前回までのあらすじ(復活版) 突如宇宙から飛来した巨大隕石には実は初音の分身たるナツネが居たと思ったらそれがメイドロボで あることが判明したのでこれ以下になどと考えてそうらえてみると実は初音自体が何とやらで云々。 ルカ:うおらああああああああああっ!!! ゆき:ぐはぁっ! ルカ:真面目にやれーっ!この、この、荒らし的4,649(古い)流駄文書きめぇっ! ゆき:ひぃぃぃぃぃぃ ルカ:こうやって行稼ぐことしかできぬのかっ!おのれはっ! ゆき:ああ、反抗期だなんて…母さん哀しいぞ。 ルカ:おまえは男だろぉがあああああああっっっっ!!!!(続かない) あらすじ…<初音が朝目を覚ますと、そこには自分と耕一の生まれ変わ りたる(作者の勝手に作り出した)ルカとメグが居た> ------------------------------------------------------------------------------------------ 数分後、初音の部屋のドアが静かに開き、中から着替えたルカが出てきた。 「あ、お兄ちゃん早いね」 最初に口を開いたのはメグだった。なんだか嬉しそうに微笑んでいる。 「これが普通なんじゃないのかな?」 初音が(少々自分のことを棚に上げて)苦笑しながら言った。 ルカは少し不機嫌そうな顔で二人を見てから、 「あの、一つ良い?」 と、ようやく嘆くように言った。 なんだか言い辛そうに、頭をかいている。 「「?」」 二人は微笑みながら、無言で訊く姿勢をとった。 そんな二人を見て、ルカは少し躊躇いがちに、 「…中禅寺秋彦さんの奥さんはさ、『千鶴』じゃなくて『千鶴子』だと思うよ」 と、苦笑しながら呟いた。 三人の間に、妙に場違いな雰囲気の風が吹いたような気がした。 ──風が、吹いた。 ──私は、その方向へ流されていく。 ──少し流されて、私は勘違いをしていることに気付いた。 ──風は、吹いているのではない。…何かに吸い込まれている。 ──そして、私は流されているのではなく、そこにいこうとしている。 ──そこについた。そこには、紫の髪、紫の瞳、紫のルージュ、そして、紫の甲冑で身を包んだ男が 居た。 「あなたを助けてあげましょう」 ──男ははっきりした口調で言った。男の科白に、私は過剰なまでの反応を示した。すると、男は悦 んで、 「そうですか、では、私に全てを委ねなさい」 ──目を細めながら言った。私は嬉々として頷いた。 ──男の紫の唇が、艶やかに輝いていた。 ──私は、男に飲み込まれた。 ──怖くはない。それどころか、私はこの上ない悦楽を感じた。 ──ゆっくりと、私は分裂していく。ゆっくりと、ゆっくりと、ゆっくりと…。 三人は無言で居間にきた。 ルカは俯きながら苦笑し、メグはそんなルカを見て微笑み、初音は二人を羨ましそうに見ていた。 居間には、既に他の三人がきていた。 「あ──、あのぉ」 ルカがかなり躊躇いがちに口を開いた、全員の視線が全てルカに注がれる。 だが、その視線は『怪訝そうな』と形容されるものではなく、まして笑顔であった。 「よっ!いらっしゃいっ!」 梓が元気よく言った。 「へ──?」 「何惚けてるんですか?──ちゃんと着替えてはいるようですけど」 千鶴が気を利かせて説明したことになど全く気付いていないルカは、それから数分間、惚けっぱな しだった。 我が息子ながら情けないぞ(ゆき談)。 「………」 結局、ルカは恥ずかしさのあまり赤くなって俯いてしまっていた。 「おいおい、そんなにあがることかい?」 梓が気を使って気さくに声をかけるが、ルカは結局苦笑してその場を濁してしまう。 ルカは、そんな自分に少し嫌気がさしていた。 「お兄ちゃん、本当は内気なの」 メグがフォローするつもりでそう言ったが、全くフォローになっていない。 ──まあ、事実だけど。 「…それより、どうやってこっちにきたか、説明してくれませんか?」 楓がそう言うと、ルカは少し頭を冷やしてから説明を始めた。 「昨日──僕の世界でのことですが──僕の実家に帰ったら、今メグちゃんが持ってるお守りを見つけ たんです…」 ルカの科白にあわせて、メグがポケットからお守りを取り出す。 「…これは──知っているかもしれませんが──初音さんの持っているものと──比喩ではなく── 同じものです。 おそらくこれが共鳴しあったため、僕らがここに来たのではないでしょうか。もっとも、『前』のよ うに、『誰かの意志』であることも考えられるのですが」 ルカの声の響きには、少し自分自身にも説明しているような響きがあった。 ルカの話が終わってはじめに口を開けたのはメグだった。 「ごめんなさい、いきなり押し掛けちゃって」 少し上目遣いに千鶴たちを見ながら、メグは呟いた。 「そんなことはないですよ。それに、今日は耕一さんが来ますし、ちょうど良いのでは」 なんだか慎重そうに言葉を選びながら、千鶴が答える。 その千鶴の科白を訊き、初音が「あっ」と、声を上げた。 「どうしたんだ?初音」 怪訝そうに、梓は初音に声をかけた。だが、その声は初音に届かなかった。 「…耕一お兄ちゃん…遅いなぁ」 誰にも聞こえないほどの声で、初音は呟いた。 ルカが時計を見ると(何故ある場所を知ってるっ!/教えてやろう、彼の前世は耕一だからだ(ゆき 談))、ちょうど十一時になったところだった。 「しかし、本当に遅いなあ。耕一」 そうぼやいたのは梓だった。 時間は既に十二時になろうとしていた。 「確かに電話もないし…。何かあったのかしら」 梓のぼやきに反応し、千鶴が心配そうに嘆くと、 「耕一のことだから、多分寝坊だとは思うんだけどなあ…」 何となく千鶴の心配をなくそうとするように、梓が言った。 「…この際だから、耕一さんを向かいにいかない?」 楓の呟きに、他の五人は一斉に賛成した。 いざ家を出るときになって、梓が、 「あ──、ちょっと待っててよ、忘れ物」 と、言って有無を言わさずに庭に駆け込んだ。 「どうしたんでしょうね」 ルカの問いに、答えるものは居なかった。 数分後、梓が戻ってくると、彼女は背中にリュックを背負っていた。 「梓…相変わらず子供ね」 千鶴の皮肉を訊いて、梓は一瞬むかっときたが、 「千鶴姉さん、梓姉さん…早くいきましょう」 という楓のつぶやきを訊いて、自分を押さえた。 こういうとき、彼女は初音以上に二人を押さえるのがうまい。 はっきり言っておおやばだ。 隆山の駅に着いた時点で既に十二時、はっきり言ってかなりまずい。 俺は、人気のないホームを大急ぎで出ると、そのまま柏木家に向かって走り出した。 ──ごめんよ、初音ちゃん。 なんだか、いつか言ったことのある科白を呟きながら、俺は走った。 ちょうど、前にいざこざのあった中学校まで来たときだった。 目の前に、『見覚えのある少年』が立っているのを見つけた。 その、憎しみに満ちた表情を見て、俺は冷水をぶっかけられたような気がした。 「た、タケダテルオ…」 俺の声と表情を見たタケダテルオは、嬉しそうに口元を歪め、 「久しぶりじゃのぉっーー!耕一ぃぃぃっっっ!!!!!」 と、俺に幼い声での罵声を浴びせた。 俺は周りを見て、人気のないことを確認しながら、 「おい、何しに来た」 と、叫んだ。 他人から見れば、どう見たって二十歳の兄ちゃんがガキに集っているようにしか見えない。そう言う 誤解は御免だし、それ以上にこいつは危険だ。 ──どうにかして、人気の無いところに行かなければ。 「あんだとぉぉぉぉっ!!??何しにだぁぁぁっ?きまってんじゃねえかぁっ!おまえを殺しに来たん だよぉおぉっ!」 俺の科白に逆上したタケダテルオは、いきなり「鬼」を発動させてきた。 やばい…。どうにか、せめて時間を稼がねば。 「そっ!それより、どうやっておまえ、生き返った?」 俺があわててそう訊くと、タケダテルオは鬼を体の中に押し込むように消して、自慢げに語りだした。 「訊きてえか、そうかそうか。じゃあ、教えてやるぜえええ。俺はあの後な、地獄みたいなところを彷 徨ってたんだぜ え。そしたらどうだい、変な機械やらなにやらが散乱してるじゃねえか。俺はそいつらに近寄ってみた。 そしたらそいつら、自分はこの世に未練がある、お前と同化すればこの世に戻れるって言うじゃねえか。 俺は承諾した。そしたらな、俺の魂がそいつらの中に入っていってな──」 タケダテルオはそう言いながら、自分の右肘をいじりだした、すると肘がはずれ、その断面を俺に見せた。 ──機械だ。 タケダテルオはサイボーグ(古いか?)になったのだ。 そして、俺は気がついた。 ──こいつは、某竜玉ゼットの劇場版の、冷房が逆襲してくるやつのパクリじゃないか。 あの、猿に負けた冷房が、夏豆星人の星を侵略するやつだ。 俺のそんな思考に気付かないタケダテルオは、更に続けた。 「──この通り、俺はサイボーグとなって蘇り、お前に復讐しに来たのだっ!フフフ、名前も変えたん だぜえ、タケダテルオ改、メタルタケダテルオだっっっっっ!!!!!!!」 自信満々で言うタケダテルオ──いや、メタルタケダテルオを見ていた俺は、完全に白く固まった。 ──メタルタケダテルオ…。な、何て語呂が悪いんだ。 その上読みづらい。 俺は頭を抱えて俯いた。 「おいおい、もうお終いかい?それじゃあ、生き返った意味がないじゃねえかあっ!」 俺は返事ができなかった。 だが、それに答えるものがあった。 「黙れえっ!この、メタオがあっ!」 声のした方を見ると、なんと、ルカとメグちゃん──いや、それだけじゃない、千鶴さん、梓、楓 ちゃん…、そして、初音ちゃんが居た。 俺は、大急ぎでみんな──正確には初音ちゃん──に近寄った。 「遅いぞ、耕一」 梓の口調と科白は怒った風にしているが、顔は笑顔だった。 「大丈夫ですか?」 千鶴さんは、心配そうに俺を見ている、俺は、 「まだ何もしてませんから…」 と、(事実だが)心配させないようにいった。 横を見ると、楓ちゃんも安堵感でいっぱいの表情をしていた。──おそらく、途中で強い「エルクゥ」 の反応を感じたのだろう。俺は、優しく落ち着けるように彼女に微笑んだ。 少し間をおいて、初音ちゃんが飛びついてきた。 目には、少し涙がたまっていた。 「…」 俺は、驚いたのとうれしさと恥ずかしさで何も言うことができなかったが、優しく微笑みながら髪を なでてあげた。 「古い言葉だけど…、幸せな人ですねぇ」 少し皮肉げに、ルカは呟いた。 「お久しぶりです、耕一さん」 そんなルカを少し窘めてから、メグちゃんも俺に話しかけてくる。 ──事実、俺は幸せだった。 「俺のこと、わすれんでくれる?」 遠くで、タケダテルオの呟きを訊いたような気がしたが、俺はそれを無視した。 五分後、俺はメタルタケダテルオのことを少し説明し、ルカたちは自分たちが来た経緯を語った。 「じゃあ、今度はこのメタオを始末しなければいけませんね」 ルカのその呟きに、メタルタケダテルオは過剰に反応した。 「俺はメタオじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!メタルタケダテルオじゃあああああああっっっっっ!!!!」 「語呂が悪いっ!お前はメタオで十分だっ!」 「せ、せめてメタルテルオにしろぉぉぉぉぉっ!!!」 「駄目だっ!お前はテルオだっ!」 「ググググググ、もうきれたぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!まとめて闇に葬ってやるっ!」 ルカとの口げんかに負けた(?)メタオは、俺たちに突っ込んでくる。 だが、鬼の力を解放していないメタオは、ただの九歳児だった。 「ていっ」 ルカが刀を抜き、峰のところでぶっ飛ばす。 「ぐあっ!」 まともに入ったメタオは、そのまま五メートルほど転がり、家の塀に当たって止まった。 「ど、どうします?千鶴さん、前みたいに行けますか?」 俺が後ろを振り向いていった。 メタオが鬼を呼び出せば、おそらく束でかかっても勝ち目はないだろう。 「む、無理ですよ、あのときは無我夢中でしたし」 俺と千鶴さんで悩んでいると、横から梓が「ぶつ」を取り出した。 「これで、勝てる」 梓が少し壊れていることに、俺はようやく気付いた。 「ルカっ!下がれ」 俺がそう叫ぶと、ルカは少し意外そうな顔をしながら戻ってきた。 「どうしたんですか…?あ?何です?それ」 ルカが、梓が持っているものを見て不思議そうな顔をした。 「ああ、これか。これは…セイカクハンテンダケだ」 俺は、この後の展開が読めた。 「初音…、あ、それとメグちゃんも、ちょっときて」 二人が、何も知らずにやってくると、梓は二人の口に無理矢理「ぶつ」をたたき込んだ。 最初苦しがっていた二人だが、徐々に表情が凶悪になってくる。 「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!」 「んだおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!」 ルカと俺は、白く固まった。 特にルカは初めての経験だから、ひょっとしてショックで死んでしまうかもしれない。 凶悪なものと化した二人は、倒れているメタオに飛びかかっていった…。 … 続く … ------------------------------------------------------------------------------------------ ふっふっふ。 悪夢再来。 その上今回はかなり大きそうだ。 すいません、壊れてます、墜ちてます。 セリスさん 感想、ありがとうございます。 誉められると照れる(調子に乗る)です(笑)。 新作待ってましゅ。 久々野彰さん 感想ありがとうございます。 真面目な千鶴さんに感動していただければ、僕も本望です。 梓のシリアスですか…。 僕にはかけそうにないです…。 西山英志さん 感想ありがとうございます。 本当はあのお話、ラストはもっとおおきくなる予定だったのですが。 あまりごちゃごちゃしちゃうと自分が何を言いたいのか分からなくなるかな…?と思ってやめたのです。 そしたら、今までの伏線の一部が壊れてしまった(苦笑)。 ところで、「百万回死んだ猫」ですか。 初めて訊いた(読んだことはない、11匹の猫ならあるのだけど)のはいつだったか…。 最初はあのお話、ぴんとこなかったのですが、今読ませていただいて少し分かりました。 それと楓ちゃんをリンクさせるとは…。 楓ちゃんの気持ちが、ただただ書くよりもよく分かりました。 でわでわ・・・(すいません、冒頭でも書きましたけど、かなり大きそう。所要時間三時間だもんなあ…/ 書きすぎですね。どうしよ(とか言いつつアップする.