ロマンスワールド外伝2(略してロマ2)【仮題】 初音はその日の朝、いつもの倍以上の爽やかさに包まれながら目を覚ました。 意味もなく微笑みながら初音はのびをした、窓から差し込み朝日が妙に心地よい。 ──いや、意味がないわけではない、初音の機嫌がいつにもましていいのにはちゃんと理由がある。 「早く来ないかな、耕一お兄ちゃん」 そう、今日は耕一が来るのだ。 初音は柔らかく微笑みながらベッドから降り──! ──降りる前に驚いた。ベッドの下に、見知った顔の二人が寝ていたのだ。 その二人は── ──やべえやべえ。 俺は時計を見ながら呟いた。 時間は既に十時を回っていた、はっきり言って、寝坊しすぎた。 くそっ!出来るだけ早くに初音ちゃんに会いたいのにっ! 焦っている俺の心は、思わず本音を漏らしていた。 電話をして遅れると言っておこうかとも思ったが、そんなことしてるなら早く行くべきだと思い直 し、俺は急いで着替えを始めた。寝坊してごめんよ、初音ちゃんっ。 ──前に初音が異世界(それは600年後の世界だったわけだが)で出会った耕一と初音の子孫に して生まれ変わりの、ルカとメグであった。 ──どうして二人が居るの?ここに。 天使の微笑みがぎこちない微笑みに変わった。 ──起こすべきかな? 初音がそう心の中で呟いたときだった。 「う…ううん」 小さな呻き声を上げて、ルカが目を開けた。 「──あ、起きた」 初音がそう呟くと、ルカは目を見開いて、 「えっ?あっ?な、初音さんっ?どうして…?ええっ!?」 と、言った。ずいぶんと狼狽している。 ──私もこんな感じだったんだよね。 彼等に初めてであったときのことを思い出しながら、初音は微笑んだ。 「あ…お兄ちゃん、どうしたの?」 ルカの声で目を覚ましたメグが、目を擦りながら言った。 「──僕が聞きたいよ」 頬をつねりながら、ルカが嘆いた。 ──二人とも、一番聞きたいのは私だと思うけど。 初音は、やはりぎこちなく微笑みながら心の中で嘆いた。 「すいません、どうやら今回は僕らが来てしまったようですね」 五分くらいたって、冷静さを取り戻したルカが頭を掻きながら言った。 「ごめんなさい初音さん──あの、寝てるところにいきなり来ちゃって」 まだ少し眠そうな顔をしながら、メグも続けて謝罪した。 そんな二人を見て、初音は、 「別に謝らなくてもいいよ…、それより、どうやってここにきたの?」 と、さっきから一番聞きたかったことを訊いた。 それを聞いたメグは、ちょっと困った顔をしながら、 「ええと、お守りじゃないかなって思うんですけど」 と、言った。 「お守り?」 「はい、この間お兄ちゃんの実家に言って、そこの物置にこれが──」 メグはそう言いながら自分の胸ポケットに手を入れ、 「──入ってたんです」 そこから初音にも見覚えのあるものを取り出した、それは、 「あ──私が叔父ちゃんからもらったお守り──」 鬼の亡霊から耕一と初音を守ったお守りと同じものだった。 ──私と耕一お兄ちゃんの絆…600年も後の世界にも残っていたんだ…。 初音は、嬉しいような、ちょっと悔しいような、そんな気分になった。 「──このお守りが、どうして?」 「どうやら、その二つが共鳴し合ったみたいですね。──はたまた誰かの意思か…」 ルカが、飄々とした調子で言った。最後の「誰かの意思」とは、某タケダテルオのことを言ってい るのだろう。 「──でも、ちょうど良いかもしれないよ、今日は耕一お兄ちゃんも来るし」 そういってから、初音は耕一のことをまた考え出した。 ──耕一お兄ちゃん、何時頃来るのかな。 「初音さん、何だか嬉しそう」 「そりゃそうだよ、耕一さんが遊びに来るんだもの」 二人は少し微笑みながら、嬉しそうに赤くなっている初音を茶化した、が、初音にはその声は届い ていなかった。 「ええと、取り敢えず僕は部屋の外に出ますね」 初音が正気に戻ってからルカは口を開けた。 「「え?どうして?」」 初音とメグが同時にそういうと、ルカは苦笑しながら、 「ずっと寝間着でいる気ですか?」 と、答えながら部屋から出た。 「お兄ちゃん、変なところ気を使うんだよね」 苦笑しながらメグが言った。 「──まあ、待たせるのも悪いから早く着替えようか」 「何か、変な感じ」 着替えている最中に、メグがそう呟いた。 「──え?何が?」 「だって、自分の先祖で前世の人とこうやって話をして居るんだもの」 「そうだね、私もそんな気はするよ」 「ああ、懐かしい。私は前世で、善くこうしていたんだ」 メグが悪戯っぽくそういった、初音は一瞬だけ考えて、それがなんなのか理解した。そして、 「それとも、来世でこうするという予感なのかな」 と、メグの後を続けた。 最後に二人は顔を向け合って、 「「京極夏彦、魍魎の匣よりっ!」」 そう同時に言って笑った。 部屋の外で、何が起こっているのかも知らずに… … 続く … ------------------------------------------------------------------------------------------ 時間が無くなったので、急遽中断。 レスする時間もちょっとしかないよう。 久々野さん おおうっ、いつの間にかに隠された過去が明かされてるしっ。 しかし、今回のはちょっとやばかったですね(最初の頃のは読んだこと無いから知らないけど)。 祢本さん 初めまして。 「二人の季節」すごく感動しました。 時間に余裕がないので、月並みな言葉しか思いつかないです。すいません。 無口の人さん 格好いい。 でもダーク。 先が読みたくなるお話です。 でわでわ・・・