 と後ろから怪しげな日本語をしゃべるどう見ても怪しげな青年から声をかけられた。
 しかし怪しげな青年の言葉を矢島には聞こえておらず、まだ戯言のように。
 「あかりさぁぁぁぁぁぁぁん」
 とまだ「えいえんの世界」から戻ってこないでいた。そこで怪しげな青年は「ある物」
 を取り出し矢島の脳天めがけて振り落とした。
 ガゴォォォォォォォォォォォン
 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 「我輩の話していることを聞いていない同士が悪い」
 その男の手には「カードマスターピーチ」の変身スティックが握られていた。
 「いきなりそんな凶器みたいな物で人の頭をたたくな」
 「そんな小さな事気にしていたら我輩たちの野望は成就できんぞ、マイフレンド」
 「だれがマイフレンドじゃ、それに俺はあんたの名前も知らなきゃ会ったこともないぞ」
 「前世であっているぞ、魂の兄弟」
 『こいつ、頭イカれてるんじゃねーか』
 そんな変な青年の言動を呆れていた矢島である。しかし作者から言わせればこうで
 ある、「えいえんの世界」にトリップしていたおまえが言うな、おまえが。
 「で、あんた名前なんていうんだ」
 「忘れたというなら教えてやろう」
 「だから始めからしらんちゅーの」
 「我輩の名は、この世のオタクを制服じゃなくて征服するであろう未来のオタク文化の
  征服者『九品仏大志』だ、マイ同士よ」
 変な言動を連発する怪しげな青年は九品仏大志と名乗った。まぁ皆様も分かっていた
 でしょうが一応。
 「あんた九品仏って言うのか、俺は矢島だ」
 そうお互いの紹介後、矢島は無視するつもりだったのだが、大志の方からしつこく話しか
 けてくるので無視も出来ないと思い、大志の話の相手をしていた。
 「マイ同士よ、ここにいる以上同人誌を買って買って買いまくるのか」
 「いや、俺は友人の頼みで同人誌を買いに来ただけだ」
 「もしかして、初めてか」
 「あたりまえだ!、あかりさんのお願いでもなけりゃこんな所にはこんわーーーー」
 そう矢島が言った後大志はみるみる顔色を変えて行きこう叫んだ。
 「甘い、甘い、埼玉銘菓十万石饅頭よりも甘いぞ、マイフレンド矢島」
 「わぁぁ」
 突然の大志の咆哮にさすがの矢島もたじろいた。そんな矢島に大志は続け様にしゃべった。
 「今は春だから並びやすいがここに居る物たちは、夏は灼熱地獄、冬は極寒地獄を何時間
  も待ち続け、会場に入った後は自分の目利きや周りのネットワークを使い欲しい同人誌は
  どんな手段でも手に入れる「漢」(女も含む)達いる合戦場なのだ」

 ガ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン

 そう矢島がビビリながら、おそるおそる大志に問いただした。
 「どんな手段もって、あんた達いったいなんなんだよ」
 そう言った矢島に対して大志は誇り高くこう言った。

 「ふっ、我輩たちはオタクだ」

 ド〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン

 どこからともなく背景音&地震がした。大げさだが矢島にはそう感じた。
 「あんた達凄すぎだよ、いろんな意味で」
 そうすると、矢島が並んでいた列の周りが動き始めた。
 「おっ、そろそろ列が動き始めるようだ。同士矢島よ初めてならしょうがない我輩が同人購入
  とはどのような物かレクチャーしようぞ」
 と言って矢島の腕をガッチリとホールドして一緒に動き出した。それはまるで刑事が犯人を
 連行するかのように。
 「止めろ、俺は早く目的の物を買って、あのド外道からあかりさんを取り戻すんだ〜〜」
 と騒ぎ喚いている矢島の叫びなんか聞く耳などもたん感じで大志は矢島を引きずるように会場
 内に消えていった。



 場所は変わって、ここはこみパ会場内である。
 「はぁはぁはぁはぁ、やっと振り切った。あんな変人なんかと一緒に行動したくないわ」
 そう矢島は、入場時の混乱に乗じて大志の腕を振りほどき、執拗な大志の追跡から逃れて
 いたのである。
 「ここはどこだ、同じような机が続いているが」
 まぁ、初めての矢島には同じに見えても仕方がない。ここは各同人サークルが同人誌、同人
 グッズ同人CDを売ってるスペースの集まりがいっぱいあるところなので初心者が見たらそ
 う感じるであろう。ちなみに作者が初めて行った同人即売会は東京文具会館でのエ○ドラ○
 系の同人即売会である。
 「さて、千堂かずきのサークルはブラザー2だから・・・・」
 そう言うと矢島は、バックから因縁深いあのカタログを取り出した。
 「二度と見たくは無かったが仕方がない」
 とカタログを開き、サークル配置図を見た。
 「現在地がここだから、ブラザー2はと、ゲッ、反対方向の壁際じゃねーか」
 そうなのである。大志から逃げ出すためがむしゃら行動した為、ブラザー2の場所とは反対の
 方向に行ってしまったのである
 「しゃーない、最短距離はっと」
 と、矢島はブラザー2の場所までの最短距離をMAPで確認していると。
 「さぁいらはい、いらはい。うちの新刊こうてや〜〜〜〜〜」
 近くから威勢の良く、関西弁のかわいらしい声が聞こえた。
 「なんだ、あの威勢のいい声は」
 そう矢島が、声の方向に向くと。
 「そこの、かっこええあんちゃん。うちの本こうてや」
 「えっ、俺」
 そこのサークルには「辛味亭」と書かれた垂れ幕の下に眼鏡をかけた八重歯がかわいい少女が
 いた。そして彼は呼ばれた方向に向かった
 「なんですか」
 「あんちゃん、冷やかしでもええからうちの同人誌見とってや」
 矢島は、その少女のサークルのテーブルに置いてあった本手に取った。その本のタイトルは

「逝」

 と言うDARCNEES ALBUMとか言うゲームの本だった。そして矢島は試しにその本を
 呼んでみた。

  逝鬼 「うらぁぁぁぁぁ、こぉぉぉぉの浮気者。今度は誰と寝たぁぁ」
  魅咲 「逝鬼ちゃんあなたを殺します」
  魔拿 「ふっ、逝鬼お姉ちゃんを狩ってあげるよ」

 『なんだこりゃ、全然話しがわからん。どう答えりゃいいんだ』
 矢島の意見はごもっとも。何せ彼女が見せた本はゲームのオマージュ本でゲームをやった人間
 だけが分かるネタのオンパレードなので「自称」さわやかスポーツマンの矢島にはオタクがや
 るようなゲームをするわけがないしね。
 「どうや、おもろかったか」
 矢島は感想に困ってとんでもないセリフを放ったのである。
 「あのぉ、すいません俺このゲームやったこと無いんですけど」
 そう言うと、かわいかった顔が見る見るうちに「羅刹」のような顔に変わっていった。
 「なんやて、おのれは。こんな傑作ゲームやっとらんのか」
 「はい、基本的にオタクのやるようなゲームはまったく」
 このことが、彼女の怒りのブーストにスパイラルまでかましてしまった事を矢島は知らない。
 「あんた、オタクバカにしとるやろ。そうや、そうに決まってる」
 矢島は関西の少女の急な怒りぶりにビビっていた。
 「この猪名川由宇があんたの腐った根性叩き直してやる」
 そう言うと、由宇はサークルの奥にあった箱から自分愛用に特注したハリセンを取り出し。矢島
 に向かってきた
 「この『チタン製』のハリセンであんたの性根叩き直してやる」
 「ちょっと待て、そんなもんで叩かれたら死んじまう」
 「問答無用や、往生せいや〜〜〜」
 由宇は、チタン製ハリセンを矢島に向かって振り落とした、そのハリセンは矢島の頭に見事に
 ジャストヒットぉぉぉぉぉぉ。
 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 矢島の頭が普通ならめり込み、即死するところだが矢島の頭は幸か不幸か日頃から「悲惨」な
 目に遭って体が「頑丈」になっていたおかげで死にはしなかった
 「死ななかったか、こんどは、思いっ切りいくでぇぇぇぇぇ」
 「はわわわ、冗談だねぇ。こんな所にいたら殺される」
 そして矢島は速攻で逃げ出した。
 「待て、逃げるんやない」
 そう由宇が言った時にはすでに矢島は姿を消していた。
 「あの男、今度あったらただじゃおかんで」
 と由宇は思いっ切り悔しがっていた。


中編に続く