もう一つの答え 投稿者:ゆき
注意:これは、ハイドラントさんの「命令」の、僕なりの続きです。
    ひょっとしたら必要のない書き込みなのかもしれませんが、可能性は無限ということで…。
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 マルチがお茶の用意をしてから少しして、玄関の呼び鈴が鳴った。
──ああ、来たのか…。
 ソファーに座ってぼーっとしていた俺は、そう呟きながらマルチに、
「…来たみたいだから、お前出てくれ…」
 と、言った──否、言いつけた。
 するとマルチは、少し心配そうな表情を作りながら、
「はいっ…」
 と応えて、玄関に向かった。
 
──何なんだ?
 オレ(こちらは浩之ではなく、悪友の方)は、怪訝そうに顔を歪めながら思った。
 あまりな仲がよいとは言い切れない友人の、藤田に呼ばれては来たものの…。何か変な感じだった。
 そもそも、アイツが自宅に呼ぶ方からおかしい。いつだったか遊びに行ったときに、手酷く追い返された経験がある。
──そんなアイツが、オレに何の用だというのだ?
 …そう言えば、アイツとオレとには面白い共通点がある。──メイドロボを持っているという点だ。
 ひょっとしたら、それに関わることなのかもしれない…。例えば、バグッたとか。
 そう考えた途端、オレはあることに気がつき、思わず含み笑った。
──そうか、そう言うことなのかっ!
 なかなか面白い余興を、アイツは考えてくれたようだ。

 私がご主人様に言われて玄関に来ると、もうご主人様のお友達は、家の中に入ってらっしゃいました。
 ご主人様のお友達は、私の足音に気がついてこちらを向きました、すると、
「──!」
 何だか驚いたように目を大きくされて、それから漸く、
「御邪魔しますよ」
 と、何だか丁寧に仰いました。
 私は、ご主人様のお友達が驚いたのを不思議に思いながらも、
「あ──はい。どうぞ、こちらです」
 と、顔をあまり歪ませないようしながらご主人様のお友達を促しました。
 …ところでこのとき、ご主人様のお友達が小さく、
「…へえ──」
 と、仰ったのは、何故でしょうか?

 マルチに促されるように、悪友が部屋に入ってきた。…何だか、好色そうな目でマルチを見ているような気がする…。
──そんなはずはない。
 俺は、苦笑気味に自分にそう言い聞かせた。
 アイツはなにも知らないはずだし、それ以上にアイツの家のメイドロボの方が、「女性的に成熟した」形態(といっては
語弊か?)を取っているからだ。アイツがロリコン──俺だって断じてそうではないが──だという話は、聞いたことがない。
 そんな俺の心の葛藤をよそに、悪友は言った。
「おい…。此処、勝手に座らせて貰うぞ」
 どうやら、俺の正面にあるソファーのことを言っているようだ、俺は気の抜けた感じで、「おう」と応えた。
 友人はソファーに腰掛けると、
「で、何の用だよ」
 と、口元を歪ませながら訊いてきた。
 俺にはその笑みが、「早く抱かせろよ──」と言っているように見えた。
「ま…、まあ、そう慌てるなよ…」
 何だかしどろもどろになって訳の分からないことを言う俺。
 自分の思いこみかもしれないことを、まるで本当のことかのように言っている自分に気がついた。
──どうするんだ?俺よ…。
 何故か自問する。
「おいこら…。なにが何なんだよ」
 友人が、目の前で悪態をつく。催促をしているように見える。
──と、お茶を入れてきたマルチが戻ってきた。
「すいませーん。遅くなっちゃいましたー」
 あどけない表情のまま、明るく。
──あれは、作られた笑顔なのか?
 何となく、そんなことを考えた。
──あの笑顔も、いつものいたわってくれる時の表情も、愛されているときの言動も…。
 何でこんな事を考えるんだっ!俺は、卑屈な笑みを浮かべながら心の中で叫んだ。
 こんな事を考えて、何になる…。俺が今知りたいのは、マルチがロボットなのかそうでないのかだけなのにっ!
 そのとき、心の中の一部分が、俺に言った。
──マルチがロボットである=あの表情は作り物ということだ。
──お前は、それか否かが知りたいのだろう?だったら言えばいい、さあ、早く…。
 俺は、決断してしまった。
 マルチが、お茶を俺と友人の前に置いて立ち去ろうとしたとき、俺は立ち上がって言った。
「マルチ──」

 浩之のメイドロボが、お茶を運んできた。
 丁寧で可愛い仕草で、オレと浩之の前にお茶を置く。オレは思わず、応えるように頭を下げてしまった。
 そして、ぺこっと一礼して立ち去ろうとしたとき──。
 浩之が、急に立ち上がって言った。
「マルチ──」

 私は、何となく心配でした。
 何だかご主人様は元気がないんです。
 そんなわけで、今日はとっても美味しいお茶を出すことにしました。
 ちょっと手間取りながらもお茶を入れて、それをご主人様達の所へ持っていきます。
 私は、できるだけ微笑みながらお二人の前にお茶を置きました。でも、ご主人様は上の空です…。ご主人様のお友
達は、何だか丁寧に「どうも」と言って頭を下げてくれました。
──何か、大事なお話なんでしょうか?
 私は、そう思いながら部屋から出ることにしました。そのとき──。
 ──ご主人様が立ち上がって、こう言いました。
「マルチ──こいつに抱かれろ」
──え?
 私は、何だか抜けた感じでそう返事をしました。
「あの…どういう…?」
 そして、今度はゆっくりと聞き返してみます。
「だからっ」
 ご主人様は、何だか苛ついた感じで答えました。
「こいつに抱かれてみろって言ったんだよ」
 何だか、訳が分からなくなってしまいました。私は、え?え?え?といいながら首を傾げます。
 ご主人様の目は、とても真面目です。冗談を言っている様子はありません。私は、何だかとても辛くなって、泣きたく
なって、今度はご主人様のお友達の方を見ます。ご主人様のお友達は、無表情にご主人様を眺めていらっしゃいました。
 私は迷いました。どう答えたら良いんだろう?
 私は、どうすれば良いんだろう?
 涙が溢れそうになりました。少しずつ顎があがります。でも、泣いてしまったらご主人様が辛くなるような気がしたの
で、泣く前に答えることにしました。とても辛かったけど、ご主人様の為なのです…。
「…──」

 俺が「抱かれろ」と二回言うと、マルチは顎をあげて目を潤ませた。
 そして、言ってから何故か願う。
──頼む、嫌だといってくれ。
 もう、疑問云々よりもその方が先だった。
 しかしマルチは、こう答えてしまった。
「…はい」
 俺は、その声を来た途端に、自室に駆け上がった。
 背中に、友人の嘲笑が刺さったような気がした。
・ ・ ・
 俺は、自室に籠もって耳をふさぐと、ベッドに寝ころんだ。
──やっぱり、マルチはロボットなのか?
──だとすれば、マルチの行為全ては作られたものなのか?
 俺は、言ってからもそう自問自答した。
・ ・ ・
 三十分後。
 俺の部屋にマルチが入ってきた、目に涙をためて。
 そして、マルチは俺にすがりよってくると…。
「ごっ、ご主人様のばかぁ〜」
 そう言いながら、俺のことをぽかぽかと叩き始めた。
 溜まっていただけの涙が、マルチの頬を伝っている。
 俺は、マルチに叩かれたまま顔を伏せた。
・ ・ ・
 まだ、マルチは俺のことを叩いている。
「ばかばかばかばか」
 と、言いながら。文句と言うよりは、何だか少し拗ねた感じに。
──お前にとって、他人に抱かれると言うのは、そんなものなのか?
 俺は、小さくそう呟いた。そして、悔しくなった。
 そのときだった。
「おいこら。お前まだ気付かねえのかよ」
 友人の声が、俺の耳に入った。

 浩之が部屋から出ていくと、マルチは怯えた表情になって、それから泣き崩れた。
 オレは苦笑して、
「そう怯えるなよ…」
 と、呟いた。
 そして続けて言った。
「アイツの思惑ぐらい、オレにだって解る」
 するとマルチは、泣きながらも顔を上げた。説明を受ける…と言ったところか。
 オレは、笑顔を崩さないように言った。
「アイツも悩んでるんだろ。多分お前は、今まで一度も「嫌だ」と言ったことがなかったはずだからな」
 オレがそう言うと、マルチは黙って頷いた。
「アイツは、それで誤解しちまったんだろ。お前が「拒絶しない」というのを、「拒絶できない」…と。それも、愛情故…そ
うなんだろ…だって事に気がつけないらしい。ロボットの三大なんたらってやつが頭から離れねえんだよ、あいつ。まあ
いいや、そんな感じで、ちょっとヒステリーじみたのをおこしちまったんじゃねえのかな。だから、お前が拒絶しそうなこ
とを言ってみた…と。でも、お前はそれを肯定した…。一応訊いて置くが、なんでだ?」
 オレが最後にそう訊くと、マルチは、
「ご…主人様…が、それ…で、喜ばれ…るのな…ら」
 と、とぎれとぎれに言った。
「…それならばいい…。問題ないな。あとはアイツにそれを、完全に理解させてやればいい。多分今は後悔している
はずだから…」
 オレは、言いながらマルチにウィンクをした。
「あと三十分ぐらいしたら、そのままアイツの部屋に行って、アイツをぽかぽか殴ってやれよ。その方がアイツは喜ぶ
はずだ。「マルチは、怒ることもできる」って事を理解する」

 友人の話を聞き終えた俺は、思いっきりマルチを抱きしめて、謝った。
「本当にお前は…昔から鈍感だよな」
 友人が、後ろで悪態をついている。だが、今日だけはこいつに感謝をしても良いだろう。
 俺は、友人の目の前であることを忘れて、マルチに口づけをした。

 オレが帰るときになって、浩之がいきなり言い出した。
「なぁ…。お前、何でマルチを抱かなかったんだ?」
 言い辛そうにしているところを見ると、かなり後悔しているようである。
 オレは、真面目にこう答えることにした。
「マルチの目──はっきりした生命のある目じゃないか、それに──」
 そしてそう言いながら、良いことを思いついたので、笑顔になっていってやった。
「──オレはお前と違って、ロリコンじゃねえしな」
 すると友人は、怒ったような笑ったような表情を作った。
                       Fin...
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○蛇足
 オレは、家に帰るとさっきのことを考えていた。
 もしオレが、マルチを抱こうとしていたらマルチはどうしていたのだろう…。
 そしてすぐに思い当たった。
 多分、抱かれる前にオーバーヒートしてしまうだろう。
──オレを拒絶するために。なぜならあの場には、「浩之は居なかった」のだ。
 主人が居ない以上、従う義理はないのである。では、もし居たら?
 多分、やはり拒絶したんじゃないだろうか。
 理由は簡単である。アイツなら、絶対に辛そうな表情をしたはずだからだ。
 辛い主人を見るのは、アイツは耐えられないだろう。
 
 目の前に、オレのメイドロボが来た。
 オレは、ふとこんな事を訊いた。
「お前…オレに抱かれるのは嫌か?」
 するとこいつ──否、彼女は、
「そんなことはございません」
 と、丁寧に答えた。
 一瞬だけ、彼女の目が──まるでマルチのように、はっきりしたような気がした。
                           Fin...
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 何だか、お話がばらけた感じだなぁ…。書いてて三回くらい、集中力が切れました。
 いやはや…間だスランプ続いてるの?それとも疲れているの?
 論点ずれているしさぁ…。

 僕の出した答えは、お話の中盤と、「蛇足」に殆どつぎ込んだ…筈です。
 ただ、殆どはぐらかしだな…。

UMAさん
 何とかダウンロードはできました…。
 でも、IEって何ですか(爆)。(去年の九月に、始めてパソコンに触れた素人)

無駄口の人さん
 いつもいつも、本当にありがとうございます(泣き)。
 ところで、表の初音ちゃんと裏の初音ちゃん…どっちが好きですか?(こっちの問いも、答えられそうにない)

へーのき=つかささん
>復讐
 そうかもしれませんね…。
 いつか、朝起きたら首が欠けていそうだ…。

セリスさん
 すいません、勝手に名前使っちゃって…。
 それと…いいなぁ…アドレス…。

ジン先輩…基い、ジン・ジャザムさん
 やりたいなぁ…。ばいお2。
 羨ましい…。

智波さん
 いえいえ、ネタが解らないのは、僕の所為でしょう。

ハイドラントさん
 届きました〜。どうやら喰われちゃうようです〜。ってちがうっ!
 詳しくは、メール送るので。

ナゾノクサを知らない…と言って下さった皆様。
 さあ、これからポケモンをやろう。「赤」バージョンだ。
 そして、確かハナダシティだったかどっかの草むらに生息しているはずだ。
 出てきたら迷わずげっと。もしくは、カードでゲット(でも、出ないんだよなぁー)。

 すいません、何だか全てにはレスできていないようです…。
 解ってはいるのですが、「電話代」と、「使用時間」という敵が生息しているので、
 無理です。ごめんなさい。すいません、許して、お願い。

でわでわ・・・