きらい 投稿者: ゆき
 日の光は嫌いだ。
 虚ろで、憂鬱な僕を無理矢理急かすから。
 無責任に、誰をも応援しているから。

 草は嫌いだ。
 自分と、似ているから。
 それなのに、強いから。

 雨は嫌いだ。
 じめじめとまとわりついて、しつこいから。
 全てを育むなどと、前時代的な偽善をしているから。

 笑顔は嫌いだ。
 内面の心を押し隠して、媚びを売るようにするから。
 自分にはできないし、かけられもしないから。

 言葉なんて嫌いだ。
 全て、欺瞞に満ち満ちているから。
 それなのに、正直だから。

──それで、それ以上に………。
 僕は人が嫌いだ。
 汚いから、嘘を付くから、沢山いるから。
 人間なんて要らない。要るとしてもそれはごく少数だ。
 だから、だから──

   ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・
──みんな、みんな破壊してやるんだ──

 …………僕は、そう自分で言って、自分で嗤った。
 そんなことができるわけがない。そもそもしたくない、何故なら……。

 ……生憎と、僕には瑠璃子さんがいるからだ。そんなことをしようとすれば彼女に止められるだろうし、嫌われてしま
うだろう。僕は、何よりもそれが厭だ。だから、僕は、

 そんなことは絶対にしないのだ──

 僕はそう思うとまた嗤った。そしてそれから、今から瑠璃子さんのところへ行こうと、そう思った。
                        <終>