我が心導け鬼畜 投稿者:ゆき
──我が心導け鬼畜──
            〜いっちにっ、いっちにっ、「仲間」を作ろ〜


「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!茶道部に入るぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
「いけないなぁ☆きみは科学部の部員だろ☆」
 今日もLeaf学園の一部では騒ぎが起こっていたりする。
「け、兼部したって良いじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「おいおい、そんなことしたらお前、科学部に来ないだろ?」
 場所は、まああと百メートルほどで茶道部と言うところである。ジン・ジャザムに首根っこひっ掴まれた
ゆきがじたばたと駄々っ子のように──いや、その通り駄々をこねている。
「どうでも良いんですけど、何でジン先輩がここにいるんですぅぅぅぅぅぅぅ??」
「お前がなかなか来ないから、じゃあここだと思ったまでだ」
 相変わらずパターン通りである。
「ええーーーーん、人権侵害だぁぁぁぁぁ」
「お前人間じゃないだろ──」
 ジンはそう言うと、涙流してじたばたするゆきから手を離した。どてっと情け無い音を立ててゆきは床に
しりもちをつく。
「──全く、ひなたんのやつだとあんなに格好いいのに、本性は所詮これかい」
 するとゆきは悔しげに上──ジン・ジャザムの方を向き、
「うう、でもでも、ひなたちゃんだって『怖い言葉遣いしても迫力ないですよ』って言ってますぅ!!」
「おまえにゃ雀の涙ほどのプライドも無いんかい」
 びしっとデコピン。
「そ、それを剥奪したのは先輩達じゃないですか!ほ、ほら、空くんなんてあそこまでへこんでるし!」
 ゆきがそう言いながら指さした先には、ぼこぼこにされて(へこむの意味が違うような/汗)その上ぐる
ぐる巻のうえ天井からぶら下がらされている空の姿があった。ついでに何故かナマケモノが抱きついていた
りする。まあ、それはいいとして。
「ああ、あれか。あれはな、空がマルチと話をしているのをマルチに手を出されたと勘違いしたセリスがや
ったものなんだよ」
「ご、誤解は解こうと思わないんですか?」
「楽しいからいい」
 いうまでもなく即答。
「そ、そんな酷い…」
 その即答に半ば恐れをなし、ぎこちなくゆきが笑みながらそう呟いたときだった!!(SE:ババン!)
「ふ・た・り・と・も!!」
 ジン・ジャザムの後ろから冷たい声が響いてきた。
 ……ジン・ジャザムが恐る恐る振り向くと(もうこの時点で既に顔が引きつっている)、そこには大方の
予想(というか事実?)通り、千鶴が千鶴としてそこに存在していた。
「廊下で騒ぐんじゃ…ありませぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!!」
 そして何故か懐(!)から超がつくほど巨大なハリセンを取り出し、叫びとともに2人を殴り飛ばした。
もちろん為す術もなく、2人は校舎の壁を突き破って空の彼方への片道切符しかない旅に出るのであった。
──合掌。
「今日の教訓☆廊下では騒がない!!……と──────」
 その更に後ろでは、冷めた調子で久々野がメモを取っていた。
「──────……出番、これだけだろうな…」


──で、それと同じ頃。
 学校でひょっとしたら唯一の安らげる場所かも知れない中庭のベンチでは。
 ぼーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーっと、七瀬彰が座っていた。
 相変わらずセンスがあるんだかないんだかよくわからない服装である。一応この学園の教師であるはずだ
が、ひょっとしたら藤井冬弥よりも目立っていないかも知れない。
 まあともかく、彼はそこでぼーー(以下略)っとしていた。
 しかし、だ。いつもなら彼はこのままぼーー(以下略)っとしていて時間を潰して終わりだったのかも知
れないが、こうやって表舞台に出た以上何かがあるわけで、だからこそ事はすぐに起こるのである。という
か、筆者の体力の都合上これ以上つまらなすぎる物事を一時間も二時間も考えていられないのだ。許してくれ。
 で、七瀬彰が何度目かのぼーー(以下略)を改めてやったとき、後ろの植木の中からいきなりぬっと精悍
な顔つきの男が湧いて出た。というか、発生した。
「うっ────?──わ、わわわ!!!!」
 いきなり男の顔が──それも後ろは茂みのような植え込みだというのに──自分の顔の横に突き出された
ので、七瀬は大慌てに慌てて、まるで某「しぇ〜〜」(古いな/汗)をするような大勢で仰け反った。
「そうそう、慌てるんじゃない」
 それを見た男の顔──いや、一応胴体もあるようだが──は呆れ顔でそう呟いた。
「そ、そ、そ、そ、そ、そ、そんなこと言ったってどう考えたっていきなり首が飛びだしてきたら驚くっ
て──────!!!」
 最早慌てに慌てて、元々壊れかけた日本語がまともにいわれていない。
 それを聞いた男は、ふん…。と鼻で嗤うと、颯爽と茂みの中から飛び出してベンチの上におり立った。勿
論平気で土足だ。
「それだからお前は目立たんのだ」
 そして、遠い目をしながらそう言う。
「はぁ……」
 七瀬彰は訳も分からずにそう相槌を打ちながら、しかし頭の中では冷や汗だらだらでいろいろと思案していた。
──ど、どうしよう?こ、この人なんかおかしい……。
──や、やっぱり逃げた方が良いかな…?
──で、でもなんか付きまとわれそう…。
──適当に相槌を打って…。
──で、都合を見計らって誰かに助けを求めようか…?
──うう、冬弥ぁ……美咲さぁん……助けてぇぇ。
「いいか、よく聞くんだぞ?」
 男はそう言うと、大袈裟に七瀬の方を振り向く。そして、念を押すように指を七瀬に突きつけた。
「は、はい……」
 どうやら徹底的に怯えているらしく、声を裏返らせる七瀬。銃を突きつけられたときのように両手をあ
げ、視線をその突きつけられた指に集中している。
──こ、この際だからはるかでもいいよぉ……。
 思考もそこまでヘコんでいたりする。もう涙目だ。
「今に始まったことではないというのは渋々と認めてやるが未だ改善されていないことがあるのをお前も知
っているだろう?徐々に荒んでいくリーフキャラ達だ。例を挙げればなかなか尽きないくらいある。柳川を
見よ、既にマッドなキ○レツだ。矢島を見よ。「〜っす」的な体育会系男だ。橋本を見よ。奴隷か薔薇か変
態だ。いやいや、男に限らず女性達もだ。雛山理緒を見よ。既に飢えた顎だ。宮内レミィを見よ。狩猟者ま
でならいざ知らず、今では出てきすらしない。出てきてもミヤウチ星人だ。それは姫川琴音もまた然り。ま
だ目を向けよ。ヒロイン達だ。月島瑠璃子を見よ。っていうか見れないぞ今では。柏木千鶴を見よ。最近じ
ゃめっきりセーラー服が板に付いた「ぴーーー!!!(自主規制)」だ。神岸あかりを見よ。今じゃ恋愛云
々を完全に無視して主役ばかり狙っている。ええと、あとはいないか?」
 饒舌に話す男を見ていて酷く圧倒されていた七瀬だが、最後の科白を聞くと流石に頬を引きつらせた。そ
して、目の笑っていない笑顔を浮かべ(しかも背後には燃えさかる獄炎)男に食いつかんばかりの勢いで叫ぶ。
「由綺ちゃんはどうしたんですかっ!!!!!!」
 すると男は矢張り仰々しく手を打ち、
「そうそう、そんなヤツもいたな。教師の癖にバイト」
 遠い目をしながらいう。しかも生気が感じられない声だ。
「と、ともかく!!!────」
 突っ込みを入れられたことで多少強気になった七瀬は、相手の主導権を何とか剥奪しようと声をあげた。
「──それは良いから、何だっていうんですかっ!!!!」
 しかし、言ってから──しまった!と──後悔する。再び発言権を受け渡してしまったのだ。
「よくぞ聞いた七瀬彰よ!!!!しかしその前にその敬語をやめろ。これからパートナーとなる俺にそんな
敬語は全く不要なのだ。さあ、さあさあさあさあさあさあ!!」
「け、敬語じゃなくて丁寧語だよっ!!」
 妙に興奮して話す男に怯えながらも気圧されないように声を大きくし、そして訂正する七瀬。しかし──
「──良く言ったぞ七瀬!!いや相棒よ!!これで俺達はパートナー同士だ!!」
 逆に相手を喜ばせる結果となってしまった。男はいきなり七瀬の手を取り、いわゆる熱血ポーズをして叫
ぶ。しかし何処か冷めた印象があるのを七瀬は感じずに入られなじゃった。
「か──勝手に決めるなぁぁぁ!!!」
「わはははははは!!!!いくぞ七瀬!!!!!詳しいことはあとで説明するからお前の印鑑を先に渡せぇ
ぇぇ!!!!いくぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
 しかし完全に七瀬を無視した男は、輝き空に飛んでいく流星達(ジン・ジャザムとゆき)の方に走り出し
た(勿論七瀬を抱きかかえて)。…いや、本当はもっと別の場所だが、偶然にもそうなったのだ。しかし演
出は一応して置いた方が良いかなーと筆者は思うのだよ、素人として!
 ──────────まあともかく……一つ書き置いておかなければいけないことがある…。
 今の科白を聞くものがあったのだ…。



「……で、道連れのリーフキャラは七瀬彰さんね」
 極めて事務的な調子でそう言った太田香奈子は、健やかに新入会員を名簿に付けることを命じた。健やか
は同情に満ちた瞳で七瀬彰の方を少し見、そしてすぐに名簿付けを始める。
 その一部始終を見ていながら、七瀬はここが何処であるかを考えていた。──敢えてしたかのように目立
たない部屋。無意味に暗い部屋(健やかが大変そうだ)、何故か葡萄の芳醇な香りが漂っている。そして部
屋にいるのは、香奈子、健やか、後ろの方に由紀、美和子、その更に奥の椅子に……Rune。…此処は…。
──暗躍生徒会ってヤツ、なのかな…?
 あの、暗躍なのに全然暗躍なんかしていないような気がするあまつさえ会室のドアに平仮名で「あんやく
せいとかい」とまで記してある、あの暗躍生徒会であるが実はそんな事実は何一つ無い──というか完全に
筆者のデマ──ので七瀬は噂に聞いていたものを少し思い出しただけだったりする。不幸にも大当たりだが。
(Rune「つまらない上に誤解を招くような発言はやめい」)
(ゆき「ど、どぎくぅぅぅぅぅ」)
「おいRune……。これで、少なくとも立場上はお前に追いついたぞ」
 七瀬の横にいた、今回の騒動の張本人が──先とはうって変わって重く低い声で──言った。
「…そうですね…タケダテルオさんの言うとおり、立場上は、ですが」
 Runeはそれを聞くと、皮肉たっぷりに答える。
「タケダテルオ?」
 2人の会話云々よりも、その名称に七瀬はあることを思い出した。
「タケダテルオって言うと、ここ最近学園を毎日意味もなく襲いに来る大群でしかも単なる雑魚敵のメタオ
達を統べているリーダーのタケダテルオさん?」
「う…。そ、そこまではっきりとしかも説明口調で事細かくではないにしろ言わなくても良いだろうに」
「相棒でしょ?ずけずけと心の中に進入してきてぼろぼろにしたって誰も文句が言えないなんて事は既に
僕は達観して知ってしまったんだ……」
 壊れかけた七瀬に思わず圧倒されるタケダテルオ。
「うんうん。早速いい調子じゃねえか」
 で、それを見て満足げに笑うRune。
「……まあ七瀬の壊れようはともかくだ。Rune、立場上は同格なんだから、さっきのような気持ちの悪
い丁寧語はよせ。憎まれ口の方がまだ感じがいい」
 タケダテルオに言われたRuneはくつくつと笑うと、そのまま頷いた。
「まあ、減るもんじゃねえし……」
 その言葉を聞いたタケダテルオは、少し愉快になった。
 七瀬は相変わらず苛められたハーティ○のように壊れていた。

 それから少しして、ようやく立ち直った七瀬は疑問を投げかけた。
「もう…おそらくここからは逃げられないから諦めるけど。それはともかくここって具体的に何をするとこ
ろなの?イマイチよくわからないんだけど」
 答えたのは右子・左子(古い)……じゃない、由紀と美和子だった。
「「いろいろと裏があるのはナイショだから言わないんだけどともかくある人を元気にしようと言うことで
滅茶苦茶な騒ぎ、特に悪質な悪戯をするところ。及びヒメカワ星人の生体の調査」」
「──簡単でしょ?」
 そして最後に、香奈子が言う。
 だがしかし、七瀬にとっては大いに問題のあることだったりする。
「そ、そんな!!そんなことしたら美咲さんに嫌われちゃうじゃないか!!」
 そう驚愕の叫びをあげ、そして相棒──タケダテルオを睨み付ける。もっとも、その迫力は…ゆきとどっ
こいどっこい程度のものでしかなかったが。
「…七瀬よ、よく聴くんだ…」
 すると、タケダテルオは芝居がかった調子で仕方なさそうに切り出した。
「……今お前達が生き残る道は一つしかない。溢れんばかりの存在感だ。しかしそれをえるためにはまず自
らを壊さなければいけない。佐藤雅史などは、既に鬼畜薔薇になることで自分を形成した。しかしそれをし
ないで見ろ。お前は通行人A…藤田浩之のような、受け身でしかない男になってしまうぞ?」
「何かさっきと矛盾した意見だけど」
 ジト目で言う七瀬。
「……ふん、そんなのはな。──初めはアリバイなんて関係ないと言っておきながら真相で実はアリバイト
リックでしたとか言い出す探偵か、警官を無能にして探偵を引き立たせるような作家と同じ思考の度合いだ
ぞ。お前にはそんな考えを持って欲しくないな、相棒として」
「問題発言だぞ、それ」
 こっちも半眼なRune。
「しかも随分と無理矢理な詭弁ねえ……」
 これは香奈子。
「まあいいんだ!それにだぞ七瀬、愛するものと自分の使命に挟まれるキャラというのもなかなかのものだ。
というかそれでギャグネタがかけるかも知れないと筆者は喜んでおる」
「何でギャグ…?」
 由紀が怪訝そうに呟くが、誰も聴かない。
「そ、そんな……。でも、だったら僕は悩む前に美咲さんのところへ……」
 七瀬はそう言うが、しかしその途端部屋の気温が下がった。驚く七瀬。全員の表情が暗く落ちくぼんだ
のだ、その健気な一言によって。
 暫くそのままで沈黙。──ややあって、タケダテルオが辛そうに口を開けた。
「──宿命だ。少なくとも今のまま…普通のお前のままでは、その御崎キョ○コとか言う──」
「澤倉美咲!」
「まあいい。その女性の心を掴むことなど、夢のまた夢!何故ならば、SS作家の深く、ある意味で多少歪
んだ愛の前に我々は余りにも、無力!!!新城沙織しかり、藍原瑞穂しかり、柏木楓しかり──まああの一
家は耕一がアレだから良いが、マルチしかり、保科智子しかり、来栖川芹香、綾香しかり、松原葵しかり。
──良いか、今はまだ現れずとも、そのうち必ず美咲という女性に近づく作家も出てくるだろう。そのとき
に今のお前では立ち向かえるはずもない!だからこそ、だからこそなのだ!今の内に揺るぎようのない存在
感という伏線を敷くのだ。良いか、これはチャンスなのだ!!!!」
 相変わらずの虚言癖だが、まあいいだろうと言うことにしておこう。
「さっきはギャグって…」
 美和子の声も矢張り誰にも届かない。
 ともかく、七瀬は非常に悩んでいた。別に悩む必要なんか無いような気がするが悩んでいた。そして結局、
力無く嘆くように言う。
「……わかった…と時間の都合上言わなければいけないんだよね…。良いよ、説得されるよ。もう、こうな
ったら悪役だろうがやられ役だろうが汚れ役だろうが何に出もなってやる!」
「よくいったわ!(香奈子)」
「やっぱり、真面目な人って切れると怖いですね(由紀)」
「そこまで言えるのもまた変…(美和子)」
「よし、じゃあ早速──(Rune)」
「──俺の代わりに死んでくれ(テルオ)」
「実は、神岸さんが来てるんだ(健やか)」
「────────へ?(彰)」
「いやなに。先ほどお前を説得するために言った中に禁止用語が入っていてな。そのうえ本人が近くを歩い
ていたんだそうな。──じゃあ、そう言うことで頼むぞ、相棒!!(テルオ)」
「撤収!!!!!!!!(Rune)」
「おおーーーーー!!!!!(他一同)」
「ちょ、ちょっと待ってよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!(彰)」
「(くすくす)誰ががめつく主役を狙い恋人を殺そうと狙うワニの顎ですって…?(あかり)」
 誰もそんなこと言っていない。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
 その日、体育倉庫の裏でぼろ雑巾になった七瀬彰が発見されたという事実は、暗躍生徒会によって揉み消
された……………………………。
                         … お し ま い …
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 タケダテルオ一味、七瀬彰君の暗躍生徒会入会記念作品です。
 ああ、何か一人で突っ走っている感じだ…。
 次に書くときにはHi−waitさんも出さなければ。
 というかネタだよ、ネタ…。