いくつもの屍を生み出してきた。 全身はすでに真紅に染まり、ただ目前に最後の一人を残すのみとなっていた。 鬼どもの長にして、我が愛しの半身を奪ったモノ。 「お主がここまでやるとはな、人というものはなぜそうも何かに執着できるものよ。」 目の前の鬼が何かを言っている。 何を言っているにせよ俺には関係の無いことよ。 「たかが女子一人殺したくらいで一族すべてを根絶やしにするとはな、なんとも身勝手な男よな。」 うるさい、耳障りだ。 たとえどんなことを言っていようともあいつを奪ったおまえたちの言葉は聞くに堪えん。 「強きものが勝つのはただひとつの理、おまえは他のエルクゥよりは強かった。しかし、この俺より強いとは思わぬことだ。」 ふん、やっと戦う気になったようだな。 貴様はもっとも残酷な方法で殺してやる、あいつを奪ったおまえはな。 ・ ・ ・ 自分が狂っている事がおぼろげにわかっていた。 恨むなとそう言われたにもかかわらず、俺の心が憎しみに染まっていく。 こんな醜い俺をあいつはどう思うのだろう? また再び会うことが出来たとき、きっとあいつは・・・ わかっていた、こんな事をしてもあいつが帰って来ない事は。 それでも俺は止まる事は出来ないだろう。 かつてはあっただろうこの俺の鞘は今はもう遥か彼方に消え去っていった。 剥き出しの刃は他人はおろか自分をも切り刻んでゆくのだから。 ・ ・ ・ 動くもののいなくなった荒野に立ち尽くし、今までやったことを思い返していた。 最愛の人の言葉を裏切り、最愛の人の妹をも裏切った。 そんな俺に何が残ったのか。 何も残りはしない。 償えない罪を犯した自分。 そこにあったのはそんな事実だけだった。 俺のなったエルクゥというものは何度も生まれ変わるそうだ。 もしいつかこの罪が許されるとき、俺は再びあいつに遭うことが出来るのか。 だが、今生はあやつが許してくれるのならリネットのため償いをしていくことにしよう。 だから、だからしばしの別れだ、この俺が最も愛した女(ひと)よ。 罪の許されしその時まで。 数百年の時が経ち、再びであった二人・・・ 罪を犯した男は許されたのか、それともこれから償って行かねばならないのか・・・ 今はまだ知る余地は無い・・・ 終幕 こんにちはミヤコ屋です。 なんとなく、書いてしまった罪人次郎衛門です。 罪を犯してしまった人『次郎衛門』とても心の弱い人、だからこそエディフェルはあの人に惹かれたのかな。 書きたいことの半分も書けてないような気がしますが読んでいただけたら幸いです。 それではまた。 PS こまった、まじかるアンティークが買えない(しくしく)・・・お金なくて・・・ シリアス / 痕 / 次郎衛門