鶴来屋ファイト98 その5<前編> 投稿者:結城 光(紫音)
<前回までのあらすじ(らしきもの)>
謎の敵の襲撃(というより楓と初音)によって大破した鶴来屋。
耕一は敵の圧倒的強さに苦戦し、それ以上にダーク初音ちゃんに苦戦した。
この戦い(ドタバタ)で千鶴と初音が再起不能(?)になってしまう・・・。
もはや鶴来屋には楓しか戦力が残っていない。
(一部ではそれだけで十分という噂も・・・。)
お先真っ暗な鶴来屋新・会長耕一
しかし、ついに梓が長きにわたる沈黙を破り合宿から帰ってきた・・・。

第6話『カシワギとクルスガワ(5月5日)<前編>』

春の暖かい日差しが気持ちいい5月・・・。
今はゴールデンウィーク真っ最中である。
ここ、隆山温泉にもたくさんの観光客が訪れている。
そんな観光客にまじって一人の少女が駅から出で来た。
「・・・ふぅ・・・やっと帰ってきた・・・。」
健康的な少女でどうやら部活動の帰りのようだ・・・。
「んん〜ん・・・疲れた・・・・・・。」
大きく背伸びをする。
「今日がゴールデンウィーク唯一の休み(出番)かぁ・・・耕一達どうしてるかな?」
・・・何も知らない不幸な少女・・・梓。
「どうせみんな鶴来屋にいるだろうからよっていくか・・・。」
「・・・そうですね・・・センパイ。」
「っ!!!!!!!!!!」
振り向く梓。
荷物に後輩のかおりが引っ付いていた。
「なっ!なんでああんたが・・・!!」
「・・・センパイの行くところ、常に私はいます・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
それよりも電車賃はどうしたのだろう・・・。
「・・・センパイ。早く家族の人に私達のこと認めてもらいましょう・・・」
「だぁぁぁぁっ!!かおりっ!!」
慌ててかおりの後を追っていく梓。
いつになく冷静なかおりに戸惑いながらも
梓はとことこ歩いていくかおりの後を追いかけていった。
しかし彼女たちは・・・・・(以下省略)

「・・・・・・・・・・。」
「・・・ずいぶんと情緒のある旅館ですね・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・ところでセンパイ、あの入り口はどうやって入れば・・・?」
鶴来屋の入り口は巨大な大理石によって大破していた。(初音のせい)
それだけではない。
5月5日なのに墜落している巨大なこいのぼり。(千鶴のせい)
大衆劇場は跡形も無く吹き飛んでいる。(楓のせい)
そして所々が壊れている鶴来屋本館。(楓&初音のせい)
無論、生存反応はほとんどない。
従業員もほとんど入院してしまったからだ。(初音のせい)
「・・・誰が?いったい誰がこんなことをっ!!」
「・・・身内の人じゃないんですか・・・?」
「っ!!そんなわけないだろっ!!」
「そうですよね。まさか自分の旅館をここまで壊すなんてこと、ありえませんよね・・・。」
事実、あったのである。
「・・・そうだっ!!耕一は!!耕一のとこにいけば何かがっ!!」
会長室(といってもまだ千鶴の部屋)へと向かう梓。
かおりも梓におんぶされていっしょに向かった。
・・・って2人はいつのまにそんな仲に!?

「・・・ふぅ・・・・・・はぁ・・・。」
俺は本当にため息しか出なかった・・・。
「・・・どうすりゃいいんだ・・・いったい?」
鶴来屋の大破。
従業員の大量入院。
千鶴さんは何故か再起不能状態。
初音ちゃんは薬の副作用で療養中。
足立さんは急性胃潰瘍で緊急入院。
楓ちゃんは俺の腕にだっ○ちゃん人形のようにしがみついている・・・。
敏腕の経営者もはだしで逃げるような状況である・・・。
「・・・耕一さん・・・。」
ふいに、楓ちゃんが話し掛けてくる。
「・・・どうしたの?」
「わたし、幸せです・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・耕一さんは幸せじゃないんですか?」
いや、こんな状況でいわれても・・・。(汗)
ドターーンッ!!
ふいに会長室のドアが蹴破られた!!
「耕一っ!!これは一体どおいう事だぁ!!」
オイオイ梓・・・ドア蹴破るなよ・・・。
「・・・梓姉さん・・・かおりさんと新婚旅行に行ってたんじゃ・・・。」
幸せを邪魔された楓ちゃんはいつになく不機嫌そうな顔をする。
「そうそう!!2泊3日のハネムーンは・・・ってなに言わせんだぁ!!」
「楓さん、今日から私のこと『かおりお姉さん』とよんでね。」
「はい・・・かおりお姉さん・・・。」
「・・・って私のいないところで話を進めるなあっ!!」
お前も話に交ざっていれば進めてもいいのか?梓!?
楓の巧みな話術によっていつの間にやら話題がそれていった。

「・・・かくかくしかじかで・・・。」
「ふんふん。それでかくかくうまうまに・・・。」
「・・・ああ、そう言うわけでああなって・・・。」
「ええっーーっ!!それでこうなったのーっ!!」
「・・・耕一さん、梓姉さん、かくかく言ってても話は伝わらないですよ・・・。」
「・・・わかってるよ・・・。」
「・・・アタシも・・・。」
とりあえず言いたいことはエルクゥの力で伝えた。(いいかげん)
「そうだったんだ・・・大変だったね耕一・・・。」
納得する梓。
「・・・それはお気の毒に・・・。」
もはや人事でなさそうなかおりちゃん。
ってちょっと待て!!
なんでエルクゥの意志の疎通をかおりちゃんが理解しているんだぁ!!
「・・・なぜでしょうね・・・耕一さん・・・?」
かおりちゃんがニヤリと笑って話し掛けてきた。
・・・今の考え事も聞いていたのか!?
・・・むやみやたらに考え事をしないほうがいいな・・・。
「・・・で、敵の心当たりは?」
梓が話し掛けてくる。
「・・・俺はないが・・・千鶴さんは山ほどあるかも・・・。」
「・・・そうかもね・・・。で、これからどうするの?」
「・・・俺にどうかしろっていうのか?」
「鶴来屋新・会長だろ。」
くそうっ!!どいつもこいつも会長って!!
実権は千鶴さんが握ってんだぞっ!!
「わかったよ・・・鶴来屋は、俺が建て直す!!」
「・・・経て直すの間違いじゃ・・・?」
すかさずツッコミをいれる楓ちゃん。
・・・さすがに俺は大工は出来ない。前例があるし。
「・・・それと敵もアンタが始末しろよ。」
「おいおい・・・それは・・・。」
「鶴来屋新・会長だろ。」
「・・・・・・・・・・。」
このアマッ!!いつかしばくっ!!
「・・・今、私達は敵が出向いてくるのを待つことしか出来ません。」
「そっか。楓は冷静だね・・・。」
「私は耕一さんさえいれば何もいりません。」
「・・・アタシは・・・?」
「・・・・・・・・・・。」
ニヤリと笑う楓ちゃん。
・・・・・・・・・・。
とにかく『鶴来屋再建も敵の始末もすべて会長がとりおこなう』
ということで柏木家家族会議は一応の閉会となった。

同刻、鶴来屋の前に3つの人影があった・・・。
「・・・ちょっとやりすぎたかもね・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「え?このくらい当然?姉さん・・・恐いこと言うわね・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「ずいぶんと乗り気ね、姉さん。」
「・・・・・・・・・・。」
「あ・・・ちょっとそれは訳せないなぁ・・・。(汗)」
「・・・・・・・・・・。」
「だから・・・だめだって・・・そんな事言っちゃあ・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
一つの人影がとことこ歩いていく。
「あっ!!ちょっと!!姉さん!!それは法に触れるって!!」
どうやらヤバイ事をするようである。
しかしこのような会話も幾多の修羅場を潜り抜けてきた
鶴来屋の前ではほんの些細なことであった・・・。

「・・・あ、敵・・・来ました・・・。」
楓ちゃんが言う。
楓ちゃんは鶴来屋のメインコンピューターと直接リンクしている。(!?)
そのため鶴来屋内の異変はすぐに察知する。
「なにっ!!もうきたのかっ!!」
驚く梓。
「ゴールデンウィーク中にTHキャラは殆ど出すっていってたからな。」
自分でもよく分からないことを言う俺。
「・・・とりあえず、電撃食らわします。」
楓ちゃんがいつもどおりに問題発言をする。
そんなのあるなら昨日も使えよ・・・。
「・・・ポチッとな・・・。」

ビビビビビビビビビビビビビビビッッッ!!!
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「長瀬さんっ!!」
「セバス・・・チャンです・・・綾香様・・・。」
「・・・こんな時に・・・言わなくても・・・。」
執事らしき人が電撃に巻き込まれた。
「くううっ!!これもみんなお嬢様達のためっ!!」
「・・・・・・・・・・。」
「セバス・・・『あなたの死は無駄にしない』って・・・。」
「くううっっっ!!ありがたい言葉っ!!セバスは・・・セバスは・・・っ!!」
そんな言葉を無視して2人は歩いていった・・・。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
鶴来屋に悲痛な叫びが響き渡った。

「・・・なかなか死にません・・・電流アップしますか・・・?」
「・・・いいよ・・・もう・・・。」
さすがに止めさせる。
「残りの2人が上がってきますが・・・攻撃しましょうか?」
「・・・・・・いや・・・直接あうよ。」
もし、敵じゃなかったらどうするんだ?
「ところで梓たちは?」
「・・・迎撃に向かいました。」
なにっ!!
行ってる側からアイツらはあっ!!
ってなんでかおりちゃんも行くんだ!?
「・・・ふふ・・・到底かなわないのも知らずに・・・。」
・・・そのまえに、この娘ほんとに楓ちゃんかぁ!!

一段一段階段を上っていく芹香達。
ふと足が止まる。
「ここから先は一歩も通さないよっ!!」
中ボスよろしくなセリフをはいてしまう梓。
「・・・どうして2人の幸せを奪うの・・・何がいけないの・・・。」
何故かかおりもいっしょである。
「・・・そこを退きなさい・・・私達は鶴来屋会長に会わなくてはいけないの・・・。」
「・・・嫌だといったら・・・?」
「・・・ふっ、そうね・・・その時は・・・。」
構えを取る綾香。
「そうだね・・・アタシも回りくどいことはキライだからね・・・。」
同じく構えをとる梓。
「アタシをぶっ倒してから通りなっ!!」
「のぞむところよっ!!」
「さあっ!!こいっ!!」
格闘漫画よろしくな展開になってしまった。

そのころ会長室では・・・。
「・・・どっちが勝つと思います・・・?」
「うーん・・・梓・・・といいたいけどもう一人の敵が気になるなぁ・・・。」
「・・・かおりさんの活躍次第ですね・・・。」
「活躍・・・出来るの?」
耕一と楓はゆっくりとお茶を飲んでいた。

そのころ柏木家では・・・。
「うーん、うーん、糸がぁ・・・白い糸がぁ・・・。」
「・・・楓ぇ・・・だめだってばぁ・・そんなにきつくしたらぁ・・・。」
初音と千鶴はうなされて(?)寝込んでいた・・・。

ここで後半に続けていいのかなぁ?

<次回予告>
「くっ!!あんたたちは一体・・・!?」
「『クルスガワを継ぐもの』とでも言っておきましょうか。」
「逃げろっ!!耕一っ!!」
「・・・耕一さん・・・あなたは柏木家代表です・・・。」
「だめぇ!!おにいちゃん!!」
「耕一さん!!『真の偽善』の力をっ!!」
「ところでお好み焼きには醤油とソース、どっちをつける?」
「俺は断然マヨネーズだな・・・。」
次回、鶴来屋ファイト98
『戦いの果てに・・・(5月5日)<後編>』
『皆さんは何をつけます?(笑)』