なぜか暖かい手も、 紅く染まった視界も、 耳が痛くなるほどの静寂も、 すべてがわずらわしい。 私を癒してくれる人はもういない。 私を愛してくれる人ももういない。 私を愛してくれた暖かいあなたの手は冷たくて、 私を愛してくれたたくましいあなたの胸は血に染まり、 私を愛してくれたやさしいあなたの微笑みは永遠に失われ、 私を愛してくれた美しいあなたの命の炎は散ってしまった。 なぜ、どうして、だれがこんなことを? それは、あの人が人を殺したから。 それは、柏木の掟だから。 それは、私がやってしまった事だから。 そう、これは私がやってしまったこと。 他の誰でもなく、私がこの手で犯した過ち。 最後まで信じてあげられなかった私の弱さ。 あの人の苦しむ姿を見ていられない私の弱さが引き起こしたこと。 このようなことをして何が得られるのか、あの人を失ってどんな未来があるというのか。 いや、何も得られはしない、どのような未来もありはしない。 それなら私もあの人の元へ行こう。 肉体という衣を打ち捨て、掟と言う楔(くさび)を振り切って、あの人の元へ行こう。 そうすればあなたはまた微笑んでくれますか・・・耕一さん。 THE END -------------------------------------------------------------------------------------- こんにちは、またはこんばんはミヤコ屋です。 『この世で一番愛しいあなたへ 〜千鶴の章〜』をお届けします。 千鶴さん・・・不思議な人です。 彼女には『完璧な姉』いや、『姉として完璧な人』そんなイメージがあります。 時にはやさしく、時には厳しく、そして完璧すぎない。 何もかも完璧にこなす姉は妹たちにとって良いとはいえないと思います。 千鶴さんを見ていると(読んでいると)あの毒のような料理(笑)も本人がわざと作っているのかもと思えてしまいます。 そのように演じているため物言いが偽善チック(さらに笑)になっているのかもしれません。 と、私のキャライメージはこれくらいにして少し作品解説をやらしていただきます。 この『この世で一番〜』シリーズは痕のバットエンド後の話として書いています。 私は痕と言う作品のバットエンドがすごく気に入っています。 何かこのバットエンドを私なりに補完してみたいと思いこのような駄文を書かせていただきました。 この文を読んでいただいて、少しでも喜んでいただけたら幸いです。 それでは機会がありましたらまたお会いしましょう。 PS 次は『この世で一番愛しいあなたへ 〜梓の章〜』にしようかな・・・ シリアス / 痕 / 千鶴