──と、その前に訂正。 『遠い太鼓』ではなく『ノルウェイの森(上)』でした。 すいません。…うろ覚えで書くものじゃないなぁ。 >(ものすごくでかい)ファイル あの三本で、厚くこそなれ『ものすごくでかい』なーんてことはないですね…。 ↓では、本編をどうぞっ! ------------------------------------------------------------------------------------------ 食事を終えた俺は、千鶴さんの薦めで風呂にはいることにした。 少し熱めのお湯につかると、今日一日のドタバタの疲れが、汗とともに流れ出ていくような気がした。 風呂から上がった俺は、自分の部屋にルカとメグちゃん、それに初音ちゃんを呼んだ。 幾つか聞きたいことがあったからだ。 「──で?何のようですか?」 俺の部屋に入ってきたルカは、ちゃっかり俺の布団の上に陣取ると、相変わらずの微笑みを称えながら言った。 「…まあ待てよ、まだ初音ちゃんとメグちゃんが来ていな──」 俺がルカを制するためにそう言ったとき、俺の科白を遮るように二人が入ってきた。 あらあら、ものすごいタイミング。 俺は自分のキャラクターを敢えて変えて、心の中で呟いた。 「どうかしたの?耕一お兄ちゃん」 初音ちゃんは、そう言いながら俺の隣に座り、メグちゃんは「ルカお兄ちゃんにお話なの?」と言ってルカの隣に座った。 全員揃ったことだし、そろそろ用件を言おうか…と思ったとき、ふと頭の中に『さて』という科白が浮かんだ。…何故だ ろうか…? ──まあ言い、忘れよう。 俺は自分にそう言い聞かせてから口を開いた。 「…実はさ、君等に幾つか聞きたいことが有るんだ」 ──メグちゃんがいなかったら、間違いなく『お前』…と言っただろうな。 ルカは俺の科白を聞くと、少し不思議そうに頷いた。 「まず一つ目だ。その、お前の使う…『魔法』っていうものが、いまいち理解できないんだけど…」 「…?ええと、それはどういう意味で…?」 「つまり、どういう基準(?)に乗っているものなのか…?って言うこと。だって、魔法が好き勝手に使えたら、何でもで きちゃうじゃないか」 俺がそう言うと、ルカはああ、そう言うこと。といって頷き、 「まず、僕たち人間には「魔力許容量」というものがあります。──これは、ゲームで言うところのMPなんです」 と、話し始めた。俺は頷き、先を促した。 「──今のを踏まえてから聞いて下さいね。まず、僕たちの世界には『黒魔法』『白魔法』『精霊魔法』『精神魔法』とい う魔法の種類があります。魔法はそれぞれ「黒」なら「異世界からの召還」「白」なら「大気や自然の力を借りる」「精霊」 なら「精霊を召還し、その力を借りる」…と、必ず「何かに力を借りて」魔法を使うんです。でも「精神魔法」というのは「人 間の力だけ」で魔法を使うんです。良いですね?ここまで分かりました?」 俺と初音ちゃんは、ルカの饒舌ぶりに少し面食らって、慌てて頷いた。メグちゃんは饒舌になったルカを、うっとりした 目で見つめている。──ルカは続けた。 「『人間の力だけ』喩えるなら『保険証無しで病院にかかる』です。つまり、全ての魔法使用量を人間が負担するんです。 …ところで、精神魔法の多くが「相手を眠らせる」とか「記憶を一時的に消す(混乱させる」という、ゲームで言う補助魔 法なんですよね、それは何故かというと、そう言う魔法が『黒』『白』『精霊』などの魔法に『無かった』からなんです」 「なかったぁ?」 俺は裏返った声をあげた。 「そう、そう言う魔法は「最高レベルに置いて」全く通用しないものなんです。だから黒魔法以下三つの魔法には存在し ていないんです。──でも人間は違う、人間にはまだ「補助」系の魔法がかかってしまうんです。だから人間は、自分 たちの手で魔法を作った、それが「精神魔法」なんです。そして、その魔法には人間のエゴに使われるものが多く、魔 力使用量は高い、つまり──」 俺はそこでルカの言葉を遮った。漸く飲み込めてきたからだ。 「──つまり、悪用はできるがあまり多くは使えないって事か?」 俺がそう言うと、ルカは微笑んで頷いた。 「でもよ、魔法許容量が無くなったって、いつか回復するんだろ?だったら結局、いくらでもできるんじゃ…?」 俺は続けてそう言った。 果たして、ルカ達の世界はどうやって秩序が作られているのだろう…? 「そこで、魔法許容量の話に戻ります。ゲームだと魔力がつきてもなにも起こりませんよね?魔法使いが役に立たなく なるだけで。でも現実は違います、魔法許容量がつきてもなお魔法を使ったり、自分の許容量を超えた魔法を使ったり すれば…」 ルカはそこでいったん言葉を切り、溜息をついてから、 「…まず体力が代わりに使われ、それも尽きてくれば次は生命力…つまり命が削られます。つまり、魔法を使いすぎ れば、最悪の場合「死」もあり得ると言うことなんです。僕たち──僕とメグちゃんですが──なら、魔王(鬼)の血を引 いているのであまりそう言うことはないのですが、普通の人なら、「相手を眠らせる」魔法を使った瞬間に動けなくなり ますよ」 と、吐き出すように言った。 「…だいたい分かった。ってことは、ひょっとして魔法ってあまり使われないのか?」 「ええ。全然」 ルカは肩をすくめていった。 「でも、「力を借りていれば」良いわけだろ?だったら「傷を治す」とか「生き返らせる」とかの魔法はどうなんだ?よく使 われるんじゃないのか?」 「まず誤解を解きましょう。僕たちの世界に「生き返り」の魔法は存在しません。ゾンビを作るとかなら可能ですが。後、 「治癒」ですが、それもとんでもない量の魔法力を使用します。「自然治癒の促進」だから簡単なようにも思えますが、 結局生命の理に反していることですから」 ルカは再び肩をすくめて、疲れた。と呟いた。 「すごいな…。あんまり都合のいい世界というわけじゃないんだ」 俺は感嘆とした調子で呟いた。 「遊びで魔法を使えるのは、僕たちくらいですよ」 ルカはそう言って笑ったが、苦笑いにも見えた。 他にもいろいろ聞きたいが、次の質問に移ることにした。 「じゃあ次な。…お前、鬼になることはできるのか?…そもそも、鬼の力を制御してるのか?」 言っているうちに、少し緊張しだした。 俺の質問を聞いたルカは、少し困った顔をした。 「…ええ、一応制御はできてますし、なることもできます。でも、あなた達と違って、体全部を変えられるわけではない です。僕が変えられるのはこの──」 ルカは困った顔のままそう言って、自分の両手を差し出してきた。 「──腕だけです。魔王──鬼の血が薄くなったからじゃないでしょうか?」 ルカは苦笑気味にそう言ったが、俺は妙な引っかかりを感じた。 「…ちょっと待てよ、おまえ確か前に、「宇宙から飛来した魔王達の一人」っていってたよな。でも、それだったら「血が 薄くなる」なんて事が…」 俺がそう言うと、ルカは頭を掻きながら、 「イヤ…。それがどうやら「魔王」の勘違いだったらしくて…。漂流した「鬼」達は、とっくに全滅している筈とでも思った んじゃないんですか?ヨークは死んじゃったわけだし。だからこの星に「鬼」の血を引くものがいるはずはない=今目の 前にいるのは兄弟だ──と思ったらしいです」 と、呟くように言い、続けて更に小さな声で、あんなごついやつと兄弟なんて、ぞっとするなぁ。といった。 「ってことは?」 「つまり、僕たちは純粋にあなた達の子孫なんですよ」 ルカにはっきりと言われ、俺達は少し赤面した。 ──おっと、論点がずれてきていないか? 俺は照れ隠しをするようにそう思って、 「…じゃあ、ちょっと見せてくれよ」 といった。 何となく不格好そうだ。 が、ルカはそれを受け入れず、 「それだけはちょっと…」 と、言ってメグちゃんの方を向いた。メグちゃんも、何だか切実そうな目でルカを見ている。 「…?」 何かあるのだろうか…。そう俺が訝っていると、ルカは諦めたように口を開いた。 「実は、メグちゃんと約束してるんです。──もう魔王にはならないって」 俺はその一言で、さっきの要求を取り消すことを決めた。どうせ照れ隠しだったわけだし。 「ああ、そうなのか…。じゃあ良いよ、言ってみただけだし」 俺がそう言うと、ルカは顔いっぱいに安堵の色を浮かべて微笑んだ。 「悪いな、つきあわせて」 俺は、この場を締めくくるという意味で、そう言った。 「いいえ、いいですよ別に。自慢と説明、説教は大好きですから…。と、それよりもお願いがあります」 俺は取り敢えず首を傾げた。 「この布団、今晩貸して下さい、もう、眠くて動けない」 よく見ると、ルカの目は半分閉じそうだった。 「はぁ?」 俺は思わず間の抜けた声をあげ、それから時計を見た。十時、確かに遅めだが、眠くなる時間ではない。 俺のそんな疑問を読み透かしたように、ルカは説明しだした。目が半分寝てる。 「どうやら、時間や空間を移動するとかなりの精神力を使うみたいですね。…耕一さんだって、僕らの所に来たときは 寝ていたでしょう?それと同じのが今きたんじゃ…。それとも、別の世界にいること自体が疲れるのか──」 ごろん そんな音を立て、ルカは布団に突っ伏した。 が、寝息は安らかである。 「…取り敢えず、風邪引かないように布団を掛けてやるか…」 俺はそう言って立ち上がり、ルカの体の向きを変えた。 「メグちゃんももう眠い?」 俺がルカの体の向きを変えているとき、後ろから初音ちゃんの声がした。 「…うん」 どうやらとことん眠そうなメグちゃんは、口数も少なかった。 「面倒だから、一緒の布団で良いだろ?」 俺がそう言うと、やはり「うん」と答えた。 ──意味わかっとるのだろうか。 二人を布団に寝かせた後、俺と初音ちゃんは静かに部屋を出た。 「何だか…羨ましいな──」 口を開けたのは初音ちゃんだった。 「──気兼ねなくつきあえて?」 俺は初音ちゃんの科白を遮り、そう聞いた。 初音ちゃんは、少し躊躇いがちに頷くと、少し頬を赤く染めた。 「…寝る場所を奪われてしまった」 「どうするの?…他の部屋、使うの?」 初音ちゃんにそう言われ、俺はゆるゆると首を振った。 「え?じゃあ、どう──」 またしても、俺は初音ちゃんの言葉を遮った。 彼女の両肩に手を乗せ、少し顔を近づけ、 「よしっ、一緒に寝ようっ!」 と、(小声で)叫んだ。 「ええ?!」 やはり小声で驚く初音ちゃん。 ずいぶんと顔が赤くなっている。 「──いやなら別に良いけど…」 ──と、こういわれて(しかも俺に)断れるはずがない。初音ちゃんは照れながら「良いよ」と言った。 その後、初音ちゃんの部屋に入った俺達の目に、 「楓さんに迷惑がかかるので、部屋で騒ぐのはやめておきましょうね BYルカ」 と、書いてある紙が映ったのは、言うまでもない。 俺達は思わず苦笑した。 … 続く … ------------------------------------------------------------------------------------------ 「初音ちゃん、僕と耕一君じゃ、そこまでリアクションが違うかね」 と、上のは自分で書いた初音ちゃんに対するつっこみです(笑)。 二週間ぶりの復活です『メタオ』一時は中断するかとも思ったけど、何とか書けました、これからもがんばれたら…な どと思っています。目指せ完結。 まさたさん 多分、千鶴さんに見せたら包丁で刺され、梓に見せたら千鶴さんの料理を食べさせられ、楓ちゃんに見せたら冷た い視線を浴びせられるでしょう。どれもイヤだ。 初音ちゃんとの静かなひとときは、楽しんでもらえたでしょうか…? 無駄口の人さん 『ぴあ』よ、読んでない…。「原(辰徳?)、斉藤(雅樹?)、伊良部(何て言うの?)」どんなネタだろ。 次はセリオと、ねぇ…。ってことは、他に誰を出そうか…へーのきさんとか(笑)。 ハイドラントさん だめだっ!それはだめだっ!サザエが頭に付いてる紅葉饅頭を不味いとか言いながら食ったあげくにカツオに八つ当たりして更にその不味い紅葉饅頭を食わせるくらい駄目だっ! っていうか、ミスチルといえば、僕たちファンを狂乱させるため、一年ぶりに「ニシヘヒガシヘ」を出したんだから知らな きゃ駄目だっ!っていうかヒットチャートNo.1だしっ!やっとチャートが楽しくなった。これでドロップキックしなくてすむっ! と、訳の分からないことを口走ってしまった…。知りません?「名もなき詩」とか「クロスロード」とか。 本編、日記、ともに頑張ってくださいね。 ところで、拡散粒子砲ってどんな粒子砲ですか(今構想してる機動戦士もののパロに、たまたまオリジナルを入れたのだが名前が同じで…) カレルレンさん 畏いお話でした。 美しさや、書き方の丁寧さなども畏さに変わってしまうような畏さでした。 何だか(失礼な言い方ですいません、でも、これ以外に表す言葉が見つかりません)小学生の子供みたいな文の終 わらせ方(つまり、「〜なんだなあ、と思いました」みたいな文のこと。決して失礼な意味ではないです)が、やっぱりす ごく「畏かった」です。 へーのき=つかささん 駄目だっ!それは本当に駄目だっ!っていうか、宇宙が反転しているのにも関わらずサザエの紅葉饅頭を奪おうと計画するほど駄目だっ!ていうか、宇宙に反転も何もあるのかっ!? と、酷くマニアックなネタで今日は攻めてみました(今から電気屋でもCD屋でもいいから行って、ミスチルのアルバムを借りてこようっ!)。 Dマルチ…あれからどこへ…? テストはイヤですよねぇ。 でわでわ・・・