箱入り○○・返品不可 投稿者: 八塚崇乃
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               くまさんに捧げます。

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「ああ、平和だ……」
 青空。雲一つない青空。
 太陽の光を浴びながら、そんなことを呟いてしまうような、穏やかな午後。
 俺は縁側で川崎とキルシュと3人で茶を啜っていた。
――ピーンポーン
 おや? 誰か来たみたいだ。
「キルシュ。行ってきて」
「んもぅ。しょうがないわね」
――タッタッタッ……
 キルシュが玄関まで行くのをじーっと見た後、俺は再びお茶を啜る。
――ズズーッ
「平和だなあ」
「ああ、平和だな」
 隣にいる川崎も同じように呟く。
 おもわず俺は苦笑する。と、
「ねえ、宅急便だって。印鑑ある?」
 玄関からキルシュが声を掛けてくる。
「ああ。ちょっと待ってくれ」


「はい、印鑑」
 わざわざ印鑑を玄関まで持って来た俺。
 なんのため? 決まってるじゃないか。
 暇だから。
「あ、ここに」
 宅急便の人が俺に受取証明書を見せ、印鑑を押す所を指差す。
「はい」
 ポン、と押す。
「ん」
 その一連の動作を確認した宅急便の人は、なぜか玄関を出た。
「………………」
「………………」
「……荷物は?」
 とりあえずキルシュに聞く俺。
「ええと、量が多いから今からここに運ぶんだって」


「で、なんなんだ? これは?」
 ……聞くな。聞かないでくれ川崎。
 俺の目の前には大小様々な箱があった。
 そしてその中には……
「ここはくまさまの家ですか?」
「………………」(にこっ)
「ぶはあああああぁぁぁぁぁぁっ!! 死ぬかと思ったわい」
「さ、寒いぃぃぃいいいいいぃぃいいぃ……」
「おはようございます、くまさん川崎さんキルシュさん」
「「「おはようございます」」」
「梓せんぱ〜〜〜〜〜い!!(はぁと) ……あれ?」
 首だけなセリオ。
 微笑んでる月島瑠璃子ちゃん。
 真空パックなセバスのじじい。
 クール便な矢島。
 そんな矢島よりもっとクールな篠塚弥生。
 なぜか3人になってる偽善者千鶴。
 場違いな日吉かおり。
「………………」
「………………」
「………………」
 とりあえずコイツらの入っている箱の装丁を見てみる。
「………………」
「………………」
「………………」
 ……河島運輸。
「………………」
「………………」
「………………」
 今度は発送元を見てみる。
「………………」
「………………」
「………………」
 ……緒方英二と……八塚崇乃。
「………………」
「………………」
「………………」
「ここはくまさまの家ですか?」
「………………」(にこっ)
「おい小僧。茶くらい出さんかい」
「さ、寒いぃぃぃいいいいいぃぃいいぃ……」
「………………」
「「「あ、料理でも作りましょうか?」」」
「ねえ、梓せんぱいどこなのよ〜〜〜」
「………………」
「………………」
「………………」


  ≪終われ≫


                                98/12/05
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≪アトガキ≫
 八塚「ごめんねくまさん」
 刹那「リベンジで書いてくれるなら、【箱入り○○・強制送還】ってタイトルにしてくださいとのことです」
 姫崎「(深々・謝)」