鶴来屋ファイト98 その4<前編> 投稿者:結城 光(紫音)  投稿日:03月24日(火)19時10分04秒

<前回までのあらすじ>
とにかく鶴来屋新・会長の柏木耕一。
前回も『王道オチ』の前に屈してしまった。
しかしこのままでは話のマンネリ化は確実である。
かといってもうシリアスにもっていくことは出来ない・・・。
周りのSSがシリアスやパロやダークな中、逆走してしまっている作者。
中途半端な不条理ギャグSSを書くがゆえに苦しむ・・・。
そして、『自虐の唄』が彼の胸を突き刺す・・・。
「・・・って話の説明してないぞ・・・。」

第四話『異種格闘技タイトルマッチ戦(5月4日)<前編>』

・・・ここは隆山温泉最強の宿『鶴来屋』
つはものどもの夢の痕である・・・。
今、そこの前に5人の人影がたっていた・・・。
「みんな・・・用意はええな・・・?」
リーダー(?)らしき人物が言う。
「・・・・はい・・・。」(×2)
「・・・エモノ・・・。」
「・・・食べ物・・・。」
皆、それぞれに返事をする。
「・・・いくで・・・。」
その5人は鶴来屋の中に入って行こうとした・・・。
「・・・あれ・・・みんなどうしたの?」
しかし偶然にも(不幸にも)通りかかった雅史が呼び止める。
「!」
「!」
「!」
「・・エモノ・・」
「・・食べ物・・」
驚く3人。(2人は例外)
「・・・え・・どうしたのみんな・・うわっ!!ちょっと!!」
突如、雅史は5人に囲まれた!!
「みっ!!みんなっ!!やめてっ!!僕の貞操は浩之のためにっ・・・!!」
(ドカッ!!バキッ!!グシャ!!ドムッ!!)
くだらないことを言ってるうちに雅史は袋叩きにあった・・・。
すまない雅史・・・。作者は別に君が嫌いなわけじゃないんだ!!
「・・・浩之・・・ごめん・・・。」
雅史は散った。
享年1998年5月5日・・・。
「・・ふふふ・・僕は死なないよ・・目的を果たすまでは・・・。」

「ごめんなさいっ!!ホントーにごめんなさいっ!!」
ここは鶴来屋の来客室。
俺は土下座していた。
「・・・いえ・・わたしは頑丈ですから平気ですぅ。」
少女は別に怒ってはいなかった。
だが俺はむしろ千鶴さんが恐かった・・・。
会長が客に怪我させたとあっちゃあ鶴来屋の面子丸つぶれ!!
俺はそっと千鶴さんの顔色をうかがう。
「・・・・・・・・・・。」
ひっ!!目が据わってるぅ−−っ!!
死ぬ!!殺されるぞ俺!!
「・・・姉さんが悪いのよ・・・。」
(復活した)楓ちゃんが毒を吐く。
「・・・・・・・。(ジロッ)」
千鶴さんが楓ちゃんを睨む。
「・・・・・・・。(ジロッ)」
楓ちゃんも睨み返す。
こっ!!このままではここがまた修羅場と化してしまう!!
「・・・・・・・。」(マルチ達)
部屋に沈黙が訪れる・・・。
「・・・・・・・ふふ。」
「・・・ふ・・・・ふふ。」
急に二人とも笑い出す。
「ふふ・・・表に出なさい!!楓!!」
「望むこところよ!!姉さん!!」
うわぁ!!始まった!!
「・・・あの・・・わたしが原因なら止めて下さい!!」
少女(マルチ)が叫ぶ。
「・・いえ・・お嬢ちゃん。私達は決着を付けないといけないの・・・。」
「・・・そう。勝者は一人しかいらない・・・。」
・・・2人とも戦いの衝動に酔ってるぞ!!
事態が泥沼化しようとしていた時、
従業員の一人が来客室に駆け込んできた。

「たっ!!たいへんですっ!!ホサ!!」
ホサとは『会長代行補佐心得見習い』通称『ホサ』
つまり俺のことだ。(どっかのパクリ)
「どうしたっ!!従業員A!!」
「何者かが鶴来屋に潜入して破壊活動を行っています!!」
「なにっ!!」
「どうしましょう!!」
「・・・どうしましょうって・・・警察呼んだ方が・・・。」
「いけません!!」
急に千鶴さんが話に割り込んできた。
「耕一さん!!『鶴来屋会長血の掟』その四を忘れたんですかっ!!」
「・・・なんだったっけ?」
『鶴来屋会長は事件が起きた時は大沙汰になる前に証拠隠滅しないといけない!!』
「・・・そんなのあったっけ?」
「第一話にありますっ!!」
「・・・そうか、俺は鶴来屋のために戦わなくてはいけないのか・・・。」
「そうですよっ!!耕一さん!!」
「・・・わかったよ、千鶴さん!!」
俺は今無性に燃えている!!鶴来屋のために俺は死ねるっ!!
「・・・で従業員A!!敵はどこだ!!」
「あの・・・・・。」
「何、心配するな・・・俺が始末してやる。」
「・・・侵入者は5人います。」
「なにぃーーっ!!」
「・・・それでは短時間で抹殺することは出来ませんね・・・。」
楓ちゃんが恐いことを言う。
「しょうがないわね。敵の詳しいデータを頂戴。」
まじめな顔をして千鶴さんが言う。
「はい・・・敵は5名・・・そのうち2人はホールで暴れていて、
  どうやら格闘家と超能力者のようです。」
げっ!!そんな奴等が相手なのか!?
「続けて。」
「後はそれぞれ単独で1人は厨房へ。もう一人は大衆劇場へ。
  最後の一人は弓を持って内部を移動中!!」
オイオイ。やばそうな奴等ばっかだぞ・・・(汗)。
「・・・・・。」
千鶴さんは少し考えて話を切り出した。
「こうなったら、『柏木家全員集合』作戦を使うしかないわね・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「私は大衆劇場へ行きます。楓は厨房に行って。」
「・・・・・俺は?」
「耕一さんはホールの敵を迎え撃って下さい。」
「おっ!!俺だけヤバイじゃないスか!!」
「・・・会長の宿命です・・・。」
クソ−−−−ッ!!なんで俺がぁ!!
「大丈夫。今、梓を呼んでいます・・・。」
そうか・・・とりあえず安心・・・
「って梓は部の遠征に行ってるんじゃないんスか!!」
「あはっ!!そうでしたっ!!てへっ。」
「・・・・・・・・・・。」
すまない、梓。また出番がない・・・。
「・・・ところでもう一人は?」
「・・・初音をぶつけます。」
「・・・まさかヤンキー初音ちゃんを・・・?」
「・・・いえ、もっとたちが悪いです。」
・・・もっとたちの悪い初音ちゃんって一体!?
「では・・・作戦開始!!」
千鶴さんの掛け声とともに2人が走り去っていく。
「くそーーっ!!」
俺も現場に向かった。
「・・・・・・・・・・。」
後にはマルチ達だけが残った。
・・・すまない。すっかり存在を忘れていた・・・。

「ひぃーーーっ!!いそがないとーーー!!」
初音ちゃんは千鶴さんに呼ばれて自転車に乗って鶴来屋に向かっていた。
「千鶴お姉ちゃん、急いできてって何の用なのかな?」
初音ちゃんはこの後起こる惨劇をまだ知る由もない・・・。
合掌。

俺は現場に着いた。
「こりゃ酷い・・・。」
辺りは廃虚と化している・・・。
(これはもう手後れかな・・・?)
そう考えている俺の目の前に2人の少女がいる。
(この子達がやったのか・・・?)
そう考えていた刹那!!
2人が襲い掛かってきた!!
ビューーッ!!
(速い!!)
一人の少女が一気に間合いを詰める!!
「クッ!!」
俺はかろうじて避ける!!
それを見計らったかのようにもう一人の少女が机を飛ばす!!
(じ・・時間差攻撃!!)
俺は机をまともに食らう!!
「グハッ!!」
・・・だが俺は倒れただけでダメージはそんなになかった。
鬼の力のおかげだ。
(だいじょうぶだ・・・行ける!!)
そう思った矢先!!
超能力少女が俺の真上に直径5メートルの大理石を浮かばせた!!
・・・って待ていっ!!
死んじまうわ!!
「・・・冷静に・・・話し合おう・・・?」
俺は持てる限りの偽善者スマイルを使って話し掛けた。
しかし超能力少女はニヤリと笑い何度も大理石を落とした!!
「っぎえぇぇぇぇーーーーーっっ!!」
まるで自分の足で何度もストンピングするように何度も叩き付けた。
・・俺の叫び声がホールにこだましていった・・・。

「あら?叫び声?」
そのころ千鶴は大衆劇場に向かっていた。
「耕一さん・・・所詮ここまでの男なの・・・?」
恐いことを言っている。
その時、大衆劇場からも叫び声が聞こえた。
「この声は・・・うちに来ている売れないお笑い芸人『○○○○』!!」
(ごめんなさい。都合により名前はいれれません!!)
「なぜ・・・彼らの悲鳴が・・・?」
千鶴は大衆劇場について唖然とした!!
「おらーっ!!おもしろうないっ!!」
バシッ!!
「ひぃーーっ!!かんにんしてなー!!」
眼鏡をかけた少女が芸人にハリセンでツッコンでいた!!
「・・・なっ!!何をしているの!?」
上ずった声で叫ぶ。
その少女が振り返り千鶴と目が合う。
その瞬間千鶴はすべてを理解した!!
(何という悲しい目・・・この目は笑いに飢えている目だわ!!)
(・・・そう・・こんな田舎には一流芸人はいない!!)
(それなら・・このわたしが最高のギャグを・・・!!)
・・・だんだんと千鶴の思考はずれていった。
そしてついに千鶴が口を開いた!!
「タマだけにたまたま・・・にゃんにゃん。」
その瞬間、すべてが凍り付いた・・・。
「・・・どうしたの?みんな?」

その頃、楓はお茶を飲んでいた。
先ほど倒した少女(理緒)の上に座っている・・・。
圧倒的実力(人気)<ごめんなさい>の差だった・・・。
お茶を飲みほした後ゆっくりと立ち上がる。
「・・・姉さんとの決着をつけに行かないと・・・。」
そのまま大衆劇場へと向かっていく。
後にはぼろぼろの少女だけが残った・・・。
「・・・うう、お腹が空いてただけだったのに・・・がくっ。」

「はあっ。はあっ。」
初音ちゃんはようやく鶴来屋に着いた。
「お姉ちゃん達は一体どこ・・・。」
ホールに入っていく。
「っおっ!!お兄ちゃん!!」
初音は唖然とする。
荒れ果てた中央ホール。
そこで耕一が大理石につぶされている。
「・・・お兄ちゃん・・・そんなに散らかすと・・怒られるよ・・・。」
完全に気が動転している。
そのときっ!!
ヒュゥゥーーッ!!
ブスッ!!
初音のすぐ横の壁に矢がささった!!
「・・・え・・・。」
ゆっくりと振り向くとそこには金髪の少女が弓を構えていた。
「・・・あ・・・う・・・。」
「は・・・初音ちゃん・・・。」
「・・・お兄ちゃん、私、お姉ちゃん探さないと・・・それじゃぁ!!」
ダッッッ!!
初音ちゃんは駆け出していく。
「初音ちゃぁー−−ん!!待ってー−−っ!!ぐわっ!!」
大理石でまたつぶされる耕一。
「・・・フフ・・・ニガサナイヨ・・・。」
金髪の少女は初音を追いかけていった・・・。
<後編に続く!!>

<次回予告>
いきなり大ピンチの柏木一族(梓、除く)
瀕死の耕一!!(よく死なないな・・・)
ギャグをすべってしまった千鶴!!
楓の野望!!
そして、初音の変身!!
敵の正体は一体なんなのか!?
すべてのなぞが一つに重なる時、
真の偽善が見えてくる!!(ほんとか?)
次回、鶴来屋ファイト98
『真実の初音(5月4日)』
『ついに初音まで壊してしまうのか・・・?』