矢島悲劇・周りは喜劇  悲(喜)劇その2 後編 投稿者:吉兼 言 投稿日:4月19日(水)10時58分
 「やっとだ、やっと千堂かずきのサークルに付く。これであかりさんを鬼畜野郎から取り戻せる」
 あの「詠美ちゃんさまの下僕達」に連行された矢島は文字通り「袋」にされたあげく、近くの壁
 際に捨てられたのだったが、そこが「ブラザー2」のすぐ近くだったので。悲惨な目に遭いなが
 らも、目的地に到着したのであった。
 「ここに並べば、あかりさんのご所望の本がぁぁぁぁぁ」
 その前には「縦王子鶴彦」と「横蔵院蔕麿」がいることを気付いていない矢島であった。
 そしてテーブルの向こうには、若い二人の男女が売り子をしていた。
 「はい2冊で2000円ですね、ありがとう御座いました」
 「よかったでござるよ」
 「次の方は、どうぞ」
 「やっとあと一人であかりさんのぉぉぉぉぉぉ」
 「2冊で2000円です、ありがとう御座いました」
 「間に合ったんだな」
 前の客であるオタク縦&横が去った後、矢島がテーブルに向かったその時。
 「すいません、完売です」
 その言葉と一緒に、売り子の男は「完売」と書いたスケッチブックをテーブルに置いた。その
 状況を理解出来なかった矢島は。
 「イ・マ・ナ・ン・テ・イ・ッ・タ・ン・デ・ス・カ」
 「いえ、完売って言ったんですけど。全部」
 「なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
 完売と言う言葉に矢島は信じられないと言う感じで売り子の男に詰め寄って襟をつかんで騒いだ
 「一冊ぐらい残っているんだろ出してくれよ、そうしないと俺の未来がぁぁぁぁぁぁ」
 「なにするんですか、お客さん」
 「なんとかしてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ」
 そんな売り子の男が困っている所に一緒に売り子をしていた女が話しに入ってきた。
 「無いものはないのよ、和樹私に任せて」
 「頼む、瑞希」
 「使いたくないけど源四郎おじいさん直伝、長瀬流交殺法滅殺技『聖爆』」
 瑞希がそう言うと、超高速での「下蹴り」が矢島の顎に命中し放射線状上に舞いながら、反対
 方向つまり、最初にいた方向に飛んでいった。
 「ど〜してこ〜なるの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
 矢島が飛んでいった後、瑞希は和樹に話しかけた。
 「もう、なんてマナーの悪い客なの。あれじゃオタク縦&横の方がずっとましよ」
 「もう少し気をつけないとな」
 「和樹が本気になれば「おじいさん直伝の技」であんな奴簡単に・・」
 「ストップ、瑞希。それやったら南さんに迷惑かかるし、こみパに参加禁止になったら
  どうするんだよ」
 「けどぉ」
 「まぁまぁ、瑞希そう怒るなよ。明日クリームパフェおごるからさぁ」
 「もうごまかして、けどそんな和樹が好きよ、私」
 こみパ会場でイチャイチャしてまくっている二人であった。もう勝手にしてくれ。


 で、瑞希に蹴り飛ばされた矢島はと言うと・・・・・・・・・・・
 「もう、あかりさんに合わせる顔がない」
 ととぼとぼ会場を彷徨っていた。そこにあのオタク縦&横が歩いているところを矢島は発見 
 した。
 「間に合って良かったんだな」
 「そうでござるなぁ」
 「他のサークルで時間がかかった分、危ういと思っていたんだなぁ」
 「後、数サークル残っていることだし、早く回るでござるよ」
 「そうなんだなぁ」
 二人の会話を見て、矢島は殺意に似た感情が沸々わいてくる事を感じた。
 『あいつらのせいで、俺はあかりさんに頼まれた本をぉぉぉ」
 全くの逆恨みなのであるが、あかりのことで頭がいっぱいでそれに気づいていなかった。
 そして矢島はとんでもない事を思いついた。
 『こいつらの持っている、同人誌を奪って。それをあかりさんに渡せば』
 これは完璧な「窃盗」なのだが、今の矢島にはそんなこと関係なかった、もうあかりと自分
 の未来は良ければそれでいいとまで考えていた。追いつめられた人間にはそんな事考える余
 裕など無かった。
 『チャンスは一度だけだ、チャンスを見て』
 矢島は二人を尾行し、チャンスをうかがっていた。そしてチャンスが来た。二人が、立ち止
 まったその瞬間。
 「その本、俺とあかりさんの幸せの為にいただく」
 矢島はオタク横を目掛けて走った、そしてオタク横が手に持っていた、「千堂かずき」の本
 を奪ってそのまま逃走した。
 「本がとられたんだなぁ」
 「待つでござるよ」
 「待てと言って待ってられるかぁぁぁぁぁ」
 矢島は逃げた、しかし悪いことをしてそのままではすまないとは世の中の常である。矢島は
 前方をよく見なかった為、「ある人」にぶつかったのだ。
 「いってぇ」
 「なんですかぁ」
 ぶつかった人は、こみパの運営会社の社員さんだった。
 「南殿、そいつは泥棒でござるよぉぉぉぉぉぉ」
 「そうなんだなぁ」
 「やばい、逃げなきゃ」
 そんなオタク縦の声に周りのお客やサークル参加者達が聞き集まってきたお客達が矢島を取り
 押さえようと行動を始めた。
 「逃がすかぁ」
 そうしたら周りの客が矢島を取り押さえた。
 「離せぇ、離せぇ、俺の明るい未来がぁぁぁぁぁぁ
 そう騒いでいる所に「大志」「由宇」「彩&芹香」「セバスチャン」「詠美」「和樹&瑞希」
 がやってきたのである。
 「我輩から逃げ出した愚か者ではないか、どうしたのだ」
 「なんや、オタクをバカにした男やないか」
 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
 「私達の本をつまらないと言った人です、と御二方おっしゃっています」
 「あ〜、ぬらりひょん」
 「「マナーの悪い客」」
 「「「「「「「「えっ」」」」」」」」
 それぞれが、それぞれ矢島に会っているのに一切気づいていなかった様であった。その後
 矢島が「窃盗」をした事を周りから聞いたのである。
 「こいつ同人参加者の風上にもおけん奴や」
 「「最低です」」
 「この詠美ちゃん様の名前も知らないのがちょ〜むかつく」
 「それは関係ないぞ詠美」
 「この愚か者ぉ、その腐った根性叩き直してやるわぁぁ」
 それぞれが話しているなか、南さんはまだ自体を把握していないらしくぽけーとしていた。
 「あらあら、みなさぁんどうしたんですか」
 「牧やん、どうしたもこうしたもないわ」
 「こいつ、同人誌泥棒なんですよ」
 それでやっと南さんも状況は把握したらしく。
 「あらまぁ、万引きさんですかぁ。万引きさんには」
 押さえつけられた矢島を見て、普段のにっこりフェイスな南さんが一言。
 「そんな悪い人は『会議室』おくりです」
 「「「「なんだって〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」」」
 「それはやりすぎですぞ、牧村女史」
 「そうや、こいつ廃人になっちまうわ」
 「・・・・・・・・・・」
 「それは非道すぎると、彩さまがおっしゃっております」
 「ふみゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
 大志、由宇、彩、詠美の尋常では無い狼狽ぶりにいぶがしがる和樹と瑞希である。
 「それでは『退場マン』おねがいします」
 そうすると、どこからともなく筋肉マッチョの兄ちゃん二人が現れた。その姿はどういう風に
 見ても「超兄○」に出てくる「アドン」「サムソン」のコスプレをしているかのようであった。
 「「南女史、お任せを」」
 そう言うと退場マンの二人は矢島を羽交い締めにして、西館の方向に向かっていった。
 「なにするんだよぉぉぉぉぉぉぉ」
 「だまれ!」
 「貴様は、ここでやってはならないことをした。だが警察に出さない代わり『会議室』で
  しっかり反省してもらうぞ」
 「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、俺はあかりさんの所に行くんだぁぁぁぁぁぁ」
 矢島は西館の方に消えていった後、和樹は大志に「会議室」の事を聞いてみた。
 「大志、いったい『会議室』ってなんなんだよ、それに何でみんなそこまで狼狽すること
  なのか」
 「あたりまえだ、同士よおまえはこみパに来てまだ日が浅いからしらんと思うが『会議室』
  とは別名『拷問室』と言ってな、こみパで犯罪を犯した参加者を警察に引き渡さない代
  わりに、有りとあらゆる「拷問」を執りおこない反省させる所なのだ」
 「なんだって」
 「そうや、うちも一回だけ行きかけた事があったんやけど。あの部屋を見たらあそこだけは
  行きたくないと思うんや」
 「あの由宇までそこまで恐怖する、『会議室』って・・・・・・・・・・」
 会議室の恐ろしさを聞かされた和樹はただ茫然自失するしかなかった。


 それから、こみパで矢島の姿を見た者は一人もいなかったと言う。


 こみパ終了後新宿の居酒屋にて
 「乾杯ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい」
 「こみパ終了おつかれさまぁぁ」
 こみパが終わってこみパ御一行様と芹香&セバスチャンが打ち上げをしている時。

 ガラガラガラ

 「和樹さんご苦労さんです」
 「浩之、よくきたなぁ」
 「あかりちゃんもいらっしゃい」
 「瑞希さん、今晩わ」
 「すいません、今日は急な用事が出来ちゃってこみパ行けなくて」
 「いいよいいよ、急用なら仕方無いし」
 「あっ、来栖川先輩も今日はどうでしたか」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 「今日は約一人、良くないお客が来ましたがそれ以外は楽しかったですって、私も
  行きたかったなぁ」
 「浩之、今日行けなかったおまえ達の為に『置き引き』しといた俺の同人誌だ」
 「ありがとう御座います、和樹さん」
 「そういや、これってあの『バカ』に頼んでなかったけ」
 「あっ、忘れてた、てへ」
 「このぉ、ういい奴だ」
 そんなこんなで打ち上げ会は夜が更けるまで楽しく行われていたのであった。

 Cast(50音順)
  猪名川由宇
  横蔵院蔕麿
  神岸あかり
  九品仏大志
  来栖川芹香
  縦王子鶴彦
  セバスチャン長瀬
  千堂和樹
  高瀬瑞希
  長谷部 彩
  藤田浩之

  矢島
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矢島悲劇の第二弾が出来ました。今回はリアルこみパ開催を祝して矢島には「悲惨」な
目に遭っていただきました。やっぱり矢島ネタだと色々ネタが浮かんでくる。今後の矢島
悲劇のプロットを他の友人に話したら「どんどん悲惨になっていくなぁ」と言われました。

りーふ図書館古参作家の久々野様のお言葉ありがとう御座います。確かに私の矢島イジメは
MIOさまよりも闘魂さんのようなフォーマットで作っております。私の場合結構時事ネタ
や自己ネタを織り交ぜて作る傾向が強いです。最後にMIO様、私もあなたを矢島イジメの
師匠と呼ばせて下さい。

こんどの矢島悲劇はとりあえず「まじ☆アン」ネタを使おうかなと思うので本編のゲーム
をプレイ後キャラクター達の行動パターンが分かり次第UPしようかなぁと思います。


                                  吉兼 言

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