まるで、ナイフのような風が吹いた。 正面から来たところを見ると、ある意味で私のこれからの行動を危惧しているようにも感じられる。 夜空に、眩しいほど月が輝いていた。 彼女──つまり、太田加奈子は、これから(隠しても無駄であろう)月島拓也の家に行こうとしている。 まるで、美しく燃える炎に飛び込んでいく儚い虫達のように。 彼は怒っていた。 表面上は平静を装っているけれど、私には分かる。 この人は、安らぎを求めている。 この人は、すがれる人を捜し、求めている。 この人は、私を、それ以上にそんな自分を、 憎んでいる。 でも、私は自分の心の澱みを吐くように言った。 愛の言葉を。 今の現代に汚されきった、ひょっとしたら幻影でしかないのかもしれない、 愛の言葉を。(こんなに愛してるのに) 瞬間、彼女は壊された。 怒りよりも、愛によって。 彼女の信じた、愛によって。 私には、終わりのない闇があった。 誰もいない、何もない闇。 自分の溜息だけの孤独。 いつか、彼に愛され、彼を愛した夜も、 褪めて、乾いた「カコ」に変わりそうな、闇。 彼女は玩具になり、狂い、「壊れた」。 彼女は闇に囚われた。 彼女は畏れた。 彼女は崩壊し、全てを失うのを、拒んだ。 彼女は電波に操られながら、目を開けた。 気がつくと、横に瑞穂が居た。 声をかけようとするが、唇が動かない。 それだけでなく、喉も震えない。 否、私は、「私の」意志とは別のものに動かされていた。 そして、それはすぐに分かった。 そして、私は安堵した。 どんな形でも、あの人の近くにいることができる。 たとえそれが人形としてであっても、彼女は嬉しかったのではないだろうか。 それに、気付いただろうか。 『月島拓也は、言葉で、彼女にさせる行為では彼女を汚したが── ──一度も彼女を汚さなかったし、汚させようともしなかった』ことに。 彼は、私にはやらないようなことを、私の友人達に強要させていた。 そして瑞穂を、私に汚させようとした。 私は拒まなかった。 彼は、私に対しては、そんな感情を抱いていないことに気付いたから。 罪を重ねればいい、あなたにとってそれが真実ならば。 私は、あなたの全てを受け入れて、 あなたを信じ続ける── 彼女は、そこで思考を停止した。 拓也が苦しむような気がしたから。 拓也がそうさせたような気がしたから。 彼女は、眠った。 ──だから。 だからお願い。 私は心の中でそう言い、自らの手で「殺した」彼を抱きしめた。 ──お願い、私を見つめて。 ──私を、正直に求めて。 ──おねがい。 <終> ------------------------------------------------------------------------------------------ ごめんなさい、訳が分からないですね。 一応、加奈子視点の雫という形にしました。 多少「おそらく──」を含んでます。 ただ、かなり久しぶりに書きますが、「駄文」です。 でも、少し気に入っているので投稿します。 で、最後に。 久々野さん、静耶さん、ごめんなさい。 (特に、久々野さんの書かれたやつをだいぶ引きずっているような…) ところで、最近気になることがあります。 「欲望の続き」を書いて以降、どうも「カニバリズム」ものに縁があるんです。 「眠らない少女」「特別料理」「眼球綺譚」「殺人鬼」「殺人鬼2」「鬼」 少し怖いです、次は何だろう(どきどき)。 アルルさん う、羨ましい、羨ましすぎる(核爆)。 それと、あの二人は「同じ」ですから。 久々野彰さん まず爆笑(Lメモ)。 ようやく壊れた自分が拝見できました☆ セリスさん、仲良くやりましょうね、お掃除(核爆)。 あと、お誕生日おめでとうございます。 p.s初音の甲斐性復活を願っているのは僕だけか(核爆)。 NOGODさん 感想ありがとうございます。 それと、僕の個人的な設定上、あの子は女の子です。 耕一君の面影は「微妙に」しか入ってないんです。 静耶さん ごめんなさい。今回のお話は出来心です(嘘)。 でも、静谷さんのお話の方が、遙かに綺麗だと思う。 風見ひなたさん 壊したくなったこと?あります。 「おそらく──」は、確か二三回消えたような。 「メタオ」も一回消えてるし。 みかかさん いつか使わせて貰います(核爆MK─V)。 いや、本当に。 設定良すぎ(ごめんっっ!!)。 西山英志さん。 メールありがとうございました。 心配しないでください。「メタオ」ではあまり活躍しない楓ちゃんですけど、今考えてる「機動戦士もの」では結構出て きます。もっとも、前半は全くないけど(すいません)。 あまり期待しないで待っていてください。 メールは、いつでも大歓迎です(一日だけ設立される「会」は、自分で言っておきながら虚しい)。 でわでわ・・・(バレンタインデーネタは、ホワイトデーあたりに書きます。予定ですが。 今年も多分もらえんであろう僕)