真っ赤な華は矢島の思い 投稿者: 山岡
「なあ矢島。犬の話なんだが・・・」
「犬!?藤田、犬がどうしたって!?」
瞬時に反応する矢島。
矢島は犬が好きだ。
失恋による心の隙間を「アカリ」と名付けた一匹の犬によって埋めていたらしい。つくづく人ととして何か足りないへっぽこ野郎である。
「・・・本人の前で言うか・・・?」
おや。どうやら口に出ていたらしい。まあいいか。矢島だし。
「・・・」
泣いている。また聞こえたか。
「・・・で、犬がどうした・・・?」
「ああ、そうそう。実は犬を飼いだしたんだ。で、困ってる事がいくつかあってな。」
「へえ、お前にも犬の良さが分かるような感性、あったのか。」
矢島のくせに人を馬鹿にするとは・・・
「で、困ってることって?」
人を見下ろして矢島が言う。矢島のくせに生意気だ。
「犬って風呂、嫌がるよなぁ。風呂場に連れて行こうとすると照れて暴れるんだよな。どうにか馴れないもんか。」
「へえ、「照れて」か。藤田もけっこう乙女チックな事言うんだな。」
さすが矢島。「乙女チック」とは、言う事も常人と違う。
「ま、体洗ってる間におとなしくなっていって、最後にゃ甘えた泣き声だすんだけどな。」
「へぇ、そりゃめずらしい犬・・・」
と、急に口をつぐむ矢島。
「藤田・・・本当に犬の話か?」
ちっ、勘のいい野郎だぜ。
「あと、夜鳴きがひどいんだ」
「おい!人の話聞いてんのか!?」
「毎晩毎晩近所迷惑なことにでけえ声で鳴くんだよなぁ」
「だから・・・」
「ベットの中で」
ぴくっ。矢島が凍る。
「・・・おい藤田・・・その犬・・・名前・・・何ていうんだ・・・?」
オレは最高の笑顔を矢島に向け、言った。
「あ・か・り」
泣きながら走り去る矢島の散らした鼻血がまるで華のようだった・・・

次の日の、志保ちゃんニュースは、「狂気!!犬と一緒に布団へゴーの矢島」だったのはまた別の話である。めでたしめでたし。
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やっと二作目の山岡です!
感想くださった方々、本当にありがとうございます!
二作目も駄作ですが、是非感想をお願いします!
とりあえずこれからもハッピーエンドな物語を頑張って書きたいと思います。(矢島中心で)
ではこの辺で・・・