俺…これを見て憤怒された方、いきなり目を背けた方、苦笑いをした方です。
初音…前科がたくさんある、二重人格の美少女です。最近人気出てきました。お父さんも喜んでいる…かも。
楓…初音の親友の美少女です。溌剌とした良い娘ですが、彼氏の前だと緊張して無口になるそうな。
梓…あなたの実の妹です。性格設定は秘密。
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甲斐性っ!10(だったっけ)「妹の秘密」
「そういえば」
食事中、初音ちゃんは改まった感じで口を開いた。
俺は、食事の手を休めて初音ちゃんを見る、困ったような顔だ。
「なんだい?」
俺は、手を休めるだけでなく食器もおくと、そう聞き返した。
「あの…お兄ちゃんの妹──梓さんだっけ、その人何で家にいないの?」
そう言われてみればそうだ──俺は少し考え、そして答えた。
「…気を使っているんじゃないのかな。ほら、一応俺達……同棲…だし」
何だか、妙に意識していってしまったな。
世間一般には妹として通っているが、本当は血の繋がりはないのだし、そう言う意味で言えば同棲で正しい…のだ
ろうが。因みに、このことを知っているのは一部の人──楓ちゃんに梓──だけだ。
「…そっか」
初音ちゃんは、嬉しそうに顔を赤らめながら呟いた。
──と、そのときいきなり電話が鳴った。都合がいいというか、邪魔をしてくれると言うか。
俺は立ち上がると、受話器を取った。──聞こえてきたのは、聞き慣れた声だった。
「おーっす。兄ちゃん、元気カニ?」
梓だ。俺は前にあったこと(六話参照)を思い出しながら、忌々しそうに答えた。
「何だ、アズサかよ──」
しっかり名前を出すのも忘れない。
「──どうしたんだ?なんかあったのか?」
すると梓は、少し間をおいた。どうやら受話器の向こうでにやついているらしい。
「それがさぁ──」
そして、十分にやけたらしく、話し出した。
「──今度から、そっちの学校に通うことになったわ」
俺は、驚いて聞き返した。
「なんだそりゃっ!?」
それは、同時に家に来ると言うことか?それは困る、非じょーに困る!
「だぁかぁらぁ。初音さんと同じ学校に通うことになったって言っているの」
からからと笑いながらそう言う。因みに、初音ちゃんと梓は同い年だ。
俺はかなり困りながら言った。
「な…何でまた」
「さあ?よくわからんカニ。…あれ?兄ちゃんなんだか迷惑そうカニ」
俺は心の中で、そうだよっ!と、叫んだ。
「ああ、でも大丈夫。あたし、住むとこ決めてるから、兄ちゃんの家にはお世話にならないよ。それじゃ」
梓はそんなことを言うと、一方的に電話を切った。俺は、へなへなとその場に座り込んでしまった。
──まあ、あいつが家に来ないだけましか…?
俺は、ぼーっとした表情でそんなことを考えた。
初音は、何だか複雑な気持ちで歩いていた。
今日、梓が転校してくるからだ──それも自分のクラスに。
「転校生…楽しみだね」
横から楓がそんなことを言う。
初音は面倒くさそうに、ああ…。とだけ答えた。
「何だか嬉しくなさそうね…」
楓は、初音の心境の一部を察し、そう言った。
──こいつになら話しても良いか…。
初音はそう考えると話し始めた。本当は誰かに聴いて貰いたかったのだろう。
「実はよ…。今日来る転校生っての、あいつの妹なんだよ」
「あいつって──まさか彼の?嘘、じゃあ、将来妹になる人じゃないの」
楓が、本当に驚いた風に言う。初音は、呻るように言った。
「…それは良いんだけどよ。何だかさぁ…」
実際の憂鬱な気分の原因は、おそらく前に誤解したことなのだろう。
誤解はとけても、まだ痼りはあるらしい。
「まあ、成り行きに任せてみれば?」
教室である。
初音は、かなり憂鬱そうな感じで席に着いていた。
チャイムが鳴り、先生が入ってくる…そしてその後ろに、梓が居た。
初音の緊張が高まる。自己紹介が始まった。
梓は、緊張気味に言った。
「あ、あの。私、柏木梓と申しまする。みっ!皆様、こ、今後ともよろしくお願いしまする〜」
初音は、思いっきりイスから落ちた。
「言い忘れていたけどさ」
俺は、初音ちゃんが帰ってくるとそう言った。
初音ちゃんは、少し驚いてこっちを見ている。俺はお約束通り続けた。
「──梓の奴、電話で話すときと直接会ったときと、性格変わるんだ」
初音ちゃんはそれを聴くと、疲れたように頷いた。
どうやら、解ったらしぃ…実体験から…。
… 了 …
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甲斐性も、とうとう二桁突入だっ!喜んで良いの?
でわでわ・・・